教育者コミュニティ「LEG(ロイロ教育者グループ)」が、2026年8月2日から9月6日にかけて福岡・大阪・仙台・東京・名古屋の5都市で「教育と生成AI大研修会2026」を開催すると発表されました。専門家のトークセッションに加え、現場の先生方による実践発表とワークショップが柱。「授業でどう使うか」だけでなく「校務でどう使うか」まで扱う構成です。夏休みは、教材づくりを一度ゼロから組み直せる年に一度の期間。AIツールの操作を覚える研修ではなく、他の先生が実際に何を捨てて何を残したかを聞ける場は貴重です。英語科なら、ライティング添削・音読評価・小テスト自動生成のあたりが、2学期にそのまま持ち帰れる射程に入ります。
🗓 2026年8月2日(福岡)〜9月6日|福岡・大阪・仙台・東京・名古屋|主催:LEG(ロイロ教育者グループ)|内容:トークセッション/実践発表/ワークショップ
対象:中2〜高校 | 時間:5分 | 準備:不要
▶ やり方
① 黒板に「今日の一文」を1つだけ書く。例:“I’m sorry. That’s not possible.”
② 「仮面」を4枚提示する:the tired clerk / the cheerful guide / the nervous student / the boss in a hurry
③ ペアで1枚選び、同じ一文をその仮面の声で言う。相手はどの仮面かを当てる
④ 当たったら仮面を交換して2周目。3周目は自分で仮面を1枚考えて追加
💡 ポイント:語を変えずに意味だけが変わる、という体験がねらいです。強勢・抑揚・間(ま)は「教える」より「当てさせる」ほうが速く入ります。ニカラグアの仮面劇エル・グエグエンセも、同じ台詞を仮面ごしに言うことで意味を二重にしてきました。
対象:中1〜 | 時間:5分 | 準備:黒板のみ
▶ やり方
① 黒板の左端と右端に単語を1つずつ書く(=ハンモックの結び目)。例:rain / smile
② この2語を両方とも含む1文を作る。例:“The rain stopped, and her smile came back.”
③ 文が長いほどハンモックは深くたわむ=加点。ただし文法が崩れたら「ロープが切れて」0点
④ 3ペアだけ板書して読み上げ、いちばん深くたわんだ文を選ぶ
💡 ポイント:「長く書きたい」動機と「正確に書かないと落ちる」歯止めが同時にかかります。and / but / when / who / -ing が、教えられてではなく必要に迫られて出てくる5分です。
生徒の答案をアップロードすると、ルーブリックに沿って下線・コメント・評点案を返すAI採点アシスタント。特徴は先生が直した箇所を学習して、その先生の基準に寄せていく点にあります。手書き答案や図表にも対応し、最終判断は必ず教師が承認する設計。英作文の1次チェックをAIに任せ、教師は「この子に何を言うか」だけに時間を使う——という分担が現実的になります。
✅ ルーブリックのカスタム設定/クラス単位の一括アップロード
✅ 手書き・図・数式にも対応
✅ 採点根拠を提示するので「なぜこの評価か」を生徒に説明できる
✅ 無料枠あり(まず1クラス分で試すのがおすすめ)
ブラウザで開いてすぐ話せるAI会話ツール。20以上の言語に対応し、音声でも文字チャットでも同じ相手と続けられるのが利点です。発話の途中で止められず固まってしまう生徒には、まずチャットで書いてから同じ内容を声に出させる、という二段構えが効きます。会話中に出た誤りをその場で直してくれるので、夏休みの自主練習の型として渡しやすい設計です。
文部科学省は7月24日、2025年度の文部科学白書を公表しました。特集テーマは教職の魅力向上と学校の働き方改革で、給特法改正をはじめとする制度改革の経緯と今後の施策がまとめられています。「働きやすさ」と「働きがい」を両輪で扱う整理は、担任・部活・検定業務が重なりがちな英語科にとっても他人事ではありません。2学期の校内研修や分掌の議論で、根拠として引ける一次資料が1本増えた、と考えると使い道があります。
国立教育政策研究所が、2026年度全国学力・学習状況調査の結果データの見方を解説する動画を公開しました。中学英語は今回から「話す・聞く・読む・書く」の4技能すべてをCBTで実施し、平均正答率ではなくIRTスコアとバンド分布で示される形式に変わっています。数字の意味が変われば、職員室での話し方も変わります。「平均より上か下か」ではなく「うちの学校はどのバンドに厚みがあるか」を読む——夏休み中に一度、目を通しておきたい一本です。
EdSurgeが、英語学習者(EL)を教える米国の教師たちのAI活用をレポートしています。母語での要約や並列テキストで教科内容の理解を助けられる一方、「英語で学ばせたい場面なのに、生徒が母語に戻れてしまう」という設計上の悩みも紹介されています。記事が繰り返すのは、判断基準はいつも学習目標に戻るということ。日本の教室でも「翻訳を許すのはどの活動までか」を活動ごとに決めておくと、生徒への説明がぶれません。
南フロリダ大学が公開する無料オーディオブック庫。著作権切れの物語・詩を、音声+全文PDF+読解ワークシートのセットで配布しています。読みやすさレベルで検索できるので、多読・多聴の教材選びが一気に速くなります。
2006年から続く老舗のESL練習問題サイト。文法250題・語彙200題・リスニング・発音まで、すべてブラウザ完結の無料演習。印刷用ワークシートもあり、補習や宿題の追加素材にちょうど使えます。
難しい英文を貼り付けると、語をやさしい表現に置き換えて表示するツール。置換された語をクリックすると元の語と意味が出るので、レベル調整と語彙指導が同時にできます。URLごと投入も可能。
類義語・反意語・語形変化・韻・例文をひとつの検索窓でまとめて引ける語彙ツール。英作文で同じ語を繰り返してしまう生徒に、言い換えの選択肢を自分で探させる導線として渡せます。
ニカラグアといえばスペイン語圏、という理解は太平洋側だけの話です。カリブ海に面した2つの自治区では、ミスキート語・クレオール英語(Kriol)・マヤンナ語・スペイン語が並存し、地域自治教育制度(SEAR)のもとで多言語・異文化間教育が行われています。ここでのクレオール英語は「崩れた英語」ではなく、家庭で受け継がれてきた母語です。同じ国の中に「英語=外国語」の教室と「英語=母語」の教室が同時に存在している、という構図そのものが、英語という科目の輪郭を問い直させます。
もうひとつ、言語教育に携わる者として知っておきたい出来事があります。1980年代、マナグアに新設された聾学校に各地から子どもたちが集められました。大人は誰も手話を教えられませんでした。ところが、通じ合う必要に迫られた子どもたちの間から、数年のうちに文法をそなえたニカラグア手話(ISN)が立ち上がったのです。「言語が生まれる瞬間」を人類が観測できた稀有な記録として、世界の言語学が注目しました。教えられたから言語が生まれたのではない。伝えたい相手がいたから生まれた——という順番です。
🔑 明日から使えるテクニック — Gesture First
新出表現を導入するとき、順番をひっくり返します。まず教師が英語も日本語も使わず、身ぶりと表情だけでその意味を伝える。生徒は「言いたいことは分かるのに言葉がない」状態を数十秒だけ味わいます。そこで初めて英語表現を渡すと、語が空欄に落ちる感覚で入ります。例:“It slipped my mind.” を、頭を叩いて何かが逃げていく仕草で先に見せる。意味が先、語はあと。ニカラグアの子どもたちが証明した順番です。
Near peer role models are “peers who are close to our
social, professional, and/or age level.”
「ニア・ピア・ロールモデル」とは、社会的にも、専門的にも、
年齢的にも自分と近いところにいる仲間のことである。
— Tim Murphey(ティム・マーフィー)
応用言語学者 / “Near Peer Role Models” 提唱者
生徒が本当に真似るのは、完璧なネイティブスピーカーではなく、半歩先を歩いている隣の席の子です。2学期の授業開きで、去年の3年生が書いた英作文や、春に発表した生徒の音声を1分だけ流してみてください。「あの人にできたなら」という距離感は、教師の励ましより速く届きます。
ニカラグアの家には、たいていハンモック(hamaca)が吊るしてあります。両端が結ばれているから、真ん中は安心して沈み込める。夏休み最初の日曜、3行だけ書いて、あとは沈んでください。
CUERDAロープ ── この1週間、自分をつなぎ止めてくれたものを1つ。
VAIVÉN揺れ ── まだ決めきれず揺れていることを、結論を出さずにそのまま書く。
SIESTA休息 ── 今日は手放してよいことを1つ選ぶ。明日また拾えばいい。
黒板の右上、10cm四方だけを「今日の1文」専用に固定します。その時間の核になる英文を、毎回そこに1文だけ書く。生徒のノートも同じ位置に書かせる。それだけです。効くのは学期末で、その欄だけを順に見返せば、授業の骨格がそのまま復習教材になります。場所を固定するのがコツで、日によって書く位置が変わると索引になりません。2学期の初日から始めると、位置ごと習慣として定着します。
📎 今号の参考リンクまとめ
📰 ニュース記事
・リシード — 全国5都市「教育と生成AI」大研修会、実践発表やトークセッション(7/24)
・リシード — 教師の働き方改革を特集「文部科学白書」公表(7/24)
・リシード — 【全国学力テスト】結果データの見方を動画で解説…文科省(7/24)
・EdSurge — AI Meets ESL, and Teachers Are Intrigued
🛠 ツール・サービス
・Lit2Go — 無料オーディオブック+全文PDF+ワークシート
・LearnEnglishFeelGood — 無料の文法・語彙・リスニング演習
📬 原田先生のニュースレター Vol.157
haradaeigo.com
このニュースレターが役に立ったら、ぜひ同僚の先生にもシェアしてください 🙌
