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心理学ホント

「1日何時間スマホ?」の自己申告は記録とズレる 心との関係も強めに見えていた

「1日何時間スマホ?」の自己申告は記録とズレる 心との関係も強めに見えていた

読む前に予想してみよう!

スマホやSNSの使用時間は、自分で答えてもらっても実際の記録とほぼ同じになる

研究カード(どんな研究?)
対象
スマホ・SNSの利用者(各研究)
規模
106の結果のメタ分析+iPhone利用者325人
研究の種類
事前登録メタ分析・観察研究
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

スマホの使用時間を自分で答えてもらうと、実際の記録とかなりズレる。iPhoneの記録と比べた研究では、心の状態との関係が「自己申告」のほうで強く出ていた。

ひとことで言うとスマホを何時間使ったか、自分の感覚はあてにならないみたい。

もくじ
  1. 自分の見積もりは「記録」とかなりズレる
  2. 心の状態によって、見積もりのズレ方が変わる
  3. 大規模な調査でも、関係は「あるが小さい」
  4. まとめ

「1日何時間スマホを使ってる?」と聞かれて、自信をもって答えられますか?

スマホと心の健康の関係を調べる研究の多くは、こうした自己申告の答えを使ってきました。ところが、スマホに残る実際の利用記録と比べてみると、人の見積もりはかなりズレていることが分かってきました。しかもそのズレが、研究の結論まで変えてしまうかもしれないのです。

01自分の見積もりは「記録」とかなりズレる

結果、自己申告の使用時間は記録と中くらいにしか一致せず、記録を正確に言い当てている例はまれでした。

「スマホ依存っぽさ」をアンケートで測る尺度は、さらに一致が弱いことも分かりました。依存の尺度で点数が高い人が、記録の上でも長く使っているとは限らないのです。

イギリスの研究チームが2019年に発表した研究でも、スマホの使い方や「依存」を測るいろいろなアンケートを、iPhoneの「スクリーンタイム」の記録と比べました。アンケートと記録の一致は全体に弱いものでした。

02心の状態によって、見積もりのズレ方が変わる

この「ズレ」は、ただの誤差では済まないかもしれません。

アメリカのピッツバーグ大学などの研究チームは、iPhoneを使う325人に、1週間の使用時間を思い出して答えてもらい、スクリーンタイムの記録と比べました(2020年)。

  • 見積もりと記録の差は、iPhone全体で週に約19時間、SNSで週に約12時間
  • うつ・孤独感・生活の満足度との関係は、記録より自己申告の使用時間のほうが、いつも強く出ていた
  • 見積もりのズレの大きさは、その人の心の状態や使う量と関係していた

つまり、自己申告だけを使う研究では、「スマホと落ち込みの関係」が実際より強く見えてしまうおそれがあります。研究チームは、自己申告で測れているのは「実際に使った時間」というより、「使ったと感じている時間」なのかもしれないと述べています。

「使ったと思う時間」と「記録に残った時間」は、かなり違うことが多い
「使ったと思う時間」と「記録に残った時間」は、かなり違うことが多い

03大規模な調査でも、関係は「あるが小さい」

では、スマホやデジタル機器を使う時間は、心の健康とどのくらい関係しているのでしょうか。

イギリスのオックスフォード大学の研究者2人は2019年、アメリカとイギリスの3つの大規模調査(合わせて35万5358人の10代)を分析しました。デジタル機器の使用と幸福感の関係はマイナスだが小さく、幸福感の違いのうち説明できるのは最大でも0.4%でした。

なお、この分析で使った使用時間も自己申告です。記録を使った研究を増やすことが、この分野の大きな課題になっています。

04まとめ

「スマホを何時間使ったか」は、自分の感覚だとかなりズレます。そしてそのズレは心の状態とも関係していて、研究の結論を強めに見せてしまうことがあります。スマホと心の関係を考えるときは、まず記録を見るところから始めてみませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerMany studies about phones and mental health ask people how much time they spend on their phones. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Many studies about phones and mental health ask people how much time they spend on their phones. But are these answers correct? A team of researchers collected 106 results from studies that measured phone and media use in two ways, with questionnaires and with digital records. The two measures matched only moderately, and people's answers were rarely accurate.

In another study, 325 iPhone users guessed their weekly use, and the researchers checked the phones' Screen Time records. The gap was about 19 hours a week for overall use. Links between phone use and depression or loneliness were stronger when the researchers used people's guesses. With the real records, the links looked weaker.

112 words ・ CEFR B1

和訳を見る

スマホと心の健康についての多くの研究は、人々にスマホにどれくらいの時間を使っているかをたずねます。でも、その答えは正しいのでしょうか。ある研究チームは、スマホやメディアの使用をアンケートとデジタルの記録という2つの方法で測った研究から、106の結果を集めました。2つの測り方は中くらいにしか一致せず、人々の答えが正確なことはまれでした。

別の研究では、325人のiPhone利用者が1週間の使用時間を推測し、研究者たちはスマホのスクリーンタイムの記録を確かめました。差は、全体の使用で週に約19時間でした。スマホ使用とうつや孤独感の関係は、研究者が人々の推測を使ったときのほうが強くなりました。実際の記録を使うと、関係は弱く見えました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the team with 106 results find?

Q2. What did the 325 iPhone users do?

Q3. When were the links with depression or loneliness stronger?

重要単語

  • self-reportC1
    名詞自己申告Self-reports of screen time are often inaccurate. self-reported data(自己申告のデータ)の形でよく使う。反対は logged data(記録されたデータ)。
  • logB2
    名詞(機械が残す)記録The phone keeps a log of every app you open. もとは船の航海日誌。動詞 log in(ログインする)の log と同じ語。
  • estimateB2
    動詞見積もるMost people cannot estimate their screen time well. 名詞も estimate(見積もり)。動詞は「エスティメイト」、名詞は「エスティメット」と読み分ける。
  • well-beingB2
    名詞心身の健康・幸福感Sleep is important for your well-being. well(よく)+being(あること)。WHO の健康の定義にも出てくる語。
  • objectiveB2
    形容詞客観的なObjective data come from the phone, not from memory. 反意語は subjective(主観的な)。名詞 objective は「目標」。
  • meta-analysisC1
    名詞メタ分析A meta-analysis combines the results of many studies. meta-(より高い次元の)+analysis(分析)。研究の研究。
「1日何時間スマホを使ってる?」の答えは、実際の記録とかなりズレるらしい。iPhone利用者325人の研究では、見積もりと記録の差が週に約19時間。落ち込みとの関係も、自己申告のほうが強く出ていた。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Parry et al. (2021) A systematic review and meta-analysis of discrepancies between logged and self-reported digital media use, Nature Human Behaviourdoi.org
  2. Sewall et al. (2020) How psychosocial well-being and usage amount predict inaccuracies in retrospective estimates of digital technology use, Mobile Media & Communicationdoi.org
  3. Ellis et al. (2019) Do smartphone usage scales predict behavior?, International Journal of Human-Computer Studiesdoi.org
  4. Orben & Przybylski (2019) The association between adolescent well-being and digital technology use, Nature Human Behaviourdoi.org