Book Week in Japan (Dokusho Shukan)

読書週間の由来と歴史(詳しく)

いつから?なぜ?名前の意味は? 読書週間の本当の話を、確かな資料でたどります。

1読書週間の由来:焼け跡で始まった「本の力で平和な国を」

1947年の秋。戦争が終わって2年、東京にはまだ焼け跡があちこちに残っていました。食べ物を手に入れるのもやっとの時代です。それでも出版社は次々に本を出し、人々の「読みたい」という気持ちも強かったといいます。

この空気を感じとった出版社・取次(本の問屋)・書店・図書館、そして新聞や放送など約30の団体が集まり、「読書週間実行委員会」を作りました。合言葉は「新生日本を文化国家に」。「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、1947年11月17日から第1回の読書週間が開かれます。ポスターの標語は「楽しく読んで 明るく生きよう」でした。

反響は大きく、「1週間では惜しい」という声があがったと伝えられています。そこで翌1948年の第2回から、期間は10月27日〜11月9日の2週間に。11月3日の文化の日を真ん中にはさむ形です。この日付は、80年近くたった今も変わっていません。

ルーツはさらに古くにあります。1923年、日本図書館協会は創立30周年を記念して「日本全国図書館デー」を計画し、翌1924年には全国で図書館の利用を呼びかける週間が開かれました。期間は11月17日から23日。資料によって「図書館週間」「図書週間」と呼び名がちがいます。この週間は戦争の影響で1939年にいったん途絶えたとされますが、1947年の読書週間は、その流れを受けつぐものでした。

読書週間(Book Week in Japan (Dokusho Shukan))のイラスト

2読書週間の標語の歴史:「明るい家庭」から「静かだけど、冒険中。」へ

読書週間のポスターには、毎年違う標語が入ります。主催団体のポスターギャラリーで並べてみると、その時代の暮らしが見えてきます。

1950年代は「読書がつくる よい家庭」(1956年)、「そろって読書 明るい家庭」(1957年)。家族みんなで本を読む姿が理想でした。1970年は「茶の間に雑誌 明るい家庭」。1986年には「読書は永遠のニューメディア」と、新しい機械の時代を意識したような言葉も登場します。1994年の「秋だからちょっと夜ふかし あと1ページ」、2010年の「気がつけば、もう降りる駅。」になると、ぐっと身近な一コマに。東日本大震災のあった2011年は「信じよう、本の力」でした。

ポスターの絵も豪華です。1951年は雑誌『暮しの手帖』の花森安治、1953年は、のちに1964年東京オリンピックのポスターを手がけるデザイナーの亀倉雄策が描いています。

運動を支える組織もできました。1959年11月、日本書籍出版協会や日本図書館協会など7団体が集まって「読書推進運動協議会」が発足します。その年ごとに作っていた読書週間実行委員会の仕事を引きつぎ、1年を通して読書をすすめる組織です。今の標語は一般からの公募です。80回目となる2026年は、663の応募から「静かだけど、冒険中。」が選ばれました。作者は、ページをめくる人は外から見ると静かでも、心は遠くへ旅をしている、という思いをこめたそうです。

2005年には「文字・活字文化振興法」が作られ、読書週間の初日にあたる10月27日が「文字・活字文化の日」と定められました。

🕰️ 読書週間の年表

  1. 1924年日本図書館協会が、図書館の利用を呼びかける週間(11月17日〜23日)を全国で開く。戦争の影響で1939年にいったん途絶えたとされる。
  2. 1947年11月約30の団体が読書週間実行委員会を作り、11月17日から第1回の読書週間。標語は「楽しく読んで 明るく生きよう」。
  3. 1948年第2回から、文化の日をはさむ10月27日〜11月9日の2週間になる。
  4. 1959年春に「こども読書週間」が始まる。11月、7団体で読書推進運動協議会が発足。
  5. 2005年文字・活字文化振興法ができ、10月27日が「文字・活字文化の日」になる。
  6. 2026年第80回。標語は「静かだけど、冒険中。」。

3読書週間の過ごし方:図書館・書店・「100万冊」の古本まつり

10月の終わり、図書館や書店、学校の図書室に、その年のポスターがいっせいに貼り出されます。図書館では読み聞かせやおすすめ本の展示、書店では特設コーナーやフェアが開かれ、全国の行事の報告が主催団体に集まります。

とりわけにぎやかなのが、東京・神田神保町の「神田古本まつり」です。2025年の第65回は10月24日から11月3日まで。靖国通りの歩道に約500mの「本の回廊」が現れ、「100万冊の大バーゲン」とうたわれました。

「読書の秋」という言葉も、この季節の空気を作っています。そのルーツとしてよく挙げられるのが、唐の詩人・韓愈が息子に学問をすすめた詩の一節「灯火親しむべし」。涼しい秋の夜は、明かりの下で本を読むのにふさわしい、という意味です。夏目漱石の『三四郎』(1908年)にも、登場人物の与次郎が「燈火親しむべし」という漢語を借りてうれしがる場面があります。

春には、子ども向けの「こどもの読書週間」もあります。1959年に始まり、今は4月23日〜5月12日の約3週間。「子ども」ではなく「こども」とひらがなで書くのは、5月5日の「こどもの日」に名前を合わせたからです。

🎁 シンボルと小物

🖼️読書週間ポスターthe Book Week poster

毎年の標語とイラストが入ったポスター。図書館・書店・学校に貼られる。1951年は花森安治、1953年は亀倉雄策が描いた。

✍️標語the slogan

今は一般からの公募で選ばれる。2026年は663の応募から「静かだけど、冒険中。」に決まった。

🏮灯火親しむべしreading by lamplight

唐の韓愈の詩の一節。秋の夜は明かりの下で読書をするのにふさわしい、という意味で、「読書の秋」のもとになったと言われる。

📚神田古本まつりthe used book festival

読書週間のころ、東京・神保町の歩道に約500mの「本の回廊」ができる古本の市。

4海外に似た日はある?世界の「本の週間」比べ

本を祝う日は、世界中にあります。いちばん有名なのは、ユネスコが1995年に決めた4月23日の「世界本の日」。スペインのカタルーニャ地方では、本とバラを贈り合います。ところがイギリスとアイルランドの「ワールド・ブック・デー」はふつう3月の第1木曜日で、子どもたちが物語の登場人物にふんして登校します。

アメリカでは毎年4月に、アメリカ図書館協会などによる「全米図書館週間(National Library Week)」が開かれます。第1回は1958年で、テーマは「Wake Up and Read!(目を覚まして、本を読もう!)」。アメリカ人の読書が減り、本よりラジオやテレビ、楽器にお金を使っている、という心配から生まれました。本に飢えた戦後の日本で生まれた読書週間とは、ちょうど逆の出発点です。アメリカでさらに古いのが、1919年に始まった子どもの本の週間「Children's Book Week」で、今は5月と11月に開かれます。

オーストラリアの「Book Week」は1945年から続く子どもの本の行事で、8月に開かれます。学校では、好きな本の登場人物に仮装したパレードが名物です。仮装で本を祝う国と、標語とポスターで静かに本をすすめる日本。比べると、お国柄が見えてきます。

5よくある誤解とホント:「週間」なのに2週間、国の行事でもない

誤解1:読書週間は1週間
名前は「週間」ですが、実際は10月27日から11月9日までの2週間です。第1回だけが1週間でした。

誤解2:国が決めた行事
読書週間を主催しているのは、公益社団法人の読書推進運動協議会という民間の団体です。法律で決まっているのは、初日の10月27日が「文字・活字文化の日」であることです。

誤解3:日本人はみんな本を読まなくなった
文化庁が2024年に発表した「国語に関する世論調査」では、1か月に本を1冊も読まない人が62.6%。前回の2018年度調査の47.3%から大きく増えました。読書量が減ったと答えた人の理由の上位は、スマートフォンなどの情報機器に時間を取られることです。一方、全国学校図書館協議会の2025年の調査では、小学生は5月の1か月で平均12.1冊を読んでいます。ただ、中学生は3.9冊、高校生は1.4冊で、高校生の55.7%は1冊も読んでいません。年齢が上がるほど本から離れていくのが、今の日本の姿です。

💡Fun Facts読書週間の豆知識 6連発

No.1

読書週間のポスターは、1951年に雑誌『暮しの手帖』の花森安治が、1953年にのちの東京オリンピックのポスターで知られる亀倉雄策が描いています。

Famous artists made Book Week posters in the 1950s.

No.2

1994年の標語は「秋だからちょっと夜ふかし あと1ページ」。2010年は「気がつけば、もう降りる駅。」でした。

The 1994 slogan was "It's fall, so I stay up a little late. Just one more page." The 2010 slogan was "Before I knew it, it was my stop."

No.3

1970年の標語は「茶の間に雑誌 明るい家庭」。本だけでなく、雑誌もすすめていました。

The 1970 slogan talks about magazines in the living room. It was not only about books.

No.4

「こどもの読書週間」の「こども」がひらがななのは、「こどもの日」に名前を合わせたからです。

The name of the children's reading week writes kodomo in hiragana, just like Children's Day.

No.5

夏目漱石の『三四郎』(1908年)には、登場人物が「燈火親しむべし」という漢語を借りてうれしがる場面があります。この小説が「秋の夜は読書」というイメージを広めた、という説もあります。

In a 1908 novel by Natsume Soseki, a character uses this old Chinese saying about lamplight.

No.6

2025年の調査では、小学生は5月の1か月に平均12.1冊を読んでいました。高校生は1.4冊です。

In May 2025, elementary school students read about 12 books on average. High school students read only 1.4.

▶️Videos & Links読書週間の動画とリンク集

Tokyo Book Town Jimbocho Walk - Streets Full of Shops Selling Used Books in Tokyo JapanJapan Travel Rec

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