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自分のレベルを知る:CEFR・英検・TOEICの対応TOEIC満点でも『C2』とは言えない。CEFRで現在地を正しく測る

原田英語6分で読める研究・公式情報 5件序章の4/5節

自分のレベルを知る:CEFR・英検・TOEICの対応のイメージ

英検2級に合格した人が2人いても、国際的な物差しで見ると、一人はB1、もう一人はA2ということがあります。英検は級、TOEICは点数、IELTSはバンド。試験ごとに物差しが違ううえ、TOEICで測れるのはおおよそA1〜C1程度だと、運営団体自身が説明しています。満点を取っても、それだけではC2とは言えません。では、試験の結果を「何ができるか」に置きかえるには、どう読めばよいのか。

この節の目次(5項目)
  1. CEFRとは何か
  2. A1〜C2で、何ができるのか
  3. 英検とCEFR:級よりスコアで決まる
  4. TOEIC・IELTSとCEFR
  5. 現在地を測る3つの方法

01CEFRとは何か

CEFR(セファール、ヨーロッパ言語共通参照枠)は、欧州評議会(Council of Europe)が2001年に公開した、外国語の力を表す共通の枠組みです。特定の言語のためではなく、どの言語にも使えるように作られています。

CEFRは、力をA1からC2の6段階に分け、大きく3つにまとめています。

  • A1・A2:基礎段階の言語使用者(Basic User)
  • B1・B2:自立した言語使用者(Independent User)
  • C1・C2:熟達した言語使用者(Proficient User)

特徴は、各レベルを「〜ができる」という形(can-do)で説明していることです。点数ではなく、その言語で何ができるかで表すので、試験が違っても比べやすくなります。欧州評議会は、学習者が自分の力を確かめるための自己評価表も公開しています。2020年には補遺版(Companion Volume)が出て、仲介(mediation)やオンラインでのやりとりなどの考え方が加わりました。

日本でも、CEFRは英語教育の目標に使われています。国の第4期教育振興基本計画では、中学校卒業段階でA1相当以上、高校卒業段階でA2相当以上の生徒を6割以上にすること、高校生でB1相当以上を3割以上にすることを目標にしています。文部科学省の令和7年度の調査では、それぞれ54.6%、52.4%、23.9%でした(教員が相当と判断した生徒を含む数字です)。

ポイント:CEFRは「何点取れたか」ではなく「何ができるか」の物差し。試験の結果を、生活や仕事で何ができるかに翻訳してくれる。

02A1〜C2で、何ができるのか

欧州評議会の全体尺度(Global scale)をもとに、各レベルでできることを短くまとめます(英語大全による要約です)。

レベルひとことでできることの例
A1自己紹介ができる相手がゆっくり話してくれれば、住んでいる所や知っている人など、身近なことを聞いたり答えたりできる
A2身の回りの用事が足せる買い物、家族、仕事など身近な話題で、簡単な情報のやりとりができる
B1旅先で困らないよく知っている話題の要点が分かり、旅行中に起きそうなたいていの場面に対応できる。経験や希望を、理由をつけて話せる
B2母語話者と無理なく話せる抽象的な話題も含む複雑な文章の要点が分かり、母語話者とお互いに無理なくやりとりできる。賛否を挙げて意見を説明できる
C1仕事や学問で柔軟に使える長く難しい文章も理解し、言外の意味も読み取れる。言葉を探す様子をあまり見せずに話せる
C2ほぼ何でも楽に分かる聞いたり読んだりしたことのほぼすべてを楽に理解し、細かいニュアンスまで言い分けられる

イメージをつかむために、レベルごとの作例を挙げます。

  • A1:I live in Osaka. I like soccer.(大阪に住んでいます。サッカーが好きです)
  • A2:I usually go to work by train, but today I took the bus.(ふだんは電車で通勤しますが、今日はバスに乗りました)
  • B1:I started studying English again because I want to travel alone next year.(来年ひとり旅をしたいので、英語の勉強を再開しました)
  • B2:Working from home saves time, but it can make it harder to separate work from private life.(在宅勤務は時間の節約になりますが、仕事と私生活を分けにくくなることもあります)

A2からB1への変化は「理由を言える」、B1からB2への変化は「良い点と悪い点を比べて意見を言える」と覚えておくと、自分の段階をつかみやすくなります。

03英検とCEFR:級よりスコアで決まる

英検は、英検CSEスコアという共通の点数を通じてCEFRに対応しています。英検協会の公式ページによると、受けた級ごとに、表示されうるCEFRの範囲が決まっています。

級表示されうるCEFR
1級C1・B2
準1級B2・B1
2級B1・A2
準2級プラスA2・A1
準2級A2・A1
3級A1
4級・5級算出範囲外

4技能を合わせた英検CSEスコアでは、A1が1400〜、A2が1700〜、B1が1950〜、B2が2300〜、C1が2600〜という区切りです。この「4技能総合CEFR」は、4技能すべてを受験したときだけ表示され、一次試験の結果だけでは表示されません。英検協会は、この判定が文部科学省の作業部会で示された「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(2018年3月版)に基づくと説明しています。

2025年度に新しくできた準2級プラスは、準2級と2級の間の級です。CEFRの算出範囲はA1〜A2(英検CSEスコア1550〜1949)とされています。

英検を物差しに使うときのポイントは2つです。

  • 合格・不合格だけでなく、技能別のCSEスコアを見る(読む・聞く・書く・話すのどこが低いか)
  • 同じ級の合格でも、スコアによってCEFRが違うことがある

04TOEIC・IELTSとCEFR

TOEIC

TOEICを運営するIIBCは、ETSの研究に基づく対照表を公開しています。数字は、各レベルに対応する最低スコアで、技能ごとに示されています。

CEFRL&R リスニングL&R リーディングS&W スピーキングS&W ライティング
C1490455180180
B2400385160150
B1275275120120
A21101159070
A160605030

IIBCは、TOEICテストで測れるのはおおよそA1〜C1程度、TOEIC BridgeテストではおおよそA1〜B1程度としています。対照表が技能別なので、合計点ではなく、リスニングとリーディングを別々に見ると、どちらを伸ばすべきかがはっきりします。また、L&Rは聞く・読むの試験なので、話す・書くの力は分かりません。

IELTS

IELTSは0〜9のバンドで結果を出す試験で、公式サイトはCEFRとの関係を図で示しています。ただし、IELTSはCEFRより前からある試験で、バンドとCEFRの区切りはぴったり一致しないと注意しています。

  • C1の入口は、バンド6.5と7の間にある
  • 6.5の人の多くはC1だが、一部はわずかに届かない
  • 8.5以上はC2、8は境目
  • 5もB1とB2の境目にあたる
  • 対応は、4技能を合わせたオーバーオールのバンドで示されている

公式の図では、おおむねバンド4〜5がB1、5.5〜6.5がB2、7〜8がC1の帯に重なっています。

05現在地を測る3つの方法

1. 公式の試験を受ける

一番確かなのは、英検・TOEIC・IELTSなど、CEFRとの対応を公表している試験を受けることです。話す・書くまで測りたいなら、4技能を測る試験を選びます。

2. 無料のレベルチェックで目安を知る

オンラインの無料テストでも、だいたいの目安は分かります。ただし作り方も目的も公式の試験とは違うので、結果は参考程度に。登録が必要なサービスは、未成年の人は保護者と一緒に利用規約を確かめてから使いましょう。

3. can-doで自己診断する

試験を受ける前に、自分で「できること」を点検する方法もあります。次は英語大全の簡易チェックです(公式の判定ではありません)。自信をもって「できる」と言える一番上の行が、今のレベルの目安です。

チェック目安
自分や家族のことを、短い文で5つ言えるA1
道案内や買い物のやりとりを、英語でこなせるA2
好きな映画のあらすじと感想を、1分間話せるB1
ニュースの話題について、賛成・反対の理由を挙げて話せるB2
専門の話題について、質問にその場で詳しく答えられるC1

大事なのは、技能ごとに分けて考えることです。「読むはB1、話すはA2」のように、技能によってレベルが違うのはふつうのことです。次の目標は、一番低い技能の1つ上に置くと、伸びが全体に広がりやすくなります。

最後に注意を一つ。どの対照表も、試験どうしを厳密に換算するものではありません。IELTS公式も、試験の目的や形式、受験者の違いを考えるよう呼びかけています。細かい点数の差より、「何ができるか」に目を向けてください。

この節の答え

試験の点数を『何ができるか』に翻訳する物差しがCEFR

今日からのやり方

  1. 最近受けた英検・TOEIC・IELTSの結果を、対照表でCEFRに直してみる
  2. 結果がない人は、簡易チェックで自信をもって『できる』段を探す
  3. 聞く・読む・話す・書くに分けて、一番低い技能のレベルを確かめる
  4. 一番低い技能の1つ上のレベルを、次の3か月の目標に決める

レベル別:あなたならこうする

初級 A1〜A2

A1〜A2の人は、英検なら3級・準2級あたりが目安です。英検の級をCEFRの物差しにして、『自己紹介→身の回りの用事』と、できることを一段ずつ増やしていきましょう。

中級 B1

B1前後の人は、英検2級のCSEスコアやTOEICのセクション別スコアでCEFRを確かめ、技能ごとのでこぼこを見つけましょう。読むはB1でも話すはA2ということもあるので、低い技能から伸ばします。

上級 B2〜

B2〜C1を目指す人は、IELTSやTOEIC S&Wなど、話す・書くまで測れる試験で現在地を確かめましょう。IELTSならC1の入口はバンド6.5と7の間とされています。

よくある失敗と対策

対照表を『換算表』だと思いこむ

IELTS公式も、試験どうしの厳密な同等を示すものではないと注意しています。対照表は目安として使い、細かい点数の差にこだわりすぎないようにしましょう。

合計点だけでレベルを判断する

TOEICの対照表は、リスニングとリーディングで別々に最低スコアが示されています。技能ごとに見ると、どこを伸ばすべきかがはっきりします。

聞く・読むの結果を話す力とみなす

TOEIC L&Rは聞く・読むの試験です。話す・書くの力は別に測らないと分かりません。S&W、英検の二次試験、IELTSなどで確かめましょう。

TODAY
1 MIN

最近の試験結果を対照表でCEFRに直し、ノートに書く

友だちに出したい、この節の3問

タップで答え。「X で出題する」で、そのまま問題として出せます。

序-4TOEIC L&Rで満点なら、CEFRのC2レベル?

IIBCの説明では、TOEICテストで測れるのはおおよそA1〜C1程度の英語力です。対照表でもC1が上限で、リスニング490点・リーディング455点以上がC1にあたります。満点でも、C2の証明にはなりません。

X で出題する

序-4IELTS 6.5は、CEFRのC1?それともB2?

IELTS公式によると、C1の入口はバンド6.5と7の間にあり、6.5の人の多くはC1でも、一部はわずかに届きません。確実にC1を求めるなら、7を条件にしてもよいと説明しています。

X で出題する

序-4英検は、級ごとにCEFRが1つに決まる?

いいえ。英検は英検CSEスコアからCEFRを出します。たとえば2級ではB1かA2、準1級ではB2かB1が表示され、同じ級でもスコアで変わります。4級・5級はCEFRの算出範囲外です。

X で出題する

X でポストLINEB!

この節の根拠(研究・公式情報)

CEFRのA1〜C2の6段階が、それぞれ何ができる段階かを、言語を問わない「できること」の記述で要約した公式の全体尺度。

Council of Europe. Global scale – Table 1 (CEFR 3.3): Common Reference levels.出典を開く ↗

級ごとに表示されうるCEFR(例:2級はB1かA2、準1級はB2かB1、4級・5級は算出範囲外)と、4技能総合の英検CSEスコアによるCEFRの区切り(C1 2600、B2 2300、B1 1950、A2 1700、A1 1400)を公表。

日本英語検定協会「英検CSEスコア」(CEFRとの対応).出典を開く ↗

CEFRの各レベルに対応する最低スコアを技能別に示す。L&RはC1がリスニング490・リーディング455、B1が各275。TOEICで測れるのはおおよそA1〜C1と説明している。

国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)「TOEIC Program各テストスコアとCEFRとの対照表」(出典:ETS, 2008 ほか).出典を開く ↗

IELTSのバンドとCEFRは厳密には一致しないと注意したうえで、C1の入口はバンド6.5と7の間、8.5以上はC2、8は境目と説明。対応はオーバーオールのバンドで示している。

IELTS. IELTS and the CEFR.出典を開く ↗

中学校でCEFR A1相当以上の英語力をもつ生徒(教員が相当と判断した生徒を含む)は54.6%、高校でA2相当以上は52.4%、B1相当以上は23.9%。第4期教育振興基本計画の目標は6割以上・3割以上。

文部科学省(2026)令和7年度「英語教育実施状況調査」の結果について.出典を開く ↗

よくある質問

英検とTOEIC、どちらを受けるべき?

提出先が指定する試験を受けるのが一番です。指定がなければ、話す・書くまで測りたいなら4技能の英検、聞く・読むの力を細かく点数で追いたいならTOEIC L&R、というように測りたい力で選びましょう。

CEFRのC2はネイティブと同じ?

CEFRは各レベルを『何ができるか』で説明しています。C2は、聞いたり読んだりしたことのほぼすべてを楽に理解し、細かい意味の違いまで言い分けられる段階で、母語話者と同じかどうかで決める物差しではありません。

無料のレベルテストは信用できる?

目安を知るには役立ちますが、公式の試験とは作り方も目的も違います。進学や就職で使うなら公式の試験を受け、ふだんの学習の確認には無料テストやcan-doのチェックを使う、と使い分けましょう。