中高英語教師のための授業アイデア&最新情報ニュースレター

【中高英語教師のための授業アイデア&最新情報】 2026年8月2日(日)~原田先生の英語教育ニュースレター Vol.164~

 

LA FARGA ◆ ENGLISH TEACHER’S BRIEFING

📬 原田先生の英語教育ニュースレター

中高英語教師のための授業アイデア&最新情報

2026年8月2日(日)・ Vol.164

FARGA I ◆ HEADLINE

アイード「英語授業ラボ」8/22開催 — 生成AI×英語授業の実践を持ち寄る場

アイードが、生成AIを活用した英語授業の実践を共有・議論する「英語授業ラボ」を2026年8月22日に開催すると発表しました(ICT教育ニュース 7/31)。「AIツールの使い方講座」ではなく、実践を持ち寄って議論するという設計が要点です。

夏休みの後半は、2学期の帯活動と評価設計を組み直せる最後のタイミング。AIで「何ができるか」はもう十分に情報が出回りました。いま知りたいのは、他の先生が何をAIに渡し、何を手元に残したかのほうです。ライティング添削、音読・スピーキングの記録、小テスト生成——この3つの線引きが決まれば、9月からの授業設計はかなり軽くなります。

🔗 参考:ICT教育ニュース — アイード、生成AIを活用した英語授業の実践を共有・議論する「英語授業ラボ」8月22日開催(7/31)

FARGA II ◆ WARM-UP

今日の帯活動アイデア(5分でできる!)

🔥 Hot Iron / Cold Iron(熱いうちに話す・冷めてから直す)

対象:中2〜高3 ・ 時間:5分 ・ 準備:不要

▶ やり方

HOT(60秒):お題について、止まらずに話す。訂正は一切しない。ペアの相手は聞くことに専念。

COLD(60秒):聞き手が「いちばん印象に残った1文」をノートに書き取る(うろ覚えでOK)。

SHAPE(90秒):ペアでその1文だけを直す。直すのは1か所だけ。時制・冠詞・語順、どれか一つ。

STRIKE(30秒):直した1文を声に出して言い切る。これで終わり。

◆ ねらい:流暢さと正確さを同じ5分に詰め込もうとすると、たいてい両方こぼれます。「熱いうちは打たない・冷めてから1か所だけ打つ」と分けると、生徒は安心して喋り、直すときは集中できます。

🚪 Three Doors(三つの扉)

対象:中1〜高2 ・ 時間:5分 ・ 準備:黒板に1文

▶ やり方

① 教師が「伝えたい中身」を日本語で1つ示す。例:テストは金曜日です。

② 生徒は同じ中身を3人の相手に向けて英語で言う。各30秒。

 扉1・友だちに“Hey, the test’s on Friday.”

 扉2・先生に“Excuse me, is the test on Friday?”

 扉3・英語が苦手な留学生に“Test. Friday. OK?”(短く・ゆっくり・繰り返す)

③ 3つを言い比べて「どこが変わったか」をペアで1つだけ挙げる。

◆ ねらい:「正しい英語」は一つではなく、相手によって形が変わる——これを説明ではなく口で体験させる活動です。扉3は特に効きます。削って伝わるなら、それも立派な英語力だと分かる瞬間があります。

FARGA III ◆ AI TOOLS

AI × 英語指導 最前線

FOR TEACHERS

🎧 Snorkl — 生徒が「声で答える」を全員分さばく

生徒が音声+ホワイトボードへの書き込みで考えを説明し、AIがその場でフィードバックを返すツール。教師側のダッシュボードには全員の回答が並び、似た回答をまとめて表示できます。英語科での使いどころは明確で、「1人が答えて38人が聞いている」を「38人が答える」に変えることです。

Retelling、写真描写、教科書本文の要約——これまで時間の都合で数人しか当てられなかった活動を、全員分の音声として回収できます。個人の教師アカウントは無料で作成でき(同時に走らせられる課題数に上限あり)、UIは65言語以上に対応しています。

🔗 Snorkl 公式サイト →

FOR STUDENTS

💬 Loora — 24時間いつでも付き合う英会話コーチ

音声で自然な会話を続けながら、文法・発音・流暢さにリアルタイムで指摘が入るAI英会話アプリ。iOS/Android/ブラウザに対応し、面接練習や試験対策のロールプレイ、セッション後の振り返りサマリーが用意されています。

売りは「判断されない環境」。教室で口を開けない生徒が、まず失敗しても誰も見ていない場所で助走をつけるのに向いています。無料で試せるのは導入の数レッスン程度で、その後はサブスクリプション。学校で一斉導入する類のものではなく、「話す量が足りない」と自覚している生徒に個別に紹介する使い方が現実的です。

🔗 Loora 公式サイト →

FARGA IV ◆ NEWS FLASH

英語教育ニュース FLASH

🇯🇵 JAPAN

文科省、次期学習指導要領で情報教育を抜本見直し — 高校で「AIにコードを書かせて検証」

文部科学省は7月30日、次期学習指導要領に向けた情報教育案を提示。高校では生成AIを使ったプログラミング学習を導入し、小中高の情報教育を2028年度から段階的に先行実施する方向が示されました。注目したいのは「書かせる」ではなく「書かせて検証する」という組み立て方です。英語科でもそのまま転用できます——AIに英文を出させ、生徒の仕事を「検証」に置く。採点者ではなく校閲者の役を渡すと、読む精度が一段上がります。

🔗 参考:ReseEd — AIにコードを書かせて検証へ…文科省、次期学習指導要領で情報教育を抜本見直し(7/31)

🇯🇵 JAPAN

東大 松尾・岩澤研、日本語講義に英語字幕を自動生成するアプリをOSSで無償公開

東京大学大学院工学系研究科 松尾・岩澤研究室が、日本語の講義動画から英語字幕(SRT形式)を自動生成するデスクトップアプリを開発し、Apache-2.0ライセンスのオープンソースとして無償公開しました。書き起こし→英訳→字幕ファイル生成→品質チェックまでを自動化し、人手は最終確認に絞る設計。専門用語辞書やスライドPDFを読ませて訳語の精度を上げられる点も実用的です。「英語化」が翻訳作業ではなく編集作業になったという変化そのものが、英語科にとってのニュースです。

🔗 参考:ReseEd — 東大松尾・岩澤研、日本語講義の英語字幕を自動生成するアプリを無償公開(7/23)

🌎 GLOBAL

米:英語だけの標準テストは英語学習者の学力を測れていない — 母語での受験が可能な州は35州

Education Weekが、Migration Policy Instituteの分析をもとに、英語学習者(English learners)に対する母語での学力テストの現状を報じました。2025年時点で母語版の学力テストを提供しているのは35州とワシントンDC。英語だけで測ると「英語力の不足」と「教科の理解不足」が区別できず、知っていることが得点に現れないという問題が繰り返し指摘されています。日本の教室でも、英語で書かせた答案が「内容が薄い」のか「英語で書けなかった」のかは別問題。ここを分けて見るだけで評価が変わります。

🔗 参考:Education Week — Why Standardized Tests in English Fall Short for English Learners(7/30)

FARGA V ◆ FREE TOOLS

超絶使える!英語学習ツール

📚 EnglishClub

1997年から続く老舗の無料ESLサイト。文法解説・語彙・クイズ・ゲームに加え、教師向けワークシートやレッスンプラン集も充実。「今日いきなり1枚必要」というときの引き出しとして強い。

公式サイトを見る →

📋 Woodward English

ニュージーランド発。文法ルールを1枚のチャートに落とし込んだ図解が秀逸で、そのまま板書・スライドの下敷きに使える。YouTubeの解説動画と対になっているので、反転授業の課題にも。

公式サイトを見る →

✍ Englisch-Hilfen

非英語話者向けに作られた無料英文法サイト。説明が短く、例文と練習問題がすぐ続く構成で、「解説を読ませすぎない」プリントを作りたいときの手本になる。答え合わせまで完結。

公式サイトを見る →

🎮 Games to Learn English

語彙・文法の復習をミニゲームで回せる無料サイト。1つ2〜3分なので帯活動の残り時間や、早く終わった生徒の待ち時間に使いやすい。登録不要ですぐ遊べるのが最大の利点。

公式サイトを見る →

FARGA VI ◆ WORLD CLASSROOM

世界の教室から学ぶ

🇦🇩 アンドラ公国 — 学校が「3系統」ある国の英語

フランスとスペインに挟まれたピレネーの山中、人口約8.5万人の小国アンドラ。公用語はカタルーニャ語ただ一つですが、この国の教育制度はきわめて珍しい形をしています。アンドラ系・フランス系・スペイン系という3つの学校システムが並立し、保護者がどれに通わせるかを選ぶのです。同じ町の子どもが、教える言語も学年の区切りも違う学校に通っている。それが日常です。

この環境で英語はどう位置づけられるか。アンドラの子どもたちにとって、カタルーニャ語・スペイン語・フランス語はすでに「生活の中で切り替えるもの」であり、英語はそこに4番目として足される言語です。「母語 vs 外国語」という二項対立が最初から成立しない。言語は数えるものではなく、場面に応じて引き出す道具の束——そういう感覚が制度そのものによって育てられています。

🔑 明日から使えるテクニック:「4番目の言語」として置き直す

日本の教室では英語が「唯一の外国語」なので、どうしても日本語との一対一の綱引きになります。これを崩すのがアンドラ的な発想です。授業の冒頭30秒、同じ一文を「日本語・英語・方言や敬語・絵文字や記号」の4つで表す時間を作ってみてください。例:「明日までに出してね」→ “Please hand it in by tomorrow.” → 「明日までに提出のこと」→ 「📝➡🌅」。英語が特別な難物ではなく、同じ中身を運ぶ4つ目の乗り物だと分かると、「英語で言えない」の重さが少し軽くなります。

FARGA VII ◆ QUOTE

教師のための一句

TODAY’S QUOTE FOR TEACHERS

“Multilinguals are not the sum of several monolinguals.”

多言語話者は、複数の単一言語話者を足し合わせた存在ではない。

— Jasone Cenoz(ハソネ・セノス/バスク大学・多言語教育研究)
「Focus on Multilingualism」の中核にある考え方より

FARGA VIII ◆ SUNDAY

Sunday Farga — 日曜の鍛冶場

アンドラの山あいには、水力で送風して鉄を打ったfarga(ファルガ=鍛冶場)の跡が残っています。鉄は、熱して・打って・冷やして、はじめて形になる。日曜の夜は、この1週間を同じ順番で見てみましょう。

🔥 FOC(火) 今週、いちばん教室が熱くなったのはどの5分でしたか。誰の一言がきっかけでしたか。

🔨 MALL(槌) 今週、何度も繰り返し打った指導は何でしたか。それは効いていますか、それとも空振りが続いていますか。

🌪 TREMPA(焼き入れ) 来週、形を固定したいものを1つだけ。増やすのではなく、いま持っているどれを残すかを選んでください。

FARGA IX ◆ ONE-MINUTE TIP

今日の1分ティップス

💡 今日の1分ティップス:「3つ目の質問」ルール

ペアワークが2往復で死ぬ問題への処方箋です。「質問 → 答え → もう1つ質問する」までを1セットとすると最初に宣言してしまう。3つ目に使える型を黒板の隅に固定しておくと、生徒は迷いません——“Why?” / “Really? Tell me more.” / “What about you?” の3つで十分です。たった1回の追加質問で、会話は「往復」から「話題」に変わります。英語力ではなくルールで解決できるタイプの問題なので、費用対効果がとても高い。

📎 今号の参考リンクまとめ

📰 ニュース・記事

ICT教育ニュース — アイード「英語授業ラボ」8月22日開催

ReseEd — 文科省、次期学習指導要領で情報教育を抜本見直し

ReseEd — 東大松尾・岩澤研、英語字幕自動生成アプリを無償公開

Education Week — Why Standardized Tests in English Fall Short for English Learners

🛠 ツール・サービス

Snorkl — 音声+手書きの回答にAIが即時フィードバック

Loora — 24時間対応のAI英会話コーチ

EnglishClub — 老舗の無料ESLリソース

Woodward English — 図解文法チャート&動画

Englisch-Hilfen — 短い解説+即練習の無料文法サイト

Games to Learn English — 登録不要の語彙・文法ミニゲーム

📬 原田先生の英語教育ニュースレター Vol.164

haradaeigo.com

FARGA ◆ 2026.08.02 ◆ DIUMENGE

このニュースレターが役に立ったら、ぜひ同僚の先生にもシェアしてください 🙌
打つべきものは、まだ熱いうちに。よい日曜を。

関連記事