心理学ホント

友達が「見ているだけ」で10代は冒険しがちになる。運転ゲーム実験が示したピア効果

友達が「見ているだけ」で10代は冒険しがちになる。運転ゲーム実験が示したピア効果

読む前に予想してみよう!

友達に見られていると冒険しやすくなるのは、大人も10代も同じくらい

研究カード(どんな研究?)
対象
13〜16歳/18〜22歳/24歳以上
規模
306人
研究の種類
ランダム化実験(+脳画像研究)
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

運転ゲームで、友達がそばにいると10代はリスクの高い運転をしやすくなった。大人ではほぼ変化なし。友達が隣の部屋で「見ているだけ」でも脳のごほうび系が反応した。

ひとことで言うと友達に見られていると、10代は「攻めた選択」をしやすくなる!

もくじ
  1. 「黄色信号で突っ込む?」ゲームで実験
  2. 友達は「隣の部屋」にいるだけ。それでも脳が反応した
  3. 知らない人に見られても効果があった
  4. どんでん返し:実験室と現実のあいだ
  5. まとめ

一人ならやらないのに、友達といると「いけるっしょ!」とやってしまう。10代の多くが経験する、あの不思議なテンション。

アメリカの心理学者たちは、これを運転ゲームで本気で確かめました。結果はシンプルで、ちょっとこわいものでした。友達がそばにいるだけで、10代のプレーは攻めた運転に変わったのです。しかも大人では、ほとんど変化がありませんでした。

01「黄色信号で突っ込む?」ゲームで実験

ポイントは、友達が「やれよ!」とけしかけたから、だけではないことです。ここから研究は、さらに面白い方向へ進みます。

02友達は「隣の部屋」にいるだけ。それでも脳が反応した

2011年、同じ研究グループのCheinさんらは、運転ゲームをしている最中の脳をMRIで調べました。友達は隣の部屋からモニターで見ているだけ。プレー中は声をかけません(休憩中にインターホンで、見ていることを伝える程度)。

それでも10代では、友達に見られているときに、ごほうびに反応する脳の部位(腹側線条体や眼窩前頭皮質)の活動が強くなり、その活動が大きいほど、そのあと危ない選択をしやすくなっていました。大人ではこの変化は見られませんでした。

一方で、自分を抑える働きに関わる部位の活動は、友達がいてもいなくても変わりませんでした。つまり「友達がいるとブレーキが壊れる」というより、「アクセル側のワクワクが増幅される」イメージに近いのです。

友達の視線で光るのは「ブレーキ」ではなく「ごほうび」側だった
友達の視線で光るのは「ブレーキ」ではなく「ごほうび」側だった

03知らない人に見られても効果があった

さらに2014年のWeigardさんらの実験では、見ているのが友達ですらない、知らない同年代の人という設定でも、10代後半の参加者は「小さくてもすぐもらえるごほうび」を選びやすくなりました。

仲良しかどうかより、「同年代に見られている」こと自体が、10代の判断を動かしているのかもしれません。

04どんでん返し:実験室と現実のあいだ

ただし、これらの実験の多くはゲームやお金の選択で測ったもので、人数も数十〜数百人規模です。脳画像研究のChein et al. は参加者が40人ほどと小さめでした。現実の事故や非行にそのまま当てはまるとは限りません。

また、同じ研究グループのAlbertさんらのレビューでも、仲間の影響に流されない力は10代を通して徐々に伸びていくとされています。10代はずっと「流されっぱなし」ではないのです。

05まとめ

10代は、友達に見られているだけで「攻めた選択」がワクワクに感じやすくなる。運転ゲームと脳スキャンの実験は、そんな姿を浮かび上がらせました。

裏を返せば、どんな仲間といるかは、10代の行動を大きく左右します。「自分は流されない」と思っている人ほど、一度この実験を思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerTeenagers often say they would never do something dangerous alone, but they may behave differently with… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Teenagers often say they would never do something dangerous alone, but they may behave differently with friends. In 2005, Gardner and Steinberg tested this idea with 306 people in three age groups (13 to 16, 18 to 22, and 24 or older). Participants were randomly assigned to play a driving game either alone or with two friends.

Players earned points by driving through yellow lights, but they lost points if they crashed. Players took more risks with friends, but the effect was much larger for teenagers and young adults, and small for adults. A later brain-scan study found that when friends only watched from another room, teenagers' reward areas became more active, while the areas for self-control did not change.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

10代は「一人なら危ないことは絶対しない」とよく言いますが、友達といると行動が変わるかもしれません。2005年、GardnerさんとSteinbergさんは、13〜16歳、18〜22歳、24歳以上という3つの年齢グループの306人でこの考えを確かめました。参加者はくじ引きで、一人で、または友達2人と一緒に運転ゲームをするよう振り分けられました。

プレーヤーは黄色信号を突っ切るとポイントを得られますが、事故を起こすとポイントを失います。友達と一緒のほうがリスクを多く取りましたが、その効果は10代と若者でずっと大きく、大人では小さいものでした。その後の脳スキャン研究では、友達が別の部屋から見ているだけのとき、10代のごほうびに関わる部分がより活発になった一方、自己制御に関わる部分は変化しなかったことがわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. What was the main question of the 2005 study?

Q2. Which group showed the smallest effect of friends?

Q3. What can be inferred from the brain-scan study?

重要単語

  • peerB2
    名詞同年代の仲間Teenagers care a lot about what their peers think. peer pressure「同調圧力」は入試頻出のコロケーション。動詞 peer は「じっと見る」で別の意味。
  • influenceB1
    名詞・動詞影響(を与える)Peer influence is strongest in the teenage years. have an influence on ~「~に影響を与える」。動詞のときは influence ~ と前置詞なしで使う。
  • observeB1
    動詞観察する・見るThe friends observed the game from another room. 名詞 observation(観察)、observer(観察者)。「(規則を)守る」の意味もあり、名詞は observance。
  • reward circuitryC1
    名詞(句)脳の報酬回路Peers seem to activate the brain's reward circuitry. circuit(回路)+-ry で「回路網」。reward system とも言う。脳科学の長文で見かける表現。
  • immediateB1
    形容詞すぐの・即時のThey chose the smaller but immediate reward. 副詞 immediately(ただちに)は超頻出。im-(否定)+mediate(間に入る)=「間に何もない」が語源。
  • resistB2
    動詞抵抗する・こらえるThe ability to resist peer pressure grows with age. resist doing「~するのをこらえる」と動名詞をとる点に注意。名詞は resistance。

4コマでわかる

友達が「見ているだけ」で10代は冒険しがちになる。運転ゲーム実験が示したピア効果の4コマ漫画
運転ゲームの実験で、友達がそばにいるだけで10代のプレーは攻めた運転に傾いた。大人はほとんど変わらなかった。しかも友達が「隣の部屋で見ているだけ」でも、10代の脳のごほうび系が強く反応していたらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Gardner & Steinberg (2005) Peer Influence on Risk Taking, Risk Preference, and Risky Decision Making in Adolescence and Adulthood: An Experimental Study, Developmental Psychologydoi.org
  2. Chein et al. (2011) Peers increase adolescent risk taking by enhancing activity in the brain's reward circuitry, Developmental Sciencedoi.org
  3. Weigard et al. (2014) Effects of anonymous peer observation on adolescents' preference for immediate rewards, Developmental Sciencedoi.org
  4. Albert, Chein & Steinberg (2013) The Teenage Brain: Peer Influences on Adolescent Decision Making, Current Directions in Psychological Sciencedoi.org