Groundhog Day

グラウンドホッグデーの由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? グラウンドホッグデーの本当の話を、確かな資料でたどります。

1グラウンドホッグデーの由来:もとはドイツの「アナグマの日」

2月2日は、キリスト教の「聖燭祭(キャンドルマス)」の日です。クリスマスから40日目にあたり、教会でろうそくを祝福して、1年間大切に使います。真冬のまん中、「光」を祝う日なのです。

ヨーロッパでは昔から、この日の天気で冬の長さを占いました。スコットランドには「聖燭祭が晴れれば冬が2回来る」という意味の言い伝えがあります。晴れた聖燭祭は、むしろ冬が長引くしるし。ここがポイントです。

ドイツでは、その占い役が動物でした。この日に冬眠中のアナグマが外に出て、自分の影を見たら、冬はまだ続く。もともとはクマが占い役だったのが、クマが少なくなってアナグマに代わったともいわれます。地域によってはキツネが占い役のこともあり、ハンガリーでは今もクマです。

18世紀を中心に、ドイツ語を話す人々がアメリカのペンシルベニアに移り住みます。「ペンシルベニア・ダッチ」と呼ばれる人たちです。新しい土地でアナグマの代わりに選ばれたのが、あちこちで巣穴を掘っていたグラウンドホッグでした。ヨーロッパの教会の暦と、アメリカの野原の動物が出会って、グラウンドホッグデーが生まれたのです。

グラウンドホッグデー(Groundhog Day)のイラスト

2グラウンドホッグデーの歴史:1840年の日記から、新聞記者の「仕掛け」へ

この習慣が文字で残る最古の記録は、1840年2月2日の日記です。ペンシルベニア州モーガンタウンのジェームズ・L・モリスという人が、グラウンドホッグの言い伝えを書きとめていました。

大きく変わったのは1886年。パンクサトーニーの新聞『パンクサトーニー・スピリット』が、地元のグラウンドホッグの「予報」を記事にしました。翌1887年、町はずれの丘「ゴブラーズ・ノブ」で、最初の「公式」なグラウンドホッグデーが開かれます。仕掛け人として「生みの親」と呼ばれるのが、この新聞の編集者クライマー・フリースです。

初めのころは、男たちが野山でグラウンドホッグをつかまえ、料理して食べる「グラウンドホッグの宴」も行われていました。1899年には「パンクサトーニー・グラウンドホッグ・クラブ」が結成されます。実は、予報役が「フィル」と名づけられたのは、ずっとあとの1961年です。

人気を一気に高めたのが、1993年の映画『恋はデジャ・ブ』(原題 Groundhog Day)でした。それまで約2000人だった見物客は、映画のあと約1万人にふくらみます。今では多い年は4万人。町の人口(2020年で5769人)の何倍もの人が、2月の寒い夜明けに集まるのです。

🕰️ グラウンドホッグデーの年表

  1. 4世紀(380年代)エルサレムで聖燭祭にあたる祝いが行われた記録。のちに西ヨーロッパに広がる。
  2. 18〜19世紀ドイツ系の人々がペンシルベニアに移住。アナグマの言い伝えをグラウンドホッグに置きかえる。
  3. 1840年ペンシルベニア州モーガンタウンの日記に、最古の記録が残る。
  4. 1886年地元紙『パンクサトーニー・スピリット』がグラウンドホッグの予報を報じる。
  5. 1887年ゴブラーズ・ノブで最初の「公式」グラウンドホッグデー。
  6. 1899年パンクサトーニー・グラウンドホッグ・クラブが結成される。
  7. 1956年カナダ・オンタリオ州ワイアトンで、のちのウィリーの祭りが始まる。
  8. 1961年予報役のグラウンドホッグが「フィル」と名づけられる。
  9. 1993年映画『Groundhog Day(恋はデジャ・ブ)』公開。見物客が急増する。
  10. 2006年映画がアメリカの国立フィルム登録簿に選ばれる。
  11. 2009年アラスカ州が2月2日を「マーモットの日」に。スタテンアイランド・チャックが市長にかみつく。
  12. 2024年フィルとフィリスに2匹の赤ちゃん。行事の歴史で初めて。

3「グラウンドホッグ」の意味:ブタでもない、木も投げない

groundhog を直訳すると「地面(ground)のブタ(hog)」。でもブタの仲間ではありません。リスの仲間(リス科)で、マーモットという大型の地上性リスの一種です。体重はおとなで2〜6キロほど。穴を掘るのが得意で、ある研究者が測った巣穴は、わき道をふくめて約15メートルもありました。実は泳ぎも上手で、木にも登ります。

もう一つの名前が woodchuck(ウッドチャック)。wood(木)と chuck(投げる)に見えますが、どちらとも関係ありません。北アメリカの先住民のアルゴンキン語族の言葉で、この動物を呼んだ名前(ナラガンセット語の wuchak など)が、英語の耳に「ウッドチャック」と聞こえたのが始まりと考えられています。それなのに英語には How much wood would a woodchuck chuck if a woodchuck could chuck wood?(ウッドチャックが木を投げられるなら、どれだけ投げる?)という有名な早口言葉まであるのだから、おもしろいものです。ほかにも whistle-pig(口笛ブタ)という愛称があり、危険を感じると高い声で鳴くことから来ています。

この動物の冬眠はすごいものです。体温は約2度まで下がり、心臓は1分間に4〜10回しか打たず、呼吸は約6分に1回。2月までに体重が半分近く減ることもあります。そんな真冬の朝に起こされて「予報」をさせられるのですから、フィルも大変です。

4グラウンドホッグデーの過ごし方:シルクハットと「マーモット語」の通訳

2月2日、まだ暗いうちから、ゴブラーズ・ノブには人が集まり始めます。音楽やショーで寒さをまぎらわしながら、みんなで夜明けを待ちます。そしていよいよ、主役の登場です。

ステージに立つのは、シルクハットにタキシード姿の男性たち。グラウンドホッグ・クラブの「インナー・サークル」です。会長がフィルの声に耳をかたむけ、アカシアの木でできた杖の力で、フィルの「グラウンドホッグ語(Groundhogese)」を聞き取るのだといいます。続いて副会長が、予報の書かれた巻物を読み上げます。実は巻物は、どちらの結果になってもいいように前もって両方用意されています。影を見たら「冬があと6週間」、見なかったら「春は早い」。

記録をたどると、1886年から2026年までで「冬が続く」が109回、「春が早い」は20回。記録が残っていない年が10回、中止の年が1回。さらに戦争中のある年には「戦争の雲で影が一部さえぎられた」という記録まであります。

クラブの言い分では、フィルは決してまちがえません。予報が外れたら、それはフィルの言葉を通訳した人のミス、というわけです。さらにフィルは1887年からずっと同じ1匹で、毎年秋のピクニックで「長生きの薬(グラウンドホッグ・パンチ)」を飲んでいるから長生きなのだ、とも。こうした大まじめな冗談こそ、この行事の最大の楽しみです。ふだんのフィルは、町の図書館につくられた部屋で、パートナーのフィリスと暮らしてきました。2024年3月には、行事の歴史で初めて、2匹の赤ちゃんの誕生が発表されます。グラウンドホッグは飼育下では子どもを産まないと思われていたので、クラブも驚き、家族のための広いすみかをゴブラーズ・ノブにつくる計画を立てました。

🎁 シンボルと小物

🐿️グラウンドホッグ(ウッドチャック)groundhog

リスの仲間のマーモット。この日の主役。

👤影shadow

見えたら冬があと6週間、見えなければ春が早い。

🎩シルクハットtop hat

インナー・サークルのメンバーの正装。タキシードとセット。

🦯アカシアの杖acacia cane

これを持つ会長だけがフィルの言葉を聞き取れる、という設定。

📜巻物scroll

予報が書かれた巻物。結果ごとに前もって用意され、ステージで読み上げられる。

🕯️ろうそくcandle

同じ日の聖燭祭(キャンドルマス)で教会のろうそくを祝福する。

🎬映画movie

1993年の『Groundhog Day』で世界的に有名になった。

🍽️ この日の食べ物

🥞クレープcrêpes

フランスやベルギーでは同じ2月2日(シャンドルール)にクレープを焼く。春の訪れと結びつけられる食べ物。

🫔タマレスtamales

メキシコでは2月2日の「カンデラリアの日」にトウモロコシの蒸し料理を食べる。

🍹グラウンドホッグ・パンチgroundhog punch

フィルが毎年飲むという「長生きの薬」。もちろんお話の中の飲み物。

🍖グラウンドホッグの宴groundhog feast

初期のパンクサトーニーでは、つかまえたグラウンドホッグを料理して食べる会があった。

5海外の予報動物たち:かみつくチャック、はく製のウィリー

フィルのライバルは、アメリカやカナダの各地にいます。

ニューヨークの「スタテンアイランド・チャック」は、スタテンアイランド動物園の人気者。2009年には、式典でブルームバーグ市長にかみつきました。そして2014年、デブラシオ市長が代役のメス「シャーロット」を手から落としてしまい、シャーロットは約1週間後に死んでしまいます。動物園がそれを明らかにしたのは何か月もあとでした。ちなみにアメリカ海洋大気庁(NOAA)が2025年に19の予報動物をくらべたところ、チャックは20年間で約85%の的中率で1位、フィルは約35%で17位でした。

カナダのオンタリオ州には「ワイアトン・ウィリー」がいます。始まりは1956年、町の住人が友人を呼んで開いた冗談まじりの集まりでした。1999年には、行事の2日前にウィリーが死んでしまい、主催者はタキシードを着せたはく製のグラウンドホッグをひつぎに入れて「お葬式」を開きました。

ノバスコシア州の「シュベナカディ・サム」は、大西洋時間の地域にいるので、北アメリカでいちばん早く予報を出します。2021年からはメスの「サマンサ」がこの役を受けついでいます。ケベック州には2009年から2023年まで「マーモットのフレッド」がいました。アラスカ州は2009年、グラウンドホッグの代わりに2月2日を「マーモットの日」と定めています。

6映画『恋はデジャ・ブ』:「Groundhog Day」が英語の言い回しになった

1993年2月、アメリカで1本のコメディ映画が公開されました。ハロルド・ライミス監督、ビル・マーレイ主演の『Groundhog Day』。日本では同じ年の10月に『恋はデジャ・ブ』の題で公開されています。

主人公は、皮肉屋のテレビの天気予報士フィル・コナーズ。グラウンドホッグと同じ名前なのが笑いどころです。取材でパンクサトーニーに来たフィルは、なぜか2月2日を何度もくり返すことになります。最初はやりたい放題、やがて絶望し、最後は人に親切にすることを学んでループからぬけ出します。

フィルはどれくらいの間、閉じこめられていたのか。監督は最初「約10年」と考えていましたが、のちに、氷の彫刻やフランス語を身につける時間を考えると「30〜40年くらい」と話しています。

意外なことに、撮影はパンクサトーニーではなく、イリノイ州のウッドストックという町で行われました。パンクサトーニーは大都市から遠く、撮影できる場所や撮影チームの泊まる場所が足りなかったからです。パンクサトーニーの関係者はこれに腹を立て、本物のフィルの出演を断りました。映画でフィルを演じたのは「スクーター」という別のグラウンドホッグです。

この映画のおかげで、groundhog day は英語の言い回しになりました。毎日同じことがくり返される、うんざりする状況を It's like Groundhog Day.(まるでグラウンドホッグデーだ)と言うのです。映画は2006年、アメリカ議会図書館の「国立フィルム登録簿」にも選ばれました。

7日本との関係:2月2日は「節分」のお隣さん

グラウンドホッグは北アメリカの動物で、日本の野生にはいません。でも、この行事の考え方は、日本人にもなじみがあります。

グラウンドホッグデーの2月2日は、冬至と春分のちょうど中間あたり。ヨーロッパのケルトの暦では、この時期は「インボルク」と呼ばれる季節の変わり目でした。日本でも、ほぼ同じタイミングに「節分」と「立春」があります。暦の上で春が始まる日の前日に豆をまいて鬼を追いはらう。冬と春の境目に「この先どうなる?」と占ったり、悪いものをはらったりするのは、洋の東西を問わないのです。

日本のことわざにも、「夕焼けの次の日は晴れ」のように、空や動物の様子から天気を読む知恵がたくさんあります。グラウンドホッグデーは、そうした「民間の天気予報」がお祭りになった例ともいえます。

節分の豆まきについては「節分」のページで紹介しています。2月の頭に、日本では鬼に豆を投げ、アメリカではマーモットに天気を聞く。比べてみると楽しい組み合わせです。

8グラウンドホッグデーのよくある誤解とホントのところ

誤解1:フィルの予報はよく当たる。 残念ながら、当たりません。アメリカ海洋大気庁の国立環境情報センター(NCEI)によると、直近10年の的中率は約30%。ほかの調べでも35〜40%ほどです。2021年にカナダの大学がのべ530回の予報を調べた研究では、予報動物全体の的中率は約50%で、「コインを投げるのと同じ」という結論でした。

誤解2:影が見えたら冬が続く、には科学的な理由がある。 影と春の訪れのあいだに、はっきりした関係は見つかっていません。もとはヨーロッパの聖燭祭の言い伝えで、「晴れた冬の日は冷えこむ」という感覚から生まれた占いだと考えられます。

誤解3:フィルは1887年から生きている。 クラブはそう言いますが、もちろんジョークです。野生のグラウンドホッグの寿命は長くて6年ほど(平均2〜3年)、飼育下でも14年ほどです。

誤解4:映画はパンクサトーニーで撮影された。 実際はイリノイ州ウッドストックです。今ではウッドストックでも毎年、映画にちなんだグラウンドホッグデーのお祭りが開かれています。

誤解5:英語さえ話せば楽しめる。 ペンシルベニア東部の「グルンドサウ・ロッジ」という集まりでは、この日はペンシルベニア・ドイツ語しか話してはいけません。英語を1語話すごとに罰金です。

💡Fun Factsグラウンドホッグデーの豆知識 10連発

No.1

1886年から2026年までのフィルの予報は、「冬が続く」109回に対して「春が早い」は20回だけ。冬びいきです。

Phil has said winter will last longer 109 times. He has said spring will come early only 20 times.

No.2

パンクサトーニーの人口は5769人(2020年)。でも2月2日には、多い年で4万人が集まります。

Only about 5,800 people live in Punxsutawney. But up to 40,000 people visit on February 2.

No.3

予報役が「フィル」と名づけられたのは1961年。それまで70年以上、名なしの予報士でした。

The groundhog got the name Phil in 1961. Before that, he had no name.

No.4

NOAA の2025年の比較では、ニューヨークのスタテンアイランド・チャックが的中率約85%で1位、フィルは約35%で17位でした。

In a 2025 check, Staten Island Chuck was right about 85 percent of the time. Phil was right about 35 percent.

No.5

2009年、スタテンアイランド・チャックはニューヨークのブルームバーグ市長にかみつきました。

In 2009, Staten Island Chuck bit the mayor of New York City.

No.6

カナダのワイアトン・ウィリーは1999年、本番の2日前に死んでしまい、はく製がタキシード姿でひつぎに入れられました。

In 1999, Wiarton Willie died two days before the event. People held a funeral for him.

No.7

冬眠中のグラウンドホッグの心臓は、1分間に4〜10回しか打ちません。

When a groundhog sleeps in winter, its heart beats only 4 to 10 times a minute.

No.8

ペンシルベニアの「グルンドサウ・ロッジ」では、2月2日の集まりで英語を話すと1語ごとに罰金です。

At some groundhog clubs in Pennsylvania, people pay money for every English word they say.

No.9

映画の主人公フィル・コナーズは、監督の話では30〜40年も同じ日をくり返したかもしれません。

The director of Groundhog Day said Phil Connors may have lived the same day for 30 to 40 years.

No.10

シュベナカディ・サムは2018年、囲いから出ようとしたところをつかんだテレビ記者の指にかみつきました。

In 2018, Shubenacadie Sam bit a TV reporter's finger.

▶️Videos & Linksグラウンドホッグデーの動画とリンク集

Fun Facts About Groundhogs! | Groundhog Day | SciShow KidsSciShow Kids

Groundhog Day for Kids | History & TraditionsHomeschool Pop

Why Groundhogs Supposedly Predict The Weather On Groundhog DayBusiness Insider and Insider

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