中高英語教師のための授業アイデア&最新情報ニュースレター

【中高英語教師のための授業アイデア&最新情報】 2026年8月3日(日)~原田先生の英語教育ニュースレター Vol.165~

 

ENGLISH TEACHER’S BRIEFING
📬 原田先生の英語教育ニュースレター
中高英語教師のための授業アイデア&最新情報
2026年8月3日(月) ISSUE No.165 / FØROYAR EDITION
OYGGJ I⚡ 今日のヘッドライン
文科省、外国人の子供の就学・日本語指導の「全国の取組事例」を公表
— 教室の多言語化は、もう英語科だけの話ではない
文部科学省が7月31日、令和7年度の取組事例集を公表しました。福島県郡山市の「母語で対応できる相談員を各校に派遣」、東京都港区の「英語版の学校案内を作成し相談窓口を充実」、岐阜県高山市の「保護者向け動画で就学への不安を解消」など、教育委員会の実践がそのまま並んでいます。注目したいのは、支援の入口が「日本語を教えること」ではなく「まず通じる言語で説明すること」に置かれている点です。
▶ 英語科への読み替え:港区の事例が示すのは、英語が「教科」である前に校内で最も通じやすい共通語だという現実です。2学期、教室に日本語がまだ弱い生徒がいるなら、英語科の先生は「英語を教える人」であると同時に「その子が最初に言葉を返せる相手」になり得ます。指示文を英語でも板書する、配布物のタイトルだけ英語を併記する。それだけで、その生徒の教室での立ち位置が変わります。
OYGGJ II🎯 今日の帯活動(5分)
🧶 Home-Made Words(自前の言葉をつくる)
対象:中2〜高3 | 時間:5分 | 準備:なし
① 教師がカタカナ語を1つ出す。例:“smartphone” / “subscription” / “influencer”
② ルールはひとつ。その語そのものを使わずに、英語で説明する。
③ ペアで30秒ずつ。例:“a small machine you carry, and you can call people and look at the internet with it”
④ 最後に「一番短く言えたペア」を1組だけ発表。
💡 フェロー語は外来語をそのまま借りず、自前の語をつくります(computer=telda、television=sjónvarp)。「借りずに言い換える」練習は、そのまま英検の要約・面接で効くcircumlocution(言い換え)の筋トレになります。
🧵 Knit One, Purl One(表編み・裏編み)
対象:中1〜高2 | 時間:5分 | 準備:なし
① トピックを1つ出す。例:summer vacation
② ペアで交互に言う。Aは事実の文(knit)“I went to my grandmother’s house.”
③ Bは意見の文(purl)“I think summer is too hot for traveling.”
④ 表・裏・表・裏と交互に4往復。途中で種類を間違えたら、そこで交代。
💡 生徒の英語が事実の羅列で止まりがちなのは、「意見を言う番」が来ないからです。編み目のように強制的に交互にするだけで、意見文が会話の中に自然に混ざります。
OYGGJ III🤖 AI × 英語指導 最前線
FOR TEACHERS
Literably — 音読を「録って、自動で採点する」という発想
生徒が端末に向かって音読すると、音声認識が正確さ・流暢さ・プロソディ・内容理解を判定し、教師には一人ずつの「読みの記録(running record)」が返ってくる仕組みです。米国の教育省系(IES)の研究助成を受けて開発された、実在の評価ツール。本来は英語圏の小学校向けで、日本の中高にそのまま入るものではありません。ただし発想は完全に流用できます——音読は「聞いて、その場で講評する」しかないと思われがちですが、録音して後から一定の観点で見る形にすると、評価の再現性が一気に上がります。無料アカウントで月あたり数件の試用が可能です。
🎓 明日からの応用:Literablyを入れなくても、「音読を各自の端末で30秒録音 → 提出」だけで同じ効果が出ます。観点は3つに絞る(詰まらずに読めたか/文の切れ目が合っているか/強く読む語が選べているか)。
FOR STUDENTS
Fluently — 話した英語を、その場で直さずに後から返す
AIが英語の発話を聞き、発音・文法・語彙の癖を蓄積して個別のフィードバックを返すスピーキング用ツール。特徴は会話中に割り込まないことで、話し終わってからまとめて指摘が返ってきます。「間違えるたびに止められる」ストレスがないぶん、発話量が落ちにくい設計です。無料で試せる範囲は限られており、継続利用は有料。生徒に案内する際は、まず無料枠で1週間試させてからが無難です。
OYGGJ IV📰 英語教育ニュース FLASH
🇯🇵 JAPAN
「Next Education Award 2026」応募受付開始 — テーマは AI × Well-being
活育財団が第3回の募集を開始しました。今年のテーマは「AI × Well-being」。大人の部は8月31日、中高生の部は9月30日が締切で、教師の実践だけでなく生徒自身が応募できる枠があるのが特徴です。英語科なら、生成AIを使った英作文指導の設計や、海外校とのオンライン交流の記録がそのまま実践報告になります。夏休みのうちに1学期の記録を整理しておくと、応募のハードルはかなり下がります。
🇯🇵 JAPAN
『英語教育』2026年8月号が「要約指導」を全面特集
大修館書店の月刊誌が、第1特集で要約指導を扱っています。理論とタスク設計、ルーブリック評価、チェックリストに基づくフィードバックの生成AIによる自動化まで、実務寄りの構成。第2特集は「外国語評価リテラシー」で、全国学力調査のCBT化やIRTスコアの読み方にも触れています。要約は英検の準2級プラス・2級でも問われる形式。2学期の評価計画を立てる前に、一度目を通しておく価値があります。
🌎 GLOBAL
「多言語の生徒に足りないのは、話し言葉を育てる時間だ」— EdWeek寄稿
EdWeekに7月末に載った寄稿が、読解のつまずきの背景として口頭言語(oral language)を育てる機会の不足を指摘しています。文字を追う練習の前に、話し言葉として意味をやりとりした経験が要る、という論旨。日本の教室に引きつければ、「読めないから読ませる」の前に「その話題について英語で30秒話させる」を挟む、ということです。順序を入れ替えるだけの、費用ゼロの介入です。
OYGGJ V🛠 無料で使える 英語学習ツール
🍪 Freerice
国連WFPが運営する語彙クイズ。正解するごとに寄付米が積み上がる仕組みで、英語の語彙・文法のほか50以上のカテゴリがある。「解く理由」が生徒側にあるのが強み。授業終わりの3分に。
📖 ESL Fast
短い読み物と音声が大量に並ぶ老舗サイト。1分程度で読み切れる長さなので、多読の入口や、音読の素材集めに使いやすい。レベル別に分かれており、中1でも扱える題材がある。
📝 EnglishPage.com
時制の解説と練習問題が異常に充実している文法サイト。説明→例文→クイズの流れが1ページに収まっているので、「現在完了だけもう一度やらせたい」ときに直リンクで配れる。
💬 ESL Discussions
話題ごとの英語の質問リストが数百トピック分そろう無料サイト。ペアワークのお題探しに困ったとき、印刷してそのまま配れる粒度。トピックの幅が広く、生徒の興味に当てにいける。
OYGGJ VI🌎 世界の教室から
🇫🇴 フェロー諸島 — 5万人の言語を守りながら、英語で世界とつながる
北大西洋に浮かぶ18の島。話者はおよそ5万人しかいないフェロー語を母語に、子どもたちは学校でデンマーク語と英語を学び、10代のうちに3つの言語を日常的に切り替える環境で育ちます。興味深いのは、フェロー語が新しい概念に対して外来語をそのまま取り込まず、自前の語をつくってきたこと。computerはtelda(「数える」から)、televisionはsjónvarp(「像を投げる」)。言語を守る努力と、英語を使いこなすことが両立しているという点が、この島の面白さです。英語の流入に飲み込まれない小さな言語共同体が、同時に英語をよく使う——日本の教室にとって、「英語をやると日本語が損なわれる」という不安への一つの答えになります。
🔑 明日から使えるテクニック:Coin It(自前で名づける)
新出語を教えるとき、意味を教える前に「これに英語で名前をつけるとしたら?」と3人組で30秒考えさせます。例:escalator → 生徒案 “moving stairs”。そのあとで本物の語を出すと、語の中身(構成要素)に注意が向いた状態で受け取れます。フェロー諸島の造語文化を、5分の語彙導入に落とし込んだ形です。
TODAY’S QUOTE FOR TEACHERS
“Intercultural speakers are able to see relationships between different cultures.”
異文化間の話し手とは、異なる文化のあいだにある関係を見てとれる人のことである。
— Michael Byram(マイケル・バイラム)
『Developing the Intercultural Dimension in Language Teaching』(2002)
OYGGJ VIII🏟 Monday Turf-Lay(月曜の草屋根葺き)
フェロー諸島の草屋根は、石を並べ、樺の皮を敷き、その上に草土を載せて風で飛ばないように押さえます。2学期の準備も同じ順番でいきましょう。月曜の3分間、以下の3行だけ。
GRÓT / 石
2学期、絶対に動かさない土台を1つだけ書く。(例:帯活動は毎時間5分、何があっても削らない)
TORV / 草
その上に載せる新しい試みを1つ書く。2つ書きたくなったら、軽いほうを消す。
VINDUR / 風
それを飛ばしにきそうなもの(行事・出張・会議)を1つ書き、いつ来るかカレンダーに印をつける。
💡 今日の1分ティップス:Seat Swap Once(1回だけ席を替える)
ペアワークの発話量は、だいたい2往復目で落ちます。内容が尽きたのではなく、相手が尽きただけです。5分の帯活動なら、2分30秒でタイマーを鳴らし、片側の列だけ1つ後ろにずれる。席替えでも班替えでもなく、1回のずれだけ。同じ話題でも、相手が変わると生徒はもう一度最初から話し始めます。準備ゼロで発話量が体感2倍になる、いちばん安い手です。
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haradaeigo.com
TORVTAK ◆ 2026.08.03 ◆ MÁNADAGUR
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石を置いてから、草を載せる。よい2学期の助走を。
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