語学・英語学習ホント

英単語カード、「小分けにして何周も」は逆効果だった? 間隔反復の最適解

英単語カード、「小分けにして何周も」は逆効果だった? 間隔反復の最適解

読む前に予想してみよう!

単語カードは、少ない枚数の束に分けて集中的に回した方がよく覚えられる

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・第二言語学習者
規模
1,350人超の実験、48実験のメタ分析など
研究の種類
実験研究・メタ分析
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

単語は間隔をあけて復習する方が長く覚えていられる。カードを小さな束に分けるより大きな束で回す方が効果的で、最適な間隔は「いつまで覚えたいか」で変わる。

ひとことで言うと復習は「すぐ」より「ちょっと忘れかけたころ」が効く!

もくじ
  1. 9割に効いたのに、7割は「逆」だと思った
  2. 最適な間隔は「テストの日」で変わる
  3. 「だんだん長く」は必須じゃない
  4. まとめ

単語カードを使うとき、どうしていますか? 「今日はこの20枚」と小さな束に分けて、覚えるまで何周もする。そんなやり方が多いのではないでしょうか。

実はこれ、手応えはあるのに、長くは残りにくいやり方かもしれません。

記憶研究で100年以上前から知られる分散効果(間隔をあけて復習すると覚えやすい)を、単語カードで確かめた研究があります。

019割に効いたのに、7割は「逆」だと思った

すぐに同じカードが出てくると「覚えた感」が強く出ます。でもそれは短期的な手応え。少し忘れかけたころに思い出す方が、記憶は強くなるのです。

数百の実験をまとめたセペダらの2006年のレビューでも、間隔をあけた学習が詰め込みより記憶に残りやすいことが一貫して示されています。

02最適な間隔は「テストの日」で変わる

では、どれくらい間をあければいいのでしょう?

セペダらは2008年、1,350人以上に事実を覚えてもらい、最大3.5か月の間隔をあけて復習させ、さらに最大1年後にテストしました。

その結果、覚えておきたい期間が長いほど、最適な復習間隔も長くなることがわかりました。目安としては、1週間後のテストなら間隔はその20〜40%(1〜3日ほど)、1年後なら5〜10%(数週間ほど)でした。

一方で、間隔をあけすぎると、効果はゆるやかに下がっていきました。間隔は「長いほど良い」のではなく、ちょうどいい長さがあるのです。

間隔は短すぎても長すぎてもダメ。ちょうどいい「尾根」がある
間隔は短すぎても長すぎてもダメ。ちょうどいい「尾根」がある

03「だんだん長く」は必須じゃない

アプリでおなじみの「1日後→3日後→1週間後」とだんだん間隔を広げる方式。これは本当に一番なのでしょうか。

中田は2015年、日本の大学生128人で英単語を学ぶ実験を行い、広げていく方式にわずかな優位を見つけました。ただし、そもそも間隔をあけるかどうかの方が、ずっと大きな差を生んでいました。

第二言語学習の48実験(3,411人)をまとめたキムとウェッブのメタ分析(2022年)でも、間隔をあけた練習には中〜大の効果がある一方、「一定の間隔」と「広げていく間隔」はほぼ同等でした。

また、短い間隔は直後のテストでは長い間隔と同じくらい効いても、時間がたってからのテストでは長い間隔に負けていました。

04まとめ

単語の復習は、「忘れかけたころ」に思い出すのが正解。詰め込みは手応えがあるぶん、だまされやすいのです。

カードは大きな束で回し、テストの日から逆算して間隔をあける。それだけで、同じ勉強時間でも残る単語が増えるはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerResearchers have known about the spacing effect for over a century. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Researchers have known about the spacing effect for over a century. If you review with gaps between sessions, you remember longer than if you cram. In 2009, a US psychologist tested this with online flashcards.

Students learned difficult words either in one large deck or four small ones. Cards in the large deck took longer to come back, and across experiments, spacing worked better for 90% of the students. But after the first session, 72% felt cramming had worked better.

So what is the best gap? In a 2008 study of more than 1,350 people, the ideal interval depended on the test date. For a test one week later, a gap of about one to three days was best. For a test one year later, longer gaps worked better.

129 words ・ CEFR B1

和訳を見る

研究者たちは、1世紀以上前から分散効果を知っています。学習の間に間隔をあけて復習すると、詰め込むよりも長く覚えていられるのです。2009年、アメリカのある心理学者がこれをオンラインの単語カードで試しました。

学生は難しい単語を、大きな束1つか小さな束4つのどちらかで学びました。大きな束のカードは戻ってくるまでに時間がかかり、実験全体では間隔をあけるほうが90%の学生にとって効果的でした。ところが最初の学習の後、72%の学生は詰め込みのほうが効いたと感じていました。

では、最適な間隔はどれくらいでしょうか。1,350人以上を対象にした2008年の研究では、理想的な間隔はテストの日程によって変わりました。1週間後のテストなら約1〜3日の間隔が最適でした。1年後のテストには、より長い間隔のほうが効果的でした。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the "spacing effect"?

Q2. For a test one week later, what gap was best?

Q3. What does the 72% result suggest?

重要単語

  • spacing effectC1
    名詞(句)分散効果(間隔をあけると覚えやすい)The spacing effect is one of the most reliable findings in memory research. spaced repetition(間隔反復)は単語アプリの基本原理。distributed practice(分散練習)とも言う。
  • cramB2
    動詞詰め込み勉強をするCramming the night before rarely lasts. もとは「(物を)ぎゅうぎゅうに詰め込む」。cram for an exam「試験のために一夜漬けする」。
  • intervalB2
    名詞間隔Increase the interval as the word gets easier. at regular intervals「一定の間隔で」。inter-(間)+val(壁)が語源。
  • retentionC1
    名詞保持・記憶に残ることSpaced review improves long-term retention. retain「保つ」の名詞形。retention rate「保持率」は語彙研究の頻出語。
  • flashcardB1
    名詞単語カードI review twenty flashcards on the train. flash(ぱっと見せる)+card。英語では word card より flashcard が一般的。
  • massed practiceC1
    名詞(句)集中練習(間隔をあけずにまとめて行う練習)Massed practice feels effective but fades quickly. mass「かたまり」。distributed / spaced practice(分散練習)と対で使う心理学用語。
  • robustC1
    形容詞確かな・頑健なThe spacing effect is a robust finding. 「(体が)丈夫な」が原義。研究では「何度確かめても同じ結果が出る」の意味で頻出。

動画でもっと知る

単語カードの実験で、間隔をあける方法は9割の人に効果があったのに、7割の人は「詰め込んだ方が効いた」と感じていたらしい。手応えと実際の効果は真逆だった。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Cepeda et al. (2008) Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Sciencedoi.org
  2. Kornell (2009) Optimising learning using flashcards: Spacing is more effective than cramming. Applied Cognitive Psychologydoi.org
  3. Nakata (2015) Effects of expanding and equal spacing on second language vocabulary learning. Studies in Second Language Acquisitiondoi.org
  4. Kim & Webb (2022) The effects of spaced practice on second language learning: A meta-analysis. Language Learningdoi.org
  5. Cepeda et al. (2006) Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletindoi.org