
Passover
過越祭(ペサハ)の由来と歴史(詳しく)
いつから?なぜ?名前の意味は? 過越祭(ペサハ)の本当の話を、確かな資料でたどります。
1過越祭の由来:出エジプトの夜、「過ぎ越された」家
物語の舞台は古代エジプトです。聖書の『出エジプト記』によると、イスラエルの民(のちのユダヤの人々)はエジプトで奴隷として働かされていました。神は王ファラオに民を解放させるため、10の災いを下します。最後の災いの夜、イスラエルの人々は子羊の血を家の戸口の柱にぬりました。災いはそのしるしのある家を「過ぎ越し」たと書かれています。
その夜、人々は急いでエジプトを出発しました。パン生地をふくらませる時間もなかったので、ふくらんでいない平たいパンを焼いて持っていきました。過越祭で食べる「マッツァー(種なしパン)」は、この話にちなんでいます。
過越祭は、ユダヤ暦ニサン月の15日に始まります。ユダヤ教では1日は日没から始まるので、祭りは前の日の夕方からスタートします。イスラエルでは7日間、それ以外の国では多くの場合8日間続きます。

2「ペサハ」と「Passover」の意味:英語の名前は1530年生まれ
ヘブライ語の「ペサハ」は、普通「過ぎ越す」という意味だと説明されます。ただし、この動詞の本当の意味については学者の間でも議論があり、古いアラム語訳では「あわれみをかけた」と訳されています。
英語の Passover は、もともとあった言葉ではありません。1530年、聖書を英語に訳したウィリアム・ティンダルが『出エジプト記』12章の翻訳のために作った言葉です。pass over(過ぎ越す)をそのままつなげて1語にしました。
もうひとつ意外なつながりがあります。キリスト教のイースター(復活祭)は、フランス語で Pâques、イタリア語で Pasqua、スペイン語で Pascua。どれもペサハから来たギリシア語・ラテン語の「パスカ」がもとです。新約聖書の福音書では、イエスの最後の晩餐や十字架の出来事が、過越祭のころのこととして描かれているからです。
3過越祭の過ごし方:セーデルの夜と「4つの質問」
祭りの最初の夜、家族や友人が集まって「セーデル」という食事をします。セーデルはヘブライ語で「順序」。15の手順が決まっていて、「ハガダー」という本を読みながら、出エジプトの物語を順番に語っていきます。
テーブルの中央には、6つの品をのせた「セーデル皿」があります。奴隷の苦しさを表す苦い野菜「マロール」と、もう1種類の苦い葉野菜「ハゼレット」。エジプトで作らされたれんがのしっくいを表すとされる、果物とナッツの甘いペースト「ハロセット」。塩水などにつけて食べる野菜「カルパス」。焼いた骨「ゼロア」と焼いた卵「ベイツァー」は、昔の神殿でささげられたいけにえを思い出させます。
いちばん年下の子どもが「なぜ今夜は、ほかの夜とちがうの?」と、決まった4つの質問をします。大人はそれに答える形で物語を語ります。ぶどう酒(またはぶどうジュース)は4杯。自由な人のしるしとして、左にもたれて飲みます。
子どもたちのお楽しみは「アフィコマン」です。途中で割ったマッツァーの大きいほうを大人がかくし、子どもが探し出すとごほうびがもらえます。最後に預言者エリヤのための杯を用意して扉を開け、「来年はエルサレムで」と唱えてセーデルを終えます。
🎁 シンボルと小物
ふくらんでいない平たいパン。急いでエジプトを出た人々を思い出すために食べます。
苦い野菜、甘いペースト、野菜、焼いた骨、焼いた卵など6つの品をのせる皿。
解放を表す聖書の4つの言葉にちなんで、セーデルの間に4杯飲みます。子どもはぶどうジュース。
セーデルで読む本。「語ること」という意味で、物語・祈り・歌がのっています。
預言者エリヤのために5杯目を注ぎ、扉を開けて迎えます。
4家じゅうのパンくずを探す:「ハメツ」を断つ1週間
過越祭の間は、小麦などの穀物を水とまぜて発酵させた食品「ハメツ」を食べることも、家に置いておくことも禁じられています。目安は、粉が水にふれてから18分。それ以上たつと発酵が始まったとみなされます。パンもパスタもビールも、この期間はがまんです。
そのため、祭りの前の家は大掃除になります。前の晩には、ろうそくの明かりで家じゅうのハメツを探す「ベディカット・ハメツ」を行い、見つけたものは翌朝燃やします。どうしても捨てられない食品は、ラビ(ユダヤ教の指導者)を通してユダヤ教徒ではない人に「売り」、祭りのあとで買い戻す方法もあります。過越祭専用の食器を持つ家庭もあります。
日本の年末の大掃除と、少し似ていると感じる人もいるでしょう。ただ、ペサハの掃除は「パンくず1つ残さない」ことに意味があります。
5過越祭のよくある誤解とホントのところ
誤解1:過越祭は「ユダヤ教のイースター」
ホント:時期が近く、名前の語源も同じですが、別の祭りです。過越祭は出エジプトの解放、イースターはイエスの復活を祝います。
誤解2:毎年同じ日に始まる
ホント:ユダヤ暦は月の満ち欠けと太陽の動きを組み合わせた暦なので、西暦では毎年日付が変わります。2026年は4月1日の日没から、2027年は4月21日の日没からです。
誤解3:宗教を厳しく守る人だけの行事
ホント:ふだんは宗教的な決まりをあまり守らない人でも、セーデルには参加する人が多いといわれます。2022年には、イスラエルの宇宙飛行士エイタン・スティッベが国際宇宙ステーションで、宇宙で初めてのセーデルを行いました。
🕰️ 過越祭(ペサハ)の年表
- 古代聖書の『出エジプト記』に、イスラエルの民がエジプトを脱出した物語と、過越のおきてが記される。
- 1300年ごろ『鳥の頭のハガダー』に「来年はエルサレムで」の言葉が見える。この言葉が記録に残る最初の例とされる。
- 1530年ウィリアム・ティンダルが英語の Passover という言葉を作る。
- 1839年フランスでマッツァーを作る機械が発明され、工場で作るマッツァーが広まる。
- 1969年ワシントンD.C.で、黒人の解放運動と出エジプトを重ねた「フリーダム・セーデル」が行われる。
- 2022年国際宇宙ステーションで、宇宙で初めてのセーデル。
💡Fun Facts過越祭(ペサハ)の豆知識 6連発
英語の Passover は、1530年にウィリアム・ティンダルが聖書の翻訳のために作った言葉です。
The English word Passover was made by William Tyndale in 1530.
ハメツかどうかの目安は「18分」。粉が水にふれて18分たつと、発酵が始まったとみなされます。
If flour and water sit for 18 minutes, the dough is not good for Passover.
イタリア語の Pasqua、フランス語の Pâques など、多くの言語でイースターの名前は「ペサハ」から来ています。
In Italian, Easter is Pasqua. The name comes from Pesach.
2022年、イスラエルの宇宙飛行士が国際宇宙ステーションで、宇宙で初めてのセーデルを行いました。
In 2022, an astronaut had the first Seder in space.
ネパールのカトマンズでは、ユダヤ教の団体が開くセーデルに、例年1,200人以上が集まります。
In Kathmandu, Nepal, more than 1,200 people come to one big Seder.
マッツァーを作る機械は1839年にフランスで発明されました。それまでは、すべて手作りでした。
The first matzah machine was made in France in 1839.
▶️Videos & Links過越祭(ペサハ)の動画とリンク集
The Last Supper was a Passover Seder [From The Passover Communion Mystery (Message 2382)]Jonathan Cahn Official
How To Passover Seder ft. Larry KingGood Mythical Morning
The Passover Seder: What to ExpectBimBam

