言いたいのは but のうしろ。not の側は、打ち消すためにわざわざ出した「よくある思いこみ」です
01しくみ:なぜこの意味になるのか
not A but B は「A を消して B に置きかえる」構文です。書き手が本当に伝えたいのは B で、A は「みんながそう思いがちなこと」として、打ち消すために出されています。だから英文を読んでいて not が出たら、「この先に but が来て、本題が出るな」と待ちかまえるのが正しい読み方です。
見抜くカギは A と B の形がそろっている こと。名詞なら名詞、by+名詞なら by+名詞、that 節なら that 節。but のうしろの形を見て、同じ形を not のうしろで探すと、A がどこからどこまでかが一発で決まります。長文で but が見えたら、まずその直後の形を確かめましょう。
B を先に出して B, not A(B であって A ではない)と書くこともあります。順番が変わっても「本音は B」は同じです。not A but rather B の rather は「むしろ」で、A を消す力をさらに強めています。
型
not A but B
A ではなく B
言いかえ・変形B, (and) not Anot A, but rather BIt is not A but B that ...
02例文3つを構造図で読む
色のカタマリは文の要素、カッコはカタマリの種類です。「飾り(M)を消す」を押すと、文の骨組みだけが残ります。黄色の語が、この構文の目印です。
記号と色の約束
仮S真S は It のような「仮の主語」と、うしろにかくれた本当の主語。接 は接続詞。カタマリの下の小さな S' V' O' は、節や句の中の要素です。
The key to learning English is not talent but habit.
英語を身につけるカギは、才能ではなく習慣だ。
前から訳英語を身につけるカギは / である / 才能ではなく / 習慣
- SThe key to learning English名詞句|to learning English が key を説明
- Visbe 動詞は「=」
- Cnot talentA:打ち消される側
- Cbut habitB:言いたいこと
ここを見るis のうしろの補語 C(主語の中身を説明する語)が、not talent と but habit の2つに分かれています。どちらも名詞1語で形がそろっています。
Most people remember a speech not for its facts but for the feeling it gave them.
たいていの人は、スピーチを中身の事実ではなく、それがくれた感情で覚えている。
前から訳たいていの人は覚えている / スピーチを / その事実のためではなく / それが与えた感情のために
- Mnot for its facts副詞句|A:for+名詞
- Mbut for the feeling it gave them副詞句|B:for+名詞。it gave them が feeling を説明
- M'it gave them関係代名詞 that の省略
ここを見るfor its facts と for the feeling の for がそろっているのが目印です。the feeling it gave them は「名詞+S V」の並びなので、関係代名詞が省略されています。
What finally convinced the town to protect the old forest was not the scientists' reports but a short video that a local student posted online.
町に古い森を守る決心をさせたのは、最終的には科学者の報告書ではなく、地元の生徒がネットに投稿した短い動画だった。
前から訳最終的に町に森を守ることを納得させたものは / だった / 科学者たちの報告書ではなく / 地元の生徒がネットに投稿した短い動画
- SWhat finally convinced the town to protect the old forest名詞節|what=「〜するもの」。ここまで全部が S
- C'to protect the old forestconvince O to V
- Vwas長い S のあとの本当の V
- Cnot the scientists' reportsA
- Cbut a short video that a local student posted onlineB:that 以下が video を説明
ここを見るS が what 節で長いので、まず本当の V(was)を見つけるのが先です。was のうしろは not+名詞 と but+名詞 で形がそろっています。
03誤読のわな
He was not a teacher but a writer when he moved to Kyoto.
✕ やりがち彼は京都に引っこしたとき、先生ではないが作家だった。
○ 正しく京都に引っこしたとき、彼は先生ではなく作家だった。
but を「しかし」と訳すと、A と B がばらばらの話に聞こえます。not が前にある but は「しかし」ではなく「ではなく〜だ」の but です。not と but をセットで見て、「A ではなく B」と1つにまとめて訳しましょう。
04似ている構文と見分ける
05確認問題(3問)
Q1英文の意味として正しいのは?
Success comes not from luck but from preparation.
not from luck と but from preparation で from がそろっています。A(運)を消して B(準備)に置きかえる形なので、「A ではなく B」です。
Q2not A but B の文はどれ?
not for its name と but for its teachers は for+名詞で形がそろっています。ほかの2つの but は、文と文をつなぐ「しかし」です。
Q3空所に入るのは? The problem is not the price, ( ) the size.
not A のあとで「そうではなく B」と置きかえるのは but です。not A, but B とカンマが入ることもあります。
