廿三
The Letterpress Dispatch
活版印刷風 英語教育新聞
原田先生の
英語教育ニュースレター
— Harada-sensei’s English Education Weekly —
令和八年四月二十三日(木)| 2026.04.23
壹
◆ TOP STORY ◆
今号の一面記事
新年度「データ駆動型学習支援」が一気に加速
— 姫路市教委×スタディサプリ連携協定、NIERが全国学テIRT分析の研修動画を公開
新年度スタートから3週間、各地で「個別最適な学び」を形にする具体的な連携が動き出しました。4月20日には姫路市教育委員会とスタディサプリ(リクルート)が連携協定を締結し、市内全公立中に個別最適化学習を展開。翌21日にはNIER(国立教育政策研究所)が全国学力テストCBTの核心技術「IRT分析」の研修動画を公開し、今年から導入された中学英語CBTスコアの正しい読み方を全国の教師に届ける体制が整いました。
従来「受けっぱなし」になりがちだった学力調査が、いよいよ授業改善のフィードバックループとして機能し始めます。中高英語教師にとっても「自クラスの4技能スコアをどう解釈し、次週の授業設計に活かすか」が問われる1年になりそうです。
貳
◆ WARM-UP ACTIVITIES ◆
今週の帯活動案 五分で廻る二題
📖 Picture Book Hot Seat(絵本ホット・シート)
対象:中1〜高3|時間:4〜5分|準備:絵本・写真集・画像プリント1枚
▶ 進め方:
① 代表生徒1人を前に座らせ、教師が絵本の1ページだけを見せる(他の生徒からは見えない)
② 代表生徒は見えたものを60秒間英語だけで描写。色・位置・動き・感情まで
③ 他の生徒はノートに頭の中の絵を描き、終了後に「答え合わせ」で原本と比較
④ 正確に描写できた要素の数を数え、3ラウンドで交代
💡 ねらい:前置詞(in / on / next to / behind)と現在進行形がセットで強制運用される。単なる丸暗記でなく「伝えるために必要だから使う」経験が積める。絵本は中高生でも “Where the Wild Things Are” や “The Giving Tree” 等の英語絵本が最適。
🟩 Classroom Wordle(クラスルーム・ワードル)
対象:中1〜高3|時間:5分|準備:黒板と色付きチョーク(緑・黄・白)
▶ 進め方:
① 教師が5文字の英単語を1つ決める(例:HOUSE / STUDY / BEACH)。黒板に「◻◻◻◻◻」と空欄で提示
② クラス全体で相談し、代表生徒が5文字の英単語を提案(例:MUSIC)
③ 教師が黒板に書き、緑◎位置も文字も正解 / 黄△文字はあるが位置違い / 白✗なしで色分け
④ 最大6回で当てればクラスの勝ち、教師の勝ち。授業の終わりに1回、始まりに1回で「帯」になる
💡 ねらい:スペリング意識+語彙ストック活性化。6回の提案を通じて「aで始まる5文字」「-ingで終わる」と条件を絞る論理的な語彙検索を英語でやらせる。中1なら3〜4文字、高校なら「get + 前置詞の句動詞」縛りなど応用が効く。
參
◆ AI FRONTLINE ◆
AI×英語指導 最前線の二本柱
✏️ Goodnotes 6 AI — 手書きノートに宿るAI添削官
iPad+Apple Pencilユーザーにとって絶対的定番のデジタルノート「Goodnotes」が、6世代目でAI機能を全面統合。生徒が書いた英作文をインクのまま認識し、文法チェック・語彙提案・パラフレーズ候補をその場で手書き風の朱ペンで追記してくれます。
◎ Handwriting Recognition(英・日・中など18言語対応)
◎ AI Typo Fix:小さな手書きミスを一括で清書してくれる
◎ Ask Goodnotes:選択した英文をAIに質問→その場で回答が付箋で出る
◎ 教員向けサブスクリプション特別割引あり(Goodnotes for Teachers)
🎓 活用例:生徒が授業中に書いた1文英日記を写真取り込み→次の授業までに全員分AI添削→返却までを1台のiPadで完結。
📷 Question.AI — 写真1枚で「生徒の疑問」に即答するAI
生徒が教科書のリーディング問題や模試の問題をスマホで撮るだけで、解説・直訳・読解のヒント・関連語彙を出してくれる中高生向けAIアシスタント。ByteDance系列で世界DLランキング2026年Q1 教育カテゴリ1位。無料版でも授業の復習には十分な機能が使えます。
◎ 英文写真→和訳・解説・類似問題生成が3秒
◎ 「Why?」ボタンで文法事項の説明を階層的に引き出せる
◎ 教師用管理画面で「生徒がどんな問題でAIに頼ったか」を可視化できる
🎓 活用例:家庭学習の「わからない単語調べ」をAIに任せ、授業中は“AIに聞く前に2分だけ自分で考える”ルールで使わせると、AIが思考のスパーリング相手になる。
肆
◆ NEWS FLASH ◆
英語教育ニュース速報 三題
JP
4/20
スタディサプリ、姫路市教育委員会と連携協定締結 — 市立中学校に個別最適化学習を展開
オンライン学習サービス「スタディサプリ」を運営するリクルートは4月20日、兵庫県姫路市教育委員会と連携協定を締結。姫路市内の中学校での活用を本格化し、学習ログを活用した個別最適な学習の推進と教員の授業改善を支援します。英語4技能の到達度を個人単位で可視化し、授業と家庭学習を接続する設計。兵庫県内の他自治体にも波及する可能性が高く、兵庫県の英語教員は今後の展開を要チェックです。
JP
4/21
NIER、全国学テ「IRT分析」の研修動画を公開 — 中学英語CBTスコアの正しい読み方
国立教育政策研究所(NIER)は4月21日、2026年度から本格導入された中学英語CBTで使われるIRT(項目反応理論)分析の研修動画を公開。「平均点○○点」ではなく「能力値スコア」で読むCBT時代の学テを、どう授業改善に活かすかを現場向けに解説しています。英語科主任・学年主任レベルは要視聴。校内研修の素材としても最適です。
GL
4/16
中国、国家規模の「AI+Education」改革を発表 — 2035年見据えた全学年AI統合カリキュラム
中国教育部が4月16日、複数の政府機関と合同で国家規模のAI教育改革を発表。「AI+Education」戦略として、初等・中等・高等教育の全段階にAIを統合し、2035年までに世界最大規模のAI人材育成国家を目指します。英語教育でも、AI翻訳時代における「AI時代に英語を学ぶ意義」の再定義が急務に。韓国AIデジタル教科書(Vol.010)、日本の外国語WG議論と並ぶ東アジアの3つ巴となっています。
Global Education News — China Bets Big on AI in Education(4/16)
伍
◆ LEARNING TOOLS ◆
超絶使える 英語学習ツール四選
◉ SPEAK
Cambly
世界中のネイティブ講師とワンタップで繋がるオンライン英会話。予約不要・24時間で、1分からの短時間レッスンに対応。生徒に「スキマ時間の英会話習慣」を根付かせたい時に。
◉ MATCH
Preply
世界180カ国・32,000人超の講師から、生徒の目的・レベルに合う1人を選べるチューターマッチングプラットフォーム。英検面接対策など目的特化レッスンが得意。
陸
◆ WORLD CLASSROOM ◆
世界の英語授業から学ぶ
REPUBLIC OF SLOVENIA|首都 リュブリャナ
🇸🇮 スロベニア式 「三段階発言ルール」で全員を黙らせない
人口200万人のアルプス山麓の国スロベニア。EF英語能力指数で世界上位10位前後(日本の遥か上)を維持する秘訣は、小学1年から始まる英語CLIL(内容言語統合型学習)と、教室で徹底される「Three-Step Rule(三段階発言ルール)」。生徒は英語で発言するとき、必ず①Statement(意見)→②Reason(理由)→③Example(例)の3要素を揃えます。これは最初「面倒」ですが、中学3年になる頃には全員の英語発言が自然に構造化されるようになります。
🔑 TO YOUR JAPANESE CLASSROOM
日本の教室では、生徒が “I like sushi.” で終わりがち。“I like sushi. Because it’s fresh. For example, tuna sashimi is my favorite.” の3ステップを教室の黒板に貼り、発言ごとに3指を折って確認する習慣を1ヶ月続けると、生徒のプレゼンやライティングの質が激変します。スロベニアでは帯活動でもこのルールが貫徹されており、「話す・書く」の基礎構造が自動化しています。
— TODAY’S EPIGRAPH —
“The eye of the master fertilizes
the field of the student.”
— Johann Heinrich Pestalozzi
ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチ|スイスの教育者・近代幼児教育の父(1746–1827)
「師の眼差しは、生徒という畑を肥やす」 — 見守られているという実感が、学びの土壌を育てる。
柒
◆ 60-SECOND TIP ◆
💡 今日の1分ティップス — Think-Pair-Switch(スイッチ!)
お馴染みのThink-Pair-Shareを少しひねるだけで、教室の熱量が変わります。ペアで話し合った後、“Switch!”の合図で全員が別のペアに移動し、「さっきの相手が言ったこと」を英語で相手に伝える。自分の意見ではなく他者の意見を語らせることで、①よく聞く必要が生まれ、②reporting表現(”He said that…” “She mentioned…”)の強制的アウトプットになり、③同じ話題を2回話すので流暢さが上がる。3分×1回の小技ですが、効果は絶大です。
原田先生の英語教育ニュースレター
VOL. LXVI | 2026.04.23
haradaeigo.com
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