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【新潟大の入試に出た】人間のケガの治りは、チンパンジーの約3倍遅かった

【新潟大の入試に出た】人間のケガの治りは、チンパンジーの約3倍遅かった

読む前に予想してみよう!

傷の治る速さは、ネズミとサルの仲間で大きく違っていた

研究カード(どんな研究?)
対象
人・チンパンジー・サル類・げっ歯類
規模
人は24人
研究の種類
種間比較研究(観察)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

琉球大学などのチームが比べると、人間の傷がふさがる速さは1日約0.25mm。サルやチンパンジーの約3分の1しかなかった。

ひとことで言うと人間のケガの治るスピードは、サルやチンパンジーよりずっとゆっくりらしい!

もくじ
  1. 同じ「傷がふさがる速さ」で比べてみた
  2. なぜ人間だけ遅いのか
  3. 遅い治りを「仲間」が補った?
  4. まとめ

転んでできたすり傷が、なかなか治らない。かさぶたが取れるまで、何週間もかかる……。

実はそれ、人間という生き物の特徴かもしれません。日本の琉球大学などの研究チームが、人間と、チンパンジーやサル、ネズミなどの傷の治り方を比べたところ、人間だけが飛び抜けて遅いことがわかったのです。

この「人間と他の動物の治癒速度の違い」は、2026年度の新潟大学(前期)の英語で長文のテーマになりました。

01同じ「傷がふさがる速さ」で比べてみた

サルの仲間4種の間では差がほとんどなく、マウスやラットとも大きく変わりませんでした。調べた動物の中で、目立って遅かったのは人間だけ。「ゆっくり治る」のは、霊長類に共通する性質ではなかったのです。

02なぜ人間だけ遅いのか

研究チームは、人間が進化の中で手に入れた「皮膚の変化」に注目しています。

  • 体毛が減った:毛の根元(毛包)には、傷を治すのに役立つ細胞のもと(幹細胞)があるとされる。ただし、チンパンジーは毛の密度が人とあまり変わらないのに、サルと同じ速さで治る。そのため論文は「毛の量だけでは説明できない」としている
  • 汗腺が増えた:人間の体の汗腺は全身で約300万〜400万個。サルやチンパンジーの約10倍あり、体を冷やすのに役立つ。その代わりに毛が減るというトレードオフ(一方を得ると他方を失う関係)があったかもしれない
  • 表皮が厚い:人間の皮膚のいちばん外側の層(表皮)は、ほかの霊長類の3〜4倍の厚さがあり、ふさがるのに時間がかかる可能性

つまり、「汗をかいて体を冷やす力」と引きかえに、傷の治りの速さを手放したのかもしれない――というのが、研究チームの考える仮説のひとつです。

体毛を減らし汗腺を増やした進化には、思わぬ代償があったのかもしれない
体毛を減らし汗腺を増やした進化には、思わぬ代償があったのかもしれない

03遅い治りを「仲間」が補った?

傷の治りが遅いのは、野生ではかなり危険なはず。それでも人類が生き延びられたのはなぜでしょう。

研究チームは、意見が分かれる考えだと断ったうえで、もう一つの可能性にも触れています。お年寄りや体の不自由な仲間を世話する。食べ物を分け合う。薬になる植物を使う。こうした人類の助け合いや工夫が、遅い治りの不利を補ってきたのではないか、というものです。

体の弱点を、社会の力でカバーしてきた。そう考えると、人間らしさの別の一面が見えてきます。

04まとめ

人間のケガの治りは、近い親戚のチンパンジーと比べても約3倍ゆっくり。それは、暑さに強い体を手に入れた進化の代償かもしれません。

すり傷がなかなか治らないとき、「これも人類の歴史の名残か」と思えば、ちょっとだけ待てる気がしませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWhy do our cuts and scrapes take so long to heal? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Why do our cuts and scrapes take so long to heal? A research team led by scientists at the University of the Ryukyus measured how many millimeters a wound closes each day in several species. They studied baboons and other monkeys in Kenya, chimpanzees at a sanctuary in Japan, rodents such as mice, and 24 patients who had surgery to remove skin tumors.

Baboon wounds closed at about 0.6 millimeters per day, while human wounds closed at only about 0.25 millimeters. Monkeys and rodents healed at almost the same speed, so slow healing seems to be special to humans. The researchers think it may be a cost of evolution. Humans lost body hair and gained many sweat glands, which helped them stay cool in hot places.

126 words ・ CEFR B1

和訳を見る

なぜ私たちの切り傷やすり傷は治るのにこれほど時間がかかるのでしょうか。琉球大学の科学者たちが率いる研究チームは、いくつかの種で傷が1日に何ミリふさがるのかを測定しました。彼らはケニアのヒヒやその他のサル、日本の保護施設のチンパンジー、ネズミなどのげっ歯類、そして皮膚の腫瘍を取り除く手術を受けた24人の患者を調べました。

ヒヒの傷は1日約0.6ミリのペースでふさがったのに対し、人間の傷は約0.25ミリしかふさがりませんでした。サルとげっ歯類はほとんど同じ速さで治ったので、治りが遅いのは人間に特有のことのようです。研究者たちは、それが進化の代償かもしれないと考えています。人間は体毛を失い、多くの汗腺を手に入れました。それが暑い場所で体を涼しく保つのに役立ったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the research team measure?

Q2. Which statement is true according to the passage?

Q3. What does the passage suggest about slow healing in humans?

重要単語

  • woundB1
    名詞傷、けがThe wound healed in two weeks. 発音は /wuːnd/(ウーンド)。wind(巻く)の過去形 wound /waʊnd/ と区別。発音問題でも狙われる。
  • healB1
    動詞(傷が)治る、治すSmall cuts usually heal quickly. 傷やけがが「治る」は heal、病気が「治る」は cure / recover が基本。名詞は healing(治癒)。
  • primateC1
    名詞霊長類Humans and chimpanzees are both primates. prime(第一の)と同語源で「最高位の動物」の意。生物系長文の頻出語。
  • comparativeB2
    形容詞比較のThis comparative study looked at several species. compare の形容詞形。comparable(匹敵する、比較できる)との区別は入試の語彙問題で頻出。
  • sweat glandC1
    名詞(句)汗腺Humans have many sweat glands in their skin. sweat /swet/(汗)の発音に注意。gland は「腺」。人類進化の長文でよく出る。
  • trade-offB2
    名詞一方を得ると他方を失う関係Evolution often involves a trade-off. a trade-off between A and B の形で使う。evolutionary adaptation とセットで入試頻出。
  • at the expense ofB2
    熟語~を犠牲にしてHe worked hard at the expense of his health. expense は「費用」。「~の費用で」→「~を犠牲にして」。長文の内容一致で言い換えがよく問われる。

動画でもっと知る

4コマでわかる

【新潟大の入試に出た】人間のケガの治りは、チンパンジーの約3倍遅かったの4コマ漫画
人間のケガの治りは、チンパンジーやサルより約3倍遅いらしい。琉球大学などが傷のふさがる速さを比べたら、人は1日約0.25mm、サルたちはその約3倍(ヒヒで約0.6mm)。体毛が減って汗腺が増えた進化と関係があるかも、という話。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Matsumoto-Oda et al. (2025) Inter-species differences in wound-healing rate: a comparative study involving primates and rodents, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  2. Matsumoto-Oda et al. (2025) Correction to 'Inter-species differences in wound-healing rate', Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  3. Sorg et al. (2017) Skin wound healing: an update on the current knowledge and concepts, European Surgical Researchdoi.org