ウソ?ホント?検証ウソ

「二日酔いにはコーヒー」は効かなかった。米国の研究所が"治すのは時間だけ"と言い切る理由

「二日酔いにはコーヒー」は効かなかった。米国の研究所が"治すのは時間だけ"と言い切る理由

読む前に予想してみよう!

濃いコーヒーを飲めば、体の中のアルコールが早く分解される

研究カード(どんな研究?)
対象
二日酔いの成人
規模
複数のランダム化比較試験を検討
研究の種類
系統的レビュー
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

コーヒーで二日酔いが治る証拠はない。眠気やカフェイン切れの頭痛は少し楽になっても、アルコールの分解は早まらない。治すのは時間だけ。

ひとことで言うとコーヒーで目は覚めても、二日酔いは治らない。体が回復するのを待とう。

もくじ
  1. 二日酔いの正体は「ひとつ」じゃない
  2. カフェインは「分解」を早めない
  3. 二日酔い対策の研究をまとめると…
  4. それでもコーヒーで楽になる人がいる理由
  5. 本当に役立つのは「飲む前」と「時間」
  6. まとめ

飲み会の翌朝。頭はガンガン、体はだるい。「とりあえずコーヒー…」とブラックを流し込む。

二日酔いにはコーヒー。多くの人が実践している"常識"です。でも、アメリカの国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)は、一般向けの資料でこう説明しています。コーヒーを飲んでもシャワーを浴びても、二日酔いは治らない。治すのは時間だけ、と。

01二日酔いの正体は「ひとつ」じゃない

二日酔いがやっかいなのは、原因がいくつも重なっていることです。

  • アルコールで眠りが浅くなることによる睡眠不足
  • 尿が増えることによる軽い脱水
  • アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドなどの影響
  • 胃腸への刺激、体内の炎症のような反応

ひとつの飲み物で、これを全部まとめて解決するのは難しいのです。

02カフェインは「分解」を早めない

まず押さえたいのは、カフェインはアルコールの分解を早めないということ。

アルコールは主に肝臓で分解され、そのスピードはほぼ一定です。コーヒーを飲んでも、肝臓の処理能力が上がるわけではありません。

コーヒーで変わるのは、主に眠気の感じ方です。カフェインで頭がシャキッとすると、「酔いが覚めた」「二日酔いが治った」ように感じます。でも体の中では、アルコールやその分解物がまだ残っていることがあります。

この「覚めた気になる」状態は、飲酒中だともっと危険です。研究者らは、お酒とカフェインを一緒にとると、酔っている自覚が薄れ、飲みすぎや危険な行動につながる可能性があると注意を呼びかけています。

03二日酔い対策の研究をまとめると…

では、科学的に効く二日酔い対策はあるのでしょうか。

どんな対策より確実なのは「時間」だった
どんな対策より確実なのは「時間」だった

04それでもコーヒーで楽になる人がいる理由

とはいえ、「コーヒーを飲むと楽になる」という実感にも理由がありそうです。

毎日コーヒーを飲む習慣のある人は、カフェインが切れると頭痛やだるさ(カフェイン離脱)が出ることがあります。二日酔いの朝にいつものコーヒーを飲むと、このカフェイン切れの頭痛がおさまり、少し楽になる――ということは考えられます。

ただしそれは、二日酔いを治したのではなく、別の不調を取り除いただけ。胃が荒れているときは、コーヒーがかえって胃に負担をかけることもあります。

05本当に役立つのは「飲む前」と「時間」

結局、いちばん確実な二日酔い対策は、飲みすぎないことです。

  • 空腹で飲まない
  • お酒と一緒に水も飲む
  • 翌朝は無理せず、水分をとって休む

地味ですが、これにまさる方法は今のところ見つかっていません。

06まとめ

  • コーヒーはアルコールの分解を早めない
  • 二日酔いに確実に効く方法は、研究をまとめても見つかっていない
  • 楽になる気がするのは、眠気やカフェイン切れの頭痛がまぎれるから

二日酔いの特効薬は、昨日の自分のブレーキ。そして今日の、ゆっくりした時間です。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAfter a night of heavy drinking, many people reach for a cup of coffee. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

After a night of heavy drinking, many people reach for a cup of coffee. But according to the U.S. National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism, neither coffee nor a shower can cure a hangover. Only time can. A hangover has several causes.

Poor sleep, mild dehydration and substances made when the body breaks down alcohol all play a part. Caffeine can make you less sleepy, but it does not help the liver process alcohol any faster. A 2005 review of randomized trials found no convincing evidence that any hangover remedy works.

So why do some people feel better after coffee? Regular coffee drinkers may get headaches when they miss their usual caffeine, and a cup takes that headache away. The hangover itself is still there.

126 words ・ CEFR B1

和訳を見る

たくさんお酒を飲んだ翌朝、多くの人はコーヒーに手をのばします。しかし米国国立アルコール乱用・依存症研究所によれば、コーヒーもシャワーも二日酔いを治すことはできません。治せるのは時間だけです。二日酔いにはいくつもの原因があります。

睡眠不足、軽い脱水、そして体がアルコールを分解するときにできる物質が、どれも関わっています。カフェインで眠気は減らせますが、肝臓がアルコールを処理する速さが上がるわけではありません。2005年にランダム化試験をまとめたレビューでは、どの二日酔い対策にも効くという説得力のある証拠は見つかりませんでした。

では、なぜコーヒーで楽になる人がいるのでしょうか。ふだんコーヒーを飲む人は、いつものカフェインをとらないと頭痛が起きることがあり、1杯のコーヒーがその頭痛を取り去ってくれるのです。二日酔いそのものは、まだ残っています。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the main idea of the passage?

Q2. What did the 2005 review find?

Q3. Why might regular coffee drinkers feel better after coffee?

重要単語

  • hangoverB2
    名詞二日酔いI had a terrible hangover this morning. hang over(残る・持ち越す)から。「前時代の名残」という意味でも使う(a hangover from the past)。
  • caffeineB1
    名詞カフェインCaffeine helps me stay awake. 発音は /ˈkæfiːn/(キャフィーン)。つづりは ei の順番に注意。
  • metabolizeC1
    動詞代謝する、分解するThe liver metabolizes alcohol slowly. 名詞 metabolism(代謝)。英国つづりは metabolise。
  • remedyB2
    名詞治療法、対処法There is no magic remedy for a hangover. a remedy for ~ の形で使う。home remedy は「民間療法」。
  • withdrawalC1
    名詞離脱(切れたときの症状)/撤退Caffeine withdrawal can cause headaches. 動詞 withdraw(引き下げる・撤退する)。銀行からお金を「引き出す」も withdraw。
  • underestimateC1
    動詞過小評価するPeople may underestimate how drunk they are. under-(下に)+estimate。反対は overestimate。Never underestimate ~「~をあなどるな」。

4コマでわかる

「二日酔いにはコーヒー」は効かなかった。米国の研究所が"治すのは時間だけ"と言い切る理由の4コマ漫画
「二日酔いにはコーヒー」は定番だけど、アメリカの国立アルコール研究所は「コーヒーやシャワーで二日酔いは治らない。治すのは時間だけ」と説明しているらしい。二日酔い対策の研究をまとめても、決め手になるものは見つかっていない。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Pittler et al. (2005) Interventions for preventing or treating alcohol hangover: systematic review of randomised controlled trials, BMJdoi.org
  2. Roberts et al. (2022) The efficacy and tolerability of pharmacologically active interventions for alcohol-induced hangover symptomatology: a systematic review, Addictiondoi.org
  3. Ferré & O'Brien (2011) Alcohol and Caffeine: The Perfect Storm, Journal of Caffeine Researchdoi.org
  4. Hangovers(NIAAA)niaaa.nih.gov