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孤独と孤立が重なると「心の病気のない年数」が最大5.8年短い? 27万人の分析

孤独と孤立が重なると「心の病気のない年数」が最大5.8年短い? 27万人の分析

読む前に予想してみよう!

「孤独(さみしさ)」と「社会的孤立(人と会わない状態)」は、研究では別々のものとして扱われる

研究カード(どんな研究?)
対象
英国の中高年(UK Biobank)
規模
277,489人
研究の種類
前向きコホート研究(観察研究)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

英国の27万人を分析。孤独と孤立の両方がある人は、50歳時点で「うつや不安のない年数」が最大5.8年短いと推計された。体の病気より心への影響が大きかった。

ひとことで言うとひとりぼっちの気持ちは、体よりも心の元気と強く関係していたみたい。

もくじ
  1. 「さみしい」と「ひとり」は別もの
  2. 心の病気のない年数が、男性で約5.8年短い
  3. 健康的な生活は「孤立」には効くが「孤独」には…
  4. どんでん返し:「孤独が原因」とはまだ言えない
  5. まとめ

「孤独は体に悪い」という話は、聞いたことがある人も多いはず。では、体と心、どちらにより大きく響くのか?

2026年8月、科学誌『Nature Communications』に、米国チューレーン大学などの研究チームがこの問いに答える論文を発表しました。イギリスの大規模データ「UK Biobank」に参加する27万7489人を分析したところ、孤独と孤立は、体の病気よりもうつや不安といった心の不調のない年数と強く結びついていたのです。

01「さみしい」と「ひとり」は別もの

まず大事な区別があります。

  • 孤独(loneliness):さみしい、と感じる気持ち
  • 社会的孤立(social isolation):人と会う・話す機会が少ないという状態

大勢に囲まれていてもさみしい人はいますし、ひとり暮らしで人と会わなくても平気な人もいます。この研究では、2つを分けて調べました。

02心の病気のない年数が、男性で約5.8年短い

結果はこうです。50歳の時点で、孤独と孤立の両方がある人は、どちらもない人と比べて、

  • 体の病気のない年数:女性で2.4年、男性で1.7年短い
  • 心の病気のない年数:女性で3.7年、男性で5.8年短い

と推計されました。特に男性では、心への差が体への差の3倍以上。孤独・孤立は、心の健康寿命により大きく関わっている可能性が示されたのです。

孤独・孤立との関連は、体より「心の健康な年数」で大きかった
孤独・孤立との関連は、体より「心の健康な年数」で大きかった

03健康的な生活は「孤立」には効くが「孤独」には…

研究チームは、複数の項目から判定した「健康的な生活習慣」の影響も調べました。

すると、健康的な生活を送る人ほど、社会的孤立に伴う「病気のない年数の損失」は小さくなっていました。一方で、孤独(さみしさ)については、生活習慣による差は統計的にはっきりしませんでした。

運動や食事で体を整えても、「さみしい」という気持ちそのものの影響は、それだけでは打ち消しにくいのかもしれません。人とのつながりの「質」が大事、というメッセージにも読めます。

04どんでん返し:「孤独が原因」とはまだ言えない

ここで注意。これは観察研究です。

うつや不安の「ごく初期の状態」があるせいで、人を避けたり、さみしく感じたりしていた可能性もあります。つまり、孤独→心の不調なのか、心の不調→孤独なのか、向きは確定できません。また、UK Biobankの参加者は、一般の英国人より健康で裕福な人が多いことが知られています。

05まとめ

孤独は「気持ちの問題」と軽く見られがちですが、27万人のデータは、心の健康な年数との強い関連を示しました。原因かどうかはまだ分かりません。それでも、誰かと少し話すことは、コストゼロでできる心のメンテナンスかもしれません。孤独と健康の関係はこちらの記事でも紹介しています。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerLoneliness, the feeling of being alone, is different from social isolation, which means having little… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Loneliness, the feeling of being alone, is different from social isolation, which means having little contact with others. A research team led by Tulane University in the US analyzed data from 277,489 adults in the UK who did not have any of seven major diseases at the start. They estimated how many years people could expect to live without physical or mental illness.

At age 50, people who were both lonely and isolated were expected to have fewer disease-free years, and the gap was larger for mental disorders such as depression and anxiety. A healthy lifestyle seemed to reduce the link for isolation, but not clearly for loneliness. However, the study cannot prove cause and effect.

116 words ・ CEFR B1

和訳を見る

孤独(ひとりだという気持ち)は、他人との接触がほとんどないことを意味する社会的孤立とは異なります。アメリカのチューレーン大学が率いる研究チームは、開始時に7つの主な病気のどれもなかったイギリスの成人27万7489人のデータを分析しました。彼らは、体や心の病気なしに何年生きられると見込まれるかを推計しました。

50歳の時点で、孤独と孤立の両方がある人は病気のない年数が短いと見込まれ、その差はうつや不安などの心の病気の方で大きくなりました。健康的な生活習慣は、孤立との関連は弱めるようでしたが、孤独については明確ではありませんでした。ただし、この研究は原因と結果を証明することはできません。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the difference between loneliness and social isolation?

Q2. What did the study find about people who were both lonely and isolated?

Q3. What can we infer about a healthy lifestyle?

重要単語

  • lonelinessB2
    名詞孤独感、さみしさLoneliness is a feeling, not just being alone. lonely(さみしい)は気持ち、alone(ひとりで)は状態。この区別は入試の定番。
  • social isolationC1
    名詞(句)社会的孤立Social isolation means having few contacts with other people. isolate(孤立させる)の名詞形。isle(島)と同語源。
  • life expectancyB2
    名詞(句)平均余命、平均寿命Life expectancy has increased in many countries. expect(期待する、見込む)から。healthy life expectancy は「健康寿命」。
  • associateB2
    動詞関連づけるPoor sleep is associated with low mood. be associated with ~「~と関連がある」は研究紹介の超頻出表現。因果ではなく相関を表す点に注意。
  • attenuateC1
    動詞弱める、やわらげるExercise may attenuate the effects of stress. ラテン語 tenuis(薄い)から。「薄めて弱くする」イメージ。reduce より学術的。
  • subjectiveB2
    形容詞主観的なLoneliness is a subjective feeling. 反意語 objective(客観的な)とセットで覚える。subject(主体)→ subjective。
イギリスの27万人を分析したら、「さみしい」と「人づきあいが少ない」が重なった男性は、うつや不安のない人生が50歳時点で約5.8年短いと推計されたらしい。体の病気より、心への影響の方が大きかった。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Wang et al. (2026) Associations of loneliness, social isolation and healthy lifestyle with life expectancy free of major physical disease and mental disorder, Nature Communicationsdoi.org
  2. Holt-Lunstad et al. (2010) Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review, PLoS Medicinedoi.org
  3. Holt-Lunstad et al. (2015) Loneliness and Social Isolation as Risk Factors for Mortality, Perspectives on Psychological Sciencedoi.org