数学の未解決問題5選:中高生でも読めるのに、世界中の天才が解けない問題たち

読む前に予想してみよう!
「2より大きい偶数は2つの素数の和で表せる」という予想は、すでに証明されている
ゴールドバッハ予想と呼ばれ、コンピューターで4×10の18乗まで確かめられているが、証明はまだない。
- 対象
- 数学の予想
- 規模
- 数十年〜数百年の研究
- 研究の種類
- 数学的証明・計算機による検証
- 確かさ
- ★★★★★
コラッツ予想、双子素数予想、ゴールドバッハ予想、リーマン予想、P≠NP予想。問題文は中高生でも読めるのに、何十年〜何百年も解けていない。
ひとことで言うとルールはかんたんなのに、だれも証明できない数学の問題がある!
もくじ
数学の未解決問題というと、難しい記号だらけの世界を想像するかもしれません。でも実は、問題文だけなら中高生でも雰囲気はつかめるのに、世界中の天才が何十年、何百年かけても解けていない問題がたくさんあります。
この記事では、そんな数学の未解決問題から、中高生でもわかる5つを選びました。コラッツ予想、双子素数予想、ゴールドバッハ予想、リーマン予想、P≠NP予想です。そして、それぞれに「ここまでは分かった!」というマジか!?な最新の進展があります。
01未解決問題①:コラッツ予想「どんな数も最後は1になる?」
ルールはたった2つ。
- 偶数なら 2で割る
- 奇数なら 3倍して1を足す
たとえば6から始めると、6→3→10→5→16→8→4→2→1。27から始めると、なんと100回以上も上がったり下がったりして、最後に1にたどり着きます。
「どんな正の整数から始めても、必ず1にたどり着く」――これがコラッツ予想です。コンピューターでは、天文学的に大きな数まですべて1になることが確かめられています。それでも、「すべての数で」成り立つ証明はありません。
02未解決問題②:双子素数予想「差が2の素数ペアは無限にある?」
3と5、11と13、17と19のように、差が2の素数のペアを双子素数と呼びます。数が大きくなるほど素数はまばらになりますが、それでも双子素数は無限にあると予想されています。
2013年、当時ほぼ無名だった数学者の張益唐(ジャン・イータン)が、「差が7000万以下の素数のペアは無限にある」ことを証明し、世界を驚かせました。2より大きいとはいえ、「有限の差」で無限個あると示したのは史上初。その後、英国のメイナードらの新しい方法や、世界中の数学者がネット上で協力したプロジェクトによって、この差は246まで縮められています。ゴールの「2」まで、あと一歩……ですが、その一歩がとてつもなく遠いのです。

03未解決問題③:ゴールドバッハ予想「偶数は2つの素数の和?」
4=2+2、6=3+3、8=3+5、10=5+5(3+7でも)……。2より大きい偶数は、すべて2つの素数の和で表せるというのがゴールドバッハ予想です。1742年の手紙に由来する、約280年もの歴史がある問題です。
2013年に発表された計算では、4×10の18乗(400京)まですべての偶数で成り立つことが確かめられました。それでも、証明はまだありません。
04未解決問題④⑤:賞金100万ドルのリーマン予想とP≠NP予想
米国のクレイ数学研究所は2000年、7つの難問にそれぞれ100万ドルの賞金をかけました(ミレニアム懸賞問題)。そのうち解決されたのは、ペレルマンが証明したポアンカレ予想だけです。
- リーマン予想:素数がどのように散らばっているかの「設計図」に関わる予想。160年以上解けていません。
- P≠NP予想:「答えを確かめるのはかんたんだが、答えを見つけるのは難しい問題」は本当に存在するか。たとえば巨大な数独は、答えの確認はすぐできても、解くのは大変です。もし「確認できる問題は、いつでも速く解ける」とわかれば、インターネットの暗号の安全性にも大きな影響が出ます。
05まとめ
数学の未解決問題には、「問題は中学生でもわかるのに、答えは誰も知らない」ものがある。そして、張益唐やタオのように、「完全には解けなくても、ここまでは言える」という進歩が、少しずつゴールに近づけています。
まずはコラッツ予想を、好きな数で試してみてください。1にたどり着くまでの道のりの不思議さに、きっとハマるはずです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSome famous math problems are easy enough for young students to understand, but nobody has solved them…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Some math problems are easy to understand, but nobody can solve them. Here is one. Pick any number. If it is even, divide it by 2.
If it is odd, multiply it by 3 and add 1. Do this again and again. Many people think you always reach 1.
Computers have checked very large numbers, but no one has proved it for every number. This is called the Collatz conjecture.
70 words ・ CEFR A2
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数学の問題の中には、理解するのはかんたんなのに、誰も解けないものがあります。その一つを紹介しましょう。好きな数を選びます。偶数なら2で割ります。
奇数なら3倍して1を足します。これを何度もくり返します。必ず1にたどり着くと多くの人が考えています。
コンピューターでとても大きな数まで確かめられていますが、すべての数で成り立つと証明した人はいません。これはコラッツ予想と呼ばれています。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
ルールはかんたんなのに誰も証明できていない問題(コラッツ予想)の紹介なので D。
Q2. If a number is odd, what do you do?
If it is odd, multiply it by 3 and add 1. とあるので A。2で割るのは偶数のとき。
Q3. In the passage, "proved" means ...
prove は「証明する」。no one has proved it は「それが正しいと示した人はいない」なので B。
Some famous math problems are easy enough for young students to understand, but nobody has solved them after decades or even centuries. The Collatz conjecture says that if you halve even numbers and triple odd numbers and add one, you will always reach 1. The twin prime conjecture says that there are infinitely many pairs of prime numbers that differ by 2, such as 11 and 13.
The Goldbach conjecture says that every even number greater than 2 is the sum of two primes. Computers have checked it up to a four followed by eighteen zeros. But checking many examples is not the same as a proof. Mathematicians are making progress, though. In 2013, Yitang Zhang proved that infinitely many prime pairs differ by at most 70 million.
128 words ・ CEFR B1
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有名な数学の問題の中には、幼い生徒でも理解できるほどやさしいのに、何十年、何百年たっても誰にも解けていないものがあります。コラッツ予想は、偶数なら半分にし、奇数なら3倍して1を足すと、必ず1にたどり着くというものです。双子素数予想は、11と13のように差が2の素数のペアは無限にあるというものです。
ゴールドバッハ予想は、2より大きい偶数はすべて2つの素数の和になるというものです。コンピューターは、4のあとに0が18個続く数までこれを確かめました。しかし、たくさんの例を確かめることは証明と同じではありません。それでも、数学者たちは前に進んでいます。2013年、張益唐(ジャン・イータン)は、差が7000万以下の素数のペアが無限にあることを証明しました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main idea of the passage?
かんたんに見える問題が未解決のままだが、Mathematicians are making progress とあるので B。D は「幼い生徒でも理解できる」と矛盾する。
Q2. Which pair is an example of twin primes?
差が2の素数のペアで、本文に such as 11 and 13 とあるので C。9は素数ではない。
Q3. Why is the Goldbach conjecture still unsolved even though it has been checked up to a huge number?
checking many examples is not the same as a proof とあるので A。
Take any positive whole number. If it is even, halve it. If it is odd, triple it and add one. The Collatz conjecture says that repeating these steps always leads to 1, and nobody has proved it. In a 2022 paper, Terence Tao proved that almost all starting numbers eventually fall to arbitrarily small values. That is a major result, yet it stops short of the full conjecture.
The twin prime conjecture says there are infinitely many pairs of primes that differ by 2. In 2013, Yitang Zhang, then little known, proved that infinitely many pairs differ by at most 70 million, and later work by James Maynard and an online collaboration cut the bound to 246.
The Goldbach conjecture, from a 1742 letter, holds that every even number greater than 2 is the sum of two primes. It has been checked up to a four followed by eighteen zeros. Computer checks only rule out counterexamples among the numbers tested, and in number theory a first counterexample can be enormous. The Riemann hypothesis and P versus NP each carry a one-million-dollar prize, and solving the second could affect the security of internet encryption.
193 words ・ CEFR B2
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正の整数を1つ選んでください。偶数なら半分にします。奇数なら3倍して1を足します。コラッツ予想は、この手順をくり返すと必ず1にたどり着くと主張しますが、まだ誰も証明していません。2022年の論文で、テレンス・タオは、ほとんどすべての出発点の数が最終的にいくらでも小さな値まで下がることを証明しました。これは大きな成果ですが、予想そのものには届いていません。
双子素数予想は、差が2の素数のペアが無限にあると主張します。2013年、当時ほぼ無名だった張益唐は、差が7000万以下のペアが無限にあることを証明し、その後ジェームズ・メイナードの研究とネット上の共同研究によって、この上限は246まで縮められました。
1742年の手紙に由来するゴールドバッハ予想は、2より大きい偶数はすべて2つの素数の和だとするものです。これは4のあとに0が18個続く数まで確かめられています。コンピューターによる確認で反例がないと分かるのは調べた数の範囲だけであり、数論では最初の反例がとてつもなく大きいこともあります。リーマン予想とP対NP問題にはそれぞれ100万ドルの賞金がかけられており、後者を解けばインターネットの暗号の安全性に影響が出るかもしれません。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
手順をかんたんに説明できる未解決問題と、それぞれの部分的な進展を紹介しているので D。タオの結果は stops short of the full conjecture なので A は誤り。
Q2. What did Zhang prove in 2013?
proved that infinitely many pairs differ by at most 70 million とあるので B。246 はその後に縮められた上限。
Q3. Why does the author mention that a first counterexample can be enormous?
Computer checks only rule out counterexamples among the numbers tested とあり、反例がとても大きな数で初めて現れることもあるので、多くの例を確かめても証明にはならない。よって C。
重要単語
- conjectureC1名詞予想(まだ証明されていない主張)The Collatz conjecture is still unsolved.
con-(ともに)+ject(投げる)。証明されると theorem(定理)になる。hypothesis(仮説)と並ぶ学術語。 - prime numberB1名詞(句)素数7 is a prime number.
prime は「第一の・主要な」。prime minister(首相)の prime と同じ。even(偶数)、odd(奇数)も入試で出る。 - proofB2名詞証明Nobody has found a proof yet.
動詞は prove。waterproof(防水の)の -proof は「〜を防ぐ」で、同じ語から来ている。 - verifyB2動詞確かめる、検証するComputers verified the rule for huge numbers.
ラテン語 verus(真実の)から。very も同語源。名詞 verification。check より硬い語。 - unsolvedB1形容詞未解決のMany unsolved problems look simple.
un-(否定)+solve(解く)の過去分詞。an unsolved mystery「未解決の謎」。 - infiniteB2形容詞無限のThere may be an infinite number of twin primes.
in-(否定)+finite(有限の)。発音は /ˈɪnfɪnət/(インフィニット)で、finite /ˈfaɪnaɪt/ とずれる点に注意。副詞 infinitely。
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「偶数なら半分、奇数なら3倍して1を足す」。これをくり返すと必ず1になる? 小学生でも試せるこの問題、コンピューターで天文学的に大きな数まで確かめても、いまだに誰も証明できていない。
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- Zhang (2014) Bounded gaps between primes, Annals of Mathematicsdoi.org
- Maynard (2015) Small gaps between primes, Annals of Mathematicsdoi.org
- Tao (2022) Almost all orbits of the Collatz map attain almost bounded values, Forum of Mathematics, Pidoi.org
- Oliveira e Silva, Herzog & Pardi (2013) Empirical verification of the even Goldbach conjecture and computation of prime gaps up to 4·10^18, Mathematics of Computationdoi.org
- Barina (2020) Convergence verification of the Collatz problem, The Journal of Supercomputingdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。












