- 10月16日12時40分、「千島列島でM9.9・最大震度7」の緊急地震速報 → 8分後の12時48分に取り消し
- 本当の地震はカムチャツカ半島付近のM6.9(深さ約160km)。国内の揺れは函館市の震度1だけ
- 気象庁は「マグニチュードを過大に推定した」と謝罪。サイバー攻撃は否定。なぜ過大になったかは調査中
何が起きた?8分間のタイムライン
- 12:36速報が「地震が起きた」とまちがって推定した時刻(震源は千島列島)
- 12:38ごろ、実際の地震がカムチャツカ半島付近で発生(M6.9・深さ約160km)
- 12:40緊急地震速報(警報)。対象は北海道・東北・関東・北陸・甲信・東海・伊豆諸島。東海道新幹線は新横浜〜豊橋で一時見合わせ(約15分後に再開)
- 12:48速報を取り消し。取り消しの通知でも同じ警報音が鳴ったスマホがあり、さらに混乱
- 14:00気象庁が会見。担当課長が「大変申し訳ございませんでした」と謝罪。警報の取り消しは初めて
| 緊急地震速報 | 実際の地震 | |
|---|---|---|
| 震源 | 千島列島 | カムチャツカ半島付近 |
| 規模 | M9.9 | M6.9 |
| 発生時刻 | 12時36分ごろ | 12時38分ごろ |
| 最大震度 | 7(予想) | 1(北海道函館市) |
つまり地震そのものは本当にあったけれど、コンピューターが場所も時刻も規模もまちがえて「超巨大地震」と判定してしまった、というのが今回の正体です。
マグニチュード9.9ってどれくらい?
マグニチュード(M)は1上がるとエネルギーが約32倍、2上がると約1000倍になります。数字が少し違うだけで、中身はケタ違いです。
(M9.0)の
(M7.3)の
(M6.9)の
人類が観測した最大の地震は1960年のチリ地震(M9.5)。M9.9はそれを大きく超える、まだ誰も見たことのない規模です。
震源の断層は「本州まるごと」級
Mが2違うと、ずれる断層の長さも10倍違います。M9の断層は長さ500kmほどなので、単純に計算するとM9.9は長さ1,400km前後。本州がすっぽり入る長さの岩盤が、一気にずれる計算です(あくまで目安)。
マグニチュードと震度はちがう
マグニチュード=地震そのものの大きさ、震度=その場所の揺れの強さです。今回の本当の地震はM6.9とそこそこ大きいものの、震源が遠くて約160kmと深かったため、日本では函館市の震度1にとどまりました。
M9.9の地震は起こりうる?
国(内閣府)が想定する、このあたりの最大級の地震は千島海溝でM9.3、日本海溝でM9.1です。東日本大震災のあと「M10クラスも起こりうる」と指摘した研究者もいますが、M9.9は現実の防災想定よりずっと上の数字です。
なぜM6.9が「9.9」に?誤報の原因
気象庁の説明は、震源を千島列島と決め、マグニチュードを9.9と過大に推定したというもの。なぜ過大になったのかは「調査中」で、まだ発表されていません。
緊急地震速報は、最初に届く小さな揺れ(P波)を数秒だけ捉えて、震源や規模を自動で計算し、強い揺れより先に知らせるしくみです。スピード勝負なので、もともと次のような弱点があります。
| 起きやすいミス | 過去の例 |
|---|---|
| 観測網から遠い・深い地震は誤差が大きい | 今回の地震は日本の外、深さ約160km |
| 近い時間の別々の地震を「1つの大地震」と誤認 | 2018年1月5日、茨城県沖と富山県の地震をまとめてしまい関東に速報 |
| 観測点の機器の異常な数値 | 2009年8月25日、千葉県の観測点の異常値で規模を過大に |
今回どれが当てはまるのかは、気象庁の調査結果を待つ必要があります。
ネットの陰謀論・ウワサをファクトチェック

速報の直後、Xでは「地球滅亡レベル」「ハッキングでは?」といった投稿があふれ、検索がつながりにくくなるほどでした。広まった説を1つずつ確かめます。
取り消しなのに、なぜまた鳴った?
今回は「取り消し」の知らせでも、最初と同じ警報音が鳴ったスマホがありました。SNSでは「同じ音で2回鳴るから怖かった」「取り消しは違う音にしてほしい」という声が続出しています。
気象庁によると、速報の取り消しは落雷などの揺れを地震とまちがえたときのためのしくみで、予想震度が下がっただけなら通常は取り消しません。警報が取り消されたのは今回が初めてで、それだけ珍しい事態でした。
次に鳴ったら、どうする?
「どうせまた誤報でしょ」が一番危険です。速報から強い揺れまでは数秒〜数十秒。鳴ったら考える前に、まず身を守りましょう。
ニュースの英語でいうと?
- earthquake early warning
- 緊急地震速報(EEW)
- false alarm
- 誤報
- overestimate
- 過大に見積もる
- retract / cancel
- (発表を)取り消す
- conspiracy theory
- 陰謀論
