人間関係・お金・日常ビミョー

友達は150人が限界? 有名な「ダンバー数」に、別の研究チームが本気でツッコんだ

友達は150人が限界? 有名な「ダンバー数」に、別の研究チームが本気でツッコんだ

読む前に予想してみよう!

「ダンバー数=150人」は、科学的に完全に確定した数字だ

研究カード(どんな研究?)
対象
霊長類の脳と群れのデータ(再分析)
規模
多数の霊長類
研究の種類
系統比較の統計再分析
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

脳の大きさから「安定した人間関係は約150人まで」と予測したダンバー数。でも新しいデータと手法で計算し直すと、数人〜数百人まで幅が広すぎるという反論が出た。

ひとことで言うと「友達は150人まで」説は、まだ答えが決まっていない!

もくじ
  1. サルの脳から人間の友達の数を予測
  2. 150人は昔の村や軍隊にも?
  3. 2021年の再計算で「幅が広すぎる」
  4. ダンバー側の根拠と、今わかっていること
  5. まとめ

スマホの連絡先、SNSのフォロワー。数百人、数千人とつながっている人も珍しくありません。

でも、その中で「本当に関係が続いている人」は何人いますか?

イギリスの人類学者ロビン・ダンバーは、その上限を約150人と予測しました。いわゆるダンバー数です。ところが最近、この有名な数字に、別の研究チームから鋭いツッコミが入りました。

01サルの脳から人間の友達の数を予測

ダンバーが注目したのは、サルや類人猿の脳です。

つまり「人間関係を覚えて管理するには脳の容量が必要。だから付き合える人数には限界がある」という考え方です。

さらにダンバーは、人間関係には5人・15人・50人・150人という層(レイヤー)がある、とも提案しました。いちばん内側が親友や家族、外側にいくほど「知り合い」に近づくイメージです。

02150人は昔の村や軍隊にも?

ダンバーの説が人気になったのは、現実の集団とよく合うように見えたからです。

狩猟採集民の集団、昔の村の人口、軍隊の中隊の人数などが、おおむね150人前後になる例が紹介されました。会社でも「150人を超えると組織がうまく回らない」と考えて、チームを分ける企業があるほどです。

昔の村や集団は、ダンバー数に近い規模だったともいわれる
昔の村や集団は、ダンバー数に近い規模だったともいわれる

032021年の再計算で「幅が広すぎる」

ところが2021年、スウェーデンのストックホルム大学の研究チーム(Lindenfors ら)が、より新しい霊長類のデータと統計手法でダンバー数を計算し直しました。

その結果は……

  • 推定される平均の群れの大きさは、手法によって十数人〜100人程度とバラバラ
  • 推定の幅(信頼区間:答えがだいたいこの範囲にありそうという幅)は数人から500人以上にまで広がった

研究チームは、「150人」という特定の数字を霊長類のデータから導くのは難しいと結論づけました。

批判のポイントは、ほかにもあります。人間の脳は新皮質だけで人間関係を処理しているわけではありませんし、人間は文字やスマホなどの道具を使って、記憶の外に人間関係を「保存」することもできます。サルの群れと同じ物差しで人間を測ること自体に、限界があるのかもしれません。

04ダンバー側の根拠と、今わかっていること

もちろん、ダンバー側には支持する根拠もあります。たとえばイギリスでクリスマスカードの送り先を調べた研究(Hill と Dunbar、2003年)では、カードを送る相手の人数が平均150人前後(実際に連絡があった人に絞ると約125人)になりました。ほかにも、さまざまな人間集団のデータを分析して5・15・50・150人のような層構造が見つかったという報告があります。

一方で、人間関係の数には個人差がとても大きいことも分かっています。社交的な人、少数の深い付き合いを好む人。どちらが正しいというわけではありません。

05まとめ

ダンバー数は、「人の付き合いには何らかの限界がありそう」という大事な発想を広めました。でも「150人」という数字そのものは、まだ議論の真っ最中です。

あなたの大切な人は何人いますか? 数よりも、その人たちの顔が浮かぶかどうかの方が、きっと大事なはずです。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerDunbar's number says that people can keep only about 150 stable relationships. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Dunbar's number says that people can keep only about 150 stable relationships. In 1992, British anthropologist Robin Dunbar compared many types of primates and found that species with a larger neocortex, the outer part of the brain, tended to live in larger groups. When he applied this pattern to humans, he predicted a group size of about 150. The idea became popular because it seemed to match real groups, such as old villages and army units.

However, in 2021 a team at Stockholm University recalculated the number with newer data and methods. Their estimates ranged from just a few people to more than 500, so they concluded that the number 150 cannot be clearly supported. Dunbar and his colleagues disagree with this criticism.

123 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ダンバー数とは、人が安定した関係を保てるのは約150人までだ、というものです。1992年、イギリスの人類学者ロビン・ダンバーは多くの種類の霊長類を比べ、脳の外側の部分である新皮質が大きい種ほど、大きな群れで暮らす傾向があることを発見しました。このパターンを人間に当てはめると、群れの大きさは約150人と予測されました。この考えは、昔の村や軍隊の部隊のような現実の集団に合っているように見えたため人気になりました。

しかし2021年、ストックホルム大学のチームが、より新しいデータと手法でこの数を計算し直しました。彼らの推定値は数人から500人以上まで幅があったため、150という数字ははっきりとは支持できないと結論づけました。ダンバーらはこの批判に反対しています。

4択リーディングクイズ

Q1. How did Dunbar predict the number 150?

Q2. What did the Stockholm team find?

Q3. Which statement best describes the current situation?

重要単語

  • neocortexC1
    名詞大脳新皮質The neocortex is linked to complex thinking. neo-(新しい)+cortex(皮質)。neo- は neon, neolithic(新石器時代の)などにも。
  • primateC1
    名詞霊長類Monkeys and apes are primates. prime(第一の)と同語源で「動物の中の第一位」。prime minister の prime と同じ。
  • estimateB1
    名詞推定値The estimates ranged from 16 to 109. 名詞は /ˈestɪmət/、動詞は /ˈestɪmeɪt/。range from A to B「AからBに及ぶ」とセットで。
  • confidence intervalC1
    名詞(句)信頼区間A wide confidence interval means great uncertainty. interval は「間隔」。幅が広いほど推定があいまい、と覚える。統計系長文で登場。
  • acquaintanceB2
    名詞知り合いAn acquaintance is not quite a friend. 動詞 acquaint(知らせる)。be acquainted with ~「~と知り合いだ・~に精通している」。
  • anthropologistC1
    名詞人類学者The anthropologist studied village life. anthropo-(人間)+-logy(学問)+-ist(人)。philanthropy「博愛」も anthropo- を含む。
  • extrapolateC1
    動詞(既知のデータから)推定・当てはめるHe extrapolated from primates to humans. extra-(外へ)+polate。データの範囲外に延長して推測すること。interpolate(内挿)と対。

動画でもっと知る

「人が安定した関係を保てるのは約150人」という有名なダンバー数。ところが2021年、新しい霊長類データと手法で計算し直したら、推定値の幅が数人から500人超までブレブレになったらしい。

押すと「マジかリスト」に保存されます

出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. Dunbar (1992) Neocortex size as a constraint on group size in primates, Journal of Human Evolutiondoi.org
  2. Dunbar (1993) Coevolution of neocortical size, group size and language in humans, Behavioral and Brain Sciencesdoi.org
  3. Lindenfors, Wartel & Lind (2021) 'Dunbar's number' deconstructed, Biology Lettersdoi.org
  4. Hill & Dunbar (2003) Social network size in humans, Human Naturedoi.org
  5. Zhou, Sornette, Hill & Dunbar (2005) Discrete hierarchical organization of social group sizes, Proceedings of the Royal Society Bdoi.org