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Graded Readers と洋書の選び方最初の1冊は「中1の教科書より簡単」でいい。250語だけで書かれた物語がある

原田英語6分で読める研究・公式情報 5件第8章の5/6節

Graded Readers と洋書の選び方のイメージ

使う単語は250語だけ。Oxford Bookworms Library の Starter は、その範囲で書かれた物語で、1冊の平均は1,375語です。日本で使われる読みやすさの目安 YL には、「英語の知識がなくても読める」という0.0の段まで用意されています。ただし、同じ「Level 3」でも、シリーズが違えば難しさも違います。洋書コーナーで背表紙の列を前に立ちつくしたとき、最初の1冊は何を見て決めればよいのでしょうか。

この節の目次(5項目)
  1. Graded Readers とは何か
  2. 代表的なシリーズとレベル
  3. YL(読みやすさレベル)という地図
  4. 最初の1冊を決める3つの基準
  5. どこで手に入れるか

01Graded Readers とは何か

Graded Readers(グレイディッド・リーダーズ)は、英語を学ぶ人のために、使う単語と文法をレベルごとに絞って書かれた本です。名作を書き直したものと、学習者向けに新しく書き下ろしたものがあり、物語だけでなく伝記や科学などのノンフィクションもあります。

ふつうの英語の本との違いは、言葉の管理です。多読の国際団体 ERF の手引きによると、ネイティブ向けの本には1〜2回しか出てこない語がたくさん含まれますが、Graded Readers ではめったに使わない語を外し、役に立つ語が何度も出てくるように書かれています。低いレベルの本ほど絵が多く、話の筋も追いやすく作られています。

ネイティブの子ども向けの本との違いにも注意が必要です。子ども向けの本は英語を母語とする子どもに合わせて作られているので、絵本でも日本人の大人には知らない語が多いことがあります。Graded Readers は「外国語として英語を学ぶ人」に合わせて作られているので、学校で習った英語とつながりやすいのが強みです。

前の節で見た「知らない語が1ページに1〜2個まで」という多読の条件を、いちばん確実に満たせるのが Graded Readers です。

02代表的なシリーズとレベル

世界でよく使われるシリーズを、発行元の公式情報をもとにまとめます。

Oxford Bookworms Library(Oxford University Press)

英国 Oxford University Press のシリーズです。発行元の日本語ページによると7段階で、古典・現代の物語・ノンフィクションなど260を超える作品があります。

段階ヘッドワード1冊の平均語数
Starter2501,375
Stage 14005,200
Stage 27006,500
Stage 31,00010,000
Stage 41,40016,000
Stage 51,80023,000
Stage 62,50030,000

Penguin Readers(Penguin Random House)

公式の手引きによると、Starter(CEFR の pre-A1)から Level 7(B2)までの8段階で、各段階が CEFR に対応しています。低いレベルではマンガ形式の物語も多く、現代の小説やノンフィクションも選べます。

段階CEFRヘッドワード物語の語数
Starterpre-A1350400〜600
Level 1A15501,000〜1,600
Level 2A1+7003,000〜5,000
Level 3A21,0007,000〜10,000
Level 4A2+1,20011,000〜14,000
Level 5B11,60015,000〜18,000
Level 6B1+2,00018,000〜22,000
Level 7B22,50022,000〜26,000

そのほか

Cambridge University Press & Assessment の Cambridge English Readers は、学習者向けに書き下ろされた物語が中心のシリーズです。同じ「Level 3」でもシリーズによって難しさは違うので、シリーズをまたぐときは、ヘッドワード数と CEFR を見比べるのが確実です。

03YL(読みやすさレベル)という地図

シリーズごとにレベルの呼び方がばらばらだと、比べるのが大変です。そこで日本でよく使われているのが YL(Yomiyasusa Level:読みやすさレベル)です。

YL は、SSS英語多読研究会の古川昭夫さんが2003年に始め、日本多読学会と協力して作った指標です。英語の本を0.0から9.9までの100段階に並べ、数字が小さいほど読みやすいことを示します。公式の説明によると、目安は次のとおりです。

YL目安
0.0英語の知識がなくても読める
1.0英語を80時間以上学んだ人が読める
3.01万語くらいの子ども向けの本
7.0大人向けのペーパーバック(小説)
8.0より難しいペーパーバック

1万3千冊を超える本に YL がつけられ、本の案内書は教師や学習者の声をもとに改訂されてきました。研究会のサイトには、2007年当時の表として、Oxford Bookworms の Stage 1 が YL 2.0〜2.2、Stage 3 が 3.2〜3.4 くらい、という対応も載っています。

ただし YL は推定値です。研究会自身も、実際の読みやすさは読む人の背景によって違い、挿絵や文字の大きさも影響すると説明しています。YL は地図として使い、最後は自分が実際に読んで決めましょう。

04最初の1冊を決める3つの基準

最初の1冊は、「ちょっと簡単すぎるかな」と感じるレベルから始めるのが正解です。具体的な基準を3つ挙げます。

基準1:知らない単語の数。 Oxford の日本語ページは、学習者に合うリーダーの条件として「知らない単語は1ページに2〜3語以下」を挙げています。Day & Bamford は、初級者なら1〜2語を超えると難しすぎるかもしれない、としています。最初は1〜2語を目安にしましょう。

基準2:読む速さ。 同じページは「1分間に8〜10行のペースで読めること」も条件にしています。辞書なしで、止まらずにこのペースで進めるかを確かめます。

基準3:大まかな話がわかること。 細かいところが少しわからなくても、だれが何をしたか、話の流れがつかめれば合格です。

実際の選び方の手順はこうです。

  1. 自分の英語力より1段階下のレベルを選ぶ(例:英検3級なら Starter〜Stage 1、英検2級なら Stage 2〜3)
  2. 最初の2ページを立ち読み(またはサンプルで試し読み)する
  3. 3つの基準を満たせば採用。満たさなければ1段階下げる

この英検との対応は、Oxford の日本語ページにある CEFR・英検のおおよその対応表を参考にした目安です。迷ったら低いほうを選んでください。やさしすぎて困ることは、ほとんどありません。

内容は「自分が日本語でも読みたいジャンル」から選びます。推理ものが好きなら推理もの、動物が好きなら動物の本。好きな話は、少し難しくても先が気になって読み進められます。

05どこで手に入れるか

Graded Readers を手に入れる方法はいくつかあります。

  • 図書館:多読用の本を集めたコーナーを設けている公共図書館や大学図書館があります。まず近くの図書館の蔵書検索で、シリーズ名を調べてみましょう。いちばん手軽で、合わない本をやめやすい方法です
  • 電子図書館:Libby などのアプリで、図書館が貸し出す電子版の本を借りられる場合があります(使えるかどうかは利用する図書館によります)
  • 無料のウェブサイト:ER Central は、20段階のやさしい英文と音声つきの英文を無料で読める多読・多聴のサイトです
  • 学校向けの電子図書館:Xreading は2,000冊を超える Graded Readers をそろえた有料の電子図書館で、主に学校単位で使われています。ほぼすべての本に音声があり、速さを9段階で変えられます
  • 購入:Penguin Readers の紙の本には、電子版とオンラインの教材を使えるコードがついています(電子版の eBook にはつきません)

どの本を選べばいいか迷ったら、ERF が発表している学習者向けの本の賞(Language Learner Literature Award)の受賞作・候補作から選ぶのもひとつの方法です。

最後に、Graded Readers の先について。Schmitt ほか(2011)が紹介しているように、Nation は、ネイティブ向けの英文を辞書なしで読むには8,000〜9,000語族の語彙が必要だと見積もっています。最上位の Graded Readers でも2,500語前後なので、その先には大きな差があります。上位レベルを読めるようになったら、子ども向けの章立ての本や、好きな分野のやさしい一般書をはさみながら、少しずつペーパーバックに近づいていきましょう。

この節の答え

語彙を絞ったレベル別の本で、楽に読める段から上がる

今日からのやり方

  1. 自分の英語力より1段階やさしいレベルのシリーズを決める
  2. 図書館の蔵書検索で、そのシリーズ名を調べる
  3. 最初の2ページで、知らない語が1ページ1〜2個以内か確かめる
  4. 日本語でも読みたいジャンルの本を3冊借りる
  5. 3冊読んだら、楽に読めたかどうかでレベルを上げるか決める

レベル別:あなたならこうする

初級 A1〜A2

Bookworms の Starter や Penguin Readers の Starter・Level 1 など、絵が多くて短い本から。1冊を1日で読み切れるものを選び、冊数を増やす。

中級 B1

Stage 2〜3 や Level 3〜4 を中心に。同じレベルを10冊ほど読んで楽になったら1段階上へ。ノンフィクションも混ぜて語彙の幅を広げる。

上級 B2〜

最上位レベルを数冊読んだら、子ども向けの章立ての本やYLの低めのペーパーバックへ。難しい本の合間にやさしい本をはさみ、読む量を落とさない。

よくある失敗と対策

見栄を張って高いレベルから始める

最初の数冊でつまずくと、多読そのものをやめてしまいがちです。迷ったら低いほうを選び、楽に読める感覚を先に手に入れましょう。

1つのシリーズだけにこだわる

同じレベルでもシリーズで難しさや雰囲気は違います。いくつかのシリーズを混ぜると、飽きにくく、レベルの感覚も正確になります。

YLを絶対の基準だと思う

YLは推定値で、読む人の背景や本の挿絵によって感じ方は変わります。YLは目安にして、最後は最初の2ページを読んで決めてください。

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1 MIN

近くの図書館の蔵書検索で「Oxford Bookworms」と入れてみる

友だちに出したい、この節の3問

タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。

8-5Graded Readers の「ヘッドワード」とは?

その本で使ってよい基本語の数です。Oxford Bookworms Library は Starter の250語から Stage 6 の2,500語まで、Penguin Readers は Starter の350語から Level 7 の2,500語までの段階に分かれています。

X で出題する

8-5日本の英語多読で使われる「YL」って何?

SSS英語多読研究会の古川昭夫さんが2003年に始めた、日本人向けの読みやすさの指標です。0.0〜9.9の100段階で、0.0は英語の知識がなくても読める本、7.0は大人向けのペーパーバックの目安です。

X で出題する

8-5物語を音声つきで読めば、単語は覚えやすい?

物語を読む・聞きながら読む・聞くだけを比べた研究では、3か月後に意味を思い出せた語は、読む2つの方法でどちらも28語中およそ1語、聞くだけでは0語でした。音声は読み進める支えで、単語は別に復習が要ります。

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X でポストLINEB!

PRACTICE KIT

この節の実践キット

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使えるサイト・アプリ

動画で学ぶ

多読で何をどう読む?Luca Lampariello|Extensive Reading - What and How to Read
多読と語彙学習をつなぐTheErfoundation|Paul Nation: Extensive reading and vocabulary learning – before and during reading
多読のメリットを短く紹介Teaching English with Oxford|The benefits of extensive reading

もっと詳しく(コラム)

この節の根拠(研究・公式情報)

Oxford Bookworms Library は7段階で、ヘッドワードは Starter 250語〜Stage 6 2,500語。選ぶ目安として知らない語は1ページ2〜3語以下、1分8〜10行を挙げる。

Oxford University Press Japan. Oxford Bookworms Library | Graded Readers(公式シリーズページ)出典を開く ↗

Penguin Readers は Starter(pre-A1)から Level 7(B2)までの8段階で、ヘッドワードは350〜2,500語、各段階が CEFR に対応すると説明。

Penguin Readers. Penguin Readers Handbook(公式の手引き)出典を開く ↗

YL は古川昭夫氏が2003年に始めた0.0〜9.9の100段階の読みやすさ指標。0.0は英語の知識なしで読める、7.0は大人向けペーパーバックが目安。

SSS英語多読研究会. What is YL?(読みやすさレベルの説明)出典を開く ↗

読む・聞きながら読む・聞くだけを比較。新語は3つの方法すべてで少し学ばれたが、3か月後に意味を思い出せたのは読む方法で28語中約1語だった。

Brown, R., Waring, R., & Donkaewbua, S. (2008). Incidental vocabulary acquisition from reading, reading-while-listening, and listening to stories. Reading in a Foreign Language, 20(2), 136–163.出典を開く ↗

既知語の割合と理解の関係を調べた研究。序論で、ネイティブ向けの英文を読むには8,000〜9,000語族が必要という Nation の見積もりを紹介している。

Schmitt, N., Jiang, X., & Grabe, W. (2011). The percentage of words known in a text and reading comprehension. The Modern Language Journal, 95(1), 26–43.出典を開く ↗

よくある質問

名作の書き直し版は原作と別物では?

語彙と文の長さを絞っているので、文体は原作と違います。それでも話の筋や登場人物は楽しめます。原作に挑戦する前の「下見」として読むと、原作を読むときの助けにもなります。

子ども向けの絵本とどちらがいい?

日本人の学習者には、外国語として学ぶ人向けに語彙を絞った Graded Readers のほうがレベルを合わせやすいです。絵本は、絵で意味がわかる短いものから取り入れると、よい息抜きになります。

電子版と紙の本、どちらがいい?

どちらでも効果は変わらないと考えてかまいません。電子版は辞書機能に頼りすぎやすいので、多読のときは辞書を引かないと決めておきましょう。紙の本は、読み終えた冊数が目に見えて励みになります。