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はやぶさ2が持ち帰った5.4gの砂に、生命の“部品”が入っていた

はやぶさ2が持ち帰った5.4gの砂に、生命の“部品”が入っていた

読む前に予想してみよう!

リュウグウの砂からは、アミノ酸が見つかった

研究カード(どんな研究?)
対象
小惑星リュウグウの砂(はやぶさ2帰還試料)
規模
約5.4gのうち分析用のごく一部
研究の種類
帰還試料の化学分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウの砂約5.4gから、アミノ酸やRNAの部品ウラシル、さらに5種類すべての核酸塩基が見つかった。

ひとことで言うと小わく星の砂から、生き物の体のもとになる材料が見つかったよ!

もくじ
  1. なぜ小惑星の砂がそんなに大事なの?
  2. 見つかったもの①:アミノ酸
  3. 見つかったもの②:RNAの部品「ウラシル」
  4. 見つかったもの③:5種類の塩基がすべて
  5. 「地球の汚れ」がついていないのがすごい
  6. まとめ

2020年12月、オーストラリアの砂漠に、小さなカプセルが落ちてきました。中に入っていたのは、地球から約3億km離れた小惑星リュウグウの砂。日本の探査機はやぶさ2が、6年がかりの旅で持ち帰った「宇宙のおみやげ」です。

その量は、約5.4g。1円玉5枚ちょっとの重さしかありません。ところが、このわずかな砂の中から、生命の“部品”が次々と見つかったのです。

01なぜ小惑星の砂がそんなに大事なの?

小惑星は、約46億年前に太陽系ができたときの材料の残りだと考えられています。地球のような大きな惑星は、熱や火山活動で中身がすっかり変わってしまいましたが、小さな小惑星には昔の情報がそのまま残っている可能性があるのです。

いわば、小惑星は太陽系のタイムカプセル。とくにリュウグウは、炭素を多く含むC型小惑星で、有機物(生き物の体を作る炭素の化合物)が見つかるのではと期待されていました。

わずか数グラムの砂から、生命の材料が次々と見つかった(イメージ)
わずか数グラムの砂から、生命の材料が次々と見つかった(イメージ)

02見つかったもの①:アミノ酸

九州大学の奈良岡らのチームは2023年、学術誌『Science』で、リュウグウの砂からアミノ酸をはじめ、約2万種類ともいわれる多様な有機分子が見つかったと報告しました。

アミノ酸は、私たちの体を作るタンパク質の材料。筋肉も、髪の毛も、体の中で働く酵素も、アミノ酸がつながってできています。

03見つかったもの②:RNAの部品「ウラシル」

さらに2023年、北海道大学の大場らは学術誌『Nature Communications』で、リュウグウの砂からウラシルを見つけたと発表しました。

ウラシルは、RNA(遺伝情報をコピーしたり、タンパク質を作ったりするときに働く分子)の部品になる核酸塩基のひとつ。同時に、ビタミンB3の仲間(ナイアシン)も見つかっています。

04見つかったもの③:5種類の塩基がすべて

そして2026年には、古賀らの研究チームが学術誌『Nature Astronomy』で、リュウグウの砂からDNAとRNAに使われる5種類の核酸塩基すべて(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)が見つかったという研究が発表されました。

生命の設計図を書く「文字」が、すべて宇宙の石の中にそろっていたことになります。

05「地球の汚れ」がついていないのがすごい

これまでも、地球に落ちてきた隕石から有機物が見つかったことはありました。でも隕石は、大気圏を通るときに焼かれたり、地上で長い間雨風にさらされたりして、地球の物質が混ざっている心配がつきまといます。

リュウグウの砂は、宇宙で採取されて密閉されたまま地球に届きました。だからこそ、「この分子はもともと宇宙にあったもの」と、自信をもって言えるのです。

06まとめ

  • はやぶさ2は、小惑星リュウグウから約5.4gの砂を持ち帰った
  • その中からアミノ酸、ウラシル、そして5種類すべての核酸塩基が見つかった
  • 生命の材料が宇宙から地球に届けられたという説の大きな手がかりに

1円玉5枚分の砂が、「私たちはどこから来たのか」という人類最大の問いに迫っている。日本の探査機がつかんだ、とんでもない「マジか!?」です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAsteroids are thought to be material left over from when the solar system formed about 4.6 billion years ago. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Asteroids are thought to be material left over from when the solar system formed about 4.6 billion years ago. Unlike the Earth, they have not been changed much by heat or volcanoes, so they work like time capsules. Japan's Hayabusa2 brought back about 5.4 grams of sand from Ryugu, a carbon-rich asteroid, in 2020. In 2023, researchers reported amino acids, which make up proteins, along with a huge variety of other organic molecules.

Another team found uracil, one of the parts of RNA. Then in 2026, a study reported that all five nucleobases used in DNA and RNA were present. Because the samples were sealed in space, scientists can be confident that these molecules did not come from Earth.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

小惑星は、約46億年前に太陽系ができたときに残った材料だと考えられています。地球とは違って、熱や火山によってあまり変化していないので、タイムカプセルのような役割を果たします。日本のはやぶさ2は2020年、炭素を多く含む小惑星リュウグウから約5.4gの砂を持ち帰りました。2023年、研究者たちは、タンパク質を作るアミノ酸を、非常に多様なほかの有機分子とともに報告しました。

別のチームは、RNAの部品のひとつであるウラシルを見つけました。そして2026年には、DNAとRNAに使われる5種類の核酸塩基がすべて含まれていたという研究が発表されました。試料は宇宙で密閉されていたので、科学者たちはこれらの分子が地球由来ではないと自信をもって言えるのです。

4択リーディングクイズ

Q1. Why are asteroids described as "time capsules"?

Q2. What did the 2026 study report?

Q3. Why can scientists be confident that the molecules came from space?

重要単語

  • asteroidB2
    名詞小惑星Ryugu is a carbon-rich asteroid. aster(星)+-oid(~のようなもの)。望遠鏡で星のように見えたことから。
  • sample returnC1
    名詞(句)試料の持ち帰り(サンプルリターン)Sample return missions bring space rocks to Earth. sample は「試料・見本」。はやぶさシリーズは日本が誇る sample return mission の代表例。
  • amino acidB2
    名詞(句)アミノ酸Amino acids are the building blocks of proteins. acid は「酸」。反対の性質は alkali / base。the building blocks of ~「~の構成要素」とセットで覚える。
  • nucleobaseC1
    名詞核酸塩基Uracil is a nucleobase found in RNA. nucleo-(核)+base(塩基)。nucleus(核)、nuclear(核の)と同じ語源。
  • contaminationC1
    名詞汚染・混入The capsule protected the sample from contamination. contaminate(汚染する)の名詞形。pollution より「異物が混じる」ニュアンスが強く、実験・食品の話でよく使う。
  • organicB2
    形容詞有機のScientists found many organic molecules in the sand. 化学では「炭素を含む化合物の」。日常では organic food「有機栽培の食品」。反対は inorganic。
  • terrestrialC1
    形容詞地球の・陸上のThe samples were free from terrestrial contamination. terra(大地)から。extraterrestrial は「地球外の(生命)」=E.T.。territory(領土)も同語源。

動画でもっと知る

4コマでわかる

はやぶさ2が持ち帰った5.4gの砂に、生命の“部品”が入っていたの4コマ漫画
はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った砂は、たった約5.4g。その中から、アミノ酸やRNAの部品「ウラシル」、さらにDNAとRNAの材料になる5種類の塩基すべてが見つかったらしい。生命のタネは宇宙から来た?

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Yada et al. (2021) Preliminary analysis of the Hayabusa2 samples returned from C-type asteroid Ryugu, Nature Astronomydoi.org
  2. Naraoka et al. (2023) Soluble organic molecules in samples of the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu, Sciencedoi.org
  3. Oba et al. (2023) Uracil in the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu, Nature Communicationsdoi.org
  4. Koga et al. (2026) A complete set of canonical nucleobases in the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu, Nature Astronomydoi.org
  5. Yokoyama et al. (2023) Samples returned from the asteroid Ryugu are similar to Ivuna-type carbonaceous meteorites, Sciencedoi.org