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マネされると、なぜか相手を好きになりやすい。しぐさが無意識にうつる「カメレオン効果」とは

マネされると、なぜか相手を好きになりやすい。しぐさが無意識にうつる「カメレオン効果」とは

読む前に予想してみよう!

人は会話中、相手のしぐさを無意識にマネしていることがある

研究カード(どんな研究?)
対象
アメリカの大学生・オランダのレストラン客
規模
数十人規模(複数の実験)
研究の種類
実験室実験・フィールド実験
確かさ
★★☆☆☆
3秒でわかる

しぐさをさりげなくマネされると、会話がスムーズに感じられ、マネした相手を好きになりやすいという研究がある。人は無意識に相手をマネしている。ただし効果は条件しだいで、わざとらしいマネは逆効果。

ひとことで言うと相手のしぐさをさりげなくマネすると、仲良くなりやすいかも!

もくじ
  1. 足を揺らすと、相手も揺らす
  2. 注文をそのまま復唱すると、チップが多かった
  3. なぜマネで仲良くなるの?
  4. やりすぎると逆効果
  5. まとめ

気の合う友達と話していると、気づけば同じタイミングで笑ったり、同じポーズで座っていたりしませんか?

これは偶然ではありません。人間には、相手のしぐさを無意識にマネするクセがあるのです。そして、そのマネには「相手を好きにさせる力」があるかもしれない——という研究があります。

01足を揺らすと、相手も揺らす

この現象を実験で確かめたのが、ニューヨーク大学のターニャ・チャートランドとジョン・バージです。

彼らはこれを、周りの色に合わせて体の色を変える動物にたとえてカメレオン効果と名付けました。

ポイントは、参加者の多くがマネされていることに気づいていなかったこと。気づかないのに、なぜか「この人と話しやすい」と感じていたのです。

02注文をそのまま復唱すると、チップが多かった

マネの効果は、お店でも調べられています。

オランダのナイメーヘン大学の研究チーム(van Baaren ら、2003年)は、レストランで1人のウェイトレスに協力してもらい、お客さんの注文を言われたとおりにそのまま復唱する場合と、「はい!」「すぐお持ちします!」と返事だけする場合を比べました。すると、そのまま復唱した方がチップが多かったと報告しています。ただし、復唱でチップが増えたのか、返事だけだと減ったのかは区別しきれなかった、と研究チーム自身が書いています。

言葉をそのまま返されると、「ちゃんと聞いてもらえた」と感じるのかもしれません。

相手の言葉をそのまま返すと、「ちゃんと聞いてもらえた」と感じやすいのかもしれない
相手の言葉をそのまま返すと、「ちゃんと聞いてもらえた」と感じやすいのかもしれない

03なぜマネで仲良くなるの?

研究者たちは、マネには「私たちは仲間だよ」というサインの役割があると考えています。

  • 子どもは周りの大人のしぐさをマネしながら、人との関わり方を身につけていくと考えられている
  • 似た動きをすると、相手の気持ちを想像しやすくなる、という説もある
  • 動きがそろうと、場に一体感が生まれやすい

人間は群れで生きてきた動物です。さりげなく同調する能力は、仲間とうまくやっていくための大切な道具だったのかもしれません。

チャートランドとバージの研究では、相手の気持ちを想像するのが得意な人ほど、無意識のマネが多かったことも分かりました。マネは「テクニック」である前に、相手に関心を向けている人に自然と出てくる共感のサインなのかもしれません。ただし、別の方法でマネのしやすさを測った研究をまとめると、共感の強さとの関係は見られなかったという報告もあり(Cracco ら、2018年)、ここはまだ決着していません。

04やりすぎると逆効果

ここで注意。研究の多くは、相手に気づかれない程度のさりげないマネでした。

あからさまに同じポーズを追いかけたり、口ぐせまで全部マネしたりすると、相手は「バカにされてる?」「何か狙ってる?」と感じてしまうかもしれません。

実際、ドイツの研究チームの実験(Wessler ら、2023年)では、さりげなくマネされた人は、マネされなかった人より相手を好きになりました。ところが、あからさまにマネされた人は、さりげなくマネされた人より、相手への好感も信頼も低くなったのです。

また、マネの効果の大きさは研究によってばらつきがあり、いつでも必ず好かれる魔法のテクニックではないことも覚えておきましょう。

ポーランドの研究チームが26の比較をまとめた2026年の分析(Trzmielewska ら)では、マネされると相手への好感が上がる傾向は、はっきり出ていました。ただし、マネしない側の相手役が「じっと動かない」実験では差が大きく出やすく、マネしない側も自然に体を動かす実験では、効果は小さめでした。

さらに、イギリスの研究チームは、仮想現実(VR)の中で会話の相手(アバター)にマネをさせる実験を2つ行いました(Hale と Hamilton、2016年)。1つ目ではマネするアバターへの親しみが高かったものの、2つ目では、マネされても信頼や親しみは高まりませんでした。2つ目は、実験を始める前に計画を登録しておく「事前登録」というやり方で行われたものです。

05まとめ

マネは「パクリ」ではなく、「あなたに合わせたいよ」という無言のメッセージ。

人は気づかないうちに、話している相手と動きがそろっていくことがある。次に誰かと話すとき、二人のポーズをこっそり観察してみてください。いつのまにか、同じ姿勢になっているかもしれません。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerSometimes you and a friend end up sitting in the same position. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

Sometimes you and a friend end up sitting in the same position. In 1999, psychologists Tanya Chartrand and John Bargh studied this. In their first experiment, a partner kept rubbing their face or shaking their foot while talking with participants. The participants unconsciously began doing the same action more often.

In another experiment, when the partner copied the participants' gestures, the participants liked the partner more and felt that the conversation went more smoothly. Most of them did not notice that they were being copied. The researchers called this the chameleon effect. In a later study in the Netherlands, a waitress received bigger tips when she repeated customers' orders word for word.

112 words ・ CEFR B1

和訳を見る

ときどき、自分と友達が同じ姿勢で座っていることがあります。1999年、心理学者のターニャ・チャートランドとジョン・バージがこれを研究しました。最初の実験では、相手役が参加者と話している間、顔をこすったり足を揺らしたりし続けました。参加者は無意識のうちに、同じ動作を多くするようになりました。

別の実験では、相手役が参加者のしぐさをまねすると、参加者はその相手をより好きになり、会話がよりスムーズに進んだと感じました。ほとんどの人は、自分がまねされていることに気づいていませんでした。研究者たちはこれをカメレオン効果と呼びました。その後のオランダの研究では、ウェイトレスが客の注文を言われたとおりそのまま繰り返すと、より多くのチップをもらえました。

4択リーディングクイズ

Q1. What did the participants do in the first experiment?

Q2. What happened in the restaurant study?

Q3. Why is it called the "chameleon" effect?

重要単語

  • mimicryC1
    名詞模倣、まねSubtle mimicry often goes unnoticed. 動詞 mimic「まねる」(過去形 mimicked と k が入る点に注意)。生物の「擬態」の意味も。
  • imitateB2
    動詞まねるChildren often imitate their parents. 名詞 imitation「模倣・模造品」。mimic よりやや中立的で、意図的なまねにも使う。
  • rapportC1
    名詞打ち解けた関係Good listeners build rapport quickly. フランス語由来で語末の t は読まない(ラポール)。build rapport with ~ の形で使う。
  • unconsciousB2
    形容詞無意識のIt was an unconscious habit. 副詞 unconsciously。「意識を失った」の意味もある。subconscious もほぼ同義。
  • empathyC1
    名詞共感Empathy helps us understand others. sympathy(同情)との違いが頻出。empathy は相手の立場に立って感じること。
  • verbatimC1
    副詞・形容詞一字一句そのまま(の)The server repeated the order verbatim. ラテン語 verbum(言葉)から。verbal と同語源。word for word と言い換え可。
  • subtleB2
    形容詞さりげない、微妙なSubtle copying can make people feel closer. b は発音しない /ˈsʌtl/(サトル)。subtle difference「微妙な違い」。
会話中に相手がさりげなく自分のしぐさをマネしてると、その人をなんとなく好きになるらしい。心理学では「カメレオン効果」と呼ばれる。店員さんが注文をそのまま復唱するとチップが多かった、なんて実験も。

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出典・参考文献(6件)タップで表示
  1. Chartrand & Bargh (1999) The chameleon effect: The perception-behavior link and social interaction, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  2. van Baaren et al. (2003) Mimicry for money: Behavioral consequences of imitation, Journal of Experimental Social Psychologydoi.org
  3. Hale & Hamilton (2016) Testing the relationship between mimicry, trust and rapport in virtual reality conversations, Scientific Reportsdoi.org
  4. Wessler et al. (2023) The too-much-mimicry effect: Strong (vs. subtle) mimicry impairs liking and trust in distributive negotiations, Journal of Nonverbal Behaviordoi.org
  5. Trzmielewska & Rak (2026) Confederate motor behavior in control conditions and liking effects of being mimicked: A meta-analysis of human confederate paradigms, Journal of Nonverbal Behaviordoi.org
  6. Cracco et al. (2018) Automatic imitation: A meta-analysis, Psychological Bulletindoi.org