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「情けは人のためならず」は科学的にもホントだった。親切が自分に返ってくるしくみ

「情けは人のためならず」は科学的にもホントだった。親切が自分に返ってくるしくみ

読む前に予想してみよう!

「情けは人のためならず」は、「人に情けをかけると相手のためにならない」という意味だ

研究カード(どんな研究?)
対象
大学生・成人・幼児
規模
約4,000人分の実験のメタ分析ほか
研究の種類
ランダム化実験のメタ分析
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

人に親切にすると、親切をした本人の幸福感も上がる。多くの研究をまとめた分析でも、効果は控えめながら確認されている。

ひとことで言うとだれかに親切にすると、自分の心もポカポカになる!

もくじ
  1. 「親切の日」を決めた実験
  2. たくさんの研究をまとめると?
  3. 2歳になる前の子でも「あげる」とうれしそう
  4. 親切が「しんどい」ときもある
  5. まとめ

「情けは人のためならず」。

このことわざ、「人に情けをかけると、その人のためにならない(だから甘やかすな)」という意味だと思っていませんか?

じつは本来の意味は、「人に親切にすると、巡り巡って自分に良いことが返ってくる」。そして心理学の研究は、この昔からの知恵をけっこう裏付けているんです。

01「親切の日」を決めた実験

親切が本人に何をもたらすかを調べた代表的な研究者の一人が、カリフォルニア大学リバーサイド校のソニア・リュボミアスキーです。

彼女らの研究では、参加者に、毎週5つの親切を6週間続けてもらいました。献血をする、友達の課題を手伝う、お礼の手紙を書く……内容は自由です。

おもしろいのは、5つの親切を1日にまとめてやった人の方が、1週間にバラバラに散らした人より、幸福感の上がり方がはっきりしていたこと。小さな親切を毎日少しずつだと、日常にまぎれて「親切した感」が薄れてしまうのかもしれません。

02たくさんの研究をまとめると?

「1つの実験だけでは信用できない」という声に応えるのが、メタ分析です。

つまり、親切は確かに自分を幸せにする。でも、それだけで人生がバラ色になるほどの劇的な効果ではない、というのが現時点の科学の答えです。

小さな親切でも、した側の気持ちを少し明るくしてくれる
小さな親切でも、した側の気持ちを少し明るくしてくれる

032歳になる前の子でも「あげる」とうれしそう

親切の喜びは、どうやらかなり幼いころからあるようです。

カナダの研究チームは、2歳になる前の子どもに、お菓子を人形にあげる場面をつくりました。すると子どもたちは、お菓子をもらうときよりあげるときの方がうれしそうな表情を見せ、とくに自分のお菓子を分けてあげるときに一番うれしそうだったのです。

人に与えることを喜ぶ気持ちは、教えられる前から私たちの中に備わっているのかもしれません。

04親切が「しんどい」ときもある

ただし、どんな親切でも幸せになれるわけではありません。

  • 断れずにしている親切や、義務感だけの手伝いは、むしろ疲れる原因に
  • 見返りを期待しすぎると、返ってこなかったときにがっかりする

自分で選んで、相手の喜ぶ顔が想像できる親切の方が、気持ちよく続けられそうです。

もう一つ大事なのは、親切をしたことに自分で気づくこと。日本の研究チームによる研究(Otake ら、2006年)では、1週間、自分がした親切を数えて記録するだけでも、幸福感が少し上がったという報告があります。毎日なにげなくしている「ちょっとした手助け」に光を当てるだけで、自分を見る目が変わるのかもしれません。

05まとめ

「情けは人のためならず」は、科学的にもおおむねホント。親切は相手のためだけでなく、自分の心の栄養にもなります。

明日、誰かのためにドアを少し長めに押さえてみる。そんな小さなことから始めてみませんか?

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Japanese proverb "Nasake wa hito no tame narazu" is often misunderstood. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Japanese proverb "Nasake wa hito no tame narazu" is often misunderstood. Its real meaning is that kindness to others eventually comes back to you, and psychology largely supports it. In a study by Sonja Lyubomirsky, participants performed five acts of kindness in a week, such as giving blood or writing a thank-you letter.

Their happiness rose more clearly when they did all five on a single day. In 2018, a team at Oxford University combined the results of many experiments and found that acts of kindness do increase the happiness of the people who perform them, although the effect is small to medium. Even toddlers seem to enjoy giving. Children under two looked happiest when they shared their own treats.

121 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本のことわざ「情けは人のためならず」は、しばしば誤解されています。本当の意味は、人への親切はやがて自分に返ってくるというもので、心理学はおおむねそれを支持しています。ソニア・リュボミアスキーの研究で、参加者は献血をする、お礼の手紙を書くなど、1週間に5つの親切をしました。

5つすべてを1日にまとめて行ったとき、幸福感はよりはっきりと高まりました。2018年、オックスフォード大学のチームが多くの実験の結果をまとめ、親切な行動は、それをした本人の幸福感を確かに高めるが、その効果は小〜中程度であることを見出しました。幼児でさえ与えることを楽しむようです。2歳になる前の子どもは、自分のお菓子を分けてあげるときに最もうれしそうに見えました。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the real meaning of the proverb?

Q2. What did the 2018 Oxford study find?

Q3. What does the toddler study suggest?

重要単語

  • kindnessA2
    名詞親切A small act of kindness can brighten a day. an act of kindness「親切な行為」の形でよく使う。kind(親切な)+-ness。
  • proverbB2
    名詞ことわざThis proverb is often misunderstood. pro-(前に)+verb(言葉)。As the proverb goes, ...「ことわざにあるように」。
  • generousB1
    形容詞気前のよいEven toddlers can be generous. 名詞 generosity。It is generous of you to ~ のように of+人をとる形容詞の代表。
  • obligationB2
    名詞義務Help given out of obligation can feel tiring. 動詞 oblige。be obliged to do「~せざるを得ない」。out of obligation「義務感から」。
  • well-beingB2
    名詞幸福、健やかさKindness may boost your own well-being. 心理学で happiness より広い「良好な状態」を表す語。ハイフンを忘れずに。
  • toddlerB2
    名詞よちよち歩きの幼児The toddler shared her cookie with a puppet. toddle(よちよち歩く)+-er。だいたい1〜3歳くらいの子を指す。
  • meta-analysisC1
    名詞メタ分析A meta-analysis combines the results of many studies. meta-(より高次の)。複数の研究を統合する分析で、科学系長文の重要語。複数形は meta-analyses。

動画でもっと知る

「情けは人のためならず」って「甘やかすと相手のためにならない」じゃなくて「親切は巡り巡って自分に返る」って意味。しかも心理学では、親切をした本人の幸福感が上がることまで確かめられてるらしい。

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出典・参考文献(4件)タップで表示
  1. Curry et al. (2018) Happy to help? A systematic review and meta-analysis of the effects of performing acts of kindness on the well-being of the actor, Journal of Experimental Social Psychologydoi.org
  2. Lyubomirsky, Sheldon & Schkade (2005) Pursuing happiness: The architecture of sustainable change, Review of General Psychologydoi.org
  3. Aknin, Hamlin & Dunn (2012) Giving leads to happiness in young children, PLoS ONEdoi.org
  4. Otake et al. (2006) Happy people become happier through kindness: A counting kindnesses intervention, Journal of Happiness Studiesdoi.org