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「小学生に説明できる?」ファインマン流勉強法、心理学の「自己説明」の研究と合っていた

「小学生に説明できる?」ファインマン流勉強法、心理学の「自己説明」の研究と合っていた

読む前に予想してみよう!

「ファインマン・テクニック」は、物理学者ファインマン本人が論文で発表した勉強法だ

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・中学生など
規模
24人の実験〜64研究のメタ分析
研究の種類
実験研究+メタ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

人は「分かったつもり」になりやすい。簡単な言葉で説明しようとすると穴が見つかり、理解が深まる。これは自己説明の研究とも一致する。

ひとことで言うと人に説明しようとすると、「分かってない所」が見つかる!

もくじ
  1. 「分かったつもり」は思ったより根深い
  2. 自分に説明すると、理解が深まる
  3. ファインマン流・4ステップ
  4. 「専門用語禁止」が一番のミソ
  5. まとめ

ノーベル物理学賞を受けたリチャード・ファインマンは、難しい物理を驚くほどかみ砕いて説明することで有名でした。

そんな彼の名前を借りた勉強法がファインマン・テクニック。手順はシンプルで、「学んだことを、小学生でも分かる言葉で説明してみる」というものです。

ネットで人気のこの方法。名前のついた方法そのものを試した研究はほとんどありませんが、中身は心理学の研究とよく合っています。

01「分かったつもり」は思ったより根深い

「説明深度の錯覚」とは、自分は説明できるほど理解している、と思い込んでしまう現象。ファスナーは毎日見ているから「分かる」気がする。でも、いざ説明しようとすると、ギザギザがどうかみ合うのか言えないんです。

勉強でも同じことが起きます。教科書を読んで「うん、分かった」と思っても、それは見て理解できるだけで、自分で説明できるレベルとは別物かもしれません。

02自分に説明すると、理解が深まる

1994年、米ピッツバーグ大学のチーらは中学2年生(8年生)24人を対象に、心臓と血液の流れについての文章を読ませる実験をしました。

14人は、1文読むごとに「これはどういうことか」を自分に説明するよう指示されました。残りの10人は、同じ文章を2回読むだけです。読む前と後のテストを比べると、説明したグループの方が点数の伸びが大きくなりました。

この方法は自己説明と呼ばれ、2013年の学習法レビューでも有用性は「中程度」と評価されています。2018年には、自己説明を促す研究(64本の論文)をまとめたメタ分析も出ました。促された人の方が学習成果が良く、効果は中くらいで、さまざまな教科で見られています。ただし、どれも「ファインマン流」という名前の方法を試したものではありません。

説明しようとすると、理解の「途切れた道」が見えてくる
説明しようとすると、理解の「途切れた道」が見えてくる

03ファインマン流・4ステップ

04「専門用語禁止」が一番のミソ

ファインマン流で大事なのは、専門用語を使わずに説明することです。

専門用語は便利ですが、ときに「分かっていない部分」を隠すフタにもなります。たとえば「光合成は葉緑体で行われる」と言えても、葉緑体が何をしているのか説明できなければ、理解はまだ途中。用語を使えないと、その中身を自分の言葉で言い直すしかなくなり、穴があぶり出されます。

たとえ話を考えるのも効果的です。「電流は水の流れ、電圧は水を押す力」のように身近なものに置き換えると、知識が日常の経験と結びつき、思い出す手がかりも増えます。ただし、たとえはあくまでたとえ。どこまで正しく、どこからずれるのかも一緒に考えると、理解がさらに深まります。

05まとめ

「分かった!」という感覚は、ときどきウソをつきます。本当に分かっているかを確かめる一番の方法は、何も見ずに、やさしい言葉で説明してみること。

説明に詰まったら、それは失敗ではなく、伸びしろが見つかった合図です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Feynman Technique is named after the Nobel Prize-winning physicist Richard Feynman, who was famous for… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Feynman Technique is named after the Nobel Prize-winning physicist Richard Feynman, who was famous for explaining hard ideas simply. The idea is to explain a topic in words a young child could understand. It may help because we often suffer from an "illusion of explanatory depth." In a 2002 study at Yale University, students rated how well they understood everyday objects such as zippers.

After they tried to explain how the objects worked step by step, they lowered their ratings. In another study, eighth-grade students who explained each sentence to themselves while reading about the heart understood it better than students who just read it twice. Note that Feynman himself did not publish this method. Others named it later.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ファインマン・テクニックは、むずかしい考えを簡単に説明することで有名だった、ノーベル賞受賞の物理学者リチャード・ファインマンにちなんで名付けられています。その考え方は、ある話題を小さな子どもでも分かる言葉で説明するというものです。これが役に立ちそうなのは、私たちがしばしば「説明深度の錯覚」に陥っているからです。イェール大学の2002年の研究で、学生たちはファスナーなどの身近な物をどのくらい理解しているかを自己評価しました。

その仕組みを一歩ずつ説明しようとしたあと、彼らは評価を下げました。別の研究では、心臓についての文章を読みながら1文ごとに自分に説明した8年生は、ただ2回読んだだけの生徒より内容をよく理解しました。なお、ファインマン本人がこの方法を発表したわけではなく、後に他の人たちが名付けたものです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the "illusion of explanatory depth"?

Q2. What happened after the students tried to explain how zippers worked?

Q3. Which statement is true according to the passage?

重要単語

  • explanationB1
    名詞説明Try to give a simple explanation without notes. 動詞 explain とつづりが変わる(explai-n → expla-nation、i が消える)点に注意。give an explanation for ~「~の説明をする」。
  • illusionB2
    名詞錯覚、思い込みRereading can create an illusion of understanding. be under the illusion that ~「~と思い込んでいる」。optical illusion(目の錯覚)も頻出。
  • self-explanationC1
    名詞自己説明Self-explanation helps you find gaps in your knowledge. self-+名詞で「自分自身への~」(self-control・self-esteem)。学習科学の重要語。
  • jargonC1
    名詞専門用語Explain the idea without using jargon. 仲間内だけで通じる言葉、という少し否定的なニュアンス。technical terms はより中立的な言い方。
  • analogyC1
    名詞たとえ、類推An analogy links new ideas to familiar ones. draw an analogy between A and B「A と B を比べてたとえる」。形容詞 analogous。
  • accessibleB2
    形容詞分かりやすい・利用しやすいFeynman made physics accessible to ordinary people. access(接近)+-ible。「近づきやすい」から「理解しやすい」「バリアフリーの」まで広く使う。
  • falterC1
    動詞口ごもる・つまずくMany students faltered when they tried to explain. 声や足取りが「よろめく」イメージ。His voice faltered.「声が震えた」。
「ファスナーの仕組み、分かる?」と聞かれると多くの人が「分かる」と自己評価するのに、説明させると言葉に詰まるという実験がある。“分かったつもり”を壊すファインマン流勉強法は、「自分に説明する」学び方の研究とも合っている。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Rozenblit & Keil (2002) The misunderstood limits of folk science: An illusion of explanatory depth, Cognitive Sciencedoi.org
  2. Chi, de Leeuw, Chiu & LaVancher (1994) Eliciting self-explanations improves understanding, Cognitive Sciencedoi.org
  3. Bisra, Liu, Nesbit, Salimi & Winne (2018) Inducing self-explanation: A meta-analysis, Educational Psychology Reviewdoi.org
  4. Dunlosky, Rawson, Marsh, Nathan & Willingham (2013) Improving students' learning with effective learning techniques, Psychological Science in the Public Interestdoi.org