英単語帳の使い方|英検・TOEIC・大学受験別の回し方と周回法
単語帳を買って最初の数ページはがんばったのに、気づけば本棚で眠っている――。単語帳が続かない原因は、根性ではなく「回し方」にあることがほとんどです。この記事では、英検・TOEIC・大学受験それぞれの目的に合わせた単語帳の使い方と、忘れにくい周回の仕方を紹介します。

01単語帳は「1回で覚える本」ではない
単語帳で最もよくある失敗は、1ページ目から順番に「完璧に覚えてから次へ進む」ことです。これだと1日に進めるのは数ページで、前半を覚えるころには最初のほうを忘れています。
単語帳は、何度も繰り返して少しずつ覚える本です。1周目は「こんな単語があるんだ」と顔を見る程度、2周目で意味を思い出せるものが増え、3周目以降で定着していく――このように、周回の中で覚えていく前提で使うと、ずっと楽になります。
「浅く・速く・何度も」の原則
- 1回あたりにかける時間は短く
- 1日に見る単語数は多めに
- 同じ単語に何度も出会う
たとえば1語に1分かけて1回見るより、1語に10秒で6回見るほうが、記憶には残りやすいと考えられています。時間をあけた繰り返し(間隔反復)が記憶を強くするからです。
周回に向いている単語帳の条件
周回を前提にするなら、単語帳選びでは次の点を確認しておくと安心です。
- 1ページに載っている単語数が多すぎず、見開きでテンポよく進める
- 見出し語に番号がついていて、「今日は何番から何番まで」と範囲を決めやすい
- 付属の音声(アプリやダウンロード)がある
- 例文が短く、声に出して読める長さになっている
ポイント:「1周目で覚えられない」のは失敗ではなく、予定どおり。周回を前提にしましょう。
使い方:一度で完璧を目指さず何度も触れて覚える「グルグル勉強法」の紹介です。この節の「1周目で覚えられないのは予定どおり」を実感するために、見たあと100語を一気に回します。
02基本の周回法:1日の範囲の決め方
ステップ1:試験日から逆算する
たとえば単語帳が1,500語、試験まで3か月(約90日)あるとします。
- 1周目:1日100語 × 15日
- 2周目:1日150語 × 10日
- 3周目以降:1日200〜300語でテンポよく
このくらいのペースなら、試験までに5〜6周できます。数字は目安なので、自分の生活に合わせて調整してください。
ステップ2:1日のセットを決める
1日のメニューは「新しい範囲」+「前日・数日前の範囲の復習」の2本立てにします。
- 前日の範囲を、意味を隠してテスト(5分)
- 今日の新しい範囲を見る(10〜15分)
- 今日の範囲を、もう一度意味を隠してテスト(5分)
ステップ3:印をつけて絞り込む
テストで言えなかった単語にだけ、チェックを1つつけます。2周目、3周目でチェックが2つ・3つとたまる単語は「自分の苦手語」です。後半の周回では、チェックの多い単語だけを重点的に回します。
赤シートと音声の使い方
- 赤シートは「隠してテストする道具」。読みながら使うのではなく、思い出す練習に使います。
- 付属の音声があれば必ず使います。発音を知らないとリスニングで気づけません。
使い方:単語帳を使い始めるときの1周目の進め方の解説です。この節のステップ1〜3と照らし、1周目に何日かけるかを決めてカレンダーに書きます。
03英検向けの使い方
英検は級ごとに語彙のレベルがはっきり分かれているので、受ける級に合わせた単語帳を使うのが基本です。
級に合った1冊を選ぶ
英検の単語帳は、多くが級別に作られています。いま受ける級の1冊を軸にし、余裕があれば1つ下の級の単語が抜けていないかを確認します。
語彙問題だけでなく全体で使う
英検は、筆記の語彙問題だけでなく、長文・リスニング・ライティング・面接でも語彙が必要です。
- 長文・リスニング:意味がすぐわかること(受容語彙)
- ライティング・面接:自分で使えること(発信語彙)
単語帳のうち、ライティングで使えそうな語(increase、reduce、improve、benefit など)には別の色で印をつけ、例文ごと覚えておくと作文でそのまま使えます。
例:2級を受ける人の3か月プラン
- 1〜4週目:2級用の単語帳を1日80〜100語で1周
- 5〜8週目:チェックのついた単語中心に2周目・3周目
- 9〜12週目:過去問を解き、出てきた知らない単語を単語帳の余白に追記
使い方:英検の定番単語帳2冊を実際の出題と照らして比べた検証です。級に合った1冊を選ぶ参考にし、決めたらこの節の3か月プランで回し始めます。
04TOEIC・大学受験向けの使い方
TOEIC:ビジネス場面と音で覚える
TOEIC L&R は、オフィス・買い物・出張・イベントなど、仕事や日常の場面の語彙がよく使われます。
- 音声は必須:リスニングが試験の半分を占めるため、目で見るだけでなく耳で意味がわかる状態を目指します。
- 目標スコア別に範囲を決める:多くのTOEIC向け単語帳はレベル別に章が分かれています。目標スコアに必要な章から優先して回しましょう。
- Part 5 対策には品詞も:同じ語の名詞・形容詞・副詞の形(decide / decision / decisive)をまとめて確認すると、語形問題に強くなります。
大学受験:まず1冊を完璧に近づける
大学受験では、単語帳を何冊も持つより、学校や塾で指定された1冊、または自分で選んだ1冊を仕上げることが大切です。
- 高1〜高2:基礎〜標準レベルの範囲を周回
- 高3:志望校の過去問で出た知らない単語を補う
- 多義語・派生語のページも飛ばさない
共通テストは、長い英文を読む量が多いため、1語を見て0.5秒で意味が浮かぶスピードが大切です。周回を重ねて「考えなくてもわかる」状態を目指しましょう。
使い方:TOEICの定番単語帳『金のフレーズ』の初級500語を、画像と例文で聞き流せます。600点を目指す人は、この節の「目標スコア別に範囲を決める」に合わせてこの範囲から周回を始めます。
使い方:大学入試向けの単語帳『LEAP』の使い方を著者が語る動画です。単語帳の意図を聞いたうえで、この節の大学受験向けの回し方に合わせて1日の範囲を決めます。
05TOEICで使う単語帳の具体名と、周回法の当てはめ方
上の「TOEIC」の使い方を、実際の単語帳に当てはめると次のようになります(英検・大学受験の単語帳はここでは扱いません)。
| 段階 | 単語帳 | 1周目の目安 |
|---|---|---|
| 〜600点 | 銀のフレーズ(最頻出の1000語。「金のフレーズ」の基礎固め編) | 2週間 |
| 600点前後〜 | 金のフレーズ 増補改訂版(2026年1月に出た新しい版) | 2週間 |
| 800点〜 | 金のセンテンス(約1500語を360の文に)か 黒のフレーズ(中級・上級者向けの1000フレーズ) | 3週間 |
ほかに、IIBCの公式TOEIC Listening & Reading 英単語(1,800語、2026年1月)や、アルクのキクタンTOEIC L&Rテスト 1000(1008語、1日16語×9週間の計画)もあります。どれか1冊に決めたら、この記事の周回法をそのまま使います。
金のフレーズでの当てはめ方
- 1周目:2週間で全体を見る(この記事の「浅く・速く」)
- 2周目から:意味を隠して3秒で言えなかった語に印
- 音声:出版社のページのMP3かabceedで、目と耳の両方から
- 4周目から:印の語だけを回す
- 公式問題集で出会った語:丸をつけて、優先して覚える
教材ごとの中身と選び方は、TOEICの教材ガイドにまとめています。
06単語帳の周回を支えるアプリ・タイマーと、音声の使い方
単語帳1冊を何周も回すには、「印つき単語の管理」と「毎日の時間の確保」を道具に任せると楽になります。
| 道具 | 使い方 |
|---|---|
| Anki | チェックが2つ以上ついた苦手語だけをカードにする。全部入れると作るだけで時間がなくなる |
| Quizlet | 単語帳の範囲(1〜100番など)ごとにセットを作り、テストモードで確認する |
| このサイトの単語SRS | アプリを入れられないときに、ブラウザで苦手語を復習する |
| このサイトのポモドーロタイマー | 「前日のテスト5分+新しい範囲15分」のように時間を区切って回す |
| Forvo | 単語帳に音声がない単語の読み方を確かめる。投稿者によって音質にばらつきがあるので、2人分聞く |
付属音声の3つの使い方
- 1周目:音声を流しながら見る。発音を知らない単語を作らない
- 2〜3周目:音声だけを聞き、意味が浮かんだら次へ。浮かばなかった番号をメモ
- 4周目以降:日本語訳のあとに英語が流れる音声なら、英語が流れる前に自分で言う
アカウントの登録が必要なサービスやAIを使うサービスは、利用できる年齢の条件を確かめ、未成年は保護者の同意を得てから使いましょう。
使い方:英単語を何周も高速で回して定着させる暗記法の紹介です。この節の「浅く・速く・何度も」と比べ、自分の1日の語数と周回ペースを決めて単語帳の表紙の裏に書きます。
07単語帳のよくある失敗
失敗1:何冊も買う
1冊が終わる前に別の単語帳を買うと、どちらも中途半端になります。単語帳は1冊を5周以上する前提で選びましょう。
失敗2:書いて覚えることにこだわる
1語を10回書く方法は時間がかかり、「書いた感」で満足しがちです。書くのはどうしても覚えられないスペルだけにし、基本は見て・聞いて・隠して思い出すことを中心にします。
失敗3:見出し語の意味だけ覚える
見出し語の1番目の意味だけを覚えて、例文やコロケーションを見ないのはもったいない使い方です。2周目以降は、例文を声に出して読むところまでやりましょう。
失敗4:復習日を決めていない
「時間があるときに復習する」は、たいてい実行されません。毎日の最初の5分は前日の範囲のテスト、とルールにしてしまいましょう。
08単語帳を回す1週間メニュー
新しい単語を毎日100語見ると仮定したメニューです。
- 月曜:1〜100番を見る → 最後に隠してテスト
- 火曜:1〜100番をテスト(5分)→ 101〜200番を見る
- 水曜:101〜200番をテスト → 201〜300番を見る
- 木曜:201〜300番をテスト → 301〜400番を見る
- 金曜:301〜400番をテスト → 401〜500番を見る
- 土曜:今週の500語のうち、チェックのついた単語だけをまとめてテスト
- 日曜:休み、または土曜に言えなかった単語だけ再テスト
1日の合計は20〜30分ほどです。通学・通勤の電車で「見る」、夜に「テスト」と分けてもかまいません。
ポイント:土曜の「チェック語だけテスト」で、苦手な単語に何度も出会う仕組みを作るのがコツです。
09まとめ:1冊をボロボロになるまで
単語帳の使い方のポイントをまとめます。
- 1周目で完璧を目指さず、浅く・速く・何度も回す
- 毎日「前日のテスト+新しい範囲」の2本立て
- 言えなかった単語にチェックをつけて絞り込む
- 目的の試験に合わせて、音声・品詞・例文の使い方を変える
今日やることは1つだけ。単語帳を開いて、試験日から逆算した「1日の単語数」を表紙の裏に書いてください。それだけで、明日からの単語学習の迷いがなくなります。
このコラムで使うサイト・アプリ
もっと見たい人へ
今日やること
よくある質問
単語帳は何周すればいいですか?
決まった回数はありませんが、多くの人は5周以上を目安にしています。大切なのは回数よりも、言えなかった単語に印をつけて、苦手な単語に何度も出会うように回すことです。
単語帳は例文まで覚えるべきですか?
1周目は見出し語と意味だけでかまいません。2周目以降に例文を声に出して読むと、使い方や発音、コロケーションも一緒に身につき、長文読解や作文でも使える単語になります。
途中で単語帳を変えてもいいですか?
レベルがまったく合っていない場合は変えてもかまいませんが、「なんとなく飽きた」で変えるのはおすすめしません。1冊を仕上げてから、足りない部分を別の教材で補うほうが効率的です。
読了ボーナス


