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ナマケモノは怠けていない。哺乳類トップクラスの「超省エネ生活」だった

ナマケモノは怠けていない。哺乳類トップクラスの「超省エネ生活」だった

読む前に予想してみよう!

野生のナマケモノは、1日に20時間近く眠っている

研究カード(どんな研究?)
対象
野生のミユビナマケモノ・フタユビナマケモノ
規模
数頭〜十数頭(各研究)
研究の種類
野外での代謝測定・脳波記録・生態調査
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ナマケモノがのろいのは、栄養の少ない葉っぱだけで生きるため。使うエネルギーを極限まで減らす「省エネ」戦略だった。

ひとことで言うとナマケモノは、少ないごはんで生きるために、わざとゆっくり動いている!

もくじ
  1. 主食は「栄養が少なくて消化しにくい」葉っぱ
  2. 野生で測ったら、哺乳類トップクラスの省エネ
  3. 週に一度、命がけで地面に降りる理由
  4. 「1日20時間寝る」は本当?
  5. まとめ

木の枝にぶら下がり、ゆ〜っくり、ゆ〜っくり動く。名前からして「怠け者」。

ナマケモノほど、名前で損をしている動物はいないかもしれません。

でも、ナマケモノは決して怠けているわけではありません。あののろさは、厳しい世界を生き抜くために磨き上げた、究極の省エネ戦略なのです。

01主食は「栄養が少なくて消化しにくい」葉っぱ

ナマケモノのおもな食べ物は、木の葉っぱです。

葉っぱは森の中にたくさんあって、取り合いになりにくい食べ物。でも大きな弱点があります。エネルギーが少なく、しかも消化しにくいのです。葉には硬い繊維が多く、中には毒になる成分を含むものもあります。

ナマケモノは、いくつもの部屋に分かれた大きな胃の中で、微生物の力を借りてゆっくり葉を分解します。食べたものが体を通り抜けるまでに、何日もかかると考えられています。

少ない収入でやりくりするなら、支出を減らすしかない。ナマケモノは、まさにそれを体ごと実践しているのです。

02野生で測ったら、哺乳類トップクラスの省エネ

省エネの工夫はほかにもあります。

  • 体温を高く保たない:多くの哺乳類は体温をほぼ一定に保ちますが、ナマケモノはまわりの気温によって体温がけっこう上下します。暖房代を節約しているようなものです
  • 筋肉が少ない:筋肉はエネルギーをたくさん使うので、必要最低限に
  • ぶら下がりに特化:長いかぎ爪で枝に引っかかっていれば、ほとんど力を使わずにぶら下がっていられます
少しのエネルギーで、ゆっくり、長く。それがナマケモノ流。
少しのエネルギーで、ゆっくり、長く。それがナマケモノ流。

03週に一度、命がけで地面に降りる理由

ミユビナマケモノには、不思議な習性があります。およそ週に一度、わざわざ木から降りて、地面でフンをするのです。

地面は天敵に襲われやすい、とても危険な場所。なぜそんなことをするのでしょう?

2014年に『Proceedings of the Royal Society B』に載った研究(Pauli ら)は、一つの仮説を示しました。ナマケモノの毛の中には、専用のガが住んでいます。ナマケモノが地面でフンをすると、ガがそこに卵を産み、育ったガがまたナマケモノの毛に戻ってくる。ガが毛の中に運びこむ栄養で藻(も)が育ち、ナマケモノはその藻を食べて栄養の足しにしているかもしれない、というのです。

ナマケモノの毛が緑っぽく見えるのは、この藻のせい。体そのものが「小さな畑」になっているのかもしれません。ただし、この仮説にはまだ議論もあります。

04「1日20時間寝る」は本当?

05まとめ

ナマケモノは怠けているのではなく、栄養の少ない葉っぱだけで生きるために、体の仕組みごと省エネに振り切った動物でした。

がんばりすぎて疲れたときは、ナマケモノを思い出してみてください。「必要なぶんだけ動く」も、立派な生き方です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSloths are famous for being slow, but their slowness is actually a clever survival strategy. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Sloths are famous for being slow, but their slowness is actually a clever survival strategy. Their main food is leaves, which are easy to find in the forest but contain little energy and are hard to digest. In 2016, researchers measured how much energy wild sloths in Costa Rica used each day. They found that brown-throated three-toed sloths used less energy than any other non-hibernating mammal recorded.

Sloths save energy by letting their body temperature change with the air, keeping little muscle, and hanging from branches with their claws. Another study measured the brain waves of wild sloths in Panama and found that they slept only about 9.6 hours a day, far less than sloths in zoos.

117 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ナマケモノはのろいことで有名ですが、そののろさは実は賢い生存戦略です。彼らのおもな食べ物は葉っぱで、森の中では見つけやすいものの、エネルギーが少なく消化しにくいのです。2016年、研究者たちはコスタリカの野生のナマケモノが1日にどれだけのエネルギーを使うかを測定しました。その結果、ノドチャミユビナマケモノの消費エネルギーは、記録されている冬眠しない哺乳類の中で最も少ないことがわかりました。

ナマケモノは、体温を気温に合わせて変化させ、筋肉を少なく保ち、かぎ爪で枝にぶら下がることでエネルギーを節約しています。別の研究ではパナマの野生のナマケモノの脳波を測定し、睡眠は1日約9.6時間しかなく、動物園のナマケモノよりはるかに短いことがわかりました。

4択リーディングクイズ

Q1. Why do sloths need to save energy?

Q2. What did the 2016 study find?

Q3. What can we infer about the belief that sloths sleep 20 hours a day?

重要単語

  • metabolismB2
    名詞代謝Sloths have a very slow metabolism. metabolic rate(代謝率)の形で頻出。「メタボ」は metabolic syndrome の略。
  • folivoreC1
    名詞葉食動物A sloth is an arboreal folivore. foli-(葉:foliage と同じ)+-vore(食べるもの)。herbivore(草食)、carnivore(肉食)とセットで。
  • arborealC1
    形容詞樹上性のArboreal animals spend most of their lives in trees. ラテン語 arbor(木)から。arboretum は「樹木園」。
  • digestB1
    動詞消化するLeaves are hard to digest. 名詞 digestion。「要約」の意味の名詞 digest もある(情報を消化しやすくしたもの)。
  • mutualismC1
    名詞相利共生The sloth, moths and algae may form a mutualism. mutual(お互いの)+-ism。symbiosis(共生)、parasitism(寄生)と区別して覚える。
  • hibernateB2
    動詞冬眠するBears hibernate during the winter. ラテン語 hibernus(冬の)から。non-hibernating(冬眠しない)のように形容詞的にも使う。
  • fluctuateC1
    動詞変動する、上下するA sloth's body temperature fluctuates with the air temperature. fluct-(波)から。名詞 fluctuation。物価・気温・為替の話で入試頻出。

動画でもっと知る

ナマケモノがあんなにのろいのは、怠けてるからじゃなく「葉っぱだけで生きるための超省エネ」らしい。しかも野生のナマケモノの睡眠は1日10時間ほどで、動物園よりずっと短かった。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Pauli et al. (2016) Arboreal Folivores Limit Their Energetic Output, All the Way to Slothfulness, The American Naturalistdoi.org
  2. Pauli et al. (2014) A syndrome of mutualism reinforces the lifestyle of a sloth, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org
  3. Rattenborg et al. (2008) Sleeping outside the box: electroencephalographic measures of sleep in sloths inhabiting a rainforest, Biology Lettersdoi.org