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「食後すぐの歯みがきはNG」説、その後の研究で風向きが変わっていた

「食後すぐの歯みがきはNG」説、その後の研究で風向きが変わっていた

読む前に予想してみよう!

日本小児歯科学会は、ふつうの食事のあとなら、すぐに歯をみがいてよいという考えを示している

研究カード(どんな研究?)
対象
口の中に歯の試料を装着した実験(in situ)など
規模
17研究(スコーピングレビュー)
研究の種類
系統的レビュー・メタ分析+実験研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

「酸で歯がやわらかくなるから食後30分待て」説は、一部の実験がもと。その後の研究のまとめでは、フッ素入り歯みがき粉なら食後すぐでも問題ないという見方が強い。

ひとことで言うとふつうの食事のあとなら、すぐ歯をみがいてOKという考えが広がっている!

もくじ
  1. 「酸で歯がやわらかくなる」は本当
  2. 「待て」説のもとになった実験
  3. その後の研究をまとめると…
  4. まとめ

「食べてすぐ歯をみがくと、歯が削れるから30分は待ちなさい」。テレビや雑誌で、こんな話を聞いたことはありませんか?

これを信じて、食後の歯みがきをわざと遅らせている人もいるかもしれません。

でも、この説のもとになった実験の条件をよく見て、その後の研究をまとめてみると、風向きはかなり変わっていたんです。

01「酸で歯がやわらかくなる」は本当

まず、前提となる話は本当です。

炭酸飲料、スポーツドリンク、かんきつ類、お酢などの酸っぱいものを口にすると、歯の表面(エナメル質)が酸で少し溶けて、一時的にやわらかくなります。この状態でゴシゴシみがくと、表面が削れやすくなる――これが「待て」説の理屈です。

酸によって歯が少しずつ溶けていく状態は酸蝕歯(さんしょくし)と呼ばれます。虫歯菌のしわざではなく、飲食物の酸そのもので溶けるのが特徴です。

02「待て」説のもとになった実験

この研究などがもとになって、「食後すぐの歯みがきはNG」という話が広まりました。

ただしこの実験は、酸性の飲み物にひたした歯のかけらを、決まった条件でみがいて調べたもの。参加者も数人と少なく、ふだんのごはんのあとと、まったく同じ状況ではありません。

酸で歯は一時的にやわらかくなる。でもフッ素が守り役になる
酸で歯は一時的にやわらかくなる。でもフッ素が守り役になる

03その後の研究をまとめると…

その後、同じようなテーマの研究がたくさん行われました。

  • 2007年の研究では、2時間待っても削れ方はほとんど変わらなかった一方、フッ素入りの歯みがき粉を使うと削れ方がおさえられた
  • 2020年に発表されたメタ分析では、人のエナメル質では、待ってからみがいても、すぐみがいても、削れ方に有意な差はなかった
  • 2024年のレビューでは、フッ素入りの製品を使えば、酸のあとすぐにみがいても酸蝕歯のリスクを高めないという結論で、虫歯予防の推奨とも一致するとしています

日本でも、日本小児歯科学会が2014年に、ふつうの食事のあとなら食後すぐの歯みがきで問題ないという見解を示しています。

しかも、待っている間に、口の中の虫歯菌は食べかすの糖を使って酸を出し続けます。虫歯予防の面から見ると、だらだら待つより、早めにみがいたほうがいい場面も多いのです。

04まとめ

「食後すぐの歯みがきはNG」は、強い酸を使った実験がもとになった説でした。その後の研究のまとめでは、フッ素入り歯みがき粉なら、ふつうの食事のあとすぐにみがいて問題ないという見方が強くなっています。

科学は、新しい研究でどんどん更新されていくもの。「昔聞いた常識」も、ときどきアップデートしてみましょう。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerA common rule says you should wait 30 to 60 minutes after eating before brushing your teeth. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

A common rule says you should wait 30 to 60 minutes after eating before brushing your teeth. The rule comes from a real fact. Acidic foods and drinks, such as sodas and citrus fruits, can soften the enamel on the surface of teeth for a while. In 2001, a German team placed pieces of human teeth in devices worn in the mouth. They exposed the pieces to an acidic soft drink and found that waiting longer before brushing caused less wear.

But the study had only a few participants and used strong acid. Later research, including a 2024 review, found that brushing soon after eating with fluoride toothpaste does not raise the risk of tooth erosion.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

食後30〜60分待ってから歯をみがくべきだ、というよく知られたルールがあります。このルールは本当の事実から来ています。炭酸飲料やかんきつ類などの酸性の食べ物や飲み物は、歯の表面のエナメル質を一時的にやわらかくすることがあるのです。2001年、ドイツのチームは口の中に装着する装置に人の歯のかけらを入れました。そのかけらを酸性の炭酸飲料にさらしたところ、みがくまでの時間を長くとるほど削れ方が小さくなることがわかりました。

しかし、この研究の参加者はわずか数人で、強い酸を使っていました。2024年のレビューを含むその後の研究では、フッ素入り歯みがき粉を使えば、食後すぐにみがいても酸蝕歯のリスクは上がらないことがわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did the 2001 experiment use?

Q3. Why might the 2001 results not apply to everyday meals?

重要単語

  • enamelC1
    名詞エナメル質(歯の表面)Enamel is the hardest tissue in the human body. 発音は /ɪˈnæməl/(イナメル)。塗料の「エナメル」と同じ語で、つやのある硬い表面のイメージ。
  • erosionC1
    名詞侵食、(歯の)酸蝕Soft drinks can cause tooth erosion. 動詞は erode(侵食する)。soil erosion(土壌侵食)など地理の長文でも頻出。
  • fluorideC1
    名詞フッ化物(フッ素)Fluoride toothpaste helps protect your teeth. 発音は /ˈflʊəraɪd/。元素のフッ素は fluorine。歯みがき粉の箱で見かける語。
  • abrasionC1
    名詞すり減り、摩耗Brushing too hard can cause abrasion. 動詞 abrade(すり減らす)。abrasive「研磨剤/(態度が)とげとげしい」も派生語。
  • cavityB2
    名詞虫歯(の穴)、空洞Sugar feeds the bacteria that cause cavities. cave(ほら穴)と同語源で「くぼみ」が原義。tooth decay も「虫歯」。
  • acidicB2
    形容詞酸性のLemon juice is very acidic. acid(酸)の形容詞。反対は alkaline(アルカリ性の)。acid rain(酸性雨)も頻出。
  • temporarilyB2
    副詞一時的にThe shop is temporarily closed. tempo(時)が語源。反対は permanently(永久に)。temporary の副詞形。

動画でもっと知る

「食後すぐ歯をみがくと歯が削れる」説、もとは酸性飲料に歯をひたした実験だったらしい。その後の研究のまとめでは、フッ素入り歯みがき粉ならふつうの食事後すぐみがいて問題ないという見方が広がっている。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Attin et al. (2001) In situ evaluation of different remineralization periods to decrease brushing abrasion of demineralized enamel, Caries Researchdoi.org
  2. Ganss et al. (2007) Efficacy of waiting periods and topical fluoride treatment on toothbrush abrasion of eroded enamel in situ, Caries Researchdoi.org
  3. Hong et al. (2020) Does delayed toothbrushing after the consumption of erosive foodstuffs or beverages decrease erosive tooth wear? A systematic review and meta-analysis, Clinical Oral Investigationsdoi.org
  4. Fernández et al. (2024) Should We Wait to Brush Our Teeth? A Scoping Review Regarding Dental Caries and Erosive Tooth Wear, Caries Researchdoi.org