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インターリーブ:まぜて練習する時制ドリルは「まぜる」と本番に強くなる。ただし単語の暗記は例外かもしれない

原田英語6分で読める研究・公式情報 5件第1章の4/7節

インターリーブ:まぜて練習するのイメージ

練習中の正答率は89%。それが1週間後のテストでは20%でした。大学生が立体の体積を求める問題を、種類ごとにまとめて解いた結果です。同じ問題を別のやり方で練習した組は、練習中こそ60%と苦戦したのに、1週間後は63%を取りました。問題集の「現在完了」の章では全問正解できたのに、模試になると過去形と取り違える。その理由も、ここにあります。2つの組の練習は、どこが違ったのか。

この節の目次(5項目)
  1. まとめて解く練習、まぜて解く練習
  2. 練習では負けて、本番で勝つ
  3. 英語の研究:効いた場合と効かなかった場合
  4. 時制ドリルを「まぜる」とこうなる
  5. まぜ方の順番と、単語での注意

01まとめて解く練習、まぜて解く練習

問題集の多くは、「現在完了の章」「過去形の章」のように、同じ種類の問題がまとまって並んでいます。1つの種類を続けて練習するやり方をブロック練習、ちがう種類をまぜて練習するやり方をインターリーブ(交互練習)といいます。

  • ブロック練習:AAA → BBB → CCC
  • インターリーブ:A → C → B → A → B → C …

ブロック練習は、練習中の手ごたえがとてもよいのが特徴です。現在完了の章なら、どの問題も答えは現在完了。深く考えなくても、形を当てはめれば正解できます。

でも、本番の試験や会話では、「次は現在完了の問題です」と教えてくれる人はいません。どの文法を使うかを、自分で選ぶ必要があります。

  • I ______ to Kyoto last weekend.(go)
  • I ______ in Osaka since 2020.(live)

この2問は、同じ章に並んでいれば迷いません。まざって出てくるから、「last weekend は過去の一点だから went」「since 2020 は今まで続いているから have lived」と判断する力が試されます。インターリーブは、この選ぶ力を練習の中で鍛えるやり方です。

02練習では負けて、本番で勝つ

インターリーブの効果をはっきり示したのが、Rohrer と Taylor(2007)の数学の実験です。大学生が、いくつかの種類の立体の体積を求める問題を練習しました。

練習中の正答率1週間後のテスト
まとめて解く(ブロック)89%20%
まぜて解く(インターリーブ)60%63%

練習中はブロック練習のほうがずっと上でした。ところが1週間後のテストでは、まぜて練習した人が3倍以上の正答率を出しました。参加者の人数は多くない実験ですが、差はとても大きなものでした。

Kornell と Bjork(2008)は、絵を見てその画家を当てる学習で、似た結果を出しています。同じ画家の絵をまとめて見るより、いろいろな画家の絵をまぜて見たほうが、初めて見る絵の作者をよく当てられました。しかも参加者は、自分のテストの結果が逆を示したあとでも、「まとめて見るほうが効果的だった」と評価しました。

インターリーブは、練習中の手ごたえが悪いのに、あとで効く。だから、自分の感覚だけで勉強法を選ぶと、損なほうを選びやすいのです。

03英語の研究:効いた場合と効かなかった場合

では、英語や外国語ではどうでしょうか。研究の数はまだ多くありません。わかっていることを正直に並べます。

効いた研究①:日本人の英文法。 Nakata と Suzuki(2019)は、日本人の英語学習者115人に、5つの英文法を「まとめる」「まぜる」「まとめたあとでまぜる」の3通りで練習させました。まぜた練習は、練習中の間違いが一番多かったのに、1週間後のテストではまとめた練習より成績がよかった。また、もともとの文法の知識が少ない人ほど、まぜる効果が大きかったと報告されています。

効いた研究②:スペイン語の過去時制。 Pan ら(2019)は、大人の学習者がスペイン語の2つの過去時制の活用を学ぶ実験を4つ行いました。1回きりの練習では、まぜる利点は出ませんでした。2週にわたって練習した実験では、まぜたほうが1週間後のテストで大きく上回りました。

逆の結果:単語。 Brunmair と Richter(2019)は、インターリーブの研究59本をまとめて分析しました。全体では中くらいの効果(効果量 g = 0.42)があり、特に絵画のような見た目で見分ける材料で大きく出ました。一方、単語を材料にした研究では、まとめて学ぶほうが有利でした(g = −0.39)。研究者たちは、説明的な文章や単語では慎重に使うべきだとしています。

Dunlosky ら(2013)の勉強法のレビューでも、インターリーブの評価は「中」にとどまっています。研究が始まったばかりで、効く条件がまだ十分にわかっていないからです。

ポイント:インターリーブが力を発揮するのは「似ているけれど違うものを見分けて、正しく選ぶ」練習。文法の使い分けには向いていて、新しい単語の暗記には向いていない可能性があります。

04時制ドリルを「まぜる」とこうなる

英語で一番まぜる効果を試しやすいのは、時制です。次の6問を、理由を言いながら解いてみてください。

  1. I ______ (live) in Osaka since 2020.
  2. I ______ (go) to Kyoto last weekend.
  3. Look! It ______ (rain).
  4. She ______ (already / finish) her homework.
  5. When I called him, he ______ (take) a bath.
  6. I ______ (visit) Okinawa three times.

答え:1. have lived 2. went 3. is raining 4. has already finished 5. was taking 6. have visited

1問ごとに「since 2020 があるから現在完了」「last weekend は過去の一点だから過去形」「when I called him の瞬間に続いていた動作だから過去進行形」と、選んだ理由を口に出すのがポイントです。理由が言えれば、本番でも同じ判断ができます。

ほかにも、まぜると練習になる組み合わせがあります。

  • 不定詞と動名詞:I enjoy swimming. / I want to swim. / I stopped smoking. と I stopped to smoke.
  • 前置詞:in the morning / on Monday / at seven
  • 比較:as tall as / taller than / the tallest
  • 関係詞:the man who lives next door / the town where I was born

どれも「形は知っているのに、本番で取り違える」ものばかりです。章ごとに練習したあと、まぜて解き直すと、取り違えやすい組み合わせがはっきりします。

05まぜ方の順番と、単語での注意

まぜ方の順番は、次の形がおすすめです。

  1. 新しい文法は、まず解説を一度読み、例文を数個練習する
  2. ある程度できたら、前に習った文法とまぜる(問題集の章をまたいで解く)
  3. 試験前は、範囲全体をシャッフルする(過去問・模試の形)

Nakata と Suzuki(2019)では、文法の知識が少ない人ほどまぜる効果が大きかったので、上級者になるまで待つ必要はありません。早めにまぜ始めてかまいません。ただし、ルールを一度も読まないまままぜても、選ぶ根拠がなく、当てずっぽうになるだけです。

問題集でまぜるのはかんたんです。今日は第5章の1〜5番、第3章の6〜10番、第8章の1〜5番、のように章をまたいで解くだけ。英語大全の文法の章の「文法問題の練習法」の節でも、具体的な組み方を紹介しています。

単語については、研究の結果をふまえて慎重にします。新しい単語を覚える段階では、無理にまぜる必要はありません。ただ、意味の似た単語の使い分けは「見分けて選ぶ」練習なので、まぜて問題を解く価値があります。

  • I saw a strange bird in the park.(見えた・目に入った)
  • I watched a movie last night.(じっと見た)
  • Look at this picture.(目を向けて)

see・watch・look のような組を、1つずつではなくまぜた問題で確かめる。これは研究で直接確かめられたやり方ではありませんが、インターリーブが効きやすい「見分ける」条件に当てはまります。

この節の答え

似たものをまぜて解くと、「どれを使うか選ぶ力」が育つ

今日からのやり方

  1. 問題集を章ごとに解くのをやめ、今日は3つの章から5問ずつ解く
  2. 1問ごとに「なぜこの形か」の理由を一言で言ってから答える
  3. 間違えた問題は、どの文法と取り違えたかをメモする
  4. 1週間後、同じ章の組み合わせをシャッフルしてもう一度解く
  5. 新しい単語の暗記は無理にまぜず、使い分けの練習でまぜる

レベル別:あなたならこうする

初級 A1〜A2

be動詞と一般動詞、現在形と過去形など、2つだけをまぜることから始めます。1問ごとに「どっちを使うか」と、その理由を口に出して確かめます。

中級 B1

現在完了・過去形・進行形をまぜたドリルや、不定詞と動名詞の使い分けを、章をまたいで解きます。英検やTOEICの文法問題は、分野がまざった問題集で練習します。

上級 B2〜

自分の英作文から時制や冠詞の間違いを集め、種類をまぜた10問の小テストを作ります。取り違えやすい組み合わせが見えたら、そこを重点的にまぜて練習します。

よくある失敗と対策

まぜると正答率が下がるのでやめてしまう

練習中の正答率が下がるのは普通です。Rohrer と Taylor の実験でも、練習で負けたまぜる組が、1週間後のテストで大きく上回りました。

ルールを知らないうちから全部まぜる

選ぶ根拠がないと、ただの当てずっぽうになります。解説を一度読んで例文を数個練習してから、前の文法とまぜます。

単語の暗記も全部まぜればいいと思う

単語を材料にした研究では、まとめて学ぶほうが有利だったという分析があります。まぜるのは、文法や使い分けの練習にしぼります。

TODAY
1 MIN

文法問題集の違う章から3問ずつ、計9問をまぜて解く

友だちに出したい、この節の3問

タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。

1-4問題を『まぜて』練習すると、練習中の正答率はどうなる?

下がります。Rohrer と Taylor(2007)の数学の実験では、練習中はまとめて解く組89%、まぜる組60%。ところが1週間後のテストは、まとめ組20%、まぜる組63%と逆転しました。

X で出題する

1-4英文法を『まぜて』練習する効果、日本人学習者でも確かめられたの?

はい。Nakata と Suzuki(2019)は日本人学習者115人で5つの英文法を比べ、まぜた練習は練習中の間違いが最も多かったのに、1週間後のテストではまとめた練習を上回りました。

X で出題する

1-4問題を『まぜて』練習する方法、単語の暗記にも向いているの?

そうとは言えません。59本の研究をまとめた Brunmair と Richter(2019)では、全体ではまぜるほうが有利でしたが、単語を材料にした研究では逆に、まとめて学ぶほうが有利でした。

X で出題する

X でポストLINEB!

この節の根拠(研究・公式情報)

立体の体積の問題で、練習中はまとめて解く組89%・まぜる組60%だったが、1週間後のテストではまとめ組20%・まぜる組63%と逆転した。

Rohrer, D., & Taylor, K. (2007). The shuffling of mathematics problems improves learning. Instructional Science, 35(6), 481–498.出典を開く ↗

画家の絵をまぜて見たほうが新しい絵の作者をよく当てられた。参加者は、自分の結果が逆を示したあとも、まとめて見るほうが効果的だと評価した。

Kornell, N., & Bjork, R. A. (2008). Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"? Psychological Science, 19(6), 585–592.出典を開く ↗

59本の研究を分析。全体の効果は中程度(g = 0.42)で絵画で大きかったが、単語を材料にした研究ではまとめて学ぶほうが有利(g = −0.39)だった。

Brunmair, M., & Richter, T. (2019). Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators. Psychological Bulletin, 145(11), 1029–1052.出典を開く ↗

日本人学習者115人が5つの英文法を学習。まぜる練習は練習中の誤りが最多だったが、1週間後のテストではまとめる練習より効果的で、知識の少ない人ほど効果が大きかった。

Nakata, T., & Suzuki, Y. (2019). Mixing grammar exercises facilitates long-term retention: Effects of blocking, interleaving, and increasing practice. The Modern Language Journal, 103(3), 629–647.出典を開く ↗

スペイン語の2つの過去時制の活用で、1回きりの練習ではまぜる利点がなかったが、2週にわたる練習ではまぜるほうが1週間後のテストで大きく上回った。

Pan, S. C., Tajran, J., Lovelett, J., Osuna, J., & Rickard, T. C. (2019). Does interleaved practice enhance foreign language learning? The effects of training schedule on Spanish verb conjugation skills. Journal of Educational Psychology, 111(7), 1172–1188.出典を開く ↗

よくある質問

英検やTOEICの文法問題にも使える?

本番の文法問題は、分野がまざって出題されます。分野別の章で基礎を固めたら、分野をまぜた問題で練習するほうが本番の形に近くなります。Nakata と Suzuki(2019)でも、英文法をまぜて練習した人が1週間後に上回りました。

リスニングの教材もまぜたほうがいい?

インターリーブの研究の多くは、見分けて選ぶ問題で行われています。リスニング教材をまぜた場合の効果は、この節で紹介した研究からは言えません。リスニングは別の章の方法を参考にします。

どのくらいの割合でまぜればいい?

研究で決まった最適な割合はありません。始めは今日の新しい内容を半分、前に習った内容を半分にするなど、続けやすい形で試し、取り違えが多い組み合わせを増やしていきます。