まずはこの3つ
- 科学の theory は「推測」ではない。多くの証拠に支えられた説明
- 宇宙開発の論点は「費用と意義」「だれのものか」「宇宙ごみ」
- 宇宙飛行士が浮くのは重力がないからではなく、落ち続けているから
このテーマは「科学の進み方」を読ませる
宇宙の長文は新発見の紹介に見えて、実は「科学は仮説を立て、観測で確かめ、まちがいを直しながら進む」という科学の方法が主題であることが多い。「当時は信じられなかった」「新しい観測で修正された」という部分が設問の中心になる。
1入試で狙われる論点(対立する見方)7
- 1宇宙に大金を使うべきか賛:科学の進歩、技術の波及(衛星による天気予報・GPS など)、人類の将来への備え、若者に夢を与える。否:貧困・病気・気候など地球の問題が先。費用対効果が論点。Some argue that the money should be spent on problems on Earth instead.そのお金は代わりに地球の問題に使うべきだと主張する人もいる。
- 2有人か、無人か無人探査機・ロボット:安く安全で長期間働ける。有人:その場で判断でき、人々を引きつける力がある。人命の危険と費用をどう考えるか。
- 3宇宙の商業化民間企業の参入でロケットの打ち上げ費用が下がり、宇宙旅行も現実になった。一方、宇宙の資源や軌道をだれが使えるのか、ルールづくりが追いついていない。
- 4宇宙ごみ(スペースデブリ)使い終わった衛星や破片が高速で地球を回り、衛星や宇宙ステーションに衝突する危険。ぶつかって破片が増え、連鎖的に増える心配(ケスラーシンドローム)。だれが片づけ費用を負うか。
- 5地球外生命はいるか系外惑星が大量に見つかり、生命に適した位置の惑星もある。一方、これほど宇宙が広いのに知的生命の証拠がない(フェルミのパラドックス)。「まだ見つからない」と「いない」は違う。
- 6科学と言えるものの条件Popper:まちがっていたら観測で否定できる形の主張(反証可能)が科学。だれがやっても同じ結果になるか(再現性)、専門家の審査(査読)も大事。
- 7夢の技術との付き合い方核融合は燃料を得やすく、発電中に CO2 を出さないとされ期待が大きい。2022年に米国の施設で、燃料に当てたレーザーより多いエネルギーを得たが(施設全体の消費はずっと大きい)、発電所としての実用化はまだ先。期待と現実を分けて論じる型。
2論理の流れの典型
| 型 | 流れ | 設問で狙われる所 |
|---|---|---|
| 発見の物語 | 謎→仮説→観測・実験→証拠→受け入れられる | 決め手になった証拠 |
| 修正される知識 | 昔の常識→新しい観測→考えが改められる | 何が改められたか |
| 費用と意義 | 巨額の費用→得られるもの→批判→筆者の結論 | 筆者が挙げる意義 |
| スケールの比喩 | 「地球を砂粒とすると…」と身近な物にたとえる | 比喩が何を表すか |
| 科学の方法 | 主張→どう確かめるか→疑似科学との違い | 科学の条件(反証・再現) |
3必須キーワード:概念で覚える20
英語和訳ひと言
exoplanet系外惑星太陽以外の恒星を回る惑星
habitable zone生命居住可能領域液体の水が存在しうる範囲
transit methodトランジット法惑星が前を通ると星が少し暗くなる
light-year光年距離の単位
the Big Bangビッグバン宇宙は約138億年前に始まった
dark matter / dark energy暗黒物質/暗黒エネルギー正体不明。宇宙の大部分を占める
gravitational wave重力波時空のゆがみが波として伝わる
orbit軌道/周回する名詞・動詞の両方
space probe宇宙探査機無人で天体を調べる
sample returnサンプルリターンはやぶさが代表例
crewed / uncrewed有人の/無人のmanned より性別に中立な言い方
space debris宇宙ごみdebris は不可算
the Kessler syndromeケスラーシンドローム衝突の連鎖でごみが増える
commercialization商業化民間の宇宙ビジネス
spin-off波及技術・副産物宇宙開発から生まれた技術
extraterrestrial地球外の(生命)extra(外)+terra(地球)
hypothesis仮説複数形 hypotheses
falsifiability反証可能性否定できる形かどうか
peer review査読同じ分野の専門家による審査
nuclear fusion / fission核融合/核分裂fusion は太陽のエネルギー源
4押さえたい発見・出来事
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1967 | 宇宙条約。月などの天体はどの国も領有できないと定めた |
| 1969 | アポロ11号が人類初の月面着陸 |
| 1995 | 太陽に似た恒星を回る系外惑星を初めて発見(Mayor と Queloz、2019年ノーベル物理学賞) |
| 2010・2020 | はやぶさが小惑星イトカワの、はやぶさ2がリュウグウの試料を地球に持ち帰った |
| 2015 | 重力波を初めて直接観測(LIGO、発表は2016年)。Einstein の予言から約100年 |
| 2019 | ブラックホールの影を初めて画像に(イベント・ホライズン・テレスコープ) |
| 2021 | ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げ |
| 2025 | NASA が確認した系外惑星が6,000個を超えた |
5英作文で使える一文7
- Space research has led to technologies we use in daily life.宇宙研究は日常生活で使う技術につながってきた。lead to〜=〜につながる。賛成側
- A scientific theory must be testable.科学の理論は検証できるものでなければならない。科学の条件を言う短文
- Science advances by correcting its own mistakes.科学は自らのまちがいを正すことで進歩する。by doing=〜することによって
- Space should belong to all humankind, not to any single country.宇宙はどこか1つの国ではなく、全人類のものであるべきだ。humankind は性別に中立
- International rules are needed to reduce space debris.宇宙ごみを減らすには国際的なルールが必要だ。debris は不可算なので reduce の後に a や -s を付けない
- Finding life beyond Earth would change how we see ourselves.地球の外で生命が見つかれば、私たち自身についての見方は変わるだろう。仮定の would。how we see〜
- The absence of evidence is not the same as evidence of absence.証拠がないことは、ないという証拠と同じではない。地球外生命などの議論で効く決め台詞
6よくある誤解6
- ✕宇宙ステーションでは重力がないから浮く○そこでも地上の約9割の重力がある。地球の周りを落ち続けているから浮く自由落下で重さを感じない
- ✕夏は地球が太陽に近づくから暑い○季節は地軸の傾きで起きる北半球が夏の7月ごろ、地球は太陽から最も遠い
- ✕光年は時間の単位○光が1年に進む距離。距離の単位year に引っぱられない
- ✕進化論も「ただの theory(推測)」だ○科学の theory は多くの証拠で支えられた説明の体系日常語の theory(憶測)と区別
- ✕科学は絶対の真理を証明する○今ある証拠で最もよい説明。新しい証拠で改められるだから科学は進歩できる
- ✕夜空の星は今の姿を見ている○見えるのは光が出発した時の、過去の姿遠い星ほど昔の光
確認テスト
- 1恒星の前を惑星が通る時のわずかな減光で惑星を探す方法は?正解は transit method。transit=通過
- 2「まちがっていれば観測で否定できる」ことを科学の条件とした考えは?正解は falsifiability。Popper の反証可能性
- 3International rules are needed to reduce space .正解は debris。debris は不可算名詞
- 4衝突で生じた破片がさらに衝突を起こし、ごみが連鎖的に増える心配は?正解は the Kessler syndrome。1978年に提唱
- 5Science advances correcting its own mistakes.正解は by。by doing=〜することで
背景知識:宇宙・科学を一覧にまとめ、A4 2枚で印刷できる無料PDFにしました。Web版は赤シート・覚えたチェック・カード・4択テストつき。