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離婚は「友達の友達」まで連鎖する? アメリカの町の約30年の記録

離婚は「友達の友達」まで連鎖する? アメリカの町の約30年の記録

読む前に予想してみよう!

友達が離婚すると、それが原因で自分も離婚しやすくなることが証明されている

研究カード(どんな研究?)
対象
アメリカ・マサチューセッツ州フラミンガムの心臓病研究の参加者(親世代と子ども世代)
規模
子ども世代5,124人が中心
研究の種類
観察研究(1971〜2001年の7回の検査の記録)
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

アメリカの町の約30年の記録で、離婚した友達がいる人は、数年後の次の検査までに自分も離婚しやすかった。離婚した人の固まりは友達の友達まで続いていた。ただし原因とは言い切れない。

ひとことで言うと友達が離婚すると自分も離婚しやすい? そう見えるけど、原因かはまだ分からない

もくじ
  1. 心臓病の研究が、町の人間関係を記録していた
  2. 離婚した友達がいると、次の検査までに離婚しやすかった
  3. ほかに見えたこと:子ども、人気、再婚
  4. どんでん返し:「うつった」のか「似た者どうし」なのか
  5. きょうだいでは「逆」の結果も
  6. まとめ

離婚は、ふつう夫婦2人の問題だと考えられています。ところが、ある町の約30年分の記録を調べると、離婚は人のつながりの中で固まって起きていました。しかも、その固まりは「友達の友達」の位置まで続いていたのです。

アメリカの研究チームの分析では、離婚したことのある人と直接つながっている人(家族や友達、近所の人など)は、自分も離婚したことのある割合が、偶然で予想されるより75%高くなっていました。友達の友達の位置でも33%高く、友達の友達の友達になると差は消えました。

では、離婚は人から人へ「うつる」のでしょうか。著者たちはその可能性を考えています。ただ、この種の分析には統計の専門家から強い疑問が出ています。ほかの国のきょうだいの研究では、逆向きの結果も出ました。

01心臓病の研究が、町の人間関係を記録していた

使われたのは、アメリカ・マサチューセッツ州の町フラミンガムで1948年に始まった、心臓病の大規模な研究のデータです。町の大人の多くが参加し、1971年からはその子どもたちと、子どもたちの結婚相手も加わりました(5,124人)。

参加者は数年おきに検査を受け、結婚や離婚の状況も答えてきました。研究には、連絡がとれなくなったときのための手書きの記録も残っていました。家族、友達、近所の人、勤め先が書かれたものです。

書かれた人の多くも、研究の参加者でした。研究チームはこの記録をコンピューターに入力し、だれとだれがつながっているかを町ぐるみで再現しました。

02離婚した友達がいると、次の検査までに離婚しやすかった

チームはまず、離婚の印をでたらめに並べかえたつながりの図を1,000通り作り、本物の図と比べました。本物のほうが、離婚した人どうしが近くに固まっていました。その差が、最初の75%と33%です。

次に、時間の順番を追いました。前の検査では離婚していなかった人について、友達がすでに離婚していたかどうかで、次の検査までの離婚を比べました。本人が「友達」として名前を書いた相手が離婚していた場合、本人が離婚する確率は、その友達が離婚していない場合より270%高くなっていました。ただし、計算上ありうる幅は60%から650%と、とても広いものでした。

きょうだい、近所の人、同じ小さな職場の人では、はっきりした関係は見られませんでした。また、一緒に住んでいない人どうしでは、相手が遠くに住んでいても、関係の強さは近所に住む場合とほぼ同じでした。これは最初の75%・33%と同じ、「離婚したことがあるかどうか」を比べた分析での結果です。

離婚した人の印が、つながりの近いところに固まっているイメージ(論文の図ではありません)
離婚した人の印が、つながりの近いところに固まっているイメージ(論文の図ではありません)

03ほかに見えたこと:子ども、人気、再婚

  • 子ども:子どものいない人では、離婚した友達がいると次の検査までの離婚が390%高かった。子どもが3人になると差ははっきりしなくなり、5人ではほぼ0だった
  • 人気:ほかの人から「友達」と書かれる人数が1人増えるごとに、離婚する確率が10%低かった
  • 再婚:離婚したことのある人は、離婚経験者と結婚する割合が2倍以上だった

04どんでん返し:「うつった」のか「似た者どうし」なのか

友達どうしの離婚がそろう理由は、「うつる」以外にもあります。考え方や生活が似た人どうしは、もともと友達になりやすいものです。同じ不景気など、同じ出来事の影響を一緒に受けることもあります。

著者たちも、この点を気にしていました。そこで、本人が名前を書いた友達と、相手だけが本人の名前を書いた「友達」を比べました。前者では関係が見られ、後者でははっきりしませんでした。同じ環境のせいだけなら、どちらでも同じになるはずだ、と著者たちは考えたのです。

実は、この論文より前の2011年に、統計学者のシャリージさんとトーマスさんが、この種の推論に正面から反論していました。観察しただけのデータでは、「似た者どうしが友達になること」と「うつること」は、一般には区別できない。名前を書いた向きによる差を見ても、原因は決められない。理論と簡単な例で、そう示したのです。

2008年には、コーエン=コールさんとフレッチャーさんが、アメリカの中高生約4,300〜5,400人を追ったデータで試しました。よく使われる方法をそのまま当てはめると、にきびや頭痛、身長まで、友達どうしで「広がる」ように見える結果が出ました。周りの環境の影響を差し引くと、どれも小さくなり、はっきりした差ではなくなりました。

05きょうだいでは「逆」の結果も

フラミンガムのデータでは、きょうだいの離婚との関係は見られませんでした。ほかの国の大きな記録では、どうでしょうか。

オランダには、2000年から2012年まで人々を追った研究があります。対象は、1970〜74年生まれで、30歳の時点で結婚していた64,677人です。きょうだいがちょうど1人いて、そのきょうだいも結婚している人に絞って調べました。きょうだいが離婚した人は、自分も離婚しやすくなっていました。親が離婚したかどうかなどをそろえて比べても、関係は残りました。その強さは、親が離婚している場合と同じくらいでした。ただし、きょうだいの離婚から5年以上たつと、関係ははっきりしなくなりました。

ベルギーの住民の記録を使った2024年の研究は、逆の結果でした。結婚や同棲をしていた67,113人とそのきょうだいを、1998年から2018年まで追っています。同じ家族の中で比べる方法をとると、きょうだいが別れたあとは、本人が別れる見込みが低くなっていました。

国、時代、比べ方が違えば、答えも変わります。「離婚はうつる」と一言でまとめるのは、まだ早そうです。同じフラミンガムのデータからは、幸せな気分も人のつながりで広がるという報告があります。

06まとめ

アメリカの町の約30年の記録では、離婚は人のつながりの中で固まって起き、その固まりは友達の友達まで続いていました。離婚した友達がいる人は、次の検査までに離婚しやすくもなっていました。

けれども、それが「うつった」結果なのか、似た人どうしが友達になっただけなのかは、このデータでは決めきれません。きょうだいでは、本人も離婚しやすかった国も、別れにくかった国もありました。次に必要なのは、もっと多様な人々のデータで、つながりと離婚の順番を細かく追うことです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerCan divorce spread from one friend to another? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Can divorce spread from one friend to another? Three American researchers looked at records from a heart study in Framingham, a town in Massachusetts. Since 1971, the study had checked thousands of people every few years. It also kept handwritten lists of their family, friends and coworkers.

People directly connected to someone who had been divorced were 75 percent more likely to have been divorced themselves. For friends of friends, the number was 33 percent. When a friend got divorced, people were more likely to divorce before their next checkup.

But this was an observational study. People who are alike often become friends, so the link may not mean that divorce is passed on.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

離婚は友達から友達へ広がるのだろうか。アメリカの3人の研究者が、マサチューセッツ州の町フラミンガムの心臓病研究の記録を調べた。1971年から、この研究は何千人もの人を数年おきに検査してきた。また、その人たちの家族や友達、同僚を手書きで記録していた。

離婚したことのある人と直接つながっている人は、自分も離婚したことのある割合が75%高かった。友達の友達では、その数字は33%だった。友達が離婚すると、人は次の検査までに離婚しやすかった。

しかし、これは観察しただけの研究だった。似た人どうしは友達になりやすいので、この関係は離婚が受け渡されることを意味しないかもしれない。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What was the number for friends of friends?

Q3. Why does the writer say the link may not mean that divorce is passed on?

重要単語

  • divorceB1
    名詞・動詞離婚(する)Her parents got divorced when she was ten. get divorced で「離婚する」。divorce は他動詞にもなり divorce him(彼と離婚する)。with は付けない
  • spreadB1
    動詞広がる、広めるNews spreads quickly in a small town. spread - spread - spread と形が変わらない不規則動詞。the spread of ~ で「~の広がり」
  • observationalC1
    形容詞観察によるAn observational study cannot easily show cause and effect. observe(観察する)から。反対は experimental(実験による)
  • causeB1
    動詞・名詞引き起こす、原因Heavy rain caused the flood. cause and effect(原因と結果)は入試頻出。correlation(相関)と causation(因果関係)の区別もよく問われる
  • siblingB2
    名詞きょうだい(兄弟姉妹)I have two siblings, an older brother and a younger sister. 男女を区別しない言い方。Do you have any siblings? で「きょうだいはいますか」
  • confoundC1
    動詞混同させる、(別の要因が)まぎれこむAge can confound the link between coffee and health. 名詞 confounding は統計で「交絡」。2つの原因が混ざって区別できない状態
アメリカの町の約30年の記録で、離婚した人と直接つながる人(家族・友達など)は、自分も離婚経験のある割合が偶然より75%高く、友達の友達でも33%高かった。ただ「うつった」とは言い切れず、きょうだいでは逆の結果が出た国もある。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. McDermott, Fowler & Christakis (2013) Breaking Up Is Hard to Do, Unless Everyone Else Is Doing It Too: Social Network Effects on Divorce in a Longitudinal Sample, Social Forcesdoi.org
  2. Shalizi & Thomas (2011) Homophily and Contagion Are Generically Confounded in Observational Social Network Studies, Sociological Methods & Researchdoi.org
  3. Cohen-Cole & Fletcher (2008) Detecting implausible social network effects in acne, height, and headaches: longitudinal analysis, BMJdoi.org
  4. de Vuijst, Poortman, Das & van Gaalen (2017) Cross-sibling effects on divorce in the Netherlands, Advances in Life Course Researchdoi.org
  5. Her, Vergauwen & Mortelmans (2024) Sibling transmission of relationship breakup: Does partnership type matter?, Journal of Social and Personal Relationshipsdoi.org