原田英語の英語大全勉強法ぜんぶ入り

小学生・親子早く始めた子が勝つ、とは限らない。家で差がつくのは『量』と『楽しい』

原田英語6分で読める研究・公式情報 5件第15章の1/7節

小学生・親子のイメージ

小学6年生の英語の授業を1年分すべて足すと、70回×45分で約52時間。家で毎日15分を1年続けると約91時間になり、学校の授業を超えます。「英語は小さいうちから」とよく言われますが、オランダに移り住んだ家族を年齢別に追った研究では、3〜5歳の子がすべてのテストで最も低い結果でした。では、子どもの英語で差がつくのはどこなのか。英語が苦手な親にも、できることがあります。

この節の目次(6項目)
  1. 小学校の英語はいま、こうなっている
  2. 「早く始めるほど有利」の本当のところ
  3. 段階別ロードマップ:1か月→3か月→1年
  4. 1日のメニュー:平日15分・休日30分
  5. 親ができる4つのこと
  6. ネットとAIの安全ルール(保護者向け)

01小学校の英語はいま、こうなっている

いまの小学校の英語は、2017年(平成29年)に告示された小学校学習指導要領で決まっていて、2020年度から全面的に始まりました。

学年名前1年間の時間中心になること
3・4年外国語活動35単位時間聞く・話す。英語の音とリズムに親しむ
5・6年外国語(教科)70単位時間聞く・話すに加えて、読む・書くの入り口

1単位時間は45分なので、3・4年は週1回、5・6年は週2回くらいのペースです。5・6年では、外国語活動で触れた語を含めて600〜700語程度の語を扱うと決められています。

ここで知っておきたいのは、学校の時間だけでは英語に触れる量がとても少ないということです。6年生の1年間の授業をすべて足しても、70回×45分で約52時間。一方、家で毎日15分を1年続けると約91時間になり、学校の授業より多くなります。

ポイント:小学校の英語は「テストで点を取る科目」になる前の、音と気持ちの土台づくりの時期。家庭の役目は、そこに「量」と「楽しい」を足すことです。

もうひとつ、5・6年からは成績がつきます。英語が苦手だと感じ始めるのもこの時期です。家では点数の話より「この歌、全部歌えるようになったね」のように、できるようになったことを一緒に喜ぶ時間にしてください。

02「早く始めるほど有利」の本当のところ

「英語は小さいうちから」とよく言われます。研究は何を言っているのでしょうか。

1. 学び始めの速さは、年上のほうが速い。 オランダに移り住んだ英語を話す家族を年齢別に1年間追った研究(Snow & Hoefnagel-Höhle, 1978)では、最初の数か月で最も速く伸びたのは12〜15歳と大人でした。1年後に最もよくできたのは8〜10歳と12〜15歳で、3〜5歳はすべてのテストで最も低い結果でした。

2. 教室の英語では「量と質」が年齢の効果を左右する。 移住して毎日英語に囲まれる環境と、週に数時間だけ学ぶ教室の環境は大きく違います。Muñoz(2008)は、移住者の研究の結果を教室の学習にそのまま当てはめるのは早計で、触れる英語の量と質が、始めた年齢の効果を大きく左右すると論じています。

3. 長く浴び続ければ、早い開始が効く面もある。 何年も英語の中で暮らす場合には、早く始めた人ほど最終的にネイティブに近い文法の感覚を持ちやすいことを示す大規模な研究もあります(くわしくは第2章「年齢と英語の本当」)。

ここから言えるのは、「早く始めれば自動的に勝てる」わけではないということです。週1〜2回の授業だけでは、量が足りません。小学生の時期にできるいちばん良いことは、英語の音と物語に毎日少しずつ触れ、「英語って楽しい」という気持ちを中学校まで持っていくことです。何歳から始めても遅すぎることはなく、始めた日からの「量」と「続け方」が差を生みます。

03段階別ロードマップ:1か月→3か月→1年

学年ではなく、子どもの「今」に合わせて進めます。低学年でも高学年でも、英語が初めてならSTEP1からです。

段階期間ゴールやること
STEP1最初の1か月英語の音が流れる毎日にする決まった歌を毎朝1曲。絵本の朗読動画を週3回
STEP22〜3か月目まねして言える歌を一緒に歌う。絵本の決まり文句をまねる。親子の英語あいさつ
STEP34か月〜1年文字と音をつなぐフォニックスの動画やゲーム。やさしい絵本を音声つきで自分でも読む
STEP41年〜自分で読む・少し話すレベル別の電子ブックを毎日1冊。英語で1行の日記

STEP1のコツは、同じものをくり返すことです。子どもは同じ歌、同じ絵本を何度も好みます。これは学習にとって好都合で、同じ表現に何度も出会うほど耳に残ります。

STEP3のフォニックスは、文字の「名前」と「音」を分けて知ることから始めます。たとえば a の名前は「エイ」ですが、cat の中では「ア」に近い音です。c-a-t の3つの音をつなげると cat になる、という体験が「自分で読めた」という自信になります。

高学年は、アルファベットの大文字・小文字を書けるようにし、やさしい語順(I like dogs. など)を書き写すところまで進めると、中学校の英語にスムーズにつながります。英検5級(中学初級程度)を目標にする子もいますが、合格のための暗記ばかりになるなら、先に読む・聞く量を増やしてください。

041日のメニュー:平日15分・休日30分

時間は短くてかまいません。毎日、同じタイミングで続くことがいちばん大事です。

平日(合計15分)

時刻内容時間
朝の着替え中英語の歌を1曲流す(同じ曲を1か月)5分
夕食のあと絵本の朗読動画を1本、親子で一緒に見る7分
寝る前今日の絵本から1フレーズだけ、親子で言い合う3分

休日(合計30分)

内容時間
歌を2〜3曲、身ぶりをつけて歌う10分
絵本を1冊(動画か、音声つきの電子ブック)10分
フォニックスのゲームや、英語のクイズ遊び10分

親が使える声かけは、これだけで十分です。

  • Good morning! Let's sing.(おはよう、歌おう)
  • What color is it?(それは何色?)
  • Can you find a dog?(犬、見つけられる?)
  • Good job!(よくできたね)
  • One more time?(もう1回やる?)

カレンダーに英語をやった日のシールを貼るなど、続いたことが目に見える工夫も効きます。

05親ができる4つのこと

1. 物語を聞かせる。 英語を母語とする7〜8歳の子どもを調べた研究(Elley, 1989)では、同じ物語を3回聞くだけで、出てきた語の意味がわかるようになる伸びが見られました。さらに、読みながら先生が語の意味を説明すると、伸びはずっと大きくなりました。外国語として学ぶ日本の子どもとは条件が違いますが、「物語を何度も聞く」「途中で少し説明する」という組み合わせは家庭でもまねできます。親が英語で読めなくても、朗読動画を一緒に見て、絵を指さしながら「これ、何だろうね」と日本語で話せば十分です。

2. 同じものを何度も。 新しい教材を次々に与えるより、気に入った歌や絵本を1か月くり返すほうが、表現がしっかり残ります。

3. 正しさより「通じた」をほめる。 発音や文法をその場で直すと、話すのをやめてしまう子もいます。間違いは言い直させず、親が正しい形でさりげなく言い返すだけで十分です。

  • 子:Cat! 親:Yes, it's a cat! It's so cute.(そう、ネコだね。かわいいね)

4. 親も一緒に楽しむ。 親が英語の歌を口ずさむ、知らない単語を一緒に調べる。そうした姿そのものが、「英語は大人も学ぶもの」というメッセージになります。

06ネットとAIの安全ルール(保護者向け)

小学生がネットで英語に触れるときは、保護者が環境を整えるのが前提です。

  • YouTube:公式ヘルプでは、自分のアカウントでログインするには13歳以上(国や地域の最低年齢)が必要とされ、それより小さい子には保護者が管理するアカウントなど子ども向けの仕組みが案内されています。見る動画は親が先に選び、自動再生はオフにします。
  • ChatGPT などの生成AI:OpenAI の利用規約では、利用は13歳以上(国によってはそれ以上)で、18歳未満は保護者の許可が必要です。小学生は基本的に自分では使いません。使うなら、保護者のアカウントで親が操作し、一緒に画面を見ながらにします。ほかのAIサービスも、使う前に利用規約の年齢条件を確かめてください。
  • 言語交換アプリ・SNS:知らない大人と1対1でつながる仕組みです。小学生には使わせません。
  • オンライン英会話:子ども向けコースがあるサービスを選び、最初は保護者が同席します。学校名・住所・写真など個人の情報を話さない約束を先に決めます。
  • 画面の時間:動画は1回10分など時間を決め、見終わったら一言だけ英語でやりとりして終わりにします。

安全のルールは「禁止」ではなく、子どもが安心して英語を楽しむための土台です。

この節の答え

小学生の英語は、音と物語を毎日少しずつ、親子で楽しく

今日からのやり方

  1. 毎朝流す英語の歌を1曲決め、同じ曲を1か月続ける
  2. 夕食のあとに絵本の朗読動画を1本、親子で一緒に見る(週3回から)
  3. 見終わったら絵を指さして、1つだけ英語で言い合う
  4. 3か月たったらフォニックスの動画やゲームで、文字と音をつなぎ始める
  5. 動画やアプリは保護者が先に選び、年齢条件とアカウントの設定を確認する

レベル別:あなたならこうする

初級 A1〜A2

英語に初めて触れる子は、歌と絵本の動画だけで十分です。文字や単語テストはまだ要りません。同じ歌と同じ絵本をくり返し、まねして言えたら大きくほめてあげてください。

中級 B1

アルファベットが読め、簡単なあいさつができる子(英検5級前後)は、フォニックスで文字と音をつなぎ、音声つきのレベル別電子ブックを自分で読む時間を週2〜3回つくります。

上級 B2〜

英検4級〜3級に届いている子は、やさしい物語の多読と、英語で3文の日記へ進みます。文法の暗記を急ぐより、読む量を増やすほうが中学の英語にそのままつながります。

よくある失敗と対策

ドリルと単語テストから始める

小学生の最初の目的は、英語の音に慣れ、英語を好きでいることです。嫌いになると続きません。歌・絵本・ゲームで量を確保し、文字は音に慣れてから少しずつ。

子どもの発音をその場で直す

直されると話すのをやめてしまう子もいます。間違いは言い直させず、親が正しい形でさりげなく言い返す(Cat? Yes, it's a cat!)だけで十分です。

動画を流しっぱなしにする

自動再生のまま長く見ると、内容も時間も管理できません。見る動画を親が選び、1回10分などと決め、見たあとに一言だけ英語でやりとりすると「見るだけ」で終わりません。

TODAY
1 MIN

明日の朝に流す英語の歌を1曲だけ決めて、再生リストに入れる

友だちに出したい、この節の3問

タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。

15-1小学校の英語、6年生は年に何時間?

5・6年の外国語は年70単位時間で、1単位時間は45分。1年分を足しても約52時間です。家で毎日15分を1年続けると約91時間になり、学校の授業の時間を上回ります。

X で出題する

15-1外国語は、早く始めた子ほど速く伸びる?

オランダに移り住んだ英語話者がオランダ語を学ぶ様子を追った研究では、最初の数か月で最も速く伸びたのは12〜15歳と大人でした。3〜5歳はどのテストでも最も低い結果でした。

X で出題する

15-1英語が苦手な親でも読み聞かせはできる?

できます。俳優が絵本を朗読する無料の動画を一緒に見て、絵を指さしながら日本語で話すだけでも立派な読み聞かせです。大事なのは親の発音ではなく、子どもが英語の物語を何度も聞くことです。

X で出題する

X でポストLINEB!

PRACTICE KIT

この節の実践キット

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使えるサイト・アプリ

動画で学ぶ

お風呂ぎらいの犬の大冒険を名優の声でStorylineOnline|'Harry the Dirty Dog' read by Betty White
豆の木を登った先には…英国の昔話British Council | LearnEnglish Kids|Jack and the beanstalk - Kids Stories - LearnEnglish Kids British Council
フォニックスの定番ソングKidsTV123|Phonics Song 2
2分でわかる音のつなげ方Oxford Owl - Learning at Home|Phonics: How to blend sounds to read words | Oxford Owl

もっと詳しく(コラム)

この節の根拠(研究・公式情報)

オランダに移り住んだ英語話者を年齢別に1年間追跡。最初の数か月で最も速く伸びたのは12〜15歳と大人で、3〜5歳はすべてのテストで最も低かった。

Snow, C. E., & Hoefnagel-Höhle, M. (1978). The critical period for language acquisition: Evidence from second language learning. Child Development, 49(4), 1114–1128.出典を開く ↗

移住して英語を浴びる環境の研究結果を、教室での外国語学習にそのまま当てはめるのは早計だと指摘。触れる英語の量と質が、始めた年齢の効果を左右すると論じた。

Muñoz, C. (2008). Symmetries and asymmetries of age effects in naturalistic and instructed L2 learning. Applied Linguistics, 29(4), 578–596.出典を開く ↗

英語を母語とする7〜8歳が同じ物語を3回聞くと、出てきた語の意味の理解が伸びた。読みながら先生が語を説明すると、伸びはさらに大きくなった。

Elley, W. B. (1989). Vocabulary acquisition from listening to stories. Reading Research Quarterly, 24(2), 174–187.出典を開く ↗

3・4年は外国語活動(年35単位時間)、5・6年は外国語(年70単位時間)。5・6年では外国語活動で扱った語を含め600〜700語程度の語を扱う。

文部科学省(2017)小学校学習指導要領(平成29年告示)出典を開く ↗

サービスの利用は13歳以上(国によってはそれ以上)が条件で、18歳未満は保護者または法定後見人の許可が必要と定めている。

OpenAI. Terms of Use(日本などを含む地域向け利用規約)出典を開く ↗

よくある質問

何歳から始めるのがいい?

教室で週に数時間学ぶ環境では、始めた年齢そのものより、触れる量と質の影響が大きいとされています。何歳からでも遅すぎることはありません。親子で楽しく続けられる形を優先してください。

英検は小学生のうちに受けるべき?

受けなければいけないものではありません。英検5級は「中学初級程度」とされる級で、目標があると続けやすい子にはよいきっかけになります。ただ、合格のための暗記で英語が嫌いになるなら、先に読む・聞く量を増やしましょう。

オンライン英会話は何年生から?

決まりはありません。使うなら子ども向けコースのあるサービスを選び、最初は保護者が同席して、学校名や住所などを話さないルールを決めます。短いレッスンから始め、終わったら親子で「何が言えたか」を話すと次につながります。