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【やさしい英文de多読!】<57> Why Your Potato Chip Bag Is Changing ポテトチップスの袋が変わる理由 ~英文を楽しく&音声つきで読もう!~

原田英語マン
原田英語マン
今日のテーマは「ポテトチップスの袋が変わる理由」です。カルビーが看板商品を白黒印刷に、カゴメが透明パッケージに——なんと中東情勢が、日本のおやつ売り場にまで影響を及ぼしているんです。一枚のパッケージから見える、グローバルな物語をのぞいてみましょう。

📖 英文(222 words)

Have you ever looked at a bag of potato chips and noticed the colorful design? Soon, that might change in Japan. Because of the war in Iran, food companies are running out of something needed to make ink. As a result, they are changing the look of their food packaging.

Calbee, a famous snack maker, will print some of its most popular potato chips in only black and white. The bags will carry a short message: “Packaged to save oil-related materials.” Kagome, a big maker of ketchup and juice, has decided to make some of its packaging clear, so you can see the food inside. These are surprising changes for products that families know well.

Why is this happening? The problem is a liquid called naphtha. Naphtha comes from oil, and factories use it to make plastic, paint, and ink. Because of tensions in the Middle East, naphtha is hard to get. In late April, Prime Minister Takaichi told business leaders that Japan has enough naphtha for this year. The government plans to make more naphtha at home and buy three times as much from countries outside the Middle East.

Still, Calbee said the company is worried about what may happen next. The next time you open a bag of chips, look carefully. The package itself may be telling a global story.

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📝 重要語句

packaging:包装
the materials used to wrap or cover a product(商品を包んだり覆ったりする材料)
snack maker:菓子メーカー
a company that produces snack foods like chips(ポテトチップスのようなお菓子を作る会社)
black and white:白黒の
using only black and white colors, no other colors(黒と白だけで、他の色を使わない)
oil-related materials:石油関連の原料
substances made from petroleum(石油から作られる物質)
transparent / clear:透明な
able to be seen through(向こう側が見える)
naphtha:ナフサ
a liquid from oil used to make plastic and ink(プラスチックやインクを作るのに使われる石油由来の液体)
tensions:緊張
a situation when countries do not trust each other(国同士が信頼し合えない状況)
Middle East:中東
the region around countries like Iran and Saudi Arabia(イランやサウジアラビアなどがある地域)
business leaders:経済界の指導者
important people who run big companies(大企業を動かす重要な人物たち)
countermeasures:対策
actions taken to deal with a problem(問題に対処するための行動)
domestic production:国内生産
making things inside your own country(自国内でものを作ること)
threefold:3倍の
three times as much(3倍の量)

🇯🇵 日本語訳

ポテトチップスの袋を手にとって、その色鮮やかなデザインに目を奪われたことはありませんか? じつは、その当たり前の風景が、もうすぐ日本で変わるかもしれません。原因は、遠く離れた中東で起きているイラン戦争。インクを作るのに欠かせない原料が不足し、食品メーカー各社が、私たちのおなじみのパッケージのデザインを変えざるをえなくなっているのです。

人気スナック菓子メーカーのカルビーは、看板商品のポテトチップスの一部を、なんと白黒印刷に切り替えると発表しました。袋には「石油関連原料節約のため」という小さなメッセージが添えられるそうです。一方、ケチャップやジュースで知られるカゴメは、一部の商品パッケージを透明化し、中身が直接見えるようにする方針です。長年親しまれてきた商品の、思いがけない変身です。

いったい、なぜこんなことが起きているのでしょうか? 鍵を握るのは「ナフサ」という液体。これは石油から作られる物質で、プラスチック、塗料、インクなど、私たちの暮らしを支える数えきれない製品の原料になっています。中東情勢の緊迫化で、このナフサが手に入りにくくなっているのです。4月下旬、高市早苗首相は経済界の幹部に対し、「今年分のナフサは十分に確保している」と説明。今後は国内生産を増やすとともに、中東以外の国からの輸入量を3倍に引き上げる方針を示しました。

それでもカルビーは、「今後の情勢次第では、さらなる影響が出る可能性も否定できない」と慎重な姿勢を崩していません。次にポテトチップスの袋を開けるとき、少しだけ立ち止まって、その包装を眺めてみてください。一枚の袋が、私たちに地球の反対側で起きていることを静かに語りかけているのかもしれません。

 

📦 コラム:パッケージは時代を映す鏡 ~白黒ポテチに刻まれた世界史~

スーパーやコンビニの棚に並ぶ食品パッケージ。普段は何気なく目にしているこれらのデザインが、じつは時代の出来事をくっきりと映し出してきたことをご存じでしょうか。一枚の袋やラベルは、その時代の経済、政治、技術、そして人々の暮らしまでを語る「歴史の証言者」でもあるのです。

🔸 戦時下の「質素パッケージ」が語るもの

戦時中の日本では、印刷インクや紙そのものが極度に不足し、商品のラベルは極端に簡素なものへと姿を変えました。色は黒一色、紙質はざらざら、デザインは最小限——「贅沢は敵だ」の時代を象徴する風景です。実はキャラメルでおなじみの森永製菓も、戦時中はパッケージを大幅に簡略化し、戦後の物資不足の中でも復興とともに色彩豊かなデザインへと戻していった歴史があります。1973年の第一次オイルショックの折にも、トイレットペーパーや洗剤のパッケージは薄く、地味になりました。今回のカルビーやカゴメの動きは、こうした「危機がパッケージに刻まれる」歴史の、令和版とも言えるでしょう。

🔸 海外にもあった「節約パッケージ」

同じような現象は海外でもくり返されてきました。第二次世界大戦中のアメリカでは、コカ・コーラがブリキ缶の供給制限を受け、瓶のサイズや形を何度も変更。戦地の兵士向けには「どんな場所でも5セントで」というスローガンのもと、特別な簡易パッケージまで作られました。冷戦時代の旧ソビエト連邦では、物資不足から「白地に黒文字だけ」という超ミニマルなラベルが一般的だった時期もあります。コロナ禍ではヨーロッパの一部メーカーが、印刷工程を簡略化するためにパッケージの色数を減らした事例も報じられました。「危機」が「デザイン」を変える——これは世界共通の現象なのです。

🔸 「白黒ポテチ」は未来のお宝に?

ここで興味深いのが、こうした「節約パッケージ」がしばしば思わぬ価値を生むという事実です。戦時中の簡素な缶詰ラベルや、オイルショック時の限定パッケージは、現在ではコレクター垂涎のレア品として、ネットオークションで驚くような値段で取引されることがあります。「時代の記憶を物語るもの」には、独特の魅力があるのですね。もしかすると、カルビーの白黒ポテトチップスも、数十年後には「2026年の世界情勢を物語る記念品」として、博物館やパッケージミュージアム(実在します!)に展示される日が来るかもしれません。買い物のついでに「歴史」を手に入れている——そう考えると、ちょっとワクワクしませんか?

🔸 ことばの旅:「ナフサ」の語源はペルシャ語

最後に、ちょっとした言葉の小ネタを。「ナフサ(naphtha)」という言葉、その語源をたどっていくと、なんと古代ペルシャ語の「naft(ナフト)」、つまり「石油」にたどり着きます。古代メソポタミアでも、地面から湧き出る油のような液体を「ナフトゥ」と呼んでいたと言われ、聖書にも似た言葉が登場します。つまり、私たちが手にするポテトチップスの袋一枚に、古代ペルシャの大地から現代のイラン情勢まで、数千年にわたる人類と石油の物語が詰まっているのです。

次にスーパーで白黒のポテトチップスを見かけたら、ぜひ手に取って眺めてみてください。その小さな袋には、中東の砂漠から日本の食卓まで、世界をぐるりと一周する壮大な物語が静かに刻まれています。普段の何気ない買い物が、ちょっとだけ「世界とつながる時間」に変わるかもしれません。

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