心理学ホント

10代は「人気者」より「親友1人」? 15歳から25歳まで追いかけた研究のちょっと意外な結論

10代は「人気者」より「親友1人」? 15歳から25歳まで追いかけた研究のちょっと意外な結論

読む前に予想してみよう!

10代でクラスの人気者だった人ほど、大人になってからの心の健康が良い

研究カード(どんな研究?)
対象
アメリカの10代
規模
169人(10年間追跡)ほか
研究の種類
縦断研究
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

15歳で深い友情を持っていた子は、25歳までに自己肯定感が上がり、不安や落ち込みが減っていた。一方、クラスで人気だった子は、大人になって社交不安がやや高かった。

ひとことで言うとたくさんの人気より、本当に信頼できる友達がいることが大事かも。

もくじ
  1. 15歳から25歳まで、10年間の追跡
  2. 「人気」はなぜ不安と結びつくのか
  3. 小学生のころの「親友」も大人になって効いていた
  4. どんでん返し:「イケてる子」たちのその後
  5. まとめ

SNSのフォロワー数、クラスでの目立ち方、友達の多さ。10代にとって「人気」はとても気になるものです。

でも、大人になったときの心の健康を左右するのは、たくさんの人気より、本当に信頼できる友達がいるかどうかかもしれません。アメリカで10年かけて10代を追いかけた研究が、そんな結果を報告しています。

0115歳から25歳まで、10年間の追跡

研究チームは、10代のうちに少数の深い友情を大切にする人は、大人になってからの人間関係の課題にうまく向き合えるのではないか、と考えています。

02「人気」はなぜ不安と結びつくのか

人気者になるのは、楽しいことのように思えます。でも、たくさんの人に好かれ続けようとすることは、

  • いつも周りの目を気にしなければならない
  • 「嫌われたらどうしよう」という不安がつきまとう
  • 表面的な関係が多く、本音を話せる相手が少ないこともある

といった負担もあるのかもしれません。もちろん、人気があること自体が悪いわけではありません。ただ、人気だけでは、心の土台にはなりにくいということです。

深く根を張った友情は、風が吹いても揺らぎにくい
深く根を張った友情は、風が吹いても揺らぎにくい

03小学生のころの「親友」も大人になって効いていた

もっと前の研究もあります。アメリカのBagwellさんらは、小学5年生のときに安定した親友がいた子と親友がいなかった子を、12年後に比べました(1998年)。

その結果、小学5年生で親友がいた人は、大人になって自己価値感(自分に価値があると思える気持ち)が高い傾向がありました。一方、クラスから拒絶されていたかどうかは、大人になってからの生活全般の適応と関係していました。友情と、クラスでの受け入れられ方は、それぞれ別の形でその後の人生に影響していたのです。

04どんでん返し:「イケてる子」たちのその後

同じバージニア大学のAllenさんらは、2014年に「『イケてる子』たちはその後どうなったのか?」というユニークなタイトルの研究を発表しています。

13歳ごろに、年齢のわりに大人びた行動(小さな非行や、年齢のわりに早すぎる恋愛など)をしていた子は、当時は仲間とのつきあいで短期的にはうまくいっていたものの、23歳までに親しい人間関係の問題、お酒や薬物の問題、犯罪などが多く見られたのです。

10代前半の「人気」や「イケてる感」は、長い目で見ると、必ずしも良い方向につながらないことがある、という結果です。

05まとめ

10代のころの深い友情は、大人になってからの自己価値感や心の安定と結びついていました。一方、クラスでの人気は、むしろ社交不安と結びつくこともありました。

人気者になれなくても大丈夫。本音で話せる友達が1人いることは、10年後のあなたを支える大きな力になるかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany teenagers care a lot about being popular, but what really matters for the future? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many teenagers care a lot about being popular, but what really matters for the future? Researchers at the University of Virginia followed 169 teenagers from age 15 to 25. At 15 or 16, they measured how strong each teen's close friendship was, using surveys and observations, and how popular each teen was among classmates.

By age 25, teens who had stronger close friendships showed rising self-worth and fewer symptoms of anxiety and depression. In contrast, those who were popular with many classmates tended to have slightly higher social anxiety as young adults. The researchers believe that teens who value a few deep friendships may be better prepared for relationships in adulthood.

111 words ・ CEFR B1

和訳を見る

多くの10代は人気者であることをとても気にしますが、将来にとって本当に大切なのは何でしょうか。バージニア大学の研究者たちは、169人の10代を15歳から25歳まで追跡しました。15〜16歳の時点で、アンケートや観察を使って、それぞれの10代の親友との友情がどれくらい強いか、そしてクラスメートの間でどれくらい人気があるかを測りました。

25歳までに、親友との友情が強かった10代は、自己価値感が高まり、不安や抑うつの症状が少なくなっていました。対照的に、多くのクラスメートに人気があった人は、若い大人になって社交不安がやや高くなる傾向がありました。研究者たちは、少数の深い友情を大切にする10代は、大人になってからの人間関係に対してより準備ができているのかもしれないと考えています。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the researchers measure at age 15 or 16?

Q2. What tended to happen to popular teens as young adults?

Q3. What is the main message of the passage?

重要単語

  • close friendshipB1
    名詞(句)親しい友情・親友関係Close friendship helps us feel safe. close は発音 /kloʊs/(クロウス)で「親しい・近い」。動詞の close(閉める /kloʊz/)と区別。
  • popularityB2
    名詞人気Popularity is not the same as happiness. 形容詞 popular。gain popularity「人気を得る」。
  • self-worthC1
    名詞自己価値感Her self-worth grew in her twenties. worth は「価値」。self-esteem とほぼ同義で、心理学の長文に出る。
  • social anxietyC1
    名詞(句)社交不安Social anxiety makes it hard to talk with new people. 人前や人づきあいで強い不安を感じること。anxiety の形容詞は anxious。
  • predictB1
    動詞予測するFriendship quality predicted adult mental health. 研究では「A が B を予測する」=「A と後の B に関連がある」の意味で、因果の証明ではない点に注意。
  • intimacyC1
    名詞親密さIntimacy is a key part of a close friendship. 形容詞 intimate(親密な)。発音はアクセントが最初(IN-ti-ma-cy)。

4コマでわかる

10代は「人気者」より「親友1人」? 15歳から25歳まで追いかけた研究のちょっと意外な結論の4コマ漫画
15歳から25歳まで169人を追いかけた研究で、10代のころに深い友情を持っていた人は、大人になって自己肯定感が高く、不安や落ち込みが少なかったらしい。逆にクラスの「人気者」は、大人になって社交不安がやや高かった。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Narr et al. (2019) Close Friendship Strength and Broader Peer Group Desirability as Differential Predictors of Adult Mental Health, Child Developmentdoi.org
  2. Bagwell, Newcomb & Bukowski (1998) Preadolescent Friendship and Peer Rejection as Predictors of Adult Adjustment, Child Developmentdoi.org
  3. Allen et al. (2014) What Ever Happened to the "Cool" Kids? Long-Term Sequelae of Early Adolescent Pseudomature Behavior, Child Developmentdoi.org