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週に1回「ありがたかったこと」を5つ書くだけ。10週間後、人生の見え方が少し変わった

週に1回「ありがたかったこと」を5つ書くだけ。10週間後、人生の見え方が少し変わった

読む前に予想してみよう!

感謝日記は、毎日たくさん書くほど効果が大きくなる

研究カード(どんな研究?)
対象
アメリカの大学生ほか
規模
約200人(研究1)+複数のメタ分析
研究の種類
ランダム化実験・メタ分析
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

感謝したことを週1回書き出した人は、イライラしたことを書いた人より、人生を前向きに評価していた。ただし効果の大きさは控えめという見方が主流。

ひとことで言うと「ありがとう」を書き出すと、毎日がちょっと明るく見える!

もくじ
  1. 3つのグループに分けて10週間
  2. なぜ「書く」と効くの?
  3. 毎日より「週1回」がいい?
  4. 効果は「ほどほど」と心得る
  5. まとめ

「今日ありがたかったことを書き出しましょう」

自己啓発っぽくて、ちょっと照れくさいですよね。でもこれ、心理学の実験で効果が調べられている方法なんです。

しかもやり方はシンプル。週に1回、数行書くだけ。

013つのグループに分けて10週間

この分野の代表的な研究が、カリフォルニア大学デービス校のロバート・エモンズと、心理学者マイケル・マカローによる実験です。

10週間後、感謝グループは他のグループに比べて、

  • 人生全体をより前向きに評価していた
  • 来週への期待が高かった
  • 体の不調の訴えが少なく、運動時間もイライラを書いたグループより長かった

という結果になりました。「ありがとう」を書いただけで、運動まで増えるなんてちょっと意外ですよね。

02なぜ「書く」と効くの?

私たちの脳は、嫌なことの方に注意が向きやすいようにできています。危険を見逃さないための仕組みですが、そのままだと毎日が「イヤなことだらけ」に見えてしまう。

感謝を書き出すことは、いわば注意のスポットライトを、いいことの方にも向け直す練習です。

「友達がノートを貸してくれた」「夕焼けがきれいだった」。こうした小さな出来事に気づく目が育つと、同じ1日でも見え方が変わってくる、と考えられています。

もう一つのポイントは、感謝が「人とのつながり」に目を向けさせること。感謝を書こうとすると、自然と「誰かが自分のために何かしてくれた場面」を思い出します。自分は一人じゃない、支えてくれる人がいる——そう気づけることも、気持ちを前向きにする理由の一つだと考えられています。

小さな「いいこと」に気づく力は、練習で育てられる
小さな「いいこと」に気づく力は、練習で育てられる

03毎日より「週1回」がいい?

興味深いのは、頻度についての研究です。

カリフォルニア大学リバーサイド校のソニア・リュボミアスキーらは、感謝を書く頻度を比べた実験について、週3回より週1回の方が効果が見られたと報告しています。

毎日書くと、だんだん作業になってしまうのかもしれません。新鮮な気持ちで書けるペースを見つけることが大切そうです。

04効果は「ほどほど」と心得る

ここで正直に書いておきます。

その後、感謝の介入(取り組み)についての研究をまとめたメタ分析(Davis ら、2016年)では、効果はあるものの、その大きさは小〜中程度で、比べる相手によってはあまり差がないこともあると報告されました。

別のメタ分析(Dickens、2017年)でも、中立的な活動をした人と比べると効果はあるものの、別の前向きな活動をした人と比べると差は小さくなることが示されています。また、うつや不安の症状を和らげる効果も小さいという分析(Cregg と Cheavens、2021年)があります。

つまり感謝日記は、人生を一変させる魔法ではない。でも、お金もかからず数分でできる「ちょっといい習慣」としては、十分試す価値があるといえます。

05まとめ

感謝日記は、脳の注意を「いいこと」にも向けるトレーニング。効果は劇的ではないけれど、確かにある。

まずは今週、ありがたかったことを3つ。思い出すだけでも、ちょっと口元がゆるみませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerKeeping a gratitude journal sounds simple, but does it actually work? 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Keeping a gratitude journal sounds simple, but does it actually work? In a well-known 2003 study, Robert Emmons and Michael McCullough divided college students into three groups. For ten weeks, they wrote once a week about either things they were grateful for, daily hassles, or neutral events.

After ten weeks, the gratitude group felt more positive about their lives, had higher hopes for the coming week, reported fewer physical complaints, and even spent more time exercising than the hassles group. One explanation is that our brains naturally pay more attention to bad things, and writing about gratitude trains us to notice good things too. Another research team reported that writing once a week worked better than three times a week.

120 words ・ CEFR B1

和訳を見る

感謝日記をつけるのは簡単そうに聞こえますが、本当に効果があるのでしょうか。2003年のよく知られた研究で、ロバート・エモンズとマイケル・マカローは大学生を3つのグループに分けました。10週間、彼らは週に1回、感謝していること、日々のイライラ、中立的な出来事のいずれかについて書きました。

10週間後、感謝のグループは自分の人生をより前向きに感じ、翌週への期待が高く、体の不調の訴えが少なく、さらに運動に費やす時間もイライラのグループより長くなっていました。一つの説明は、私たちの脳は本来、悪いことにより注意を向けやすく、感謝を書くことで良いことにも気づく練習になる、というものです。別の研究チームは、週に3回より週に1回書く方が効果的だったと報告しています。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the gratitude group write about?

Q2. Which result is NOT mentioned for the gratitude group?

Q3. Why might writing about gratitude help, according to the passage?

重要単語

  • gratitudeB2
    名詞感謝She keeps a gratitude journal. 形容詞 grateful「感謝している」。express one's gratitude to ~「~に感謝を表す」。
  • well-beingB2
    名詞心身の健やかさ、幸福Sleep and friends support our well-being. happiness より広く「心身・社会的に良好な状態」。subjective well-being「主観的幸福感」は心理学の定番語。
  • interventionC1
    名詞介入、取り組みA simple writing intervention was tested. inter-(間に)+vene(来る)。動詞 intervene「介入する」。研究系長文で頻出。
  • hassleB2
    名詞面倒なこと、イライラの種Traffic jams are a daily hassle. 口語でよく使う。It's a hassle.「面倒くさい」。hassle-free「手間いらずの」。
  • modestB2
    形容詞控えめな、ほどほどのThe benefits were real but modest. 人に使うと「謙虚な」。研究結果に使うと「効果は大きくない」という意味になる。
  • optimisticB2
    形容詞楽観的なThe gratitude group felt more optimistic about the future. 反対語 pessimistic。be optimistic about ~ の形で使う。
  • blessingB2
    名詞恵み、ありがたいことCount your blessings before you go to bed. count one's blessings「恵まれている点を数える=感謝する」は定番表現。a blessing in disguise「災い転じて福」。

動画でもっと知る

週に1回、「ありがたかったこと」を5つ書くだけの実験。10週間続けた人は、イライラしたことを書いた人より人生を前向きにとらえ、運動時間まで長かったらしい。効果は「劇的」ではないけど、コスパは最強。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Emmons & McCullough (2003) Counting blessings versus burdens: An experimental investigation of gratitude and subjective well-being in daily life, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  2. Lyubomirsky, Sheldon & Schkade (2005) Pursuing happiness: The architecture of sustainable change, Review of General Psychologydoi.org
  3. Davis et al. (2016) Thankful for the little things: A meta-analysis of gratitude interventions, Journal of Counseling Psychologydoi.org
  4. Dickens (2017) Using gratitude to promote positive change: A series of meta-analyses investigating the effectiveness of gratitude interventions, Basic and Applied Social Psychologydoi.org
  5. Cregg & Cheavens (2021) Gratitude interventions: Effective self-help? A meta-analysis of the impact on symptoms of depression and anxiety, Journal of Happiness Studiesdoi.org