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【読み返しは損】短い文章を4回勉強するより「1回勉強+テスト3回」の方が1週間後も覚えていた

【読み返しは損】短い文章を4回勉強するより「1回勉強+テスト3回」の方が1週間後も覚えていた

読む前に予想してみよう!

何も見ずに思い出す練習は、同じ時間読み返すより1週間後の記憶に残りやすい

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・小中高生
規模
実験室実験(数十〜百数十人)〜教室研究50件のレビュー+メタ分析
研究の種類
実験研究+系統的レビュー+メタ分析
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

読み返すより「思い出す練習(テスト)」をした方が、1週間後の記憶がはっきり良かった。直後は逆に見えるのが落とし穴。

ひとことで言うと覚えたかったら、読むより「思い出す」をくり返そう!

もくじ
  1. 「勉強4回」vs「勉強1回+テスト3回」、1週間後に逆転
  2. 思い出すたびに、記憶の「道」が太くなる
  3. 今日からできる「自分テスト」のやり方
  4. 読み返しはダメ、ではない
  5. 「覚えた気がする」は当てにならない
  6. まとめ

テスト前、教科書やノートを何度も読み返していませんか? 実はそれ、「やった気」になりやすいのに、あまり残らない勉強法かもしれません。

心理学では、覚えたことを何も見ずに引っぱり出す作業を想起練習(そうきれんしゅう)と呼びます。ひらたく言えば「自分にテストを出すこと」。これが読み返しよりずっと強い、という研究があるんです。

しかも面白いのは、読み返し派の人ほど「自分はよく覚えた」と自信満々だったこと。脳は、自分の記憶の状態をかなり読み違えるようです。

01「勉強4回」vs「勉強1回+テスト3回」、1週間後に逆転

ポイントは「直後」と「1週間後」で結果がひっくり返ること。読み返しは、文章を見たときの「あ、知ってる」というなじみ感を高めてくれます。でも、なじみ感は「何も見ずに答えられる力」とは別物。

テスト本番で求められるのは、もちろん後者ですよね。

02思い出すたびに、記憶の「道」が太くなる

なぜ思い出すと強くなるのか。よく使われるたとえがけもの道です。

草むらを1回歩いただけでは道はすぐ消えますが、何度も通ると踏み固められて、迷わず進めるようになる。記憶も、引っぱり出すたびに「取り出すルート」が太くなると考えられています。

思い出すたびに、記憶への道が踏み固められていくイメージ
思い出すたびに、記憶への道が踏み固められていくイメージ

さらに2011年には、カーピキーとブラントが Science 誌で、思い出す練習が「図で整理する勉強(コンセプトマップ)」よりも、理解を問う問題で良い成績につながったと報告しました。単純な丸暗記だけの話ではないんです。

2021年に発表された、学校の授業での50の実験をまとめたレビューでも、小テストを取り入れると多くのケースで中くらい以上の成績アップが見られています。

03今日からできる「自分テスト」のやり方

コツは「ちょっとキツい」と感じるくらいがちょうどいいこと。スラスラ読めて気持ちいい勉強は、脳がサボっているサインかもしれません。

04読み返しはダメ、ではない

誤解しないでほしいのは、読むこと自体が無駄なわけではない点です。最初に内容を理解するには、もちろん読む必要があります。

大事なのは配分。2回目以降の「読み返し」を「思い出す練習」に置き換えるだけで、同じ時間でも残る量が変わります。

2013年に教育心理学者たちが10種類の学習法を比べたレビューでも、「練習テスト」は最高ランクの評価を受けました。一方で読み返しは低評価でした。

05「覚えた気がする」は当てにならない

ロディガーとカーピキーの実験には、もう一つ興味深いデータがあります。勉強の直後に「1週間後、どのくらい覚えていると思う?」と予想してもらったところ、読み返しをくり返したグループほど自信が高かったのです。実際の結果は、ご覧のとおり逆でした。

何度も読んだ文章はスラスラ目に入るので、脳は「もう覚えた」と勘違いしやすい。だからこそ、自分の記憶はテストで確かめるのが一番です。テストは点数をつけるための道具であると同時に、「わかったつもり」を見破るための道具でもあるんです。

06まとめ

教科書を開いている時間が長いほど勉強した気になりますが、記憶を強くするのは閉じている時間です。

今日の復習は、まず教科書を閉じて「さっき何を習ったっけ?」と自分に聞くところから始めてみてください。思い出せなかった瞬間こそ、記憶が育つチャンスです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerRereading a textbook feels productive, but it may be one of the least effective ways to study. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Rereading a textbook feels productive, but it may be one of the least effective ways to study. In 2006, Roediger and Karpicke compared students who studied a short passage four times with students who studied it once and then wrote down what they could recall three times. On a test five minutes later, the rereading group did better.

One week later, however, the recall group remembered much more, about 60 percent compared with 40 percent. This is called the testing effect, or retrieval practice. Rereading creates a feeling of familiarity, but that is different from being able to answer without looking. Students who reread were also more confident, even though they remembered less.

113 words ・ CEFR B1

和訳を見る

教科書を読み返すと勉強がはかどっている気がしますが、それは最も効果の低い勉強法の一つかもしれません。2006年、ロディガーとカーピキーは、短い文章を4回勉強した学生と、1回勉強してから思い出せることを3回書き出した学生を比べました。5分後のテストでは、読み返したグループの方が良い成績でした。

しかし1週間後には、思い出したグループの方がずっと多くを覚えていました。およそ60パーセント対40パーセントです。これはテスト効果、または想起練習と呼ばれます。読み返すとなじみのある感じが生まれますが、それは何も見ずに答えられることとは別物です。読み返した学生の方が自信も持っていましたが、覚えていた量は少なかったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the second group do in the 2006 study?

Q2. How much did the recall group remember one week later?

Q3. What does the last sentence suggest?

重要単語

  • retrieval practiceC1
    名詞(句)想起練習(思い出す練習)Retrieval practice is one of the best study methods. retrieve(取り出す)の名詞 retrieval + practice。testing effect(テスト効果)とほぼ同じ意味で使われる。
  • rereadB2
    動詞読み返すRereading feels easy but fades quickly. re-(再び)+read。過去形・過去分詞も reread(発音は /riːˈred/)。rewrite・review も同じ re-。
  • familiarityC1
    名詞なじみ感、見覚えFamiliarity is not the same as real memory. familiar(よく知っている)の名詞形。be familiar with ~「~をよく知っている」は入試頻出。
  • retentionC1
    名詞保持、記憶の定着Testing improves long-term retention. retain(保つ)の名詞形。long-term retention(長期保持)は学習研究の定番表現。
  • concept mapB2
    名詞(句)概念地図(図で整理したもの)She drew a concept map of the chapter. concept(概念)+map。mind map と似ているが、概念どうしの関係を線とラベルで示す点が特徴。
  • qualificationC1
    名詞但し書き・条件/資格The finding comes with some qualifications. 「資格」が有名だが、論文では「限定・留保」の意味で使われる。without qualification「無条件に」。
  • reverseB2
    動詞逆転する・逆にするAfter a week, the pattern reversed. 名詞・形容詞 reverse(逆)。in reverse order「逆の順番で」。reverse the trend「流れを逆転させる」。

4コマでわかる

【読み返しは損】短い文章を4回勉強するより「1回勉強+テスト3回」の方が1週間後も覚えていたの4コマ漫画
短い文章を4回勉強するより、1回勉強して3回テストした方が1週間後によく覚えていたらしい。しかも4回勉強した側の人は「自分の方が覚えてる」と思い込んでいた…

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出典・参考文献(6件)タップで表示
  1. Roediger & Karpicke (2006) Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention, Psychological Sciencedoi.org
  2. Karpicke & Blunt (2011) Retrieval practice produces more learning than elaborative studying with concept mapping, Sciencedoi.org
  3. Agarwal, Nunes & Blunt (2021) Retrieval practice consistently benefits student learning: A systematic review of applied research in schools and classrooms, Educational Psychology Reviewdoi.org
  4. Rowland (2014) The effect of testing versus restudy on retention: A meta-analytic review of the testing effect, Psychological Bulletindoi.org
  5. Pan & Rickard (2018) Transfer of test-enhanced learning: Meta-analytic review and synthesis, Psychological Bulletindoi.org
  6. Dunlosky, Rawson, Marsh, Nathan & Willingham (2013) Improving students' learning with effective learning techniques, Psychological Science in the Public Interestdoi.org