「たまたま隣の席」だった人と、1年後も友達だった。くじ引きの席順が友情を左右した研究

読む前に予想してみよう!
友達になるかどうかは、席の近さのような偶然よりも、性格や趣味の相性だけで決まる
くじで決めた座席でも、隣や同じ列になった人同士は1年後の友情の強さの評価が高かった。
- 対象
- ドイツの大学新入生/米国の警察学校の訓練生
- 規模
- 数十人規模
- 研究の種類
- 無作為割り当てを使った追跡調査+現場調査
- 確かさ
- ★★★☆☆
ドイツの大学で、新入生の座席をくじで決めたら、たまたま隣や同じ列になった人同士が、1年後の友情の強さの評価が高かった。友情は「近さ」から始まる。
ひとことで言うと席が近いだけで、友達になりやすい。席替えは友情のチャンス!
新学期の席替え。仲のいい友達と離れてしまって、がっかりした経験はありませんか?
でも、その「たまたま隣になった人」が、のちのち大切な友達になることもあります。実はこれ、偶然の思い出話ではなく、心理学の実験で確かめられた現象なのです。
01くじ引きで座席を決めてみた
友情の研究には、ひとつ大きな悩みがあります。それは、「近くにいるから仲良くなったのか、仲がいいから近くにいるのか」が分からないこと。仲良しの2人は、自分たちで近くの席を選ぶものですよね。
そこでドイツの研究チームは、この問題をくじ引きで解決しました。
席はくじで決まったので、「もともと気が合いそうな人の近くに座った」という可能性はありません。たった一度、たまたま近くに座っただけで、1年後の友情が左右されていたのです。
新しい環境では、最初に言葉を交わした相手、最初に顔を覚えた相手が、それだけで"特別な知り合い"になりやすいのかもしれません。最初の一歩を踏み出すきっかけを、座席という偶然が作ってくれていたわけです。
02アルファベット順の部屋割りでも
似た結果は、ずっと前の研究でも出ていました。
1970年代、アメリカの州警察の訓練学校では、訓練生の部屋や座席がアルファベット順に決められていました。研究者が訓練生に「この学校でいちばん仲のいい人は誰か」をたずねたところ、選ばれた相手は、名字のアルファベットが近い人、つまり部屋や席が近い人に大きく偏っていました。
名字のアルファベットと性格には関係がないはずです。それなのに友情の相手が偏っていたのは、近くにいて、自然と顔を合わせる回数が多かったからだと考えられます。

03なぜ「近さ」が友情を生むのか
近くにいることが友情につながる理由は、いくつか考えられます。
ひとつは、会話のきっかけが増えること。「消しゴム貸して」「今の説明わかった?」——隣の席なら、話しかける理由が自然に生まれます。
もうひとつは、一緒に過ごす時間が増えること。アメリカの研究では、知り合いが友達になるまでに数十時間、親しい友達になるには200時間以上いっしょに過ごすのが目安とされています。近くにいれば、その時間が自然と積み重なっていきます。
さらに、何度も顔を合わせるうちに、相手に親しみを感じやすくなる心のクセも関係しているかもしれません。
04まとめ
友情は、性格や趣味の相性だけで決まるわけではありません。「たまたま近くにいた」という偶然が、思っている以上に大きな役割を果たしていました。
次の席替えでは、隣になった人に少しだけ話しかけてみてください。その偶然が、1年後のあなたにとって大切な出会いになっているかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerFriendship research has a common problem.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
Can the seat next to you change your friendships? At a university in Germany, new students got their seats by lottery at their first meeting. One year later, researchers asked who their friends were.
Students who sat next to each other by chance were more likely to be friends. Students in the same row were, too. So sitting close to someone can be the start of a friendship.
68 words ・ CEFR A2
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隣の席があなたの友人関係を変えることはあるのでしょうか。ドイツのある大学で、新入生たちは最初の集まりで、くじ引きで席を決めました。1年後、研究者たちは誰が友達かをたずねました。
たまたま隣同士に座った学生は、友達になっている可能性が高かったのです。同じ列の学生もそうでした。つまり、誰かの近くに座ることが、友情の始まりになりうるのです。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
席が近いことが友情につながるという話なので B。
Q2. When did the researchers ask about friends?
One year later, researchers asked who their friends were. とあるので D。
Q3. In this passage, "by chance" means ...
by chance は「偶然に」。くじ引きで決まったので計画したわけではない。A が正解。
Friendship research has a common problem. Do people become friends because they sit close together, or do friends choose to sit together? A German research team solved this problem with a lottery. At the first introductory session for new university students, seats were randomly assigned, and the students rated their first impressions of one another.
One year later, the researchers checked who had become friends. Students who had happened to sit next to each other had stronger friendships than those who sat farther apart, and the same was true for students in the same row. A similar pattern was found in the 1970s at an American police academy, where rooms and seats were assigned in alphabetical order.
117 words ・ CEFR B1
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友情の研究には、よくある問題があります。人は近くに座るから友達になるのか、それとも友達同士が一緒に座ることを選ぶのか、という問題です。ドイツの研究チームは、くじ引きでこの問題を解決しました。大学の新入生が初めて集まった導入セッションで、座席が無作為に割り当てられ、学生たちはお互いの第一印象を評価しました。1年後、研究者たちは誰が友達になったかを調べました。
たまたま隣同士に座った学生は、離れて座った学生よりも友情が強く、同じ列の学生についても同じことが言えました。似たようなパターンは、1970年代のアメリカの警察学校でも見られました。そこでは、部屋や座席がアルファベット順に割り当てられていたのです。
4択リーディングクイズ
Q1. Why did the researchers use a lottery to assign seats?
友達が自分で近くの席を選ぶ可能性を排除するためにくじ引きを使ったので C。
Q2. Who were the participants in the German study?
new university students とあるので B。警察学校は1970年代のアメリカの研究。
Q3. What can we infer from the police academy example?
アルファベット順で部屋・席が決まり、同じパターンが見られたので、配置の近さが友情に影響したと推論できる。正解は A。
A persistent difficulty in friendship research is separating cause from effect: proximity may encourage friendship, but friends may also choose to stay close to each other. A German research team addressed this problem with a simple yet powerful design. At the first introductory session for new university students, seats were assigned by lottery, and students rated their initial impressions of one another. One year later, the researchers assessed who had become friends.
Students who had been randomly seated next to each other had stronger friendships than those seated farther apart, and a similar effect appeared for students in the same row. Because seating was random, pre-existing similarity cannot explain the result, which suggests that a single chance encounter can shape relationships a year later. This finding echoes a 1970s study at a US state police academy, where rooms and seats were allocated alphabetically and trainees' closest friends tended to have surnames near their own.
However, the German study involved a small sample from a single university, so its generalizability is limited. Proximity probably works by creating opportunities to talk, increasing time spent together, and building familiarity.
186 words ・ CEFR B2
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友情の研究につきまとう難しさは、原因と結果を切り分けることです。近さが友情を促すのかもしれませんが、友達同士が互いの近くにいることを選ぶのかもしれません。ドイツの研究チームは、シンプルでありながら強力な研究デザインでこの問題に取り組みました。大学の新入生が初めて集まった導入セッションで、座席がくじ引きで割り当てられ、学生たちはお互いの第一印象を評価しました。1年後、研究者たちは誰が友達になったかを調べました。
無作為に隣同士に座った学生は、離れて座った学生よりも友情が強く、同じ列の学生にも似た効果が見られました。座席は無作為だったので、もともとの似ている点では結果を説明できず、たった一度の偶然の出会いが1年後の関係を形づくりうることが示唆されます。この発見は、1970年代のアメリカの州警察学校での研究と響き合います。そこでは部屋と座席がアルファベット順に割り当てられ、訓練生の最も親しい友達は、自分と近い名字を持つ傾向がありました。
ただし、ドイツの研究は1つの大学の小さなサンプルだったため、一般化できる範囲は限られています。近さはおそらく、話す機会をつくり、一緒に過ごす時間を増やし、親しみを育てることで働くのでしょう。
4択リーディングクイズ
Q1. What problem in friendship research did the lottery design solve?
冒頭の separating cause from effect の問題に、くじ引きという設計で取り組んだので B。
Q2. How might proximity lead to friendship, according to the passage?
creating opportunities to talk, increasing time spent together, and building familiarity とあるので C。
Q3. What limitation of the German study does the author mention?
a small sample from a single university, so its generalizability is limited とあるので D。
重要単語
- proximityC1名詞近さ、近接Proximity to school is important when choosing a home.
in close proximity to ~「~のすぐ近くに」。approximate(おおよその)と同語源。 - randomB1形容詞無作為の、でたらめのThe teacher chose a random student.
at random「無作為に」。研究の random assignment「無作為割り当て」は因果を示す強い方法。 - assignB2動詞割り当てるEach student was assigned a seat.
名詞 assignment は「課題・宿題」の意味でもよく使う。 - chanceA2名詞偶然、機会We met by chance at the station.
by chance「偶然に」、have a chance to do「~する機会がある」。 - alphabeticalB2形容詞アルファベット順のThe names are listed in alphabetical order.
in alphabetical order がセット。ギリシャ文字の alpha+beta から。 - generalizabilityC1名詞一般化できる度合いA small sample limits the generalizability of the results.
generalize(一般化する)+-ability。研究の限界を述べるときの定番語。
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ドイツの大学で、新入生の最初の集まりの席をくじで決めたら、たまたま隣や同じ列になった人同士ほど、1年後の友情が強かったらしい。「物理的な近さ」が友情のスタートを左右していた。席替え、なめちゃいけない。
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出典・参考文献(3件)タップで表示
- Back, Schmukle & Egloff (2008) Becoming friends by chance, Psychological Sciencedoi.org
- Segal (1974) Alphabet and attraction: An unobtrusive measure of the effect of propinquity in a field setting, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
- Hall (2019) How many hours does it take to make a friend?, Journal of Social and Personal Relationshipsdoi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。













