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語学の才能は遺伝する? 6,000組の双子が教えてくれた「半分ホント」の答え

語学の才能は遺伝する? 6,000組の双子が教えてくれた「半分ホント」の答え

読む前に予想してみよう!

遺伝率が50%なら、その人の語学力の半分は生まれつき決まっている

研究カード(どんな研究?)
対象
英国の双子(14〜16歳)
規模
約600〜6,000組
研究の種類
双子研究(行動遺伝学)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

英国の双子研究では、学校の外国語の成績の個人差の約4〜6割が遺伝で説明された。でも遺伝率は「運命」ではなく、環境が変われば変わる数字だ。

ひとことで言うと語学の向き不向きに遺伝は関係する。でも努力や環境もちゃんと効く!

もくじ
  1. 双子で「遺伝」を測る仕組み
  2. 外国語の成績の個人差、約半分が遺伝
  3. でも「語学だけの遺伝子」は3分の1
  4. 適性テストは成績を予測するが…
  5. まとめ

同じ授業を受けているのに、すぐに英語が話せるようになる人と、なかなか伸びない人がいる。「あの人は語学の才能があるから」。そう思ったことはありませんか?

では、その「才能」は生まれつきなのでしょうか。

この問いに挑んだのが、双子を使った研究です。結果は、「才能は遺伝する」とも「遺伝なんて関係ない」とも言い切れない、半分ホントの答えでした。

01双子で「遺伝」を測る仕組み

一卵性の双子は遺伝子をほぼ100%、二卵性の双子は平均50%共有しています。どちらも同じ家庭で育つなら、一卵性の方が成績がよく似ている分だけ、遺伝の影響が大きいと推定できます。これが双子研究の基本的な考え方です。

ここで出てくるのが遺伝率という数字。これは「集団の中の個人差のうち、遺伝の違いで説明できる割合」のことです。

02外国語の成績の個人差、約半分が遺伝

個人差のだいたい半分前後が遺伝で説明される。これはたしかに「マジか」な数字です。

14歳の1,632組を対象にした別の分析(デールら、2012年)では、外国語の成績の遺伝率は42%、家庭で共有される環境の影響が約3分の1でした。成績が特に低い子と高い子でも、遺伝と環境のバランスはほぼ同じだったといいます。

ただし遺伝率は、その社会・その時代の数字です。全員が同じ授業を同じだけ受ける社会なら、残る差は遺伝の影響が大きく見えます。学ぶ機会の差が大きい社会なら、環境の影響が大きく見えるのです。

03でも「語学だけの遺伝子」は3分の1

面白いのは、その中身です。リムフェルトらの分析では、外国語の成績に関わる遺伝の影響のうち、

  • 約3分の1は「知能」と共通
  • 約3分の1は「英語(母語)の成績」と共通
  • 残りの約3分の1が、外国語に特有

だったといいます。「語学の才能」は、1つの特別な遺伝子というより、いろいろな力の組み合わせのようです。

「語学の才能」は、いくつもの力の組み合わせ
「語学の才能」は、いくつもの力の組み合わせ

04適性テストは成績を予測するが…

語学の適性(素質)を測るテストの研究も古くからあります。李の2016年のメタ分析(約1万3,000人)では、きちんとした適性テストは全体的な外国語の熟達度をよく予測する一方、語彙学習や作文はあまり予測できなかったと報告されています。

また、適性はやる気(動機づけ)とは別のものとして区別でき、知能とも重なりつつ同じではないことが確かめられています。

つまり適性は「伸びやすさ」の一部を表しますが、すべてを決めるわけではないのです。

05まとめ

「語学の才能は遺伝する?」の答えは、半分ホント。外国語の成績の個人差には、たしかに遺伝が関わっています。

でもそれは、あなたが伸びるかどうかを決める数字ではありません。勉強の量・方法・環境を変えれば、自分の中の「伸びしろ」はちゃんと動きます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy do some students pick up languages faster than others? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Why do some students pick up languages faster than others? Twin studies offer one way to explore this question. Identical twins share almost all their genes, while non-identical twins share about half. If identical twins have more similar grades, genes probably play a role.

A British team analyzed the exam results of more than 6,000 pairs of 16-year-old twins. Genes explained roughly half of the differences in their foreign language grades. That genetic part can be split into three.

About one third was shared with general intelligence, and another third with first-language skills. Only the last third was specific to foreign languages. Heritability describes differences within a group in a particular society. It does not mean that half of your own ability is fixed at birth.

126 words ・ CEFR B1

和訳を見る

なぜ、ほかの人より早く言語を身につける生徒がいるのでしょうか。双子研究は、この問いを探る方法の1つです。一卵性の双子はほぼすべての遺伝子を共有し、二卵性の双子は約半分を共有しています。一卵性の双子の方が成績が似ているなら、遺伝子がおそらく関わっています。

イギリスのチームは、16歳の双子6,000組以上の試験結果を分析しました。外国語の成績の違いのおよそ半分は、遺伝子で説明されました。この遺伝の部分は、3つに分けることができます。

約3分の1は一般的な知能と共通し、別の3分の1は母語の力と共通していました。外国語に特有だったのは、最後の3分の1だけでした。遺伝率は、特定の社会における集団内の違いを表すものです。あなた自身の能力の半分が生まれつき決まっているという意味ではありません。

4択リーディングクイズ

Q1. Why are identical twins useful in this kind of research?

Q2. How much of the genetic influence was specific to foreign languages?

Q3. What does the writer want readers to understand about heritability?

重要単語

  • aptitudeC1
    名詞適性・素質Language aptitude predicts how fast people learn. apt(適した)と同語源。have an aptitude for ~「~の素質がある」。SLAでは language aptitude(語学適性)が個人差研究の柱。
  • heritabilityC1
    名詞遺伝率Heritability can change when the environment changes. heredity(遺伝)・inherit(受け継ぐ)と同じ語源。「個人の内訳」ではなく「集団の個人差の割合」である点が誤解されやすい。
  • twinA2
    名詞双子(の1人)Identical twins share almost all of their genes. identical twins「一卵性双生児」、fraternal / non-identical twins「二卵性双生児」。
  • individual differenceB2
    名詞(句)個人差Researchers study individual differences in learning. SLAでは適性・動機づけ・不安などをまとめて individual differences(IDs)と呼ぶ。
  • motivationB1
    名詞動機づけ・やる気Motivation keeps you going when it gets hard. motive(動機)・move と同語源。intrinsic(内発的)/ extrinsic(外発的)motivation は入試長文でも頻出。
  • account forB2
    動詞(句)(割合を)占める・説明するGenes account for about half of the differences. 「~の割合を占める」「~の理由を説明する」の2つの意味。入試の英文和訳で頻出。
  • nuancedC1
    形容詞微妙な差異を含んだ・一筋縄ではいかないThe results are more nuanced than the headline suggests. nuance(ニュアンス)の形容詞形。白黒つけられない研究結果を表すときに便利。

動画でもっと知る

4コマでわかる

語学の才能は遺伝する? 6,000組の双子が教えてくれた「半分ホント」の答えの4コマ漫画
英国で6,000組以上の双子の成績を調べたら、外国語の成績の個人差の半分くらいが遺伝で説明されたらしい。でもその遺伝の3分の1は、外国語だけに特有のものだった。「語学の才能」、意外と奥が深い。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Dale et al. (2010) Two by two: A twin study of second-language acquisition. Psychological Sciencedoi.org
  2. Rimfeld, Dale & Plomin (2015) How specific is second language-learning ability? A twin study. Translational Psychiatrydoi.org
  3. Dale, Harlaar & Plomin (2012) Nature and nurture in school-based second language achievement. Language Learningdoi.org
  4. Li (2016) The construct validity of language aptitude: A meta-analysis. Studies in Second Language Acquisitiondoi.org