語学・英語学習ビミョー

「音読で英語力が伸びる」は本当? 日本人学習者の研究で見えた“効く場所”

「音読で英語力が伸びる」は本当? 日本人学習者の研究で見えた“効く場所”

読む前に予想してみよう!

黙って読むより、声に出して読んだ単語の方が記憶に残りやすい

研究カード(どんな研究?)
対象
日本人の大学生など
規模
数十人規模の研究を複数
研究の種類
準実験・前後比較
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

音読やくり返し読みは、読む速さや音の聞き取りを伸ばすという研究がある。ただ「音読だけで話せるようになる」ほどの証拠はまだない。

ひとことで言うと音読は「読むスピード」と「耳」をきたえるトレーニング!

もくじ
  1. 音読は「読むスピード」を上げる
  2. シャドーイングは「耳」をきたえる
  3. 声に出すと覚えやすい
  4. 「音読で話せるようになる」はまだ未検証
  5. まとめ

「英語は音読が最強」。日本の英語学習では、昔からそう言われてきました。

教科書を何十回も声に出して読む「音読」、音声のすぐ後を追いかける「シャドーイング」。学校で一度はやったことがある人も多いはずです。

でも、本当に効くのでしょうか? 実は海外の英語教育では、音読は「古いやり方」として軽く見られることもあります。研究を調べると、効く場所と、まだわからない場所がはっきりしてきました。

01音読は「読むスピード」を上げる

英語を読むのが遅い大きな理由は、単語を見てから音や意味が浮かぶまでに時間がかかること。音声と一緒にくり返し読むと、文字・音・意味の結びつきが速くなるからだと言われています(この研究で確かめられたわけではありません)。

この研究では、お手本を聞くこととくり返すことが、文章の理解を助ける役割も果たしていたと分析されています。

02シャドーイングは「耳」をきたえる

濱田は2016年、日本の大学生43人にシャドーイングの授業を行い、その効果を調べました。

結果、英語の音を聞き分ける力(音素知覚)はどのレベルの学生でも伸びた一方、リスニング問題の点数が伸びたのは英語が比較的苦手なグループだけでした。

シャドーイングは「音を正確にとらえる」という土台づくりに強く、内容理解まで一気に伸ばす魔法ではない、ということです。

濱田は、シャドーイングが特に、聞こえた音を単語に結びつける「ボトムアップ」の処理の練習に向いていると考察しています。

音と文字をつなぐのが音読の役目
音と文字をつなぐのが音読の役目

03声に出すと覚えやすい

記憶の研究でも、音読には強みがあります。カナダの研究者マクラウドらは、声に出して読んだ単語の方が、黙読した単語より記憶に残りやすいことを8つの実験で示しました(2010年)。

これはプロダクション効果と呼ばれ、声に出した単語が記憶の中で「目立つ」ためと考えられています。ポイントは「目立つ」こと。全部を音読すると差が出にくくなるので、大事な所だけ声に出す方が効率的です。

04「音読で話せるようになる」はまだ未検証

一方で、「音読だけで英語が話せるようになる」とまで言える研究は見当たりません。

日本の大学生が3か月間、音読を中心にした授業を受けてテストの点が上がったという報告(篠塚ら、2017年)もありますが、比較する対照グループがない前後比較で、音読の効果だけを取り出すのは難しいデザインでした。

また、音読は「声は出ているけれど、意味は頭に入っていない」状態になりがちです。読みながら内容が理解できているかを、ときどき確かめることが大切です。

05まとめ

音読は、読むスピードと耳を鍛える「基礎体力トレーニング」としては、研究の後押しがあります。

でも、それだけで話せるようになるわけではありません。音読で作った土台を、実際に話す・書く練習につなげる。それが一番の使い方です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerReading aloud, or ondoku, has long been popular in Japanese English classes, but what does research say? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Reading aloud, or ondoku, has long been popular in Japanese English classes, but what does research say? In a 2004 study, Japanese university students practiced assisted repeated reading, reading the same passage several times while listening to a recording. This raised their silent reading speed about as much as extensive reading of many easy books did. In 2016, Hamada gave shadowing lessons to 43 Japanese university students.

Their ability to distinguish English sounds improved at every level, but listening test scores rose only for the lower-level group. Memory research also shows a production effect: words read aloud are remembered better than words read silently. However, a study claiming that read-aloud classes raised test scores had no comparison group, so there is still little evidence that reading aloud alone improves speaking.

130 words ・ CEFR B1

和訳を見る

音読は日本の英語の授業で長く人気がありますが、研究は何と言っているのでしょうか。2004年の研究で、日本の大学生は、録音を聞きながら同じ文章を何度か読む「アシスト付きくり返し読み」を練習しました。これにより、黙読の速さが、やさしい本をたくさん読む多読と同じくらい上がりました。2016年、濱田は日本の大学生43人にシャドーイングの授業を行いました。英語の音を聞き分ける力はどのレベルでも伸びましたが、リスニングテストの点数が上がったのは下位のグループだけでした。

記憶の研究も、プロダクション効果を示しています。声に出して読んだ単語は、黙読した単語よりよく覚えられるのです。しかし、音読の授業でテストの点が上がったと主張する研究には比較群がなかったため、音読だけで話す力が伸びるという証拠はまだほとんどありません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is "assisted repeated reading"?

Q2. In Hamada's study, whose listening test scores rose?

Q3. Why is there little evidence that reading aloud alone improves speaking?

重要単語

  • read aloudA2
    動詞(句)音読するRead the passage aloud three times. read ~ aloud / read aloud ~ どちらの語順も可。aloud は「声に出して」、loudly(大声で)とは別。
  • fluencyB2
    名詞流暢さ・すらすら処理できることRepeated reading builds reading fluency. SLAの CAF(Complexity・Accuracy・Fluency)の F。reading fluency は「速く正確に読める力」。
  • shadowingC1
    名詞シャドーイング(音声のすぐ後を追って口に出す練習)Shadowing trains your ear and mouth together. shadow「影のようについていく」。もとは通訳訓練の方法。研究では主にボトムアップ処理(音の知覚)に効くとされる。
  • production effectC1
    名詞(句)プロダクション効果(声に出した語が記憶に残りやすい現象)The production effect makes spoken words easier to remember. production は SLA で「産出(話す・書く)」。全部ではなく一部だけ音読すると「目立って」効く。
  • phonemeC1
    名詞音素(意味を区別する最小の音の単位)English has more vowel phonemes than Japanese. phone-(音)。/r/ と /l/ は英語では別の音素、日本語では同じ「ラ行」に入る。
  • comprehensionB2
    名詞理解Speed should not hurt your comprehension. 音読は「声は出ているが意味が入っていない」になりがち。理解を伴っているか確かめるのがコツ。
  • control groupC1
    名詞(句)対照群(比較のための何もしない/別の指導のグループ)Without a control group, we cannot isolate the effect. 対照群がない前後比較では、成長やテスト慣れの影響と区別できない。研究を読むときの重要チェック項目。

動画でもっと知る

日本の大学生で調べると、音声を聞きながらのくり返し音読は、たくさん読む「多読」と同じくらい読むスピードを上げたらしい。音読、地味だけどちゃんと効いてた。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Taguchi, Takayasu-Maass & Gorsuch (2004) Developing reading fluency in EFL: How assisted repeated reading and extensive reading affect fluency development. Reading in a Foreign Languagedoi.org
  2. Hamada (2016) Shadowing: Who benefits and how? Language Teaching Researchdoi.org
  3. Shinozuka, Shibata & Mizusawa (2017) Effectiveness of read-aloud instruction on motivation and learning strategy among Japanese college EFL students. English Language Teachingdoi.org
  4. MacLeod et al. (2010) The production effect: Delineation of a phenomenon. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognitiondoi.org