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習う前にテストを解くと、ほぼ全問まちがえても、あとでその内容をよく覚えられる「事前テスト効果」

習う前にテストを解くと、ほぼ全問まちがえても、あとでその内容をよく覚えられる「事前テスト効果」

読む前に予想してみよう!

まだ習っていない内容でも、先にテストを解いておくと後の学習に役立つ

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生など
規模
数十人〜合計1,573人(5実験)
研究の種類
実験研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

まだ習っていない内容のテストを先に解くと、間違えても、そのあと文章を読んだり講義動画を見たりしたときに、問われた内容を覚えやすくなる。答えを考えることで、あとで答えに気づきやすくなると考えられている。

ひとことで言うと習う前に問題を解いてみると、あとで習ったときに頭に入りやすい!

もくじ
  1. 間違えたのに、あとのテストの点が良かった
  2. 間違えても効くのはなぜ?
  3. 予習は「読む」より「解いてみる」
  4. 選択肢問題でも、答え合わせなしでも効いた
  5. まとめ

テストは「勉強したあと」に受けるもの。そう思っていませんか?

実は、まだ何も習っていない段階で先にテストを受けると、その後の学習で、問われた内容を覚えやすくなることが、実験で分かっています。しかも、そのテストでほとんど答えられなくてもいいんです。

これは事前テスト効果と呼ばれる現象。「知らない問題を解く」という、一見ムダに思える行為が、脳の受け入れ態勢を整えてくれると考えられています。

01間違えたのに、あとのテストの点が良かった

普通に考えると、「知らない問題を当てずっぽうで答える」より、その時間も読むのに使った方が効率が良さそうです。ところが結果は逆でした。

02間違えても効くのはなぜ?

考えられている理由は2つあります。

1つ目は注意が向くこと。先に問題を見ておくと、そのあと文章を読んだり授業を聞いたりするとき、「あ、さっきの問題の答えだ!」と気づきやすくなります。

2つ目は推測する作業そのもの。答えを考えようとすると、頭の中で関係しそうな知識が呼び起こされます。そこに正しい答えが入ってくると、すでに準備された「受け皿」にストンと収まるイメージです。

先に問題を見ておくと、どこが大事かが分かりやすくなる
先に問題を見ておくと、どこが大事かが分かりやすくなる

2021年には、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のパンらによる、合計1,573人が参加した5つの実験で、事前テストは、学んだあとに解く事後テストと同じくらい、場合によってはそれ以上に学習を助けたという報告も出ています。

03予習は「読む」より「解いてみる」

ポイントは、あとで必ず正しい答えを学ぶこと。間違えっぱなしで終わると効果は期待できません。

もう一つの注意点は、効果が出やすいのは事前テストで聞かれた内容そのものだということ。聞かれなかった部分の学習まで底上げされるかどうかは、研究によって結果がまちまちです。また、事前の問題を覚えていて、授業の動画の中でその答えに気づけたときだけ効果が出たという報告もあります。

そして、これまでの実験の多くは、大学生が短い文章や数十分の動画で学んだものです。実際の大学の授業で使う20分以上の講義動画で試すと、効果は事前に問われた内容にほぼ限られたという報告もあります。学校の授業や定期テストでどれくらい効くかは、まだよく分かっていません。

04選択肢問題でも、答え合わせなしでも効いた

「でも、事前テストって記述式じゃないとダメなんじゃ?」と思うかもしれません。

この2021年の5つの実験では、事前テストの形式を選択肢問題と短い答えを書く問題で比べ、さらに事前テストのあとに正解を教える場合・教えない場合も試しました。どの条件でも、事前テストは「テストなし」よりも成績を上げ、5分後でも48時間後でもその傾向は変わりませんでした。

ただし、正解を教わらなかった場合でも、その後で文章を読んで正しい内容を学んでいる点に注意。事前テスト+その後の学習がセットで効果を生むのです。

なお、事前テストの点数が低くても、落ち込む必要はまったくありません。研究でも、事前テストではほとんど答えられないのが普通です。大事なのは「答えを考えようとした」こと。そのあと授業や教科書で正解に出会ったときの「あ、これか!」が、記憶に残りやすくしてくれると考えられています。

05まとめ

「まだ習ってないから解けない」は、実はチャンス。まだ習っていないうちに解いてみることで、新しい知識を受け入れる準備ができると考えられています。

次の授業の前に、5分だけ教科書の練習問題をのぞいてみてください。授業中、「あ、これか!」と思える瞬間が増えるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMost students think tests should come after learning, but research on the pretesting effect shows that… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Most students think tests should come after learning, but research on the pretesting effect shows that testing first can also help. In 2009, Richland and colleagues asked university students to answer questions about a science passage before reading it. Naturally, they could answer very few.

However, after reading, these students scored higher on the final test than students who simply spent more time reading, even on the questions they had failed to answer before. Researchers think the pretest works in two ways. It makes you notice the answers while reading, and guessing activates related knowledge. A 2021 study with 1,573 participants found that pretests helped as much as, or sometimes more than, tests taken after learning.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ほとんどの学生はテストは学んだあとに受けるものだと考えていますが、事前テスト効果に関する研究は、先にテストをすることも役立つことを示しています。2009年、リッチランドらは大学生に、科学の文章を読む前にその内容についての問題に答えてもらいました。当然、ほとんど答えられませんでした。

しかし読んだあと、これらの学生は、ただ長く読んだ学生よりも最終テストで高い点をとりました。事前に答えられなかった問題でもそうでした。研究者たちは、事前テストは2つの方法で働くと考えています。読んでいる間に答えに気づきやすくなること、そして推測することで関連する知識が呼び起こされることです。1,573人が参加した2021年の研究では、事前テストは学んだあとに受けるテストと同じくらい、ときにはそれ以上に役立つことが分かりました。

4択リーディングクイズ

Q1. How did the pretest group do on the final test?

Q2. Which of the following is given as a way the pretest works?

Q3. What did the 2021 study suggest?

重要単語

  • pretestB2
    名詞事前テストA pretest can prepare your brain for new information. pre-(前の)+test。preview(下見・予習)、prepare(準備する)と同じ pre-。
  • guessA2
    動詞・名詞推測する/推測Make a guess even if you are not sure. make a guess / take a guess「推測してみる」。Guess what!「ねえ聞いて!」は会話の定番。
  • prequestionC1
    名詞事前質問Read the prequestions before watching the video. 長文読解で「先に設問を読む」のはこの考え方の応用。
  • errorfulC1
    形容詞間違いを含むErrorful learning can help if feedback follows. error+-ful の専門用語。反対は errorless learning(誤りなし学習)。
  • retention intervalC1
    名詞(句)保持期間(学習からテストまでの時間)The retention interval was 48 hours. retention(保持)+interval(間隔)。記憶研究の論文で必ず出てくる用語。
  • activateB2
    動詞活性化する・作動させるGuessing activates related knowledge. active(活動的な)+-ate(~させる)。activate an account(アカウントを有効にする)でも使う。
  • frameworkB2
    名詞枠組みA guess creates a framework for the correct answer. frame(枠)+work。within the framework of ~「~の枠組みの中で」。

4コマでわかる

習う前にテストを解くと、ほぼ全問まちがえても、あとでその内容をよく覚えられる「事前テスト効果」の4コマ漫画
まだ習っていない内容のテストを先に受けると、ほとんど答えられなくても、そのあと学んだときに、問われた内容を覚えやすくなるらしい。「事前テスト効果」。予習は“読むだけ”より“先に解いてみる”が効くかも。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Richland, Kornell & Kao (2009) The pretesting effect: Do unsuccessful retrieval attempts enhance learning?, Journal of Experimental Psychology: Applieddoi.org
  2. Kornell, Hays & Bjork (2009) Unsuccessful retrieval attempts enhance subsequent learning, Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognitiondoi.org
  3. Pan & Sana (2021) Pretesting versus posttesting: Comparing the pedagogical benefits of errorful generation and retrieval practice, Journal of Experimental Psychology: Applieddoi.org
  4. St. Hilaire & Carpenter (2020) Prequestions enhance learning, but only when they are remembered, Journal of Experimental Psychology: Applieddoi.org
  5. Toftness, Carpenter, Lauber & Mickes (2018) The limited effects of prequestions on learning from authentic lecture videos, Journal of Applied Research in Memory and Cognitiondoi.org