心理学ウソ

「長男はしっかり者、末っ子は甘えん坊」は本当? 2万人のデータで性格差はほぼゼロだった

「長男はしっかり者、末っ子は甘えん坊」は本当? 2万人のデータで性格差はほぼゼロだった

読む前に予想してみよう!

生まれ順によって、外向性や協調性などの性格が大きく変わる

研究カード(どんな研究?)
対象
米・英・独の一般市民
規模
約2万人(+米高校生37万人)
研究の種類
大規模パネル調査の分析
確かさ
★★★★★
3秒でわかる

米英独の約2万人を調べたら、生まれ順による性格(外向性・協調性など)の差は見つからなかった。差が出たのはIQの「ごくわずか」な差だけ。

ひとことで言うと「長男だから」「末っ子だから」で性格はほとんど決まらない!

もくじ
  1. 3か国・約2万人で確かめた
  2. IQの差はある。でも「生まれ」ではなく「育ち方」?
  3. なのに、なぜ「当たってる」気がするの?
  4. まとめ

「長男だからしっかりしてるね」「末っ子っぽい!」「真ん中っ子は要領がいい」。きょうだいの生まれ順で性格を語るのは、日本でも世界でも定番の話題です。

でも、これを約2万人規模のデータで調べたら、ほぼ「差なし」でした。占いのような説得力があるのに、なぜデータには出てこないのでしょうか。

013か国・約2万人で確かめた

これだけの人数があれば、ごく小さな差でも見つけられます。それでも出なかったので、研究チームは「生まれ順は、知的な面以外の大まかな性格には持続的な影響を与えない」と結論づけました。

同じ2015年、アメリカのDamianさんとRobertsさんも、約37万人の高校生のデータで同様の分析を行い、生まれ順と性格の関係はほとんど無視できるほど小さいと報告しています。

02IQの差はある。でも「生まれ」ではなく「育ち方」?

では、知能テストの差はどうなのか。ノルウェーの約25万人の徴兵検査データを使ったKristensenさんとBjerkedalさんの研究(2007年、『Science』)が興味深い結果を出しています。

第二子として生まれたけれど、上の子が幼くして亡くなり「家族の中で一番上」として育った人は、IQの平均が第一子とほぼ同じだったのです。つまり差を生んでいたのは「何番目に生まれたか」という生物学的な順番ではなく、家族の中でどんな立場で育ったかだと考えられます。

同じノルウェーのデータを分析したBlackさんらによると、第一子と第二子の差は平均で約3ポイントほど。とはいえ、きょうだい間のIQの違いのうち、生まれ順で説明できるのは数%程度にすぎませんでした。

生まれ順がちがっても、性格の「目盛り」はほぼ同じだった
生まれ順がちがっても、性格の「目盛り」はほぼ同じだった

03なのに、なぜ「当たってる」気がするの?

それでも「うちの長男はやっぱりしっかり者」と感じるのはなぜでしょう。考えられる理由はいくつかあります。

  • 年齢差を性格と見まちがえる:家の中では、上の子はいつも「年上」。しっかり見えるのは年齢のせいかも
  • 当てはまる例だけ覚えている:しっかり者の長男は印象に残り、そうでない例は忘れやすい(確証バイアス)
  • 家の中と外で役割がちがう:家では「お兄ちゃん役」でも、学校では別の顔をしていることも

04まとめ

「長男はしっかり者」「末っ子は甘えん坊」は、大規模データで見るとほぼ根拠なしでした。生まれ順で差が出たのは、知能テストのごくわずかな差くらい。しかもそれも「育ち方」で説明できそうです。

きょうだいゲンカで「やっぱり末っ子は〜」と言いたくなったら、2万人のデータを思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English Corner"You're the oldest, so you must be responsible." Comments like this are common around the world. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

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この研究を英語で読もう

"You're the oldest, so you must be responsible." Comments like this are common around the world. To test them, researchers in Germany analyzed national survey data from about 20,000 people in the United States, Britain and Germany. They compared children from different families and also compared brothers and sisters within the same family.

Birth order had no consistent effect on extraversion, emotional stability, agreeableness, conscientiousness or imagination. Firstborns only scored slightly higher on intelligence tests. A Norwegian study suggests that even this IQ difference may come from how children are raised. People who were born second but grew up as the oldest, because an older sibling died young, had IQ scores similar to firstborns.

114 words ・ CEFR B1

和訳を見る

「いちばん上なんだから、しっかりしないとね」。このような言葉は世界中でよく聞かれます。これを確かめるため、ドイツの研究者たちは、アメリカ、イギリス、ドイツの約2万人の全国調査データを分析しました。彼らは、異なる家族の子どもどうしを比べ、さらに同じ家族の中のきょうだいどうしも比べました。

生まれ順は、外向性、情緒の安定、協調性、誠実性、想像力のいずれにも一貫した影響を与えていませんでした。第一子は知能テストでわずかに高い点を取っただけでした。ノルウェーの研究は、このIQの差でさえ、子どもの育ち方から生じているのかもしれないと示唆しています。第二子として生まれたものの、上のきょうだいが幼くして亡くなったために一番上として育った人は、第一子と同じくらいのIQだったのです。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the researchers in Germany conclude?

Q2. How did the researchers compare people?

Q3. What does the Norwegian study suggest?

重要単語

  • siblingB2
    名詞きょうだいI have two siblings, an older sister and a younger brother. 性別を問わない「きょうだい」。sibling rivalry「きょうだい間の競争」も長文頻出。
  • firstbornB2
    名詞・形容詞第一子(の)Firstborns are often said to be responsible. first+born。laterborn(後に生まれた子)と対で使われる。
  • birth orderB1
    名詞(句)生まれ順Birth order had no effect on personality. order は「順序」。in order of age「年齢順に」もあわせて覚える。
  • traitB2
    名詞特性Extraversion is a personality trait. personality trait「性格特性」がセット。発音は /treɪt/(トレイト)。
  • within-familyC1
    形容詞同じ家族の中でのThey compared siblings in a within-family design. 反対は between-family(家族間の)。within は「~の内側で」。
  • negligibleC1
    形容詞ごくわずかな・無視できるThe difference was negligible. neglect(無視する)+-ible(できる)=「無視できるほどの」。negligent(怠慢な)と混同注意。

4コマでわかる

「長男はしっかり者、末っ子は甘えん坊」は本当? 2万人のデータで性格差はほぼゼロだったの4コマ漫画
「長男はしっかり者」「末っ子は甘えん坊」、アメリカ・イギリス・ドイツの約2万人のデータで調べたら、生まれ順による性格の差は見つからなかったらしい。唯一出たのは、IQのごくわずかな差だけだった。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Rohrer, Egloff & Schmukle (2015) Examining the effects of birth order on personality, PNASdoi.org
  2. Damian & Roberts (2015) The associations of birth order with personality and intelligence in a representative sample of U.S. high school students, Journal of Research in Personalitydoi.org
  3. Kristensen & Bjerkedal (2007) Explaining the Relation Between Birth Order and Intelligence, Sciencedoi.org
  4. Black, Devereux & Salvanes (2011) Older and Wiser? Birth Order and IQ of Young Men, CESifo Economic Studiesdoi.org