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宇宙の寿命、「10の1100乗年」から「10の78乗年」へ大幅短縮? オランダの物理学者の計算

宇宙の寿命、「10の1100乗年」から「10の78乗年」へ大幅短縮? オランダの物理学者の計算

読む前に予想してみよう!

この研究によると、宇宙はあと数十億年で終わってしまう

研究カード(どんな研究?)
対象
白色矮星・中性子星・ブラックホールなど(理論モデル)
規模
観測データなし
研究の種類
理論計算
確かさ
★☆☆☆☆
3秒でわかる

ホーキング放射に似た「蒸発」がブラックホール以外の天体にも起きるとすると、最後まで残る白色矮星も約10の78乗年で消える計算に。理論上の仮説。

ひとことで言うと宇宙の星の残りカスは、思っていたよりずっと早く「蒸発」するかも!

もくじ
  1. ホーキングの「ブラックホールの蒸発」をすべての天体に
  2. 白色矮星は約10の78乗年で消える
  3. 10の78乗年って、どれくらい?
  4. まとめ

宇宙は、いつか終わるのでしょうか?

星はいつか燃え尽き、あとには白色矮星(はくしょくわいせい)や中性子星、ブラックホールといった「星の燃えかす」が残ります。中でも白色矮星は、とてつもなく長く残り続けると考えられてきました。

ところが2025年、オランダの物理学者たちが、その寿命は思っていたよりずっと短いという計算結果を発表しました。

01ホーキングの「ブラックホールの蒸発」をすべての天体に

1974〜75年、物理学者スティーブン・ホーキングは、ブラックホールはゆっくり粒子を放出して、最後は蒸発すると予言しました(ホーキング放射)。

このチームは2023年、ブラックホールでなくても、重力で時空が曲がっていれば、似たような「蒸発」が起きるという理論を発表していました。今回は、それを白色矮星や中性子星などに当てはめて、どれくらいで蒸発しきるかを計算したのです。

02白色矮星は約10の78乗年で消える

計算の結果は、

  • 白色矮星:約10の78乗年(これまでの見積もりは10の1100乗年)
  • 中性子星と、恒星くらいの重さのブラックホール:約10の67乗年(論文では、中性子星の寿命の上限を約10の68乗年としています)
  • 人の体や月:約10の90乗年(もちろん理論上の話)

白色矮星は、最後まで残る「星の燃えかす」と考えられているので、この数字が宇宙の「最後の星」の寿命の目安になります。

意外なのは、中性子星とブラックホールがほぼ同じ時間で蒸発すること。ブラックホールの方が重力が強いのに、表面がないため、出ていく粒子の一部を自分で吸いこみ直してしまい、そのぶん蒸発が遅くなるのだそうです。

どんな天体も、最後はゆっくりと「蒸発」していく?
どんな天体も、最後はゆっくりと「蒸発」していく?

0310の78乗年って、どれくらい?

10の78乗年は、1のあとに0が78個並ぶ年数。現在の宇宙の年齢は約138億年(10の10乗年くらい)なので、想像を絶するほど長い時間です。

「短くなった」と言っても、10の1100乗が10の78乗になったという話。私たちの暮らしには、まったく影響ありません。

ちなみに、ファルケさんらの計算では、密度の高い天体ほど早く蒸発するという関係も示されています。

04まとめ

宇宙には始まりがあり、そしてたぶん終わりもある。その終わりの時期が、ほんの少し(といっても桁違いに)早まったかもしれない、というお話でした。

10の78乗年後の宇宙を見届けることはできませんが、そんな途方もない時間を、紙とペンと数式で見積もれてしまう人間の頭脳こそ、いちばんの「マジか」かもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn 1974 and 1975, Stephen Hawking predicted that black holes slowly lose particles and eventually evaporate. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

In 1974 and 1975, Stephen Hawking predicted that black holes slowly lose particles and eventually evaporate. In 2023, a team at Radboud University in the Netherlands suggested that something similar could happen to any object that bends space-time with its gravity, not just black holes. In 2025, the same team calculated how long different objects would take to disappear in this way.

White dwarfs, which are thought to be the last stars left in the universe, would last about 10 to the power of 78 years. This is much shorter than the earlier estimate of 10 to the power of 1,100 years. Neutron stars and black holes would take about 10 to the power of 67 years.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

1974年から1975年にかけて、スティーブン・ホーキングは、ブラックホールはゆっくりと粒子を失い、最後には蒸発すると予言しました。2023年、オランダのラドバウド大学のチームは、ブラックホールだけでなく、重力で時空を曲げるどんな天体にも似たことが起こりうると提案しました。2025年、同じチームは、さまざまな天体がこのようにして消えるまでにどれくらいかかるかを計算しました。

宇宙で最後まで残る星と考えられている白色矮星は、約10の78乗年もつとされました。これは、以前の見積もりである10の1100乗年よりずっと短いものです。中性子星とブラックホールは、約10の67乗年かかるとされました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did Stephen Hawking predict?

Q2. How long would neutron stars take to disappear?

Q3. Why is the lifetime of white dwarfs especially important?

重要単語

  • evaporateB2
    動詞蒸発するBlack holes may slowly evaporate. 水だけでなく「消えてなくなる」の比喩でも使う(His hopes evaporated.)。名詞 evaporation。
  • white dwarfC1
    名詞(句)白色矮星Our Sun will become a white dwarf someday. dwarf は「小人・小さいもの」。複数形は dwarfs(dwarves とも)。red giant(赤色巨星)と対で覚える。
  • radiationB2
    名詞放射(線)Hawking radiation has never been observed. radiate(放射する)の名詞形。radio, radius と同じ「光線・半径」の語源。
  • densityB2
    名詞密度The lifetime depends only on the object's density. 形容詞 dense(密な)。population density「人口密度」は地理の頻出語。
  • estimateB1
    名詞・動詞見積もり/見積もるThe new estimate is much shorter. 名詞は /ˈestɪmət/(エスティメット)、動詞は /ˈestɪmeɪt/(エスティメイト)と発音が変わる。
  • theoreticalB2
    形容詞理論上のThe result is purely theoretical. theory(理論)の形容詞形。反対は practical(実際的な)や experimental / observational(実験・観測による)。

動画でもっと知る

4コマでわかる

宇宙の寿命、「10の1100乗年」から「10の78乗年」へ大幅短縮? オランダの物理学者の計算の4コマ漫画
宇宙で最後まで残る星の燃えかすも、10の1100乗年はもつと思われていたのに、新しい計算では「たった」10の78乗年で蒸発するらしい。ちなみに人の体や月も、理論上は10の90乗年で蒸発する計算。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Falcke, Wondrak & van Suijlekom (2025) An upper limit to the lifetime of stellar remnants from gravitational pair production, Journal of Cosmology and Astroparticle Physicsdoi.org
  2. Wondrak, van Suijlekom & Falcke (2023) Gravitational Pair Production and Black Hole Evaporation, Physical Review Lettersdoi.org
  3. Ferreiro, Navarro-Salas & Pla (2024) Comment on "Gravitational Pair Production and Black Hole Evaporation", Physical Review Lettersdoi.org
  4. Hawking (1975) Particle creation by black holes, Communications in Mathematical Physicsdoi.org