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ポテチは「耳」でも食べていた。音を大きくしただけで“パリパリで新鮮”に感じた実験

ポテチは「耳」でも食べていた。音を大きくしただけで“パリパリで新鮮”に感じた実験

読む前に予想してみよう!

ポテトチップスの「パリパリ感」は、かむ音を変えるだけで変わることがある

研究カード(どんな研究?)
対象
大学の参加者
規模
約20人
研究の種類
実験研究(音の操作)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

オックスフォード大の実験で、ポテチをかじる音をヘッドホンで大きく・高音強めにすると、同じポテチがよりパリパリで新鮮に感じられた。食感は耳でも感じている。

ひとことで言うとポテチのパリッは、口だけじゃなく耳でも味わっていた!

もくじ
  1. 自分のかむ音をヘッドホンで"改造"
  2. 音を大きくすると「より新鮮」に
  3. なぜ脳は「音」を信じるのか
  4. 袋のガサガサ音も「演出」のうち?
  5. まとめ

袋を開けて、ポテトチップスを1枚。パリッ!

この「パリッ」は、口の中の歯ごたえで感じていると思いますよね。ところが実験してみると、私たちは食感の一部を「耳」で感じていることがわかりました。

なんと、かむ音を変えるだけで、同じポテチが「しけている」とも「揚げたてみたい」とも感じられたのです。この研究は、2008年に「人を笑わせ、考えさせる研究」に贈られるイグノーベル賞(栄養学賞)を受賞しました。

01自分のかむ音をヘッドホンで"改造"

チップスはすべて同じもの。変えたのは耳に届く音だけです。

02音を大きくすると「より新鮮」に

結果ははっきりしていました。

  • 音を大きくすると、チップスはよりパリパリで新鮮に感じられた
  • 高い音を強めるだけでも、同じようにパリパリ・新鮮に感じられた
  • 逆に音を小さく・こもらせると、しけた感じが強まった

しかも研究者は、人はこうした音の影響にふだん気づいていないことが多いと指摘しています。脳は口からの情報と耳からの情報を、無意識のうちに混ぜ合わせて「食感」を作っているのです。

口の感覚と耳の音が脳で混ざり合って、「パリパリ」という食感ができあがる
口の感覚と耳の音が脳で混ざり合って、「パリパリ」という食感ができあがる

03なぜ脳は「音」を信じるのか

考えてみると、これは理にかなったしくみです。揚げたてのポテトチップスは水分が少なく、かじると細かく、鋭く割れて、高い音がたくさん出ます。ところが袋を開けて時間がたつと、チップスは空気中の水分を吸ってしんなりし、割れ方も音も鈍くなります。

私たちは何度も食べるうちに、「高くて大きな音=新鮮」「こもった音=しけている」という関係を、知らず知らずのうちに学習しているのかもしれません。だとすれば脳は、かむ音を「鮮度のセンサー」として頼りにしている——そう考えると、音を変えただけで新鮮さの評価が動いたのも納得がいきます。

口の中の感覚だけでは、ほんの少しの硬さの差はわかりにくいもの。耳からの情報は、それを補うもうひとつの証拠としてはたらいているのでしょう。

04袋のガサガサ音も「演出」のうち?

この研究をきっかけに、「食べ物の音」の研究は大きく広がりました。スペンスさんは2015年の総説で、かむ音だけでなく、袋を開ける音や、飲み物を注ぐ音も、私たちの期待や味わいに影響すると論じています。

一方で、うるさい場所では逆のことも起こりえます。2011年の研究では、大きな雑音の中で食べると、甘さや塩味の感じ方が弱まる一方、パリパリ感の評価は高まるという結果が報告されています。音は、食感にも味にも口を出してくるのです。

05まとめ

ポテトチップスの「パリッ」は、口と耳の合作でした。かむ音を大きくしただけで「新鮮」に感じるほど、脳は音の情報を頼りにしているのです。

次にお菓子を食べるときは、ちょっと耳をすませてみてください。味わっているのは、舌だけじゃないことに気づくはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerWe usually think we judge the texture of food with our mouths, but an experiment at Oxford University… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

We usually think we judge the texture of food with our mouths, but an experiment at Oxford University showed that our ears are also involved. Participants sat in a soundproof booth and bit potato chips with their front teeth. A microphone picked up the biting sounds and sent them back to their headphones at once.

The researchers secretly changed the sounds, making them louder or quieter, or boosting the high frequencies. When the sounds were louder or higher, the chips were rated as crisper and fresher, even though all of the chips were the same. People often do not realize that sound is affecting them. This study won an Ig Nobel Prize in 2008.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

私たちはふだん、食べ物の食感を口で判断していると思っていますが、オックスフォード大学の実験は、耳も関わっていることを示しました。参加者は防音ブースに座り、前歯でポテトチップスをかじりました。マイクがかむ音を拾い、すぐにヘッドホンへ送り返しました。

研究者たちはひそかに音を変え、大きくしたり小さくしたり、高い周波数を強めたりしました。音が大きいときや高いときには、チップスはすべて同じだったにもかかわらず、よりパリパリで新鮮だと評価されました。人はふつう、音が自分に影響していることに気づいていません。この研究は2008年にイグノーベル賞を受賞しました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the researchers change in the experiment?

Q2. Which sounds made the chips seem crisper and fresher?

Q3. What can we infer from "People often do not realize that sound is affecting them"?

重要単語

  • crispB1
    形容詞パリパリしたThese chips are fresh and crisp. 比較級 crisper、名詞 crispness。イギリス英語ではポテチ自体を crisps と呼ぶ。
  • staleB2
    形容詞(食べ物が)しけた、古くなったThe chips went stale overnight. go stale「古くなる・しける」の形で覚える。fresh の反対語として出る。
  • auditoryC1
    形容詞聴覚のAuditory cues change how food feels. audio / audience と同じ audi-(聞く)。visual(視覚の)とセットで覚える。
  • textureB1
    名詞食感、手ざわりI love the texture of fresh bread. text(織られたもの)と同語源。食べ物では「歯ごたえ・舌ざわり」を指す。
  • multisensoryC1
    形容詞多感覚のEating is a multisensory experience. multi-(多くの)+sensory(感覚の)。食・学習の分野でよく使われる学術語。
  • manipulateB2
    動詞操作するThe researchers manipulated the sounds. 実験で条件を変えるときの定番語。「人を操る」という悪い意味もあるので文脈で判断。

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4コマでわかる

ポテチは「耳」でも食べていた。音を大きくしただけで“パリパリで新鮮”に感じた実験の4コマ漫画
ポテチをかじる音をヘッドホンで大きくしたら、同じポテチなのに「よりパリパリで新鮮」と感じたらしい。オックスフォード大の実験で、2008年にイグノーベル賞も受賞。食感って、実は耳でも感じてるんだ。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Zampini & Spence (2004) The role of auditory cues in modulating the perceived crispness and staleness of potato chips, Journal of Sensory Studiesdoi.org
  2. Spence (2015) Eating with our ears: assessing the importance of the sounds of consumption on our perception and enjoyment of multisensory flavour experiences, Flavourdoi.org
  3. Woods et al. (2011) Effect of background noise on food perception, Food Quality and Preferencedoi.org