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初対面の2人が45分で親密に。「恋に落ちる36の質問」、本当はどんな実験だった?

初対面の2人が45分で親密に。「恋に落ちる36の質問」、本当はどんな実験だった?

読む前に予想してみよう!

「36の質問」の元の実験では、最後に4分間見つめ合う手順が含まれていた

研究カード(どんな研究?)
対象
初対面の大学生ペア
規模
複数の実験
研究の種類
実験室実験(ランダム割り付け)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

少しずつ深くなる36の質問に答え合うと、初対面の2人でも親密さが高まった。ただし元の実験は「恋に落ちる」ための研究ではなく、4分間見つめ合う手順もなかった。

ひとことで言うとだんだん深い話をしていくと、知らない人とも仲良くなれる!

もくじ
  1. 実験の目的は「親しさ」を研究すること
  2. 質問は「浅い→深い」へ
  3. 結果:雑談より、ぐっと親しく
  4. 「4分間見つめ合う」は元の実験にない
  5. 私たちは「深い話」を怖がりすぎ?
  6. まとめ

「この36の質問に答え合えば、誰とでも恋に落ちる」

10年ほど前、そんな触れ込みで世界中に広まったのが「36の質問」です。カップル向けの動画や記事で、見たことがある人もいるかもしれません。

でも、その元ネタはれっきとした心理学の論文。そして元の実験は、ネットで広まった話とは少し違うものでした。

01実験の目的は「親しさ」を研究すること

この実験を考えたのは、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の心理学者アーサー・アロンらです。

研究の目的は、恋愛ではなく「人と人が親しくなるプロセスを、実験室で再現する方法」を作ることでした。親しさを研究するには、実験のたびに「親しい2人」を作り出せると便利だからです。

02質問は「浅い→深い」へ

36の質問は、こんなふうに少しずつ深くなっていきます(内容は要約です)。

  • セット1:世界中の誰でも夕食に招けるなら誰? 「完璧な1日」ってどんな日?
  • セット2:友情で一番大切にしていることは? 一番大切な思い出は?
  • セット3:最後に人前で泣いたのはいつ? 相手のどんなところが好きになった?

ポイントはお互いに答えること、そして少しずつ深くしていくこと。いきなり重い話をするのではなく、階段をのぼるように心を開いていくのです。

自己開示は階段のように。少しずつ深くしていくのがコツ
自己開示は階段のように。少しずつ深くしていくのがコツ

03結果:雑談より、ぐっと親しく

45分後、36の質問をしたペアは、雑談をしたペアよりも、相手をずっと親しく感じていたのです。

この手順は「ファスト・フレンズ(すぐ友達)法」とも呼ばれ、その後も別の研究者たちが追試しています。2021年の研究(Sprecher)でも、36の質問に答え合ったペアは、雑談をしたペアより親しさや好感が高まりやすいことが確認されました。

心理学では、自分のことを相手に話すことを自己開示と呼びます。そして、相手が自己開示してくれたら、自分も同じくらい開示する。このお互いさまの開示が、親しさを生むカギだと考えられています。

04「4分間見つめ合う」は元の実験にない

ここで、よくある誤解を正しておきましょう。

また、元の実験で測ったのは「親しさ」であって、「恋に落ちたかどうか」ではありません。36の質問は恋の魔法ではなく、仲良くなるための会話の設計図なのです。

05私たちは「深い話」を怖がりすぎ?

関連する2022年の研究(Kardas ら)では、人は初対面の相手と深い話をすると気まずくなると予想しがちだけど、実際にやってみると思ったより楽しく、つながりを感じられることが報告されています。

私たちは、深い会話のハードルを実際より高く見積もっているのかもしれません。

06まとめ

「恋に落ちる36の質問」の正体は、人が親しくなる仕組みを調べるための実験ツールでした。

恋の保証はないけれど、少しずつ心を開き合えば、初対面の人とでも距離は縮まる。それだけでも、十分に「マジか!」な発見ですよね。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe famous "36 questions" come from a 1997 study led by psychologist Arthur Aron. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The famous "36 questions" come from a 1997 study led by psychologist Arthur Aron. His team wanted a reliable way to create closeness between strangers in the lab. College students who had never met were put into pairs and spent 45 minutes taking turns answering three sets of questions. The questions started light, such as who you would invite to dinner, and gradually became more personal.

Other pairs spent the same time on small talk. Afterwards, the pairs who answered the 36 questions felt much closer. Researchers believe the key is mutual self-disclosure: when one person opens up, the other does the same. Contrary to popular belief, the original study did not include four minutes of silent eye contact.

119 words ・ CEFR B1

和訳を見る

有名な「36の質問」は、心理学者アーサー・アロンが率いた1997年の研究に由来します。彼のチームは、実験室で初対面の人どうしに親しさを生み出す確実な方法を求めていました。会ったことのない大学生がペアにされ、45分間、3セットの質問に交代で答えました。質問は「夕食に誰を招きたいか」のような軽いものから始まり、だんだん個人的になっていきました。別のペアは同じ時間、雑談をしました。

その後、36の質問に答えたペアの方がずっと親しさを感じていました。研究者たちは、カギはお互いの自己開示だと考えています。一方が心を開くと、もう一方も同じようにするのです。よく信じられているのとは違い、元の研究には4分間黙って見つめ合う手順は含まれていませんでした。

4択リーディングクイズ

Q1. Why did Aron's team create the 36 questions?

Q2. Which statement is true according to the passage?

Q3. What does the author suggest about the "four minutes of eye contact"?

重要単語

  • self-disclosureC1
    名詞自己開示Gradual self-disclosure helps strangers feel closer. disclose(明らかにする)=dis-(反対)+close(閉じる)。「閉じていたものを開く」イメージ。
  • intimacyC1
    名詞親密さSharing small secrets can build intimacy. 形容詞 intimate(親密な)。an intimate friend「親友」。build intimacy の形で使う。
  • reciprocalC1
    形容詞相互の、お互いさまのGood friendships are usually reciprocal. 類義語 mutual。動詞 reciprocate「お返しをする」。心理学の「返報性」は reciprocity。
  • strangerA2
    名詞見知らぬ人She talked with a stranger for 45 minutes. strange(見慣れない)+-er。I'm a stranger here.「この辺りは不案内です」は道案内の定番。
  • escalateC1
    動詞段階的に高まるThe questions escalate from light to deep. escalator と同語源で「段を上がる」イメージ。対立が escalate(激化する)の意味でも頻出。
  • closenessB2
    名詞親しさ、近さThe questions increased the feeling of closeness. close(近い・親しい)+-ness。形容詞の close は /kloʊs/ と濁らない点に注意。
  • replicateC1
    動詞(実験を)再現する、追試するOther researchers replicated the results. 名詞 replication「追試・再現」。replica(複製品)と同語源。研究系長文の最重要語。

動画でもっと知る

4コマでわかる

初対面の2人が45分で親密に。「恋に落ちる36の質問」、本当はどんな実験だった?の4コマ漫画
「恋に落ちる36の質問」の元ネタは1997年の心理学実験。初対面の2人が45分間、だんだん深くなる質問に答え合うと、雑談した2人よりずっと親しく感じたらしい。ただ「最後に4分見つめ合う」は元の実験にはない。

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出典・参考文献(3件)タップで表示
  1. Aron et al. (1997) The experimental generation of interpersonal closeness: A procedure and some preliminary findings, Personality and Social Psychology Bulletindoi.org
  2. Kardas, Kumar & Epley (2022) Overly shallow?: Miscalibrated expectations create a barrier to deeper conversation, Journal of Personality and Social Psychologydoi.org
  3. Sprecher (2021) Closeness and other affiliative outcomes generated from the Fast Friends procedure: A comparison with a small-talk task and unstructured self-disclosure, Journal of Social and Personal Relationshipsdoi.org