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北極星は「交代制」だった。ピラミッドの時代は別の星、1万2000年後は織姫星ベガ

北極星は「交代制」だった。ピラミッドの時代は別の星、1万2000年後は織姫星ベガ

読む前に予想してみよう!

北極星(ポラリス)は、人類の歴史が始まってからずっと北の空の目印だった

研究カード(どんな研究?)
対象
地球の自転軸と恒星
規模
数千年の天文記録+現代の観測
研究の種類
天体力学と観測
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

地球の自転軸は約2万6000年かけて首をふる。そのため北極星は交代し、約4700年前はりゅう座のトゥバン、約1万2000年後はこと座のベガが北の目印になる。

ひとことで言うと北極星はずっと同じ星じゃない。何千年もかけて、ほかの星と交代するんだ。

もくじ
  1. 地球は「首をふるコマ」
  2. 歴代の北極星リレー
  3. 北極星は「1等星」ではない
  4. どんでん返し:北極星までの距離は、長く論争の的だった
  5. まとめ

道に迷ったら、北極星を探せ。昔から旅人や船乗りは、真北の空でほとんど動かない北極星を目印にしてきました。

でも、この北極星、ずっと同じ星だったわけではありません。エジプトでピラミッドが造られていたころ、北の空の目印は別の星でした。そして約1万2000年後には、七夕の織姫星ベガがその役目を引きつぐと考えられています。

北極星は、何千年単位の「交代制」だったのです。

01地球は「首をふるコマ」

回っているコマをよく見ると、軸がゆっくり円を描くように首をふっていますね。地球の自転軸も、これと同じ動きをしています。これを歳差運動(さいさうんどう)といいます。

地球は自転のせいで、赤道のあたりが少しふくらんでいます。そのふくらみを、月と太陽の引力が引っぱることで、軸がゆっくり首をふるのです。NASAによると、1周にかかる時間は約2万6000年です。

自転軸が向く先が変わるので、「真北の空のどこに星があるか」も変わっていきます。

自転軸の延長線は、約2万6000年かけて空に大きな円を描く
自転軸の延長線は、約2万6000年かけて空に大きな円を描く

02歴代の北極星リレー

  • 約4700年前:りゅう座のトゥバン。エジプトで初期のピラミッドが造られたころの北極星
  • いま:こぐま座のポラリス。天の北極から1度足らず
  • 約1万2000年後:こと座のベガ(織姫星)

いまのポラリスは、これからさらに天の北極に近づき、2100年ごろにいちばん近くなると考えられています。そのあとは少しずつ離れていきます。

ちなみに、昔の北極星トゥバンについても、2020年にNASAが驚きの発見を発表しました。宇宙望遠鏡TESSの観測で、トゥバンが2つの星がおたがいをかくし合う「食」を約51日ごとに起こしていることがわかったのです。何千年も前から有名な星でも、まだ知られていない顔があったのです。

03北極星は「1等星」ではない

ここで、よくある誤解をひとつ。北極星は夜空でいちばん明るい星ではありません。明るさは2等星くらいで、夜空にはもっと明るい星がたくさんあります。

北極星が特別なのは、明るいからではなく、たまたま天の北極の近くにあるから。地球が回っても、ほとんど位置を変えないのです。

04どんでん返し:北極星までの距離は、長く論争の的だった

これほど有名な星なのに、ポラリスまでの距離は、かつて研究者のあいだで大きな議論がありました。

ヨーロッパの衛星ヒッパルコスの測定では約430光年。ところが、カナダのターナーらは2013年、星の光の性質から計算し直し、約320光年だと主張しました。100光年もの食い違いです。明るすぎる星は衛星での精密な測定が難しく、長く決着しませんでした。その後、少し離れた暗い連れ星(ポラリスB)をガイア衛星で測った結果、距離はヒッパルコスに近い約440光年前後とみられるようになっています。

05まとめ

  • 地球の自転軸は、コマのように約2万6000年かけて首をふる(歳差運動)
  • そのため北極星は交代する。昔はトゥバン、いまはポラリス、未来はベガ
  • 有名なポラリスでさえ、距離をめぐる論争まであった

いつも同じ場所にあるように見える北極星も、長い時間で見れば「今の当番」にすぎません。私たちは、たまたまポラリスが北を守る時代に生きているのです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerFor centuries, travelers have used the North Star, Polaris, to find north, because it barely moves in the… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

For centuries, travelers have used the North Star, Polaris, to find north, because it barely moves in the night sky. But Polaris has not always been the North Star.

Earth's axis slowly wobbles like a spinning top, because the Moon and the Sun pull on the bulge around Earth's equator. This motion is called precession, and one full circle takes about 26,000 years. As a result, the star closest to the north celestial pole changes over time.

About 4,700 years ago, when early pyramids were built in Egypt, the North Star was Thuban. In about 12,000 years, it will be Vega. Polaris is not even a very bright star. It is special only because of where it sits in the sky.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

何世紀ものあいだ、旅人たちは北極星ポラリスを使って北を知ってきました。夜空でほとんど動かないからです。

しかし、ポラリスがいつも北極星だったわけではありません。月と太陽が地球の赤道のまわりのふくらみを引っぱるため、地球の自転軸は回っているコマのようにゆっくり首をふっています。この動きは歳差運動と呼ばれ、1周するのに約2万6000年かかります。その結果、天の北極にいちばん近い星は時代とともに変わるのです。

約4700年前、エジプトで初期のピラミッドが造られていたころ、北極星はトゥバンでした。約1万2000年後には、それはベガになるでしょう。ポラリスはそれほど明るい星ですらありません。特別なのは、空のどこにあるかという位置のおかげにすぎないのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What causes Earth's axis to wobble?

Q3. What can we infer about Polaris?

重要単語

  • precessionC1
    名詞歳差運動Precession slowly changes the North Star. pre-(前へ)+cede(進む)。春分点が少しずつ「先へ進む」ことから。precede(先行する)と同語源。
  • axisB2
    名詞軸Earth's axis points toward Polaris now. 複数形は axes(アクシーズ)。グラフの x-axis(x軸)でもおなじみ。
  • wobbleC1
    動詞・名詞ぐらぐらする、首をふる/ふらつきA spinning top wobbles as it slows down. テーブルがガタつく、声が震えるなど、小さく不安定に揺れる様子に使う。
  • celestial poleC1
    名詞(句)天の極Polaris is close to the north celestial pole. celestial は「天の」。celestial body「天体」も重要。地球の自転軸を空まで延ばした点。
  • variable starC1
    名詞(句)変光星Polaris is a variable star. variable(変わりやすい)。vary(変わる)、variety(多様性)と同じ仲間。
  • companionB2
    名詞伴星、連れPolaris has a faint companion star. com-(共に)+pan(パン)=一緒にパンを食べる仲間、が語源。
  • temporaryB1
    形容詞一時的なPolaris's role as the North Star is temporary. 反対は permanent(永久の)。tempo(時)が語源。temporary job「臨時の仕事」。

4コマでわかる

北極星は「交代制」だった。ピラミッドの時代は別の星、1万2000年後は織姫星ベガの4コマ漫画
北極星は永遠の目印じゃなかった。地球の自転軸はコマのように約2万6000年かけて首をふっていて、エジプトでピラミッドが造られたころの北極星は別の星。約1万2000年後には、七夕の織姫星ベガが北の目印になるらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. NASA Science, What is the North Star and How Do You Find It?science.nasa.gov
  2. NASA (2020) Surprise! TESS Shows Ancient North Star Undergoes Eclipsesnasa.gov
  3. Evans et al. (2024) The Orbit and Dynamical Mass of Polaris: Observations with the CHARA Array, The Astrophysical Journaldoi.org
  4. Turner et al. (2013) The Pulsation Mode of the Cepheid Polaris, The Astrophysical Journal Lettersdoi.org