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しゃっくりの止め方、科学的に「決定版」はあるのか? 息止めからイグノーベル賞まで

しゃっくりの止め方、科学的に「決定版」はあるのか? 息止めからイグノーベル賞まで

読む前に予想してみよう!

しゃっくりの「ヒック」という音は、声帯のあたりが急に閉じることで出る

研究カード(どんな研究?)
対象
しゃっくりが出たことのある成人
規模
約250人
研究の種類
対照群のないアンケート調査(横断研究)
確かさ
★☆☆☆☆
3秒でわかる

しゃっくりは横隔膜のけいれんと声門が閉じる音のセット。息止めや水を飲む方法には理屈はあるが、しっかりした比較実験はほとんどない。

ひとことで言うとしゃっくりは横隔膜が急に縮む反射。止め方の決定版はまだない!

もくじ
  1. しゃっくりの正体は「2つの動きのセット」
  2. なぜ人はしゃっくりをするのか?
  3. よくある止め方の「理屈」
  4. まさかのイグノーベル賞
  5. まとめ

「ヒック!」――会議中や授業中に始まると、止まらなくて本当に困りますよね。

息を止める、水を一気に飲む、誰かに驚かしてもらう……。しゃっくりの止め方は世界中に山ほどあります。

でも、科学的に「これが一番効く」と決まった方法はあるのでしょうか? 調べてみると、意外な事実が見えてきました。

01しゃっくりの正体は「2つの動きのセット」

しゃっくりは、2つの動きが一瞬で起こる現象です。

  1. 横隔膜(肺の下にある、ドーム型の呼吸の筋肉)が、急にピクッと縮む
  2. 空気が勢いよく吸い込まれた直後に、のどの奥の声門(声帯のすき間)がパタンと閉じる

この「パタン」が、あの「ヒック」の音の正体です。ドアを勢いよく閉めたときの音に近いイメージですね。

この動きは、迷走神経や横隔神経といった神経と、脳の中の「しゃっくり回路」がつくる反射で起こります。反射なので、自分の意思では止めにくいんです。

02なぜ人はしゃっくりをするのか?

実はこれ自体が、まだはっきりわかっていません。

おなかの中の赤ちゃんもしゃっくりをすることが知られていて、呼吸の練習説や、哺乳のときに胃の空気を出す名残説などが提案されていますが、決着はついていません。

ふだんのしゃっくりの引き金としてよく挙げられるのは、早食い・大食い・炭酸飲料・お酒など。胃が急にふくらんだり、のどや食道が刺激されたりすると、反射回路のスイッチが入りやすいと考えられています。

03よくある止め方の「理屈」

よく言われる方法には、それなりの理屈があります。

  • 息を止める:血液中の二酸化炭素が増え、横隔膜の動きが落ち着くという説
  • 冷たい水をゆっくり飲む:飲み込む動作や、のどへの刺激で迷走神経に働きかける説
  • 舌を軽く引っぱる、砂糖をなめる:のどの奥の刺激で反射回路をリセットする説

どれも「反射回路に別の刺激を入れて、ループを断ち切る」というイメージです。

止め方の多くは「反射のループに別の刺激を差し込む」作戦
止め方の多くは「反射のループに別の刺激を差し込む」作戦

04まさかのイグノーベル賞

しゃっくり研究には、ちょっと笑える歴史もあります。どうしても止まらないしゃっくりを、おしりの穴からの指によるマッサージで止めたという症例報告が1988年(アメリカ)と1990年(イスラエル)に発表され、それぞれの著者が2006年に「人を笑わせ、考えさせる研究」に贈られるイグノーベル賞を受賞しました。

もちろん、家でまねするものではありません。それだけ「確実な方法がない」ことの裏返しでもあります。

05まとめ

しゃっくりは横隔膜と声門の「セット反射」。止め方には理屈があるものの、「これが決定版」と言える比較実験はほとんどない、というのが科学の正直な答えでした。

ほとんどのしゃっくりは自然に止まります。息止めや水をゆっくり飲むなど、安全な方法で気長に付き合いましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA hiccup is made of two quick actions. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A hiccup is made of two quick actions. First, the diaphragm, the dome-shaped muscle under the lungs, suddenly contracts and pulls in air. Then the glottis, the gap between the vocal cords, snaps shut, which makes the "hic" sound. Because it is a reflex, we cannot easily stop it by choice.

There are many home remedies, such as holding your breath or slowly drinking cold water, and each has a possible reason. In 2021, a study of a straw-like tool reported that about 90 percent of users said their hiccups stopped. However, the study had no control group and relied on what users reported, so we still do not know how well it works.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

しゃっくりは2つのすばやい動きでできています。まず、肺の下にあるドーム型の筋肉である横隔膜が急に縮み、空気を吸い込みます。次に、声帯の間のすき間である声門がパタンと閉じ、これが「ヒック」という音を出します。しゃっくりは反射なので、自分の意思で簡単に止めることはできません。

息を止める、冷たい水をゆっくり飲むなど、民間療法はたくさんあり、どれにもそれなりの理由があります。2021年、ストローのような器具についての研究で、使った人の約9割が「しゃっくりが止まった」と答えたと報告されました。しかし、この研究には対照群がなく、使った人の申告に頼っていたので、どれくらい効くのかはまだわかっていません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What causes the "hic" sound?

Q3. Why is the result of the 2021 study uncertain?

重要単語

  • hiccupB2
    名詞・動詞しゃっくり(をする)/ちょっとした問題I couldn't stop hiccupping during class. 音をまねた語。have (the) hiccups「しゃっくりが出る」。比喩で a minor hiccup「小さなつまずき」とも言う。
  • diaphragmC1
    名詞横隔膜The diaphragm is the main muscle for breathing. 発音は /ˈdaɪəfræm/(ダイアフラム)。g は発音しない。カメラの「絞り」も diaphragm。
  • reflexC1
    名詞反射A hiccup is an involuntary reflex. re-(返って)+flex(曲がる)。reflect(反射する・反映する)と同語源。
  • remedyB2
    名詞治療法、対処法Holding your breath is a popular home remedy. home remedy「民間療法」。a remedy for ~「~の解決策」の形で社会問題の文脈でも使う。
  • control groupC1
    名詞(句)対照群Without a control group, we can't measure the effect. 何もしない(または偽の処置をする)比較用のグループ。実験の信頼性を問う問題で頻出。
  • involuntaryC1
    形容詞不随意の、無意識のBlinking is often involuntary. in-(否定)+voluntary(自発的な)。volunteer(ボランティア)と同語源。
  • scarceB2
    形容詞乏しい、不足しているReliable evidence is scarce. 名詞 scarcity(不足)。副詞 scarcely は「ほとんど~ない」で hardly と同じ。入試の語彙問題で頻出。

動画でもっと知る

しゃっくりの止め方、実は「これが確実」という比較実験はほとんどないらしい。息止めも水もそれなりの理屈はある。ちなみに奇抜な止め方の論文はイグノーベル賞を受賞している。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Alvarez et al. (2021) Evaluation of the Forced Inspiratory Suction and Swallow Tool to Stop Hiccups, JAMA Network Opendoi.org
  2. Kahrilas & Shi (1997) Why do we hiccup?, Gutdoi.org
  3. Steger, Schneemann & Fox (2015) Systemic review: the pathogenesis and pharmacological treatment of hiccups, Alimentary Pharmacology & Therapeuticsdoi.org
  4. Odeh et al. (1990) Termination of intractable hiccups with digital rectal massage, Journal of Internal Medicinedoi.org