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「ノートは手書きが最強」説、同じ実験をやり直したら差はほぼ消えていた

「ノートは手書きが最強」説、同じ実験をやり直したら差はほぼ消えていた

読む前に予想してみよう!

手書きでノートをとると、パソコンより必ずテストの点が上がる

研究カード(どんな研究?)
対象
主に大学生
規模
同じ実験のやり直し2本(うち1本は142人)+メタ分析2本(2024年のものは24研究)
研究の種類
実験研究・同じ実験のやり直し+メタ分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

2014年の有名研究は「手書きの勝ち」。でも同じ実験のやり直し(追試)では差はほぼ消え、研究をまとめた分析でも差は小さめ。勝負を分けるのは道具より「自分の言葉でまとめるか」。

ひとことで言うと手書きかパソコンかより、「自分の言葉で書く」が大事!

もくじ
  1. 有名研究が言ったこと
  2. やり直したら、差が消えた
  3. 本当の敵は「丸写し」と「通知」
  4. ノートは「とる」より「使う」が本番
  5. まとめ

「やっぱりノートは手書きでしょ」。そう言われる根拠として、世界中で引用されてきた研究があります。タイトルはずばり『ペンはキーボードより強し』。

ところがその後、別の研究者たちが同じ実験をやり直してみたら、差がほとんど出なかったんです。

この記事では、有名研究の中身と、その後の「答え合わせ」を見ていきます。結論を先に言うと、勝負を分けるのは道具ではありませんでした。

01有名研究が言ったこと

理由として考えられたのは「タイピングは速すぎて、考えずに丸写しできてしまう」こと。手書きは遅いので、自然と要約しながら書くことになり、それが理解につながる、という説明でした。

なるほど、と思いますよね。この研究は大きく報道され、「授業中はパソコン禁止」の根拠にもなりました。

02やり直したら、差が消えた

ところが2019年、モアヘッドらが同じ手順で追試(同じ実験をもう一度やって、結果が再現されるか確かめること)を行うと、手書きとパソコンの成績に一貫した差は見られませんでした。

2021年には、アーリーらも Psychological Science 誌で追試(142人)を発表。パソコン組が言葉をそのまま写しがちなのは再現されたものの、テストの点には差が出なかったのです。

さらに2021年には、たくさんの研究をまとめた分析(メタ分析)がオンラインで公開されました。ほかのアプリで気が散らない条件の研究を集めて比べると、手書きとデジタルの差はほぼゼロでした。

ただし話はまだ決着していません。2024年に出た別のメタ分析(24研究)では、手書きの方が少し成績が良い(効果は小さめ)という結論でした。ノートを見直す時間がある研究では、その差がやや大きい傾向もありました。一方、書けた量はタイピングの方がずっと多いという結果です。どの研究を集め、どんな条件を比べるかで、答えが少し変わるのです。

道具の差は、思ったより小さかった
道具の差は、思ったより小さかった

03本当の敵は「丸写し」と「通知」

じゃあ、何が成績を左右するのか。注目したいのは2つです。

1つ目は丸写し。元の研究では「講義の言葉をそのまま写した割合が多い人ほど、点が低い」という関係が見られました。追試ではこの関係ははっきりしませんでした。一方、「たくさん書いた人ほど点が高い」傾向は、元の研究にも追試にもありました。ただ言葉を写すより、要点を自分でつかんで書き残す方が、頭を使うことになります。

2つ目は気が散ること。パソコンやタブレットには、通知、SNS、ネット検索といった誘惑がいっぱい。差がほぼゼロだった2021年のメタ分析も、ほかのアプリによる気の散りを除いた条件の研究をまとめたものでした。実際の授業で通知やSNSに気を取られれば、道具の差とは別の問題が出てくるおそれがあります。

04ノートは「とる」より「使う」が本番

モアヘッドらの追試では、もう一つ大事な発見がありました。ノートをとったあとに見直す時間を設けると、グループ間の差はさらに小さくなったんです。しかも、ノートをとらなかったグループとの間にも、一貫した差は見られませんでした。

ノートの価値は、授業中に書く瞬間だけで決まるわけではありません。あとで復習する「材料」としてどう使うかが、成績を左右します。

おすすめは、ノートの要点を問題に変えて、何も見ずに答える練習に使うこと。手書きでもデジタルでも、この使い方なら「思い出す練習」につながります。

05まとめ

「手書き vs パソコン」は、実は主役ではありませんでした。大事なのは、聞いたことを頭の中でかみ砕いてから書いているかどうかです。

自分に合う道具で構いません。ただし、写すだけのノートになっていないか、一度見直してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 2014, a study titled "The pen is mightier than the keyboard" became famous. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 2014, a study titled "The pen is mightier than the keyboard" became famous. Mueller and Oppenheimer found that university students who typed notes on laptops tended to copy the lecture word for word and did worse on questions that tested understanding. The explanation was that typing is so fast that you can write without thinking.

However, when other researchers repeated the experiment in 2019 and 2021, the handwriting group did not score higher. A meta-analysis also found almost no difference once distractions from other apps were removed. Two things seem to matter more than the tool. One is putting ideas into your own words, and the other is avoiding distractions such as notifications. How you review your notes later is also important.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

2014年、『ペンはキーボードより強し』と題された研究が有名になりました。ミューラーとオッペンハイマーは、ノートパソコンでノートをとった大学生は講義を一語一語そのまま写す傾向があり、理解を問う問題で成績が悪かったことを発見しました。その説明は、タイピングはとても速いので、考えずに書けてしまうというものでした。

しかし、2019年と2021年に別の研究者たちがこの実験を繰り返したところ、手書きのグループの点数は高くなりませんでした。あるメタ分析でも、ほかのアプリによる気の散りを除くと、ほとんど差がないことが分かりました。道具よりも大事だと思われることが2つあります。考えを自分の言葉にすることと、通知などの気を散らすものを避けることです。後でノートをどう復習するかも重要です。

4択リーディングクイズ

Q1. According to the 2014 study, why did laptop users do worse?

Q2. What happened when researchers repeated the experiment?

Q3. What does the passage suggest is most important?

重要単語

  • longhandC1
    名詞手書きShe took notes in longhand during the lecture. in longhand「手書きで」の形で使う。反対は shorthand(速記)。
  • verbatimC1
    副詞・形容詞一語一語そのままにCopying the lecture verbatim does not help understanding. ラテン語 verbum(言葉)から。verb(動詞)・verbal(言葉の)と同語源。word for word と同じ意味。
  • transcribeC1
    動詞書き写す、文字に起こすLaptops make it easy to transcribe every word. trans-(移して)+scribe(書く)。describe・prescribe と同じ -scribe の仲間。名詞 transcript(成績証明書・文字起こし)。
  • distractionB2
    名詞気を散らすものTurn off notifications to reduce distraction. 動詞 distract(気を散らす)。digital distraction(デジタル機器による気の散り)は現代の頻出テーマ。
  • paraphraseB2
    動詞・名詞言い換える/言い換えParaphrase the teacher's words in your notes. para-(そばに)+phrase(言葉)。英検や入試の要約問題で「本文を paraphrase せよ」は定番の力。
  • replicationC1
    名詞追試、再現Direct replications did not find a handwriting advantage. replicate(再現する)の名詞形。同じ手順でやり直す追試を direct replication と呼ぶ。
  • notificationB2
    名詞通知Switch off notifications while you study. notify(知らせる)の名詞形。push notification(プッシュ通知)。notice と同語源。
「ノートは手書きの方が頭に入る」って有名な研究、同じ実験をやり直したら差がほぼ出なかったらしい。大事なのはペンかキーボードかじゃなかった。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Mueller & Oppenheimer (2014) The pen is mightier than the keyboard: Advantages of longhand over laptop note taking, Psychological Sciencedoi.org
  2. Morehead, Dunlosky & Rawson (2019) How much mightier is the pen than the keyboard for note-taking? A replication and extension of Mueller and Oppenheimer (2014), Educational Psychology Reviewdoi.org
  3. Urry et al. (2021) Don't ditch the laptop just yet: A direct replication of Mueller and Oppenheimer's (2014) Study 1 plus mini meta-analyses across similar studies, Psychological Sciencedoi.org
  4. Voyer, Ronis & Byers (2022) The effect of notetaking method on academic performance: A systematic review and meta-analysis, Contemporary Educational Psychologydoi.org
  5. Flanigan, Wheeler, Colliot et al. (2024) Typed versus handwritten lecture notes and college student achievement: A meta-analysis, Educational Psychology Reviewdoi.org