相対性理論をわかりやすく。宇宙から降る粒子が地上に届くのは「時間が遅れる」おかげだった

読む前に予想してみよう!
相対性理論の「時間の遅れ」は、まだ理論だけで実際には測られていない
1971年に原子時計を旅客機で世界一周させた実験や、加速器のミューオンの寿命の測定などで、くり返し確かめられている。
- 対象
- 原子時計・素粒子(ミューオン)
- 規模
- 複数の実験
- 研究の種類
- 物理学の実験研究
- 確かさ
- ★★★★★
相対性理論は「速く動くほど、重力が強いほど時間がゆっくり進む」理論。宇宙線のミューオンが地上に届くことや、旅客機で運んだ原子時計で確かめられている。
ひとことで言うと速く動くと時間がゆっくりになる。これは本当に測られた事実!
相対性理論とは、ひとことで言うと「時間と空間の進み方は、見る人の動きや重力によって変わる」という理論です。アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論(速さの話)と、1915年ごろに完成させた一般相対性理論(重力の話)の2つがあります。
中高生向けにいちばん大事なポイントをしぼると、
- 速く動くほど、時間はゆっくり進む
- 重力が強いほど、時間はゆっくり進む
- 光の速さは、誰から見ても同じ
「そんなのSFでしょ?」と思うかもしれません。でもこれは、実際に何度も測られてきた事実です。
01ルールはたった一つ「光の速さは変わらない」
ふつう、時速100kmの電車から前にボールを投げれば、ボールの速さは電車の分だけ上乗せされます。ところが光だけは別。どんなに速く動きながら光を出しても、光の速さは秒速約30万kmのまま変わりません。
この不思議なルールを守ろうとすると、困ったことになります。速さは「距離÷時間」。光の速さを変えないためには、時間や距離のほうが伸び縮みするしかないのです。これが「速く動くと時間がゆっくり進む」「動く方向に長さが縮む」の正体です。
02宇宙から届く「来るはずのない粒子」
1977年には、ヨーロッパの研究所CERNの加速器で、光速の99.9%以上でぐるぐる回るミューオンが、止まっているときの約30倍も長生きすることが確かめられました。

03原子時計で世界一周してみた
1971年、アメリカの物理学者ハーフェルさんとキーティングさんは、超精密な原子時計を4台、ふつうの旅客機に乗せて世界を一周させました。
結果、東回りの時計は地上の時計より約59ナノ秒(10億分の59秒)遅れ、西回りの時計は約273ナノ秒進みました。速さによる遅れと、高い空で重力が弱いことによる進みを合わせた相対性理論の予想とよく合っていたのです。
重力で時間が変わる話は、スカイツリーの展望台で時間が速く進む実験や、GPSと相対性理論の記事でもくわしく紹介しています。
04まとめ
相対性理論は、「光の速さは変わらない」というルールを守るために、時間と空間が伸び縮みするという理論でした。
そしてそれは、宇宙から降る粒子や、世界を一周した時計によって、何度も確かめられてきた本物の自然のしくみです。あなたが今いる場所の時間も、ほんの少しだけ、ほかの場所とはちがう速さで進んでいるのです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerEinstein's theory of relativity is based on one surprising rule.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Einstein's theory of relativity says that time can run at different speeds. When something moves very fast, its time goes more slowly. Time also goes more slowly in strong gravity. This is not science fiction. Tiny particles called muons come from the sky. They should disappear before they reach the ground.
But many of them reach the ground, because their time runs slowly. Scientists also tested this idea with very exact clocks on airplanes.
74 words ・ CEFR A2
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アインシュタインの相対性理論は、時間はちがう速さで進むことがあると言っています。何かがとても速く動くと、その時間はよりゆっくり進みます。強い重力の中でも、時間はよりゆっくり進みます。これはSFではありません。ミューオンと呼ばれる小さな粒子が空からやって来ます。本当は地上に届く前に消えてしまうはずです。
でも、時間がゆっくり進むので、その多くが地上に届きます。科学者たちは、飛行機に乗せたとても正確な時計でもこの考えを確かめました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
第1文で相対性理論は時間がちがう速さで進むと言っている、と述べ、その例を挙げているので B。
Q2. Why can many muons reach the ground?
many of them reach the ground, because their time runs slowly とあるので D。
Q3. In this passage, "exact" clocks are clocks that are ...
exact は「正確な」。ごくわずかな時間のずれも測れる、とても正確な時計なので A。
Einstein's theory of relativity is based on one surprising rule. The speed of light, about 300,000 kilometers per second, is the same for everyone. For this rule to stay true, time and distance must change.
As a result, time runs more slowly for things that move very fast or are in strong gravity. This has been tested many times. Muons are tiny particles created high in the sky by cosmic rays. They live only about two millionths of a second, so they should travel only a few hundred meters.
But huge numbers of them reach the ground, because their time slows down. In 1971, scientists flew atomic clocks around the world on passenger planes, and the results matched the theory.
120 words ・ CEFR B1
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アインシュタインの相対性理論は、ある驚くべきルールにもとづいています。秒速約30万キロメートルという光の速さは、誰にとっても同じだというルールです。このルールが成り立ち続けるためには、時間と距離が変わらなければなりません。
その結果、とても速く動く物や、強い重力の中にある物では、時間がよりゆっくり進みます。これは何度も確かめられてきました。ミューオンは、宇宙線によって上空高くで生まれる小さな粒子です。寿命は約100万分の2秒しかないので、数百メートルしか進めないはずです。
ところが、時間が遅くなるおかげで、非常にたくさんのミューオンが地上に届きます。1971年には、科学者たちが原子時計を旅客機に乗せて世界を一周させ、その結果は理論と一致しました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
前半で相対性理論の基本ルール、後半でミューオンと原子時計という証拠を紹介しているので D。
Q2. Without the effects of relativity, how far should muons travel?
they should travel only a few hundred meters とあるので C。300,000 km は光が1秒で進む距離。
Q3. What can we infer from the muon example?
時間の遅れがなければ届かないはずのミューオンが実際に大量に地上に届いていることから、時間の遅れは自然界で本当に起きていると推論できるので B。
Einstein's special theory of relativity, published in 1905, rests on a startling principle. The speed of light is the same for every observer, no matter how they move. Since speed is distance divided by time, keeping light's speed fixed means time and length themselves must stretch or shrink. His general theory, completed around 1915, added that gravity slows time as well. When cosmic rays hit the upper atmosphere, they produce muons, which survive only about two millionths of a second. Without relativity, they should decay within a few hundred meters.
But experiments in 1941 and 1963 that compared counts at high and low altitudes found far more muons reaching the ground than classical calculations allowed. In 1977, muons circling an accelerator at CERN at over 99.9 percent of light speed lived about 30 times longer than muons at rest. The slowing has nothing to do with machinery.
Every process in a fast-moving frame slows by the same amount. In 1971, four atomic clocks flown around the world on commercial airliners lost about 59 nanoseconds traveling east and gained about 273 nanoseconds traveling west, close to predictions that combined the effects of motion and weaker gravity at altitude.
197 words ・ CEFR B2
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1905年に発表されたアインシュタインの特殊相対性理論は、驚くべき原理にもとづいています。光の速さは、観測者がどう動いていても、すべての観測者にとって同じだというものです。速さは距離を時間で割ったものなので、光の速さを一定に保つには、時間と長さそのものが伸び縮みしなければなりません。1915年ごろに完成した一般相対性理論は、重力も時間を遅らせることをつけ加えました。宇宙線が上層大気にぶつかるとミューオンが生まれますが、その寿命は約100万分の2秒しかありません。相対性理論がなければ、数百メートル以内で崩壊するはずです。ところが、1941年と1963年に高い場所と低い場所での数をくらべた実験では、古典的な計算で許されるよりはるかに多くのミューオンが地上まで届いていました。
1977年には、CERNの加速器で光速の99.9パーセント以上で回るミューオンが、止まっているミューオンより約30倍長く生きました。この遅れは、機械の仕組みとは関係ありません。速く動く系の中では、あらゆる過程が同じだけゆっくりになるのです。
1971年に旅客機に乗せて世界を一周させた4台の原子時計は、東回りでは約59ナノ秒遅れ、西回りでは約273ナノ秒進みました。これは、運動の効果と高空での弱い重力の効果を合わせた予測に近い値でした。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main purpose of the passage?
前半で光速不変の原理と時間の伸び縮みを説明し、後半でミューオンや原子時計の実験による確認を示しているので A。
Q2. What happened to the clocks that traveled west in 1971?
gained about 273 nanoseconds traveling west とあるので B。59ナノ秒遅れたのは東回り。
Q3. What does the author mean by saying the slowing "has nothing to do with machinery"?
直後に Every process in a fast-moving frame ... slows by the same amount とあり、時計の故障ではなく時間そのものが遅れて、すべての過程が同じように影響を受けるとわかるので C。
重要単語
- relativityB2名詞相対性Einstein published his theory of relativity in 1905.
relative「相対的な・比較上の」の名詞形。反対語は absolute「絶対的な」。 - time dilationC1名詞(句)時間の遅れTime dilation has been measured with atomic clocks.
dilate は「広げる・拡張する」(瞳孔が開く dilated pupils でも使う)。時間の間隔が「引き伸ばされる」イメージ。 - the speed of lightB1名詞(句)光の速さNothing can travel faster than the speed of light.
物理では c で表す。at the speed of light「光の速さで」。 - particleB2名詞粒子Muons are tiny particles created high in the sky.
part(部分)+-icle(小さい)=「小さな部分」。article も -icle(小さいもの)を含むが、語源は「小さな関節」。 - gravityB1名詞重力Clocks run slower in stronger gravity.
grave「重大な」と同語源で「重さ」が原義。gravitational wave「重力波」。 - observerB2名詞観測者・観察者Light has the same speed for every observer.
observe「観察する」+-er。物理では「どの立場から見るか」を表す重要語。
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「速く動くと時間が遅れる」はSFじゃない。宇宙から降るミューオンという粒子は、本当なら地上に届く前に消えるはずなのに、時間の遅れのおかげで大量に届いている。1971年には原子時計を旅客機で世界一周させてズレを実測した。
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- Einstein (1905) Zur Elektrodynamik bewegter Körper, Annalen der Physikdoi.org
- Rossi & Hall (1941) Variation of the Rate of Decay of Mesotrons with Momentum, Physical Reviewdoi.org
- Frisch & Smith (1963) Measurement of the Relativistic Time Dilation Using μ-Mesons, American Journal of Physicsdoi.org
- Hafele & Keating (1972) Around-the-World Atomic Clocks: Observed Relativistic Time Gains, Sciencedoi.org
- Bailey et al. (1977) Measurements of relativistic time dilatation for positive and negative muons in a circular orbit, Naturedoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。














