「よく噛むと太りにくい」は本当? 噛む回数を増やす実験で、食べる量が約1割減った

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よく噛むと、どんな人でも必ず食べる量が減る
若い大人の実験では食べる量が減ったが、高齢者では差がなかった研究もあり、結果は人や条件で変わる。
- 対象
- 若い成人・高齢者
- 規模
- 各10〜45人規模
- 研究の種類
- ランダム化クロスオーバー試験+メタ分析
- 確かさ
- ★★★☆☆
一口あたりの噛む回数を増やすと、若い大人では食べる量が約1〜1.5割減った実験がある。ただし高齢者では差が出なかった研究もあり、長期的に体重が減るかはまだ不明。
ひとことで言うとよく噛むと「おなかいっぱい」の合図が出やすい。でも魔法のダイエットではない!
「一口30回は噛みなさい」。子どものころ、そう言われた人も多いのではないでしょうか。
よく噛むと太りにくい、という話は昔からありますが、本当なのでしょうか。
実は、噛む回数そのものを実験的に変えて、食べる量を測った研究がいくつもあります。その結果は「効果がありそう」。ただし、「誰にでも」「ずっと」とは言い切れない、という面白い結果も出ていました。
01噛む回数を2倍にしたら、食べる量が約15%減
面白いのは、食べ終わったときの「おなかのすき具合」の感じ方には差がなかったことです。つまり、少ない量で同じくらい満足できた、ということになります。
中国の研究チームが2011年に行った実験でも、若い男性30人が一口を40回噛んだ日は、15回の日より食べた量が約12%少なくなりました。このとき、空腹を感じさせるホルモン(グレリン)は少なく、満腹を知らせるホルモン(GLP-1など)は多くなっていたといいます。
この研究では、肥満の人は、そうでない人より1gあたりの噛む回数が少なく、食べるスピードが速いことも観察されています。
02よく噛むと「食後に使うエネルギー」も増える?
食事のあと、体は食べ物を消化・吸収するためにエネルギーを使い、体が少し温まります。これを食事誘発性熱産生と呼びます。
九州大学・東京工業大学(当時)などの研究チーム(ハマダさん、林直亨さんら)が2014年に発表した研究では、同じ食事をよく噛んでゆっくり食べた場合の方が、早食いした場合より、食後のエネルギー消費が大きく、おなかの臓器への血流も増えていました。
ただし、調べたのは100〜300kcalほどの少量の食べ物で、対象も正常体重の健康な10人ほど。これだけで体重が大きく変わるとは言えません。

03高齢者では差が出なかった
一方で、同じアイオワ州立大学のチームが平均72歳の高齢者18人で同じような実験をすると、噛む回数を増やしても食べる量に差はありませんでした。研究者は、年齢とともに食欲の調節の仕組みが変わることが影響しているのかもしれないと考えています。
さらに、2015年のメタ分析では、16の実験のうち、食べる量が減ったのは10件、自己申告で満腹感などへの有意な効果が見られたのは5件にとどまり、研究ごとの結果のばらつきが大きく、都合のいい結果ほど発表されやすい偏り(出版バイアス)の可能性も指摘されました。
ほとんどの実験は1回の食事だけを調べたもので、何か月も続けて体重が減るかどうかは、まだ確かめられていません。
04まとめ
「よく噛むと食べすぎにくい」は、短期の実験では食べる量が減る例が多く見られました。でも、高齢者では差が出なかったり、長期の効果はまだ不明だったりと、万能ではないようです。
まずは一口を小さく、味わって食べる。それだけで、食事の満足度も上がるかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"Chew your food 30 times" is advice that many people heard as children.
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Many parents tell their children to chew their food well. Is this good advice? In a study in the US, 45 young adults ate pizza. When they chewed each bite twice as many times as usual, they ate about 15% less food. They also felt just as full.
But in another study, older people did not eat less when they chewed more. Chewing well may help, but it is not magic.
71 words ・ CEFR A2
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多くの親は子どもに、食べ物をよく噛むように言います。これは良いアドバイスでしょうか。米国の研究で、若い大人45人がピザを食べました。一口ごとにいつもの2倍の回数を噛むと、食べる量が約15%減りました。それでも、同じくらいおなかがいっぱいになったと感じました。
しかし別の研究では、高齢者はよく噛んでも食べる量が減りませんでした。よく噛むことは役に立つかもしれませんが、魔法ではありません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
Is this good advice? と問いかけ、よく噛むと食べる量が減るかを実験で確かめた話なので D。
Q2. How much less did the young adults eat when they chewed twice as many times?
they ate about 15% less food とあるので B。45は参加者の人数。
Q3. In this passage, "bite" means ...
bite は名詞で「一口(分)」。each bite で「一口ごとに」なので C。
"Chew your food 30 times" is advice that many people heard as children. Researchers have tested whether chewing more actually reduces how much we eat. In a 2014 US study, 45 adults ate pizza until they felt comfortably full. When they chewed each bite 1.5 times as often as usual, they ate 9.5% less, and when they chewed twice as often, they ate 14.8% less. They also did not feel hungrier afterward.
A Chinese study found similar results and showed that chewing more lowered a hunger hormone and raised hormones that signal fullness. However, when the US team tested older adults, chewing more did not change how much they ate. Also, most experiments looked at only one meal, so long-term effects on weight are unknown.
125 words ・ CEFR B1
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「一口30回噛みなさい」は、多くの人が子どものころに聞いたアドバイスです。研究者たちは、よく噛むと本当に食べる量が減るのかを調べてきました。米国の2014年の研究では、45人の大人が、ちょうどおなかがいっぱいになるまでピザを食べました。一口ごとにいつもの1.5倍噛むと食べる量は9.5%減り、2倍噛むと14.8%減りました。食後に空腹を強く感じることもありませんでした。
中国の研究も同じような結果を示し、よく噛むと空腹ホルモンが減り、満腹を知らせるホルモンが増えることを明らかにしました。しかし、米国のチームが高齢者で調べると、噛む回数を増やしても食べる量は変わりませんでした。また、ほとんどの実験は1回の食事しか見ていないので、体重への長期的な効果はわかっていません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
Researchers have tested whether chewing more actually reduces how much we eat がテーマなので A。
Q2. What happened when people chewed each bite 1.5 times as often as usual?
1.5倍で 9.5% less、2倍で 14.8% less なので C。
Q3. What can we infer from the study of older adults?
若い大人では効果があったのに、高齢者では did not change how much they ate だったことから、年齢によって効果が違う可能性が推測できる。正解は B。
Chew each mouthful many times, the old advice goes, and you will eat less. A 2014 crossover study in the US put this to the test. On separate days, 45 adults ate pizza until they were comfortably full.
Chewing each bite 1.5 times as often as usual cut their intake by 9.5%, and doubling the chews cut it by 14.8%. They did not report feeling any hungrier. The effect did not hold for everyone, though. The same team found no change in older adults, perhaps because appetite control shifts with age.
A 2015 meta-analysis also pointed to large inconsistencies between studies and possible publication bias, the tendency for positive results to reach print more often. Almost every trial measured a single meal, so these studies say nothing about lasting weight loss. Thorough chewing may raise the energy the body spends on digestion, but the effect on weight is unknown.
The clearest clue to how chewing might work comes from a Chinese experiment with 30 young men. Chewing 40 times per bite instead of 15 reduced intake by about 12%. It also went along with lower levels of ghrelin, a hunger hormone, and higher levels of fullness hormones such as GLP-1.
200 words ・ CEFR B2
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一口を何度も噛めば食べる量が減る、と昔から言われてきました。米国の2014年のクロスオーバー研究が、これを検証しました。45人の大人が、別々の日に、ちょうどおなかがいっぱいになるまでピザを食べたのです。
一口あたりの噛む回数をふだんの1.5倍にすると摂取量は9.5%減り、2倍にすると14.8%減りました。参加者が前より空腹を感じたという報告もありませんでした。ただし、この効果は誰にでも当てはまったわけではありません。同じチームは、高齢者では変化を見つけられませんでした。おそらく年齢とともに食欲の調節が変わるためでしょう。
2015年のメタ分析も、研究間の大きな不一致と、出版バイアス、つまり良い結果ほど論文として発表されやすい傾向がある可能性を指摘しました。ほとんどの試験は1回の食事を測っただけなので、これらの研究から長期的な減量についてはわかりません。よく噛むと、体が消化に使うエネルギーが増えるかもしれませんが、体重への影響はわかっていません。
噛むことがどう働くのかについての最も明確な手がかりは、若い男性30人を対象とした中国の実験から得られています。一口15回ではなく40回噛むと、摂取量は約12%減りました。それとともに、空腹ホルモンのグレリンが低く、GLP-1などの満腹ホルモンが高くなっていました。
4択リーディングクイズ
Q1. Which statement best summarizes the passage?
短期の実験では摂取量が減ったが、高齢者で効果なし・出版バイアス・1食のみといった限界がある、という内容なので D。
Q2. What did the Chinese experiment find?
Chewing 40 times per bite instead of 15 reduced intake by about 12% とあり、グレリンが低く満腹ホルモンが高かったので A。
Q3. What does "publication bias" mean in this passage?
the tendency for positive results to reach print more often と直後で説明されているので C。reach print は「活字になる=発表される」。
重要単語
- chewB1動詞噛むChew your food slowly and carefully.
chewing gum の chew。bite off more than you can chew「手に負えないことを引き受ける」も有名。 - biteA2名詞・動詞一口;噛みつくTake smaller bites when you eat.
名詞の「一口」は have a bite(少し食べる)で会話頻出。活用は bite-bit-bitten。 - appetiteB2名詞食欲Chewing more may reduce your appetite.
an appetite for ~ で「~への欲求」。appetizer(前菜)は食欲をそそるもの。 - satietyC1名詞満腹感Protein-rich foods increase satiety.
発音は /səˈtaɪəti/。satisfy と同じ語源(sat=十分)。 - thermogenesisC1名詞熱産生(エネルギーを熱として使うこと)Eating slowly may increase diet-induced thermogenesis.
thermo(熱)+genesis(発生)。thermometer(温度計)と同じ thermo。 - intakeB2名詞摂取(量)Chewing more reduced food intake.
take in(取り入れる)が名詞になった形。calorie intake / salt intake の形でよく出る。
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一口ごとに噛む回数をいつもの1.5倍、2倍にしたら、ピザを食べる量が9.5%、14.8%減ったという実験がある。ただし高齢者では差が出なかったり、長く続けて体重が減るかは未確認だったりするらしい。
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- Zhu Y, Hollis JH (2014) Increasing the Number of Chews before Swallowing Reduces Meal Size in Normal-Weight, Overweight, and Obese Adults, Journal of the Academy of Nutrition and Dieteticsdoi.org
- Li J et al. (2011) Improvement in chewing activity reduces energy intake in one meal and modulates plasma gut hormone concentrations in obese and lean young Chinese men, American Journal of Clinical Nutritiondoi.org
- Hamada Y, Kashima H, Hayashi N (2014) The number of chews and meal duration affect diet-induced thermogenesis and splanchnic circulation, Obesitydoi.org
- Zhu Y, Hollis JH (2014) Chewing thoroughly reduces eating rate and postprandial food palatability but does not influence meal size in older adults, Physiology & Behaviordoi.org
- Miquel-Kergoat S et al. (2015) Effects of chewing on appetite, food intake and gut hormones: A systematic review and meta-analysis, Physiology & Behaviordoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












