勉強の前に20分歩くと集中力が上がる? 効果は小さめ、運動のあとは少し休んでから

読む前に予想してみよう!
軽い運動のあとは、注意力のテストの成績が少し良くなることが多い
多くの研究をまとめると、短時間の運動のあとは頭の働きが少し上がる傾向。ただし効果は小さく、運動を終えてすぐのテストではむしろ少し下がっていた。
- 対象
- 小学生・大学生・成人
- 規模
- 20人の実験〜79研究のメタ分析
- 研究の種類
- 実験研究+メタ分析
- 確かさ
- ★★★☆☆
軽〜中くらいの運動のあとは、注意力などの頭の働きが少し良くなるという研究が多い。ただし効果は小さめ。運動を終えてすぐ(10分以内)より、少しひと息ついてからのほうが効果が出やすかった。
ひとことで言うと勉強の前にちょっと歩くと、集中力が少しだけ上がりやすい。
部活のあとに勉強すると、疲れて頭が働かない…。そう思っている人も多いかもしれません。
でも研究を見てみると、軽めの運動のあとは、むしろ頭の働きが少し良くなることが多いようです。カギは運動の「強さ」と「タイミング」。
軽く体を動かすことが、勉強前の頭の準備運動にもなる。そんな研究を見ていきましょう。
0120分歩いた子どもたちの変化
「注意力」とは、たくさんの情報の中から必要なものに集中し、ジャマなものを無視する力。授業中や問題を解くときにまさに必要な力です。
02たくさんの研究をまとめると「効果は小さめ」
一つの研究だけでは決めつけられません。2012年、チャンらは短時間の運動が頭の働きに与える影響を調べた79件の研究をまとめてメタ分析(たくさんの研究を束ねて全体の傾向を見る分析)を行いました。
結果は、運動のあとは頭の働きが少し良くなるというもの。ただし効果の大きさは「小さめ」で、運動の強さや、運動のどのくらい後にテストするかによって変わりました。
また、研究をまとめた2013年の別の論文では、運動が記憶にもプラスに働く可能性が示されています。

03運動の直後より「ひと息ついてから」
注意したいのは、運動を終えた直後です。2012年のメタ分析で研究どうしを比べると、運動を終えて10分以内に受けた「頭の働きのテスト」では、成績がむしろ少し下がっていました。いちばん効果が大きかったのは、運動のあと11〜20分ほどたってから受けたテストです。また、運動を終えてすぐテストした研究では、きつい運動のあとの効果ははっきりしませんでした。
部活でクタクタになった日は、すぐに難しい問題に取りかかるより、シャワーを浴びたり軽く食事をとったりして、少し落ち着いてからの方がいいかもしれません。
04長時間座りっぱなしを「区切る」のも手
運動は勉強の前だけでなく、勉強の合間にも使えます。
2026年には、スペイン・マヨルカ島の大学生96人を調べた研究が発表されました。授業の途中に3〜5分の短い運動の休憩をはさんだ日は、はさまなかった日と比べて、授業中盤のやる気・注意・気分が高く、頭の疲れも少なかったと報告されています。ただし、くじ引きで条件を割り当てた実験ではありません。測ったのも、やる気や注意を本人が点数で答えた「感じ方」で、テストの成績は測っていません。効果はその場だけで長続きしないようなので、研究チームは授業にいつも組み込むことをすすめています。
長時間の勉強なら、1時間に1回は立ち上がって、ストレッチや足踏みを。座りっぱなしの体をほぐすことが、頭のリフレッシュにもつながります。
朝の通学で一駅分歩く、自転車で少し遠回りするなど、生活の中の移動を運動に変えるのも続けやすい方法です。わざわざ運動の時間をとらなくても、勉強前のちょっとした動きを習慣にできれば十分。目安は「ヘトヘトになるまで」ではなく「体がぽかぽかするくらい」。子どもの実験で使われたのも、中くらいの速さで20分歩く運動でした。
05まとめ
運動は、それだけで頭が良くなる魔法ではありません。でも、軽く体を動かしてから机に向かうと、注意力が少し上がりやすいという研究は多くあります。
勉強の前にダラダラとスマホを見るくらいなら、その時間で近所をひと回り。脳のエンジンを温めてから、スタートしてみてください。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany students believe that exercise makes them too tired to study, but research suggests the opposite may…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Do you feel too tired to study after sports? Light exercise may actually help your brain. In one study, children walked for about 20 minutes. After the walk, they did better on an attention test. Many other studies also show that the brain works a little better after light exercise.
But the effect is small. Also, it is better to rest a little after exercise. So try a short walk, rest, and then study.
74 words ・ CEFR A2
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部活のあとは疲れすぎて勉強できないと感じますか。軽い運動は実は脳の助けになるかもしれません。ある研究では、子どもたちが約20分間歩きました。歩いたあと、彼らは注意力のテストで良い成績をとりました。ほかの多くの研究も、軽い運動のあとは脳が少しよく働くことを示しています。
しかし、その効果は小さいです。また、運動のあとは少し休んだほうがよいです。だから、短い散歩をして、ひと休みしてから勉強してみましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
勉強前の軽い運動が脳の働きを少し良くする、という内容なので D。
Q2. How long did the children walk in the study?
children walked for about 20 minutes とあるので A。
Q3. In this passage, "light exercise" means exercise that is ...
light は「軽い」。体にあまり負担をかけない、きつくない運動のことなので C。
Many students believe that exercise makes them too tired to study, but research suggests the opposite may be true for light exercise. In a 2009 study at the University of Illinois, 20 children aged about nine or ten walked on a treadmill at a moderate pace for around 20 minutes.
Afterward, they performed better on an attention test and on a reading test than after resting, although there was no difference in math or spelling. A 2012 meta-analysis of many studies found that a short session of exercise slightly improves mental performance, but the effect was small and depended on how hard people exercised and when they were tested. Tests within ten minutes after exercise were slightly worse, so rest a little first.
123 words ・ CEFR B1
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多くの学生は運動すると疲れて勉強できなくなると信じていますが、研究によれば、軽い運動ではその逆が正しいかもしれません。イリノイ大学の2009年の研究では、9〜10歳くらいの子ども20人が、ランニングマシンで中くらいのペースで約20分間歩きました。
その後、彼らは休んだあとと比べて、注意力のテストと読解のテストで良い成績をとりました。ただし、算数やつづりでは差がありませんでした。多くの研究をまとめた2012年のメタ分析では、短時間の運動は頭の働きをわずかに向上させるものの、その効果は小さく、どれくらい激しく運動したか、いつテストを受けたかによって変わることが分かりました。運動後10分以内のテストは少し成績が悪かったので、まず少し休みましょう。
4択リーディングクイズ
Q1. In the 2009 study, on which test was there NO difference?
there was no difference in math or spelling とあるので B。注意力と読解では良くなった。
Q2. What did the 2012 meta-analysis find?
a short session of exercise slightly improves mental performance, but the effect was small とあるので C。
Q3. Which advice best matches the passage?
運動後10分以内のテストは少し悪かったので rest a little first とあり A。
Physical activity is often thought to drain the energy needed for studying, yet research on acute exercise, meaning a single session of activity, points in a more encouraging direction. In a 2009 study by Hillman and colleagues, 20 children of about nine or ten completed 20 minutes of moderate treadmill walking on one day and rested on another.
After walking, they responded more accurately on an attention task that required ignoring distractions and scored higher on reading comprehension, though not on arithmetic or spelling. A 2012 meta-analysis of 79 studies by Chang and colleagues confirmed that cognitive performance tends to improve slightly after exercise. The overall effect was small, however, and it varied with exercise intensity and with how soon testing took place.
Right after strenuous exercise, the benefit was unclear, and tests within ten minutes were slightly worse. The Hillman study had a small sample, and large classroom trials have not consistently shown effects on academic achievement. A 2026 study of university students found that short active breaks improved self-reported motivation and attention, but it did not measure test scores. A brisk walk before studying is a sensible, low-cost habit, but not a guaranteed route to better grades.
199 words ・ CEFR B2
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体を動かすと勉強に必要なエネルギーが奪われるとよく思われていますが、一過性運動、つまり1回きりの運動に関する研究は、より心強い方向を示しています。ヒルマンらによる2009年の研究では、9〜10歳くらいの子ども20人が、ある日はランニングマシンで中程度のウォーキングを約20分行い、別の日には休みました。
歩いたあと、彼らは気を散らすものを無視する必要がある注意力の課題でより正確に反応し、読解でも高い点数をとりましたが、算数やつづりではそうではありませんでした。79の研究をまとめたチャンらによる2012年のメタ分析は、運動のあとには認知能力がわずかに向上する傾向があることを確かめました。しかし全体的な効果は小さく、運動の強度や、どれくらいすぐにテストをしたかによって変わりました。
激しい運動の直後は効果がはっきりせず、運動をやめて10分以内のテストでは成績がむしろ少し悪くなっていました。ヒルマンの研究はサンプルが小さく、教室での大規模な試験では学業成績への効果が一貫して示されてはいません。大学生を対象とした2026年の研究は、短い運動休憩が自己申告のやる気と注意力を高めたことを見いだしましたが、テストの点数は測っていませんでした。勉強前の早歩きは、成績向上が保証された道というより、理にかなった低コストの習慣なのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What does "acute exercise" mean in the passage?
acute exercise, meaning a single session of activity と定義されているので C。
Q2. According to the 2012 meta-analysis, what did the effect of exercise depend on?
it varied with exercise intensity and with how soon testing took place とあるので D。
Q3. Why does the author mention the 2026 study of university students?
研究の限界を述べる流れで、自己申告のやる気・注意は改善したが it did not measure test scores と限界を示す例として挙げているので B。
重要単語
- acute exerciseC1名詞(句)一回きりの(短時間の)運動Acute exercise means a single session of activity.
acute は「急性の・鋭い」。医学では acute(急性)⇔ chronic(慢性)の対比が頻出。 - moderateB2形容詞中くらいの、適度なModerate walking can wake up your brain.
mode(基準)と同語源で「ほどよく抑えた」。moderate exercise(適度な運動)はセットで覚える。動詞 moderate は「和らげる・司会する」。 - cognitiveC1形容詞認知の、頭の働きのExercise may boost cognitive performance a little.
cogn-は「知る」(recognize と同語源)。cognitive science(認知科学)、cognitive decline(認知機能の低下)。 - intensityB2名詞強度、激しさHigh-intensity exercise can leave you too tired to study.
intense(激しい)の名詞形。intensive(集中的な)と区別:an intensive course は「集中講座」。 - sedentaryC1形容詞座りがちのA sedentary lifestyle is bad for your health.
sed-は「座る」(session と同語源)。sedentary lifestyle は健康系長文の定番フレーズ。 - strenuousC1形容詞激しい・骨の折れるAvoid strenuous exercise right before an exam.
strenuous exercise / effort の形で使う。hard よりも硬い表現。 - caveatC1名詞注意書き・但し書きThere is one important caveat to this finding.
ラテン語で「用心せよ」。Caveat emptor(買い手は用心せよ)が有名。研究紹介で「ただし~」を言うときの語。
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勉強前に20分くらい歩くと、その後の注意力のテストの成績が良くなったという子どもの実験がある。たくさんの研究をまとめても、軽い運動の後は頭の働きが少し上がるらしい。ただし効果は小さめで、運動の直後より少し休んでからのほうがいいみたい。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- Hillman et al. (2009) The effect of acute treadmill walking on cognitive control and academic achievement in preadolescent children, Neurosciencedoi.org
- Chang, Labban, Gapin & Etnier (2012) The effects of acute exercise on cognitive performance: A meta-analysis, Brain Researchdoi.org
- Roig, Nordbrandt, Geertsen & Nielsen (2013) The effects of cardiovascular exercise on human memory: A review with meta-analysis, Neuroscience & Biobehavioral Reviewsdoi.org
- Garcia-Taibo, Galmes-Panades & Vidal-Conti (2026) Effects of an active breaks programme on the psychological performance of university students, Health Education Journaldoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。









