中高英語教師のための授業アイデア&最新情報ニュースレター

【中高英語教師のための授業アイデア&最新情報】 2026年8月9日(日)~原田先生の英語教育ニュースレター Vol.171~

ELLAN VANNIN · ENGLISH TEACHER’S BRIEFING
原田先生の英語教育ニュースレター
中高英語教師のための授業アイデア&最新情報
2026.08.09 SUN · VOL.171

おはようございます。今日はアイリッシュ海のまんなか、マン島へ。1974年に最後の母語話者を看取ったとされ、2009年には国連機関の地図に「消滅した言語」と記されたマン島語(Manx)が、いま小学校の教室から戻ってきています。「もう手遅れ」と書かれた言語が、子どもの声で書き換えられた話です。

KEEILL I
生成AIが広げる、英語教材づくりの可能性
元高校英語科教諭・林直宏氏の寄稿(リシード 8/6)

リシードの連載「AI時代の教育」に、教員の仕事はどう変わるか — 生成AIが広げる英語教材づくりの可能性が掲載されました。筆者は元高校英語科教諭の林直宏氏。焦点は「AIが教材をつくる」ことではなく、教材づくりの主導権が誰にあるかです。

英語科は、素材文・語彙リスト・設問・リライトと、教材づくりの工程が多い教科です。だからこそ生成AIの効きが大きく、同時に「誰の生徒に向けた教材か」が抜け落ちやすい。工程を渡すのはいい。ねらいまで渡さない。今日の帯活動は、その線引きを教室で確かめる2本にしました。

🔗 リシード —【AI時代の教育】教員の仕事はどう変わるか…生成AIが広げる英語教材づくりの可能性(8/6)

KEEILL II
今日の帯活動(5分でできる)
マン島の三本足と、綴りより先にある音から

BAND 01🔺 Tree Cassyn(トリー・カシン=三本足)

対象:中2〜高校 | 時間:5分 | 準備:黒板のみ

① 教師が日本語で内容を1つ言う。例:「雨が降ったので、試合は中止になった」

② ペアで、同じ内容を3つの違う構造で英語にする

 脚1|接続詞 The game was canceled because it rained.

 脚2|前置詞句 The game was canceled because of the rain.

 脚3|無生物主語 The rain canceled the game.

③ 3本そろったペアから、黒板の空いている脚に1文だけ書く

④ 3本を続けて音読し、「一番短いのはどれ/一番強いのはどれ」を1人一言

💡 マン島の紋章は三本足で、どの向きに倒しても立つと言われます。同じ内容を3通りで言えるようになると、詰まったときに黙らずに済みます。

BAND 02🎧 Sound Before Spelling(音が先、綴りはあと)

対象:中1〜 | 時間:5分 | 準備:不要(教師の声だけ)

① 教師が短い句を自然な速さで2回言う。例:a lot of it / what do you want / I could have

② 生徒は聞こえたままを英語の文字で書く。語の切れ目が分からなければ続けて書いてよい

③ 正しい綴りを板書し、音と綴りがズレた場所だけに○をつける(つながる・落ちる・弱くなる)

④ ○のところだけを、ゆっくり→ふつう→速くの順で3回言う

💡 マン島語は、ゲール語の音を英語式の綴りで書き取って生まれた言語です。「音が先、綴りはあと」という順番を一度体験させると、リスニングの取りこぼしが目に見えて減ります。

KEEILL III
AI × 英語指導
教師向け1つ、生徒向け1つ

FOR TEACHERSAuto Classmate

指導案づくりを軸にした教師向けAI。トピックと学年を入れると指導案が出て、そこから同じねらいのまま別の活動に差し替える「エンリッチメント生成」に進めるのが特徴です。授業観察の所見や研修資料の下書きもメモから起こせます。無料枠あり。

🎓 使いどころ:教科書の1レッスンを入れ、出てきた活動案を採用せずに3案並べて捨てる。「うちのクラスなら成立しない理由」を言葉にする作業が、そのまま授業準備になります。

🔗 Auto Classmate 公式サイト

FOR STUDENTSWellspoken

スピーチやプレゼンの話し方をAIが採点するコーチ。原稿の内容ではなく、間・速さ・言いよどみ・語の強さを数値と指摘で返します。英語スピーチコンテストや探究発表の練習に。無料プランでも1日3回まで採点付きで練習できます(画面は英語)。

🎓 使いどころ:本番前の1週間、同じ原稿を毎日1回だけ録る。原稿を直すのは禁止にして、話し方の数値だけを追わせると、改善点が一つに絞れます。

🔗 Wellspoken 公式サイト

KEEILL IV
ニュース FLASH
8月6日〜7日の動きから3本
JAPAN · 08.07

文科省、高校教育改革のキックオフを8/24開催 — 「N-E.X.T.ハイスクール」始動

2040年を見据えた高校教育改革のキックオフフォーラムが8月24日、東京国際フォーラムで開かれます。講演・パネル・都道府県や学校の事例紹介という構成。現地参加の申込締切は8月14日です。カリキュラムの枠組みが動くとき、いちばん影響を受けるのは科目間の時間配分。英語科としてどこを守るのかを、夏のうちに言語化しておきたいところです。

🔗 リシード — 文科省、高校教育改革のキックオフ8/24開催…N-E.X.T.始動(8/7)

JAPAN · 08.07

【大学受験2027】文科省が実施要項Q&Aを公開 — AI面接は不可と明記

総合型選抜・学校推薦型選抜の個別テストや面接の実施方法について、2027年度入試に向けた留意点がQ&A形式で示されました。面接をAIに代替させることは認められないことが明確化されています。面接指導の比重が増える見通しで、英語での質疑を課す学部を志望する生徒への準備も、二学期の早い段階から必要になりそうです。

🔗 リシード —【大学受験2027】文科省「実施要項Q&A」AI面接不可など面接ルール明確化(8/7)

GLOBAL · EDUCATION WEEK

英語学習者にとって「入りやすい教室」をつくる3つの出発点

Education Weekのオピニオン記事が、英語を学習中の生徒を迎える教室づくりを3つの着手点に整理しています。特別な教材を足すより先に、掲示・座席・最初の3分といった教室の「入口」を設計し直すという発想。日本の教室でも、英語が苦手な生徒に対してそのまま応用できる視点です。

🔗 Education Week — Is Your Classroom Welcoming to English Learners? Here Are 3 Places to Start

KEEILL V
無料の学習ツール4選
今号のテーマは「音読とシャドーイングの素材」
📚 Lit2Go

サウスフロリダ大学が公開する無料の朗読ライブラリ。5,000点以上の物語・詩・エッセイがMP3とPDFの両方でそろい、読みやすさのレベルから逆引きできるのが強み。音読課題の素材探しが一気に楽になります。

公式サイトを見る →

🔁 Repeat After Us

著作権の切れた英語テキストと、その朗読音声だけを集めた老舗のオンライン語学ラボ。1段落の短文から長編まで難易度別に並び、「読む→聞く→重ねる」を1ページで完結できます。高校生が自分で選べる分量なのも利点。

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🎙 American Rhetoric

5,000件を超える英語スピーチの全文と音声・動画のデータベース。就任演説から法廷弁論まで、原稿と音が必ず対になっているので、強勢と間の取り方を耳で確かめる教材に最適です。

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🗣 Rong-Chang ESL Listening

初級者向けの短い会話と音声を大量にそろえた老舗サイト。1本30秒前後の易しい会話が並ぶので、中1・中2でも「全部聞き取れた」を毎回体験させられるのが価値。帯活動の導入音源に。

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KEEILL VI
世界の教室 🇮🇲 マン島
「消滅した」と書かれた言語に、子どもが返事を書いた

アイリッシュ海のまんなかに浮かぶマン島(Ellan Vannin)。人口は8万人ほど、イギリスの一部ではない王室属領です。ここで話されてきたマン島語(Manx/Gaelg)は、ゲール語系でありながら英語式の綴りで書き取られたという珍しい成り立ちをもちます。

20世紀に話者は激減し、1974年に最後の母語話者が亡くなったとされました。2009年、国連機関の「消滅危機言語地図」は、マン島語をすでに消滅した言語として記載します。

返事を書いたのは、子どもたちでした。全教科をマン島語で学ぶ小学校 Bunscoill Ghaelgagh の児童が、マン島語で手紙を送ったのです。趣旨はこうでした — 「私たちの言語が消滅しているのなら、この手紙は何語で書かれているのですか?」。この後、分類は「消滅」から「きわめて危機的」へと改められました。

いま島では、就学前の言語の巣から中等教育の選択科目まで、マン島語に触れる道筋が用意されています。話者数は多くありません。それでも「使われている」という事実だけが、記録を書き換えました。

🔑 明日から使えるテクニック — Proof Sentence(証拠の一文)

単元の最後に、「今日できるようになったことを、それ自体で証明する英文」を1文だけ書かせます。「関係代名詞が使えるようになった」と日本語で書くのではなく、関係代名詞を使った1文を書く。それが証拠になります。書けた文は日付を添えて教室の壁へ。3か月後、壁が学級の記録になります。

KEEILL VII
今日の名言
ウェールズ語の復興について問われて
TODAY’S QUOTE FOR TEACHERS

“When you lose a language, you lose a culture, intellectual wealth.”

言語を失うとき、私たちは文化を失い、知の富を失う。

— Kenneth Hale(ケネス・ヘイル/言語学者・MIT教授、The Economist 2001年11月3日)

ヘイルがこう答えたのは、「英語が仕事の言語なのに、なぜウェールズ語を復興させる必要があるのか」と記者に問われたときでした。教室でも同じ問いは飛んできます — 「先生、AIが訳すのに、なぜ自分で英語を書くんですか」。答えを用意しておく価値はあります。

KEEILL VIII
🕰 Sunday Traa dy Liooar
トラー・ダ・リューア=「時間はじゅうぶんある」

マン島でいちばん有名な言い回しが Traa dy liooar(時間はじゅうぶん)。急かさない、という島の気質を表す言葉です。日曜の夜に3つだけ。

FOCKLE(言葉)

今週、生徒の口から出てうれしかった英語を1つだけ書き出す。文でなくても、単語1つでかまいません。

CORAA(声)

いつもより少しだけ大きかった声は、誰のものだったか。名前を思い出せたら、月曜にその生徒を最初に指名する。

TRAA(時間)

来週、あえて「待つ」と決める場面を1つ選ぶ。指名のあと、答えが返るまでの数秒を数えないと決めておく。

KEEILL IX
1分ティップス
One Sentence, Same Time

毎回の授業で、決まったタイミングに、同じ1文を全員で声に出すと決めてしまう。チャイムの直後でも、着席の合図でも構いません。文はその週の教科書から1文だけ選び、週が変わるまで替えない。

ねらいは暗記ではなく「英語で声を出す」という状態を、判断なしで起動させることです。今日は言うか言わないかを毎回決めていると、それだけで教室のエネルギーが減ります。マン島語が生き残ったのも、うまい教材があったからではなく、毎日決まった時間に使われる場所があったからでした。

VOL.171 · 2026.08.09

haradaeigo.com

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Traa dy liooar — 時間はじゅうぶんあります。またあした。

 

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