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相対性理論をわかりやすく。宇宙から降る粒子が地上に届くのは「時間が遅れる」おかげだった

相対性理論をわかりやすく。宇宙から降る粒子が地上に届くのは「時間が遅れる」おかげだった

読む前に予想してみよう!

相対性理論の「時間の遅れ」は、まだ理論だけで実際には測られていない

研究カード(どんな研究?)
対象
原子時計・素粒子(ミューオン)
規模
複数の実験
研究の種類
物理学の実験研究
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

相対性理論は「速く動くほど、重力が強いほど時間がゆっくり進む」理論。宇宙線のミューオンが地上に届くことや、旅客機で運んだ原子時計で確かめられている。

ひとことで言うと速く動くと時間がゆっくりになる。これは本当に測られた事実!

もくじ
  1. ルールはたった一つ「光の速さは変わらない」
  2. 宇宙から届く「来るはずのない粒子」
  3. 原子時計で世界一周してみた
  4. まとめ

相対性理論とは、ひとことで言うと「時間と空間の進み方は、見る人の動きや重力によって変わる」という理論です。アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論(速さの話)と、1915年ごろに完成させた一般相対性理論(重力の話)の2つがあります。

中高生向けにいちばん大事なポイントをしぼると、

  • 速く動くほど、時間はゆっくり進む
  • 重力が強いほど、時間はゆっくり進む
  • 光の速さは、誰から見ても同じ

「そんなのSFでしょ?」と思うかもしれません。でもこれは、実際に何度も測られてきた事実です。

01ルールはたった一つ「光の速さは変わらない」

ふつう、時速100kmの電車から前にボールを投げれば、ボールの速さは電車の分だけ上乗せされます。ところが光だけは別。どんなに速く動きながら光を出しても、光の速さは秒速約30万kmのまま変わりません。

この不思議なルールを守ろうとすると、困ったことになります。速さは「距離÷時間」。光の速さを変えないためには、時間や距離のほうが伸び縮みするしかないのです。これが「速く動くと時間がゆっくり進む」「動く方向に長さが縮む」の正体です。

02宇宙から届く「来るはずのない粒子」

1977年には、ヨーロッパの研究所CERNの加速器で、光速の99.9%以上でぐるぐる回るミューオンが、止まっているときの約30倍も長生きすることが確かめられました。

時間がゆっくり進むから、ミューオンは地上までたどり着ける
時間がゆっくり進むから、ミューオンは地上までたどり着ける

03原子時計で世界一周してみた

1971年、アメリカの物理学者ハーフェルさんとキーティングさんは、超精密な原子時計を4台、ふつうの旅客機に乗せて世界を一周させました。

結果、東回りの時計は地上の時計より約59ナノ秒(10億分の59秒)遅れ、西回りの時計は約273ナノ秒進みました。速さによる遅れと、高い空で重力が弱いことによる進みを合わせた相対性理論の予想とよく合っていたのです。

重力で時間が変わる話は、スカイツリーの展望台で時間が速く進む実験や、GPSと相対性理論の記事でもくわしく紹介しています。

04まとめ

相対性理論は、「光の速さは変わらない」というルールを守るために、時間と空間が伸び縮みするという理論でした。

そしてそれは、宇宙から降る粒子や、世界を一周した時計によって、何度も確かめられてきた本物の自然のしくみです。あなたが今いる場所の時間も、ほんの少しだけ、ほかの場所とはちがう速さで進んでいるのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEinstein's theory of relativity is based on one surprising rule. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Einstein's theory of relativity is based on one surprising rule. The speed of light, about 300,000 kilometers per second, is the same for everyone. For this rule to stay true, time and distance must change.

As a result, time runs more slowly for things that move very fast or are in strong gravity. This has been tested many times. Muons are tiny particles created high in the sky by cosmic rays. They live only about two millionths of a second, so they should travel only a few hundred meters.

But huge numbers of them reach the ground, because their time slows down. In 1971, scientists flew atomic clocks around the world on passenger planes, and the results matched the theory.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

アインシュタインの相対性理論は、ある驚くべきルールにもとづいています。秒速約30万キロメートルという光の速さは、誰にとっても同じだというルールです。このルールが成り立ち続けるためには、時間と距離が変わらなければなりません。

その結果、とても速く動く物や、強い重力の中にある物では、時間がよりゆっくり進みます。これは何度も確かめられてきました。ミューオンは、宇宙線によって上空高くで生まれる小さな粒子です。寿命は約100万分の2秒しかないので、数百メートルしか進めないはずです。

ところが、時間が遅くなるおかげで、非常にたくさんのミューオンが地上に届きます。1971年には、科学者たちが原子時計を旅客機に乗せて世界を一周させ、その結果は理論と一致しました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. Without the effects of relativity, how far should muons travel?

Q3. What can we infer from the muon example?

重要単語

  • relativityB2
    名詞相対性Einstein published his theory of relativity in 1905. relative「相対的な・比較上の」の名詞形。反対語は absolute「絶対的な」。
  • time dilationC1
    名詞(句)時間の遅れTime dilation has been measured with atomic clocks. dilate は「広げる・拡張する」(瞳孔が開く dilated pupils でも使う)。時間の間隔が「引き伸ばされる」イメージ。
  • the speed of lightB1
    名詞(句)光の速さNothing can travel faster than the speed of light. 物理では c で表す。at the speed of light「光の速さで」。
  • particleB2
    名詞粒子Muons are tiny particles created high in the sky. part(部分)+-icle(小さい)=「小さな部分」。article も -icle(小さいもの)を含むが、語源は「小さな関節」。
  • gravityB1
    名詞重力Clocks run slower in stronger gravity. grave「重大な」と同語源で「重さ」が原義。gravitational wave「重力波」。
  • observerB2
    名詞観測者・観察者Light has the same speed for every observer. observe「観察する」+-er。物理では「どの立場から見るか」を表す重要語。

4コマでわかる

相対性理論をわかりやすく。宇宙から降る粒子が地上に届くのは「時間が遅れる」おかげだったの4コマ漫画
「速く動くと時間が遅れる」はSFじゃない。宇宙から降るミューオンという粒子は、本当なら地上に届く前に消えるはずなのに、時間の遅れのおかげで大量に届いている。1971年には原子時計を旅客機で世界一周させてズレを実測した。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Einstein (1905) Zur Elektrodynamik bewegter Körper, Annalen der Physikdoi.org
  2. Rossi & Hall (1941) Variation of the Rate of Decay of Mesotrons with Momentum, Physical Reviewdoi.org
  3. Frisch & Smith (1963) Measurement of the Relativistic Time Dilation Using μ-Mesons, American Journal of Physicsdoi.org
  4. Hafele & Keating (1972) Around-the-World Atomic Clocks: Observed Relativistic Time Gains, Sciencedoi.org
  5. Bailey et al. (1977) Measurements of relativistic time dilatation for positive and negative muons in a circular orbit, Naturedoi.org