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数学の問題は「単元ごと」より「ごちゃ混ぜ」で解け。米国の中学生787人の実験でも1か月後のテストに大差

数学の問題は「単元ごと」より「ごちゃ混ぜ」で解け。米国の中学生787人の実験でも1か月後のテストに大差

読む前に予想してみよう!

練習中の正答率が低くても、問題の種類を混ぜて解いた方が後のテストで点が高くなることがある

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・中高生
規模
18人の実験〜787人の教室でのくじ引き実験+メタ分析
研究の種類
実験研究+ランダム化比較試験+メタ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

同じ種類の問題をまとめて解くより、種類を混ぜて解いた方が、あとのテストで点が高かった。米国の中学生の授業実験でも、1か月後のテストで61%対38%。練習中は混ぜる方が「できない」と感じるのがミソ。

ひとことで言うといろんな種類の問題を、まぜこぜにして練習しよう!

もくじ
  1. 練習では負けたのに、1週間後のテストで逆転
  2. 絵の作者当てでも同じことが起きた
  3. どうやって混ぜればいい?
  4. 混ぜると「自然に日があく」というおまけ
  5. まとめ

問題集って、だいたい「1次関数→1次関数→1次関数…」と同じタイプが並んでいますよね。実はあの並び順、本番に強くなる練習としてはベストじゃないかもしれません。

違う種類の問題を混ぜて解くやり方を、心理学では交互練習(インターリービング)と呼びます。トランプをシャッフルするように、問題の順番をばらばらにするイメージです。

そしてこのシャッフル、実験でかなりの差をつけました。

01練習では負けたのに、1週間後のテストで逆転

練習中は「まとめ派」の方が気持ちよく正解できます。直前に同じ解き方を使ったばかりなので、考えなくても手が動くからです。

でも本番のテストは、問題に「これは何の問題です」と書いてありません。「どの解き方を使うか」を自分で選ぶ力が必要なんです。混ぜて練習すると、毎回それを選ぶ練習ができるわけですね。

02絵の作者当てでも同じことが起きた

交互練習が効くのは数学だけではありません。

2008年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のコーネルとビョークの実験では、12人の画家の風景画を見て「誰の作品か」を学ぶとき、画家ごとにまとめるより、混ぜて見た方が新しい絵の作者を当てられるようになりました。

それなのに参加者の多くは、「まとめて見た方が覚えられた」と感じていました。ここでも、手応えと実力がずれていたんです。

似たものを混ぜて見ると、「違い」に気づく力が育つ
似たものを混ぜて見ると、「違い」に気づく力が育つ

2020年には、米国の中学1年生(7年生)787人が参加したランダム化比較試験(クラスをくじ引きで分けて比べる実験)が報告されました。授業中に解く数学の練習プリントを、約4か月にわたって種類を混ぜて出したクラスの方が、まとめて出したクラスより、1か月後の抜き打ちテストで大きく上回りました(正答率61%対38%)。

2022年には、高校の理科の授業(9〜12年生155人)でも同じ傾向が報告されています。週1回の小テストの問題を、概念ごとにまとめるより混ぜて出した方が、1か月後の成績が良かったのです(正答率63%対54%)。

03どうやって混ぜればいい?

ただし、習ったばかりで解き方がまだ分からない段階では、まとめて練習した方がいい場面もあります。まず「型」を覚え、そのあとシャッフルする、という順番がおすすめです。

また、2019年に59の研究をまとめた分析(メタ分析)では、混ぜる効果は絵の見分けで大きく、数学の問題では小さめでした。単語を覚える課題では、むしろまとめた方が良い場合もありました。混ぜるのがよく効くのは、似ていて見分けにくい種類を区別する練習のときです。

04混ぜると「自然に日があく」というおまけ

交互練習には、もう一つうれしいおまけがあります。種類を混ぜて解くと、同じタイプの問題に再び出会うまでに自然と間があくんです。

つまり交互練習には、日をあけて復習する分散学習の効果も一緒についてくると考えられます。ローラーらも、この「間があく効果」が交互練習の強さの一部だと考えています。

それでも多くの人がまとめ練習を選んでしまうのは、スラスラ解けるときの手応えが「上達した証拠」に見えるから。勉強中のスムーズさと、本当に身についたかどうかは別物だということは、多くの研究で指摘されています。

テスト前に「最後の総仕上げ」として、各単元から数問ずつ選んだミックス問題セットを自作してみるのもおすすめ。本番と同じく「何の問題か分からない」状態で解く練習になります。

05まとめ

勉強の「手応え」は、ときどき私たちをだまします。スラスラ解ける練習は気持ちいいけれど、本番の力になるのはちょっと迷いながら解く練習です。

次に問題集を開くときは、ページの順番どおりではなく、ばらばらに解いてみてください。最初は点が下がっても、それは伸びている途中のサインかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerInterleaving means mixing different types of problems during practice instead of doing one type at a time. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Interleaving means mixing different types of problems during practice instead of doing one type at a time. In 2007, Rohrer and Taylor asked a small group of university students to learn how to find the volumes of different solids. Students who practiced one type at a time did better during practice, but a week later, students who had mixed the problems scored about 63 percent, compared with about 20 percent.

Why? On a real test, problems do not tell you which method to use, and mixed practice trains you to choose. A 2020 study with 787 seventh-graders also found that mixed math worksheets in class led to much higher test scores a month later. But learners often feel that blocked practice works better, even when it does not.

128 words ・ CEFR B1

和訳を見る

交互練習とは、1種類ずつ解くのではなく、練習中に違う種類の問題を混ぜることです。2007年、ローラーとテイラーは少人数の大学生に、さまざまな立体の体積の求め方を学ばせました。1種類ずつ練習した学生は練習中は成績が良かったのですが、1週間後には、問題を混ぜた学生が約63パーセントだったのに対し、もう一方は約20パーセントでした。

なぜでしょうか。本番のテストでは、問題がどの方法を使うべきかを教えてくれません。混ぜた練習は、それを選ぶ訓練になるのです。787人の7年生を対象とした2020年の研究でも、授業中に種類を混ぜた数学の練習プリントを解いたクラスの方が、1か月後のテストの点数がずっと高くなりました。ところが、学習者はしばしば、実際にはそうでないときでも、まとめ練習の方が効果的だと感じます。

4択リーディングクイズ

Q1. What happened during practice in the 2007 study?

Q2. According to the passage, why does mixed practice help on real tests?

Q3. What does the last sentence suggest?

重要単語

  • interleaveC1
    動詞交互に混ぜるInterleave different types of math problems. inter-(間に)+leaf(紙のページ)=ページの間に別の紙をはさむ、が原義。名詞 interleaving(交互練習)。
  • blocked practiceC1
    名詞(句)まとめ練習(同じ種類を続ける練習)Blocked practice feels easy but fades quickly. block(ひとかたまり)ごとに練習すること。interleaved practice との対比で覚える。
  • discriminateC1
    動詞見分ける、区別するMixed practice helps you discriminate between problem types. discriminate between A and B「A と B を見分ける」。discriminate against ~ は「~を差別する」で意味が変わるので注意。
  • strategyB1
    名詞解き方、戦略Choosing the right strategy is part of the skill. 形容詞 strategic。tactic(個々の戦術)より大きな計画を指す。
  • shuffleB2
    動詞混ぜる、シャッフルするShuffle your flashcards before each review. トランプを混ぜる動作が原義。音楽プレーヤーの「シャッフル再生」でもおなじみ。
  • volumeB1
    名詞体積・量・音量Calculate the volume of the cone. 「体積」「音量」「(本の)巻」の多義語。turn up the volume「音量を上げる」。
  • deliberateB2
    形容詞意図的な・慎重なInterleaving is the deliberate mixing of problem types. 副詞 deliberately(わざと)は on purpose と同義で入試頻出。deliberate practice は「意図的な練習」。

動画でもっと知る

4コマでわかる

数学の問題は「単元ごと」より「ごちゃ混ぜ」で解け。米国の中学生787人の実験でも1か月後のテストに大差の4コマ漫画
数学の練習問題、同じ単元をまとめて解くより、ごちゃ混ぜで解いた方があとのテストで点が高かった。米国の中学生787人の授業実験では、1か月後のテストで61%対38%。練習中は混ぜた方が点が低いのに…

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Rohrer & Taylor (2007) The shuffling of mathematics problems improves learning, Instructional Sciencedoi.org
  2. Kornell & Bjork (2008) Learning concepts and categories: Is spacing the "enemy of induction"?, Psychological Sciencedoi.org
  3. Rohrer, Dedrick, Hartwig & Cheung (2020) A randomized controlled trial of interleaved mathematics practice, Journal of Educational Psychologydoi.org
  4. Sana & Yan (2022) Interleaving retrieval practice promotes science learning, Psychological Sciencedoi.org
  5. Brunmair & Richter (2019) Similarity matters: A meta-analysis of interleaved learning and its moderators, Psychological Bulletindoi.org